生成AIとは──国のガイドラインの定義、作れるもの(文章・画像・動画・音声・コード)の種類と代表サービス一覧、LLMとの違い、リスクと始め方
生成AIは、AI事業者ガイドライン(第1.2版・2026年3月31日公表)が「文章、画像、プログラム等を生成できるAIモデルにもとづくAIの総称」と定義する言葉。この記事は、同ガイドライン本編42ページと総務省の入門教材「生成AIはじめの一歩」(75ページ)の原文をもとに、定義、種類、従来のAIやLLMとの違い、総務省が挙げる4つの注意点を整理し、当サイトの解説記事から選んだ25本を種類別の一覧表にした。

目次
2026年10月2日・日本時間時点の情報です。 「生成AI」は、国の文書では「文章、画像、プログラム等を生成できるAIモデルにもとづくAIの総称」と定義されている言葉だ。この記事は、総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」と、総務省の入門教材「生成AIはじめの一歩」の原文だけを材料に、生成AIの定義、種類、従来のAIやLLM(大規模言語モデル)との違い、注意点、はじめ方を順に答える。2つ目の見出しに、当サイトの解説記事から選んだ生成AIサービスの記事を種類別に並べた一覧表がある。LLMそのものの解説はLLMとはに分けた。
3行まとめ
- 生成AIの定義(AI事業者ガイドライン第1.2版)は「文章、画像、プログラム等を生成できるAIモデルにもとづくAIの総称」。 生成物の種類は、総務省の教材では文章・画像・映像・音声・音楽・3Dモデルなど。
- LLMは生成AIの中の一つの型。 ガイドラインは「大規模言語モデルに代表される基盤モデル」と書き、「大規模言語モデルを始めとする生成AI」とも書く。脚注47では「大規模言語モデル・画像生成モデル・オーディオ生成モデル」が生成AI関連の技術として並ぶ。言語を扱うのがLLM、生成AIは画像や音声のモデルも含む総称、と読める。
- 総務省が挙げる注意点は4つ:情報の正確性・情報流出・知的財産権の侵害・活用者としてのモラル。 当サイトの解説記事から筆者が選んだ25本を種類別に分けると、文章7・画像6・動画4・音声3・コード5。
生成AIとは何か──国の資料の定義
AI事業者ガイドライン(第1.2版)は、総務省と経済産業省が2026年3月31日に公表した、AIを開発・提供・利用する事業者向けの指針だ。本編の第1部「関連する用語」に、生成AIの定義がある。
生成AI 文章、画像、プログラム等を生成できるAIモデルにもとづくAIの総称を指す。
この定義は、生成AIを「何が作れるか」で括っている。仕組み(ニューラルネットワークか、どの方式か)は定義に含まれない。同じ節の「AIモデル」の定義は「学習データを用いた機械学習によって得られるモデルで、入力データに応じた予測結果を生成する」で、生成AIの土台にあたる。
総務省の入門教材(「生成AIはじめの一歩」)は、もっと平易に書く。生成AIの仕組みの説明は、指示(プロンプト)を入力すると、インターネット上の文書などを大量に学習した生成AIが、文脈に沿った回答を出力する、という図だ。特徴として、文章・画像・動画などを幅広く作れること、文脈を理解した回答や人間が思いつかない回答を作れること、高度な技術なしに簡単に使えること、文章のほか画像・音声・グラフを入力しても回答が得られること、が挙げられている。ガイドライン本編も脚注47で、この教材を「今後の生活の中で生成AIに触れうる国民(初心者)向け」の資料として紹介している。
では「AI」自体はどう定義されているか。ガイドラインは、AIに「現時点で確立された定義はなく」、広義の人工知能の外延を厳密に定義することは困難だと書く。そのうえで参考として、JIS X 22989:2023(ISO/IEC 22989:2022にもとづく)の「AIシステム」の定義と、OECD AI Principles overviewの定義を併記している。OECDの定義は次の文だ。
AIシステムは、明示的又は暗黙的な目的のために推測するマシンベースのシステムである。受け取った入力から、物理環境又は仮想環境に影響を与える可能性のある予測、コンテンツ、推奨、意思決定等の出力を生成する。AIシステムが異なれば、導入後の自律性及び適応性のレベルも異なる
定義の中に、出力の一つとして「コンテンツ」が入っている(JIS X 22989の定義も同じく「コンテンツ、予測、推奨、意思決定等の出力」と書く)。つまり、これらの定義ではAIの出力は予測や推奨だけでなくコンテンツも含む。生成AIは、その中でも文章・画像などを作る側に着目した呼び方、と読める。
「生成AI 英語」で検索する人向けに書くと、ガイドラインの本編は用語を日本語で定義しており、英語表記(generative AI)は本編のこの定義部分には出てこない。筆者が取得した本編のテキストで「generative」を検索した結果は、後ろの節に書いた。
生成AIは何を作れるのか──種類と代表サービスの一覧
