文化庁とAIの著作権生成AIの「考え方」(2024年3月15日)は学習と生成・利用を分けて整理、AI画像の著作権はどうなるか【2026年10月版】
文化庁は「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日)で、生成AIと著作権を学習の段階と生成・利用の段階に分けて整理し、解説資料「チェックリスト&ガイダンス」(2024年7月31日)を公表している。筆者は両文書の原文と、e-Gov法令検索の著作権法第30条の4の条文を確かめ、2024年8月以降の動き(2025年8月の文化庁の法制度ワーキングチーム設置、2026年8月25日に政府の知的財産戦略本部が公表したプリンシプル・コードなど)も日付つきで整理した。

目次
2026年10月8日・日本時間時点の情報です。 文化庁(ぶんかちょう)は、生成AIと著作権について、文化審議会著作権分科会法制度小委員会の「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日)と、解説資料「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(2024年7月31日)を公表している。骨子は、著作物が使われる場面を「開発・学習段階」と「生成・利用段階」に分け、それぞれに著作権法を当てはめて考える、というものだ。AI画像の著作権は、この2つの段階のどちらの話かで答えが変わる。
3行まとめ
- 文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日)は、学習の段階と、生成物を出力して使う段階を分けて整理している。文書自体に法的な拘束力は無いと冒頭に書かれている
- 学習の段階は著作権法第30条の4(「享受を目的としない」利用)、生成・利用の段階は「類似性」と「依拠性」の両方があれば侵害になりうる、という整理が文書の中心にある
- 本記事が確認した範囲では、文化庁が2024年8月以降に「考え方」を改訂した事実は無い。2025年5月30日の関係者ネットワーク総括、2025年8月に文化庁の政策小委員会が置いた「AIと著作権」も検討課題に含む法制度ワーキングチーム、2026年8月25日に政府の知的財産戦略本部が公表したプリンシプル・コード(法的拘束力なし)が追加の動きとして出ている
この記事は法律の解説であり、法的助言ではない。条文と文化庁の文書は原文を引用し、筆者の解釈は「筆者の整理」と書いて分ける。個別の事案は弁護士に相談してほしい。
文化庁は生成AIと著作権について何を公表しているのか
文化庁の「AIと著作権について」のページ(筆者が2026年10月8日1時13分ごろに開いた画面)には、次の文書が並んでいた。
| 文書 | 日付 | 位置づけ(ページの説明による) |
|---|---|---|
| AIと著作権に関する考え方について | 令和6年(2024年)3月15日 | 文化審議会著作権分科会法制度小委員会が取りまとめた。判例・裁判例の蓄積がない現状を踏まえた考え方の整理 |
| AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス | 令和6年(2024年)7月31日 | 「考え方」の解説資料。立場(AI開発者・提供者・利用者・権利者)ごとの取組みを紹介 |
| AIと著作権に関する関係者ネットワークの総括 | 資料の表紙は令和7年(2025年)5月30日(文化庁・経済産業省) | 生成AI事業者とクリエイター等との対話の取組みの総括 |
「考え方」の冒頭には、位置づけが次のように書かれている。
本考え方自体が法的な拘束力を有するものではなく、また現時点で存在する特定の生成 AI やこれに関する技術について、確定的な法的評価を行うものではない
つまり、文化庁の文書は法律そのものではなく、文化審議会の小委員会が示した「一定の考え方」だ。著作権の侵害かどうかを最終的に決めるのは裁判所になる。この点は同じ文書が「著作権法の解釈は、行政規制のように行政がその執行に当たって何らかの基準を示すといった性質のものではなく、本来、個別具体的な事案に応じた司法判断によるべきものである」と書いている。
学習の段階と生成・利用の段階は、どう分けて考えるのか
「考え方」は、著作物が使われる場面を次のように分けている。
生成 AI との関係において著作物が利用される場面を概観すると、大きく「開発・学習段階」と「生成・利用段階」に分けられる。
