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生成AIに個人情報を入力して大丈夫?ChatGPT/Claude/Geminiの設定比較【2026年】

執筆:約18分で読めます

ChatGPT・Claude・Geminiに個人情報を入力するリスクと対策を解説。OpenAIは学習デフォルトON、AnthropicのAPIの入力と出力は、受信または生成から30日以内にバックエンドから自動削除される(Anthropicのプライバシーセンター・2026年7月1日付の記事・10月8日確認)。そのほかは2026年6月時点の各社プライバシーポリシーに基づく。

生成AIに個人情報を入力して大丈夫?──ChatGPT/Claude/Geminiの設定比較【2026年】
目次

3行まとめ

  1. ChatGPT(個人アカウント)はデフォルトで会話データをモデル学習に使用する設定になっている。オプトアウトは「Settings → Data Controls」から可能
  2. Anthropic(Claude)のAPIは、Anthropicのプライバシーセンターによると、入力と出力を受信または生成から30日以内にバックエンドから自動削除する(ゼロデータ保持契約など例外あり)。ただし安全レビュー対象の会話は学習に使われる可能性がある
  3. Netskopeの2026年調査によると、職場でAIツールを使う人の47%が個人アカウントを利用しており、データポリシー違反件数は前年から倍増している

なぜ生成AIと個人情報の関係が問題になるのか

生成AIに入力したテキストは、単にその場で処理されて消えるわけではない。サービスによっては会話データがサーバーに保存され、将来のモデル学習に使われることがある。

個人名、住所、電話番号、社内の機密情報などをプロンプトに含めた場合、そのデータがどう扱われるかはサービスごとのポリシーに依存する。「便利だから」とコピー&ペーストした文書に、意図せず個人情報が含まれていたというケースは実務上よくある話だ。

主要AIサービスのデータ取り扱い比較

項目 ChatGPT(個人) ChatGPT(Team/Enterprise) Claude(個人) Claude(API) Gemini(個人)
学習への使用(デフォルト) ON OFF 設定による※ OFF ON
オプトアウト可否 可 ─(元からOFF) 可 ─(元からOFF) 可
データ保持期間 30日(履歴OFF時) 契約による 30日 30日以内に自動削除(例外あり)※※ 非公開
安全レビュー例外 あり あり あり あり あり

※※Anthropicのプライバシーセンター(2026年7月1日付)による。例外にゼロデータ保持契約、Files API、利用ポリシーの実施に必要な場合などがある。

※Anthropicは2025年9月にポリシーを変更し、個人ユーザーにオプトイン/アウトの選択を提供した(2025年10月8日から適用。Anonyomeを参照)。2026年6月公表のプライバシーポリシーでは、安全レビュー対象の会話はオプトアウト設定に関わらず学習に使われうるとする条項がある(techcoffeehouse.comを参照)。

ChatGPT(OpenAI)の詳細

データ収集の範囲

OpenAIのプライバシーポリシーによると、収集されるデータにはプロンプトと出力のほか、使用パターン、デバイス情報、IPアドレス、ブラウザデータ、アカウント情報、会話メタデータが含まれる。

学習オプトアウト

Settings → Data Controls → 「Improve the model for everyone」のトグルをOFFにすることで、会話データのモデル学習利用をオプトアウトできる。ただし、個人アカウントのデフォルト設定はONだ。

Privacy Watchdogの2026年評価では、OpenAIのプライバシースコアは100点中48点(グレードD)とされている。こうして集まる会話データは広告のターゲティングにも使われ始めており、日本では2026年6月からChatGPT内に広告表示が始まっている(Free・Goプラン対象)。

Team/Enterprise

OpenAI公式は、Team/EnterpriseプランのデータについてはAIモデルの学習に使用しないと明示している。

Privacy Filter(2026年4月公開)

OpenAIは2026年4月に「Privacy Filter」をオープンソースで公開した(Apache 2.0ライセンス)。15億パラメータ(推論時アクティブは5,000万)のモデルで、テキストから8種類の個人情報を検出・マスクする。PII-Masking-300kベンチマークでF1スコア96%を達成したと報告されている(MarkTechPostを参照)。

Claude(Anthropic)の詳細

API

Anthropicのプライバシーセンターの記事「How long do you store my organization’s data?」(2026年7月1日付・2026年10月8日取得)は、「For Anthropic API users, we automatically delete inputs and outputs on our backend within 30 days of receipt or generation」と書く。日本語版は「Anthropic APIユーザーの場合、受信または生成から30日以内に、バックエンドの入力と出力を自動的に削除します」。同じ記事によると、例外は、Files API のように利用者の管理下でより長く保持するサービス、ゼロデータ保持契約など別途の合意、利用ポリシーの実施に必要な場合、法律遵守の場合。利用ポリシー違反としてフラグが立った入力と出力は最大2年間、分類スコアは最大7年間保持される。