総務省の教材は、生成AIの活用場面を「代表例」として次のように整理している。
- テキスト生成:文章の作成・要約、情報検索、翻訳、議論のパートナー
- 画像・映像生成:写真・イラスト、アニメ等の作成
- 音声生成:音声・音楽の作成
- その他:3Dモデルの作成
ガイドライン本編にはこのほか、脚注31にプログラムコードを生成するAIへの言及がある(「プログラムコードを生成するAIを活用する場合は、生成したコードの安全性やセキュリティ面への配慮が重要」)。定義の「プログラム等」に対応する種類だ。以下の表は、教材の「画像・映像生成」を画像と動画に分け、ガイドラインの「プログラム」をコードとして足した5種類(文章・画像・動画・音声・コード)に、当サイトの解説記事を並べたものだ。この5種類は筆者の分け方で、教材やガイドラインがこの5つに分類しているわけではない。
当サイトの解説記事から選んだ25本(種類別)
選び方:筆者が10月2日11時すぎに、サイトの記事ファイル(content/news、全1,454本のうち日付が10月2日以前の1,386本)のうち、type が guide の618本から、生成AIサービスの使い方・料金の解説記事と、種類ごとの比較記事を選び、題名を読んで種類に振り分けた。全部を数えたものではなく、同じサービスの記事が複数あれば1本に絞った。表に入れなかったサービスの解説記事もある(Perplexity、Grok、Sora、Notion AIなど)。
| 種類 | 解説記事(本数) | 記事 |
|---|---|---|
| 文章・対話・検索 | 7本 | ChatGPT/Gemini/Claude/DeepSeek/Microsoft Copilot/NotebookLM/Genspark |
| 画像 | 6本 | Midjourney/DALL-E 3/Adobe Firefly/Stable Diffusion(ローカル)/Canva AI/無料の画像生成AI比較 |
| 動画 | 4本 | Veo 3.1/Runway/Kling 3.0/動画生成AIの選び方 |
| 音声・音楽 | 3本 | ElevenLabs/Suno/音声合成の比較(VOICEVOX・ElevenLabsほか) |
| コード | 5本 | Claude Code/Codex/Cursor/GitHub Copilot/Replit Agent |
Gensparkは複数の種類(スライド・画像・動画など)を作るサービスだが、表では文章・検索の欄に入れた。振り分けは筆者の判断で、厳密な分類ではない。
参考に、記事に付けたタグの件数も数えた(速報や研究記事も含む)。日付が10月2日以前の1,386本のうち、タグ ai-coding が342本、llm が251本、video-ai が99本、audio-ai が57本、image-generation が50本だった。タグで見ると、当サイトの記事はAIコーディング(ai-coding)とLLM(llm)の話題に偏っている。
従来のAIと何が違うのか
ガイドライン本編の「AIとは」は、AIの歴史を次のように書く。2000年代以降、ディープラーニング等による「画像認識」「自然言語処理(翻訳等)」「音声認識」が活用され、特定の分野に特化して予測・提案・決定を行うシステムをAIと指すようになった。そして2021年以降は、基盤モデルの台頭により、特定の分野のみに特化したAIではない汎用的なAIの開発が進み、「予測」「提案」「決定」にとどまらず、画像、文章等を生成する「生成AI」も普及しつつある、とある。
注釈16は基盤モデルを次のように説明する。
大規模言語モデルに代表される基盤モデルは、様々なサービスを支える個別モデルを生み出すコアの技術基盤である。基盤モデルから派生する下流の幅広いタスクに適応させたモデルの開発、開発過程そのものから得られる知見等の観点から、従来のAIとは異なる性質を持つ。
筆者なりに整理すると、ガイドラインの記述では、従来のAIは特定の分野に特化して予測・提案・決定を行うシステム、生成AIは基盤モデルによって汎用的なAIの開発が進んだ結果として普及しつつある、文章・画像・プログラム等を生成するAI、という位置づけになる。「はじめに」はさらに、対話型の生成AIによって「AIの民主化」が起こり、多くの人が「対話」によってAIを様々な用途へ容易に活用できるようになった、と書く。
LLMと生成AIの違い──LLMは生成AIの一つ
「LLM 生成AI 違い」の答えを、公的資料の言葉で並べる。
- ガイドラインの注釈16:「大規模言語モデルに代表される基盤モデル」。LLMは基盤モデルの代表例。
- ガイドラインの注釈36:「大規模言語モデルを始めとする生成AIでは、AI利用者は、コンテキスト内学習と呼ばれる学習方法により、学習済パラメータを更新することなく、AI利用者の入力(プロンプトと呼ばれる)に応じて、特定のタスクに対する学習を行わせることが可能である」。LLMは生成AIの代表として扱われている。