- 開発・学習段階: AIを作るために画像などを集めて学習させる場面。使うのはAI開発者・提供者が中心
- 生成・利用段階: できあがったAIで画像を生成し、投稿や販売などに使う場面。使うのは一般の利用者が中心
画像生成AIを使うだけの人が直接かかわるのは、主に後者だ。ただし、前者の条文(第30条の4)を知らないと「学習に使われること」の説明が理解できないので、先にこちらを見る。
著作権法第30条の4には何が書いてあるのか
e-Gov法令検索(デジタル庁)の著作権法(昭和45年法律第48号)の原文は次のとおり。筆者が2026年10月8日に取得した。
第三十条の四 著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
第二号は「情報解析(……)の用に供する場合」を挙げている(括弧内の定義は省略)。文化庁のページによると、この規定の背景には平成30年(2018年)の著作権法改正で整備された「柔軟な権利制限規定」がある。
「考え方」は、AI学習との関係を次のように読んでいる。
AI 学習のために行われるものを含め、情報解析の用に供する場合は、法第 30 条の4に規定する「当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合」に該当すると考えられる。
ただし、この読み方には条件がある。「考え方」は2つの場合を挙げて、30条の4が使えない場合があるとしている。
享受の目的が混ざっている場合
この複数の目的の内にひとつでも「享受」の目的が含まれていれば、同条の要件を欠くこととなる
文化庁の文書が「享受目的が併存する」例として挙げるものの一つが、学習データの著作物の創作的表現の全部または一部を出力させることを目的とした追加学習で、例として「過学習」(overfitting)を意図的に行う場合を挙げている。
ただし書の「著作権者の利益を不当に害する」場合
ただし書の例として、「考え方」は2019年の文化庁「基本的な考え方」に既に示されている例を引いている。
大量の情報を容易に情報解析に活用できる形で整理したデータベースの著作物が販売されている場合に,当該データベースを情報解析目的で複製等する行為
一方で、画風についての原文は次のとおり。
作風や画風といったアイデア等が類似するにとどまり、既存の著作物との類似性が認められない生成物は、これを生成・利用したとしても、既存の著作物との関係で著作権侵害とはならない。
同じ箇所は、作風が似たものが大量に生成されて特定のクリエイターへの需要が代替されても、学習元の創作的表現と共通しない場合は、30条の4のただし書には該当しないと考えられる、とも書く。ただし「該当し得ると考える余地がある」という意見が一定数あったことも併記している。「考え方」自身が異なる意見も記録している論点であり、筆者は結論を言い切らない。
AI画像を生成して使う段階では、どんな場合に侵害になりうるのか
生成・利用段階について、「考え方」は人がAIを使わずに創作する場合と同じ要件で考えるとしている。
生成 AI による生成物についても、その生成・利用段階において、既存の著作物との類似性及び依拠性が認められれば、当該既存の著作物の著作権者は、生成物の生成行為や利用行為が、既存の著作物の著作権侵害に当たるとして、当該行為の差止請求や損害賠償請求を請求し得る。
- 類似性: 既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得できるか(「考え方」が判例を引いて書く基準を、筆者が短くした)
- 依拠性: 既存の著作物に基づいて作られたか(「考え方」によると、判例・裁判例では作った人が既存の著作物の表現内容を認識していたことや、同一性の程度の高さなどで判断されてきた)
「依拠性」は、利用者がその作品を知っていたかどうかで変わる。「考え方」は、利用者が既存の著作物を認識していた場合、Image to Image(画像を指示として入力して画像を得る方法)のように既存の著作物そのものを入力する場合や題号などの固有名詞を入力する場合を例に挙げて、依拠性が認められると考えられるとしている。利用者が知らなかった場合も、AIが学習時にその著作物を学習していれば、客観的にアクセスがあったと認められ、類似した生成物が出れば「通常、依拠性があったと推認」されうる、と書く。ただし、学習した著作物の創作的表現が生成されない状態が技術的に担保されている場合には、依拠性がないと判断される場合もありうる、とも書く。
チェックリスト&ガイダンス(2024年7月31日)は、AIを仕事以外で使う個人(「業務外利用者(一般利用者)」)向けに、次のように書く。
AI生成物の生成自体は適法に行える場合でも、生成物を更に利用しようとする場合は、著作権侵害を生じさせないか確認(4-1-5も参照)することが必要です。
個人が私的使用の目的で生成する場合は第30条第1項の範囲内で許諾なく生成できるが、インターネットでの配信や複製物の譲渡などの「利用」は権利制限規定の範囲外になる場合が多い、という説明が付いている。プロンプトについては、次のとおり。
生成AIへの指示(プロンプト)として既存の著作物そのものを入力した場合や、既存の著作物の題号(タイトル)、キャラクター名などの特定の固有名詞を入力した場合は、AI利用者(業務外利用者)が既存の著作物を認識していたことを推認させる間接事実となり、依拠性が認められやすくなると考えられます。
同じ資料は、類似物を作る目的で既存画像を入力する場合について、次のように書く。
「入力した既存の著作物と類似する生成物を生成させる」といった目的で入力を行う場合は、「享受」目的が併存している場合に当たるとして、同条が適用されない場合があります。
筆者の整理として、AI画像を公開や販売に使う前に、次の3点を自分で確認するのが文化庁の資料の読み方に沿う。①生成物が既存の著作物に似ていないか(チェックリストは画像検索の活用を例に挙げる)、②既存の作品名・キャラクター名をプロンプトに入れていないか、③生成に使ったプロンプトなど生成の過程を後から説明できる形で残しているか。これは文化庁の資料からの筆者の整理であり、これを満たせば侵害にならないという意味ではない(チェックリスト自身が「全て実施すれば法的責任を何ら問われないといったことを意味するものではありません」と書く)。
AIで作った画像に、作った人の著作権は発生するのか
「考え方」は、生成物が著作物にあたるかを、著作権法第2条第1項第1号の定義で判断するとしている。e-Govの原文では、第2条第1項第1号の「著作物」は「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」、第2号の「著作者」は「著作物を創作する者をいう。」と書かれている。
AIは法的な人格を持たないので「創作する者」にはなれず、著作物と認められる場合の著作者はAIを利用して創作した人になる、と「考え方」は書く。そのうえで、指示の与え方については次のとおり。
生成 AI に対する指示が表現に至らないアイデアにとどまるような場合には、当該 AI 生成物に著作物性は認められないと考えられる。
創作的寄与を判断する要素として、「考え方」は指示・入力(プロンプト)の分量と内容、生成の試行回数、複数の生成物からの選択の3点を挙げる。試行回数が多いこと自体、単なる選択行為自体は判断に影響しないとし、「生成物を確認し指示・入力を修正しつつ試行を繰り返すといった場合には、著作物性が認められることも考えられる」と書く。人が生成物に創作的表現といえる加筆・修正を加えた部分には、通常、著作物性が認められると考えられる、とも書く。
チェックリストは、よくある取り違えとして「AI生成物の生成・利用に伴い、既存の著作物の著作権侵害が生じるかという問題と、AI生成物の著作物性の有無の問題とを混同する」ことを挙げている。他人の著作物に似ていて侵害になるかと、自分の生成物が保護されるかは、別の問題だ。
動画に使う場合の分け方は動画編集でAIを使うと著作権はどうなるか、個人開発での扱いは個人開発でAI生成コード・画像の著作権をどう考えるかで書いている。
2024年8月以降、文化庁と政府に新しい動きはあるのか
本記事が確認した範囲では、文化庁が「考え方」を改訂した、あるいは新しい「考え方」を出したという事実は無い。文化庁の「AIと著作権について」のページ(2026年10月8日取得)に載る文書は、上の表の3種類(とその概要・英語版)、2019年10月24日の「基本的な考え方」(柔軟な権利制限規定について)、パブリックコメントの結果、著作権セミナーの資料だった。2024年8月以降の動きを、確認できた範囲で日付順に並べる。
| 日付 | 動き | 出典 |
|---|---|---|
| 2024年8月9日 | 文化庁が令和6年度著作権セミナー「AIと著作権Ⅱ」を実施 | 文化庁「AIと著作権について」 |