- ガイドラインの脚注47:経済産業省のデジタルスキル標準が、学習項目例に「大規模言語モデル・画像生成モデル・オーディオ生成モデル」等の生成AI関連の技術を追加した、と紹介している。LLMは、画像や音声を生成するモデルと並ぶ、生成AIの技術の一つとして挙がっている。
- 生成AIの定義は「文章、画像、プログラム等を生成できる」で、画像生成も含む。
この4点を筆者なりにまとめると、LLMは言語を扱う生成AIのモデル(基盤モデルの代表例)、生成AIはLLMのほか画像や音声を生成するモデルも含む総称、という関係になる。ガイドライン第1部の「関連する用語」(AI、AIシステム、生成AI、学習、推論、AIエージェントなど11語)にLLMの見出しは無いので、この関係は脚注の書き方から読み取ったものだ。総務省の教材は、ChatGPT(GPT-4)を例に「テキスト系生成AIサービス」の使い方を説明している。なお教材は、文章のほか画像・音声・グラフなどを入力しても回答を得られると書いており、対話サービスの入力は文章に限られない。LLM単体の中身はLLMとはで扱った。
学習と生成の基本的な仕組み
仕組みは深入りせず、ガイドラインの用語定義で足りる範囲に絞る。
- 学習:「データを用いてAIモデルのパラメータを決定または改善するプロセス」。事前学習と事後学習(ファインチューニング等)がある。
- 推論:「学習済みモデルに未知のデータを与え、出力(予測・分類・生成など)を得るプロセス」。生成AIが答えや画像を出す場面は、この推論にあたる。推論では、ユーザーが入力するプロンプトに加え、RAG(検索拡張生成)等を介して外部知識を補完した情報も使われる。
つまり、大量のデータでモデルを作る段階が「学習」、作ったモデルに指示を与えて出力を得る段階が「推論」。普段サービスを使う人が触れているのは後者だ。
生成AIのリスク──ガイドラインと総務省が挙げるもの
ガイドライン本編は、「はじめに」で、生成AIに関して「知的財産権の侵害、偽情報・誤情報の生成・発信等、これまでのAIではなかったような新たな社会的リスク」が生じている、と書く。共通の指針の「偽情報等への対策」には、「生成AIによって、内容が真実・公平であるかのように装った情報を誰でも作ることができるようになり、AIが生成した偽情報・誤情報・偏向情報が社会を不安定化・混乱させるリスクが高まっていることを認識した上で、必要な対策を講じる」とある。
総務省の入門教材は、利用者向けの注意点を4つに分ける。
| 注意点 | 教材が書く内容 |
|---|---|
| 情報の正確性 | 偽・誤情報が増える原因として、時間をかけずにもっともらしい偽画像・映像・音声・記事を作れること、学習データが不正確・偏向的な可能性があること、裏付けのない回答をする場合があること、正確なデータを学習しても出力が正しいとは限らないこと、を挙げる。予防の確認点は「情報源があるか?」「その分野の専門家の発信か?」、安易に拡散しないこと |
| 情報流出 | 個人情報や機密情報を入力すると、入力データが学習データに使われることがあり、他人の質問への回答に使われて漏洩する可能性がある。対策は、利用規約の確認、入力は必要最小限、学習に使わせない設定(オプトアウト) |
| 知的財産権の侵害 | 既存の著作物に類似した生成物の公表・販売、登録商標・意匠に類似した生成物の商用利用、著名人の氏名・肖像の商用利用が侵害になりうる。差止請求・損害賠償請求などの民事訴訟や刑事罰の対象となることもある |
| 活用者としてのモラル | 3つを挙げる。本来自分が行うべきことまで生成AI任せにしない(例:学校や大学の課題を全て生成AIで解決しようとする)、生成AIが作った偏見のある回答を使用しない、生成AIを非倫理的な行為や犯罪に悪用しない |
ハルシネーションについては、ガイドライン本編の脚注27が「RAG(検索拡張生成)の活用等により、ハルシネーションの抑制や出力過程・根拠の透明性向上等が期待されている」と書く。仕組みと対策はLLMのハルシネーションの原因と対策に、ディープフェイクはディープフェイクとはにまとめた。著作権の日本の法律の整理はAI画像生成と著作権にある。
著作権について、教材は欄外に「生成AIへの入力段階では、著作物のデータは、原則として著作権者の許諾なく利用できる」と注記する。ガイドライン本編の脚注32は、知的財産関連法令との関係は内閣府等で議論が進んでおり、文化審議会の「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月)を踏まえた対応方針の検討が重要、と書く。
生成AIのはじめ方
総務省の教材の学習の順は、①生成AIとは何か、②どのように使うか、③注意すべきポイント、の3段階だ。この記事の範囲では①と③を扱ったので、②の「使い方」は、サービス別の記事から入るのが早い。
- 文章・対話から始める:ChatGPTの使い方、Geminiアプリの使い方、Claudeの使い方。それぞれ無料でできる範囲を書いてある。