| 2025年5月30日 | 文化庁・経済産業省が「AIと著作権に関する関係者ネットワークの総括」を公表(資料表紙の日付)。資料は参加者の意見を「一例であり、関係者の総意を取りまとめたものではない」と書く | 同上のPDF |
| 2025年8月19日 | 文化審議会著作権分科会政策小委員会が「法制度に関するワーキングチーム」を置くことを決定。検討課題は「レコード演奏・伝達権の法制的な枠組みについて」「AIと著作権に関することについて」「その他法制度に関することについて」 | 「ワーキングチームの設置について」(政策小委員会決定)のPDF |
| 2025年8月19日〜2026年3月4日 | 文化審議会著作権分科会政策小委員会が5回開催。2025年11月〜2026年3月の4回の議事は、主にレコード演奏・伝達権。2026年3月4日の回では、委員の一人が「このAIと著作権という問題は、少なくとも、今年のここでの大きな議題という形では取り上げられなかった」と発言している | 文化庁の政策小委員会のページと議事録 |
| 2025年9月11日 | 法制度に関するワーキングチームの第1回。議事は「レコード演奏・伝達権に関する法制上の論点について」と「生成AIをめぐる最新の状況について(報告)」など。AIの議事は事務局からの報告だった | 文化庁の同ワーキングチームのページと議事録 |
| 2026年6月17日 | 著作権法の一部を改正する法律が成立(6月24日公布、令和8年法律第48号)。内容は音楽CDや配信音源が公の場で使われたときの「レコード演奏・伝達権」の創設で、AIに関する改正ではない | 文化庁「著作権施策に関する総合案内ページ」 |
| 2026年8月25日 | 政府の知的財産戦略本部が、生成AI事業者向けの「プリンシプル・コード」を公表(同本部のページのお知らせ欄に「R8. 8.25」付で掲載。事務局は内閣府知的財産戦略推進事務局。文化庁の政策小委員会の議事録でも、文化庁の事務局が「25日に策定された」と説明。PDF自体には日付が無い。詳細は日本政府、生成AI事業者向けの知財原則を決定した記事) | 知的財産戦略本部のページ・コードのPDF・議事録 |
| 2026年8月27日 | 政策小委員会(令和8年度第1回)で、委員の一人がAIと著作権の「考え方」について、robots.txtの扱いなどに触れて簡単な見直しを考えてもよいのではないかと発言。会議として改訂を決めた記録は、取得した議事録には無い | 議事録 |
プリンシプル・コードの原文は、この文書が「法的拘束力を有する規範ではない」こと、生成AI事業者に原則を実施するか、実施しない場合は理由を説明することを求める「コンプライ・オア・エクスプレイン」の手法であることを書く。知的財産戦略本部の「AI時代の知的財産権検討会」のページ(内閣官房のサイト)によると、このコードに基づいて内閣府知的財産戦略推進事務局が受け付ける届出は、令和8年(2026年)10月26日から始まる。これは事業者側のルールであり、画像生成AIを使う個人の著作権の扱いを変えるものではない、というのが筆者の読みだ(文書の対象は「生成AI開発者」と「生成AI提供者」と定義されている)。
日本の裁判では、AIと著作権はどうなっているのか
「考え方」は、公表時点(2024年3月15日)で生成AIと著作権の関係を直接扱った判例・裁判例が乏しいことを理由に、考え方を整理した、と書く。2026年10月時点の国内の状況について、本記事は国内のAI画像生成に関する判決を見つけていない(確認した範囲の限定であり、無いという断定ではない)。
判決ではないが、日本経済新聞(共同通信配信)の2025年11月20日の記事によると、千葉県警は同日、他人が生成AIで作ってSNSに投稿した画像を無断で複製し、自分が販売した電子書籍の表紙に使ったとして、男性を著作権法違反(複製権侵害)の疑いで書類送検した。同記事は、AIで作られた画像に著作権があるとして摘発するのは全国で初めてとみられると書き、県警の生活経済課によると、画像が生成AIに具体的な指示や入力を繰り返して制作されたものであることなどから著作物に当たると判断した、と伝えている。これは警察の判断であり、裁判所が著作物性を認めたわけではない。
関連する訴訟として、TipRanksの報道によると、日本経済新聞社と朝日新聞社がPerplexity AIに対し東京地裁に著作権侵害訴訟を起こし、損害賠償請求額は各22億円(約1,500万ドル)。サイト側のクローリング制限のコードを無視したと主張している。これはニュース記事の訴訟であり、AI画像生成とは直接関係しない。文化庁の2026年8月27日の政策小委員会でも、委員がニューヨーク・タイムズや朝日新聞・日経新聞が起こしている訴訟の行方に触れていた。米国を含む訴訟の動きは生成AIと著作権──2026年9月時点の最新動向とAI著作権の現在地にまとめている。AI推進法(令和7年法律第53号)の中身はAI規制 日本の2026年最新動向を参照してほしい。
筆者が公式ページを開いて分かったこと
2026年10月8日1時13分ごろ、ログインせずに、文化庁の「AIと著作権について」のページをヘッドレスのChromium(日本語設定)で1280×800と390×844の2つの画面幅で開いた。ページの題は「AIと著作権について | 文化庁」で、冒頭に「令和6年3月に文化審議会 著作権分科会 法制度小委員会において、『AIと著作権に関する考え方について』を取りまとめました」と出た。AIと著作権の文書名に日付が付くのは2024年3月15日と7月31日の2点(ほかに2019年10月24日の「基本的な考え方」)で、2024年8月9日のセミナーの記載と、関係者ネットワークの総括(PDFの表紙の日付は2025年5月30日)へのリンクもあった。
「考え方」(約45ページ)とチェックリスト&ガイダンスのPDFは、同日にダウンロードして中身を読み、本記事の引用はそのPDFのテキストから取った。e-Gov法令検索の条文は、同サイトのAPIから取得した原文と照合した。
本記事が扱っていない論点
- 「考え方」の表紙を除く45ページのうち、本記事は第30条の4、生成・利用段階、生成物の著作物性の部分を引用した。そのほかの論点(海賊版サイトからの学習、RAGなど)は扱っていない
- 画像生成AIの各サービスの利用規約(生成物の権利の扱いなど)は確認していない
- 海外の法制度は本記事の範囲外
- 2026年10月時点の国内判決は、本記事が確認した範囲では見つけていないが、全ての判決データベースを調べたわけではない
- 法律の解釈は専門家によって異なる。「考え方」自身も、30条の4のただし書の解釈で異なる意見が一定数あったことを併記している(上の画風の箇所)
条文と文化庁の文書の入手先
条文は e-Gov法令検索、文化庁の文書は文化庁のサイト(bunka.go.jp)、プリンシプル・コードは内閣官房のサイト(cas.go.jp)にある知的財産戦略本部のページから原文を取得した。一覧は frontmatter の出典に載せている。2026年10月8日時点の情報に基づく。
この記事でよく聞かれること
- 文化庁は生成AIと著作権について何を公表していますか?
- 文化審議会著作権分科会法制度小委員会の「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日)と、文化庁著作権課の「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(2024年7月31日)です。生成AIの学習の段階と、生成物を出力して使う段階を分けて整理しています。「考え方」自体は法的な拘束力を持たないと文書の冒頭に書かれています。
- AIに画像を学習させるのは著作権法違反ですか?
- 文化庁の「考え方」は、AI学習のための情報解析は著作権法第30条の4の「享受を目的としない」場合に該当すると考えられる、とします。ただし享受の目的が併存する場合や、著作権者の利益を不当に害する場合は適用されないとも書かれています。著作権法の解釈は本来、個別具体的な事案に応じた司法判断によるべきもの、とも同じ文書は書いています。
- AI画像を公開や販売に使うと著作権侵害になることはありますか?
- 既存の著作物との類似性と依拠性の両方が認められれば、AI生成物でも侵害になりうる、というのが文化庁の「考え方」です。チェックリストは、AI生成物の利用(公開や販売など)に先立って、まず既存の著作物と類似していないかを確認することが必要だとし、方法の例にインターネット検索(文章検索・画像検索)の活用を挙げています。
- AIで作った画像に自分の著作権は発生しますか?
- 「考え方」は、指示が表現に至らないアイデアにとどまる場合は著作物性が認められないと考えられるとし、生成物を確認して指示を修正しながら試行を繰り返す場合などには認められることもあるとします。創作的な加筆・修正をした部分には通常、著作物性が認められるとも書かれています。個別の判断は事案によります。
- 特定の画家や作風を指定してAI画像を作ると違法ですか?