- 画像から始める:無料の画像生成AI比較。登録不要のものと、商用利用の条件が違うものを分けた。
- 動画:動画生成AIの選び方。
- 職場で使う規則を知りたい:AI事業者ガイドライン(第1.2版)とは。
- 用語を基礎から:AI用語集、資格として学ぶなら生成AIパスポート。
入力してはいけないものを、教材は個人情報(氏名、電話番号、住所、メールアドレス、生年月日、顔写真など)と機密情報(経営・営業情報、顧客や社員のデータ、議事録など)の例で示している。
筆者がガイドラインのPDFで数えた「生成AI」の回数
筆者は10月2日11時23分に、総務省の掲載ページからAI事業者ガイドライン(第1.2版)の本編PDFと概要PDFを取得し、Macのpdftotextでテキストに変換した。本編は42ページ。「生成AI」(pdftotextで文字にすると「生成 AI」のように間に空白が入るので、空白の有無を許して検索)は32回、42ページのうち12ページに出てきた。概要PDF(24ページ)では3回だった。「ハルシネーション」は本編に1回(脚注27)、「大規模言語モデル」は5回、「LLM」は4回、「基盤モデル」は4回だった。32回の内訳を1つずつ見ると、本文が9回、脚注が23回で、脚注47の1つだけで11回を占めた(経済産業省のデジタルスキル標準や「コンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブック」、総務省の「生成AIはじめの一歩」を紹介する注で、資料名に「生成AI」が繰り返し入る)。本文の9回は、「はじめに」(対話型の生成AI、知的財産権の侵害・偽情報のリスク)、第1部の歴史と用語定義、共通の指針の「偽情報等への対策」「持続可能性の確保」「適正利用」と、「教育・リスキリング」の項に出てくる。
英語の「generative」は、本編のテキスト全体で1回だけで、それも脚注47に載った総務省教材のURL(…/special/generativeai/)の中だった。定義の節を含め、本文に「generative AI」という英語の併記は無かった。概要PDFでは0回だった。いずれも、今回取得したPDFをpdftotextで文字にした範囲での結果だ。
白書・EU AI法など、今回読めていない資料
- 総務省「情報通信白書」の生成AIの節は読めていない。 本記事は、ガイドライン本編・概要と総務省の入門教材だけを一次資料にした。白書の定義や市場データは、別の機会に確認する。
- EU AI法が生成AIをどう定義・規定しているかは確認していない。 同法の条文は今回取得した資料に入っていない。
- 種類別の一覧は当サイトの記事から選んだものであって、市場にある生成AIサービスの全体ではない。 筆者が挙げた25本は、記事が存在するサービスから選んだもので、どのサービスが主流かを示す数字ではない。
- 教材の公開日・ver1.0以降の更新は確認していない。 教材のPDFには「ver1.0」とあり、会話例には「ChatGPT(GPT-4)との実際の会話」、使い方のページには「2023年時点で主流のテキスト系生成AIサービス」と注記がある。PDFのファイル情報の作成日時は2024年3月22日で、末尾の関連資料は「AI事業者ガイドライン第1.0版(案)」を挙げて「後日」公表予定と書いているので、ガイドライン第1.0版より前に作られた版と読める。サービスの現状は各社の公式で確認する必要がある。
- ガイドラインの定義は、事業者向けの指針の中の用語定義で、法令上の定義ではない。本編は自らを非拘束的なソフトローと位置づけている(詳細はガイドラインの解説記事)。
定義と注意点を確かめた総務省掲載の資料
- AI事業者ガイドライン(第1.2版)本編(総務省・経済産業省、令和8年3月31日。第1部の用語定義、注釈16・27・31・32・36・47、第2部の共通の指針):https://www.soumu.go.jp/main_content/001064279.pdf
- 同・概要:https://www.soumu.go.jp/main_content/001064299.pdf
- 生成AIはじめの一歩~生成AIの入門的な使い方と注意点~(総務省):https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/special/generativeai/ と、教材PDF https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/special/generativeai/data/file01.pdf
- 取得はいずれも2026年10月2日11時台。取得した原文は筆者の作業フォルダに保存してあり、引用と数字(32回・12ページ・42ページ)はそこから確認した。
出典・参照資料
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