- 「考え方」は、作風や画風といったアイデア等が似るにとどまり既存の著作物との類似性が認められない生成物は、著作権侵害とはならない、とします。ただし、特定のクリエイターの作品群の創作的表現が生成物から直接感得できる場合は著作権侵害に当たり得ることに配意すべき、とも書いています。チェックリストは、既存の著作物の題号やキャラクター名などの固有名詞を入力すると依拠性が認められやすくなると書いています。
- 文化庁のAI著作権の考え方は、2024年以降に変わりましたか?
- 本記事が確認した範囲では、文化庁が「考え方」を改訂した事実は見つかっていません。2025年5月30日に関係者ネットワークの総括が公表されました。2025年8月19日には文化庁の政策小委員会が、検討課題に「AIと著作権に関すること」を含む法制度ワーキングチームを置き、同年9月11日の第1回では生成AIの最新状況が報告されました。2026年8月25日には政府の知的財産戦略本部がプリンシプル・コード(法的拘束力なし)を公表し、同月27日の文化庁の小委員会では「考え方」の見直しを話題にした委員の発言がありました。
- 日本でAIと著作権をめぐる裁判の判決は出ていますか?
- 本記事が確認した範囲では、2026年10月時点の国内のAI画像生成に関する判決は見つかっていません。判決ではありませんが、日本経済新聞(共同通信配信)によると、千葉県警は2025年11月20日、他人が生成AIで作ってSNSに投稿した画像を無断で複製し電子書籍の表紙に使った疑いで男性を著作権法違反で書類送検し、AI画像に著作権があるとしての摘発は全国で初めてとみられると報じられました。TipRanksの報道によると、日本経済新聞社と朝日新聞社がPerplexity AIを東京地裁に提訴しており、これはニュース記事をめぐる訴訟です。
出典・参照資料
- 一次資料AIと著作権について — 文化庁(2026年10月8日1時10分・1時13分に取得。文書名と日付の一覧) ↗
- 一次資料AIと著作権に関する考え方について(令和6年3月15日)— 文化審議会著作権分科会法制度小委員会(PDF・2026年10月8日取得) ↗
- 一次資料AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス(令和6年7月31日)— 文化庁著作権課(PDF・2026年10月8日取得) ↗
- 一次資料AIと著作権に関する関係者ネットワークの総括(令和7年5月30日)— 文化庁・経済産業省(PDF・2026年10月8日取得) ↗
- 一次資料著作権法(昭和45年法律第48号)第2条・第30条の4 — e-Gov法令検索(API・2026年10月8日取得) ↗
- 一次資料生成AIの適切な利活用等に向けた知的財産の保護及び透明性に関するプリンシプル・コード(日本語版PDF・知的財産戦略本部のページに掲載・2026年10月8日取得) ↗
- 一次資料知的財産戦略本部 — 内閣官房(お知らせ欄に「R8. 8.25」付でプリンシプル・コードの公表・2026年10月8日取得) ↗
- 一次資料AI時代の知的財産権検討会 — 知的財産戦略本部(内閣府知的財産戦略推進事務局が受け付ける届出の開始日が書かれたページ・2026年10月8日取得) ↗
- 一次資料文化審議会著作権分科会 政策小委員会 — 文化庁(令和7年度第1回〜令和8年度第1回の議事録・2026年10月8日取得) ↗
- 一次資料政策小委員会 法制度に関するワーキングチーム(第1回・2025年9月11日)の議事次第と議事録 — 文化庁(2026年10月8日取得) ↗
- 一次資料ワーキングチームの設置について(令和7年8月19日 政策小委員会決定・PDF) — 文化庁(2026年10月8日取得) ↗
- 一次資料著作権施策に関する総合案内ページ — 文化庁(令和8年の著作権法改正の記載・2026年10月8日取得) ↗
- 二次資料Generative AI Copyright Japan 2026 — Global Law Experts ↗
- 二次資料Japanese Publishers Take Perplexity AI to Court — TipRanks ↗
- 二次資料AI生成画像を無断複製、初の摘発か 著作権法違反疑いで男性書類送検 — 日本経済新聞(共同通信配信・2025年11月20日) ↗
更新・訂正履歴
- 「White & Caseの分析によると」という帰属を削除。White & Caseは本記事のsources欄に挙がっておらず、URLを持たないため直接確認できなかった。唯一手がかりとなったGlobal Law Expertsの記事(sources内の実際のリンク)を確認すると、そこで引用されているWhite & Caseの記事タイトルは「Japan's first AI legislation becomes law」で日付は2026年4月14日となっており、本記事が説明する2025年5月28日成立のAI関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律とは日付が一致しない(Global Law Expertsは2026年4月14日の法律を『日本初のAI立法』と紹介している)。2025年5月28日成立・イノベーション重視・罰則規定なしという法律の性質自体は広く報じられている事実と矛盾しないため本文は維持したが、White & Caseへの名指しの帰属は出典として確認できないため削除し、出典・但し書き欄からも同名を除いた。また『2025年9月11日に第25期文化審議会...ワーキングチーム第1回開催』という記述は、sources内の文化庁公式ページ(https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/aiandcopyright.html)を2026-08-27に確認したが該当の記述を発見できず、確認できなかった。文化庁サイトの別ページに掲載されている可能性があるが、本記事のsources欄にはそのURLが含まれていない。文化庁の日付(2024年3月15日とりまとめ、2024年7月31日チェックリスト公開)と日経・朝日のPerplexity AI提訴の内容(各22億円・約1,500万ドル、東京地裁、クローリング制限コード無視の主張)はいずれも出典(文化庁公式ページ、TipRanks記事のWayback Machineアーカイブ)で一致を確認した。
- 「不当に害する」場合の例として「特定の著作者の商業市場を代替する出力を意図的に生成する場合」を挙げていたが、文化庁「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日)の原文は、作風や画風といったアイデア等が類似するにとどまるものが大量に生成されて需要が代替されても、学習元の創作的表現と共通しなければ「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」には該当しないと考えられる、と書く(該当し得るとの意見が一定数あったことも併記)。この例は原文に無かったため削除し、原文がただし書に該当すると考えられる例として挙げる「大量の情報を容易に情報解析に活用できる形で整理したデータベースの著作物が販売されている場合に,当該データベースを情報解析目的で複製等する行為」に差し替えた。同じ箇所で「不当に害する」例に入れていた「享受目的が併存する場合」は、原文ではただし書ではなく、30条の4の「享受を目的としない」という要件を欠く場合として整理されているため別の項目に分け、原文の例(過学習を意図的に行う場合)を書いた。
- 2026年8月27日の訂正で「確認できなかった」とした2025年9月11日の「法制度に関するワーキングチーム」第1回は、文化庁の同ワーキングチームのページで開催を確認した。同チームは2025年8月19日の政策小委員会決定で置かれ、検討課題は「レコード演奏・伝達権の法制的な枠組みについて」「AIと著作権に関することについて」「その他法制度に関することについて」。9月11日の議事は「レコード演奏・伝達権に関する法制上の論点について」と「生成AIをめぐる最新の状況について(報告)」などだった。旧本文の「AI著作権に関する法制度の検討が進んでいることを示している」は、この回のAIの議事が報告だったことを書いていなかったため、議事の言葉どおりの記述に改めて本文の表に入れた。
- 「特定のアーティストやキャラクターの名前をプロンプトに指定して生成する行為はリスクが高い」を文化庁のチェックリストを踏まえた注意点として書いていたが、チェックリストの原文にアーティスト名の記述は無い(原文は、題号(タイトル)やキャラクター名などの特定の固有名詞を入力すると依拠性が認められやすくなる、と書く)ため差し替えた。「人間の創作的寄与がないAI単独の生成物は、原則として著作物にならない」という文化庁見解の紹介は、原文の言い方(指示が表現に至らないアイデアにとどまるような場合には著作物性は認められないと考えられる、など)に直した。また「2026年6月時点で、日本国内にはAI画像生成に関する判例が蓄積されていない。文化庁自身がこの点を認めており」と書き、excerptでは「2026年6月時点で国内のAI著作権判例はゼロ」としていた。文化庁の文書が述べるのは公表時点(2024年3月15日)で判例・裁判例が乏しいことで、2026年の状況は書かれていない。本記事が確認した範囲では2026年10月時点の国内判決を見つけていない、という書き方に直した。
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