以前の版では、二次情報(Anarlog)に基づいて「2025年9月14日以降、標準APIのログ保持期間は30日から7日に短縮された」と書いていた。筆者が取得した Anthropic のプライバシーセンターの記事と API ドキュメントの保持のページに「7日」の記述は見つからず、現在の公式の書き方は30日以内である。Internet Archive に保存された同じプライバシーセンターの記事も、筆者が確かめた2025年8月から2026年7月までの17件の版はどれも30日以内と書いていた。APIデータをモデル学習に使わないという点は、本記事は公式の原文で確かめていない(Anarlog の記述による)。

個人アカウント

2025年9月のポリシー変更(10月8日から適用)で、個人ユーザーにはオプトイン/アウトの選択が提供された。オプトインした場合、会話は匿名化された形で最大5年間保持され、モデル学習に使用される。

注意点

2026年6月8日公表(7月7日発効)のプライバシーポリシーには、安全レビュー対象としてフラグが立てられた会話は、ユーザーの設定に関わらずモデル学習に使用されうるという条項がある。「安全フラグ」のトリガー条件は定義されておらず、フラグが立った際のユーザーへの通知義務も明記されていない(techcoffeehouse.comを参照)。

職場での生成AI利用リスク

Cybersecurity Diveが報じたNetskopeの2026年レポートによると:

  • 職場でAIツールを使う人の47%が個人アカウントを使用している(前年の78%からは減少)
  • 機密データをAIアプリに送信するインシデントの件数は前年から倍増
  • 平均的な組織で、月あたり223件の機密データ送信インシデントが発生

個人アカウントで業務データを入力した場合、企業のTeam/Enterpriseプランで保証されているデータ保護は適用されない。これが「シャドーAI」問題と呼ばれている。

個人情報を守るための実践的な対策

入力前にできること

  1. オプトアウト設定を確認する──各サービスのプライバシー設定を開き、モデル学習への利用をOFFにする
  2. 入力前に個人情報を除去する──名前、住所、電話番号、メールアドレスなどを匿名化してから入力する
  3. OpenAI Privacy Filterの活用──大量のテキストを扱う場合、ローカルで動作するPIIマスキングツールを事前に適用する
  4. 業務データは業務アカウントで──Team/Enterpriseプランを利用し、個人アカウントでの業務利用を避ける

予算をかけずに無料プランからAI活用を始める中小企業ほど、この対策が後回しになりやすい。無料プランだけで始める具体的な手順と、入力してよいデータの範囲をあらかじめ決めておくルールの作り方は中小企業のAI導入──月額0円から始める5ステップにまとめている。

入力すべきでない情報

  • 氏名・住所・電話番号・メールアドレス
  • マイナンバー・クレジットカード番号・口座番号
  • パスワード・APIキー・認証情報
  • 社内機密文書・顧客情報・契約内容
  • 医療記録・法的文書

日本の法規制

2026年4月7日に個人情報保護法の一部改正法案が閣議決定された。主な内容は以下のとおり(Uravation、Legal GPTを参照):

  • 個人情報の違法な取り扱いに対する課徴金制度の導入
  • 顔認証データなど生体情報の保護強化(本人の利用停止請求権の拡大)
  • 統計目的での第三者提供に関する同意要件の一部緩和

生成AIに個人情報を入力する行為が直ちに法令違反になるわけではないが、事業者が顧客情報をAIサービスに入力する場合は、個人情報保護法の利用目的の特定・通知義務や、第三者提供の制限に抵触する可能性がある。

詳しくは日本のAI規制やEU AI法の記事も参照してほしい。

関連記事

オプトアウトだけでは安全にならない

  • 各社のプライバシーポリシーは頻繁に更新される。この記事は2026年6月時点の公開情報に基づいており、読む時点で内容が変わっている可能性がある
  • 「オプトアウトすれば安全」という単純な話ではない。安全レビュー例外やログの保持期間など、ユーザーが完全にコントロールできない部分がある
  • Privacy Watchdogによるスコア(48/100)は一つの評価基準であり、評価手法や基準が異なれば結果も変わりうる
  • 法的な助言を提供する記事ではない。事業者が顧客データを扱う場合は、弁護士や個人情報保護の専門家への相談を推奨する

各社ポリシーの参照先

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出典・参照資料

更新・訂正履歴

  • 「AnthropicのAPIのデータ保持は7日間(2025年9月14日に30日から短縮)」と書いていたが、根拠は二次情報(Anarlog)だけだった。Anthropicのプライバシーセンターの記事「How long do you store my organization’s data?」は、Internet Archive に保存された2025年8月から2026年7月までの版(確かめた17件)と、2026年10月8日に取得した版(2026年7月1日付)のどれも、APIの入力と出力を受信または生成から30日以内に自動削除すると書いており、本記事を書いた2026年6月の時点でも公式の書き方は30日以内だった。2025年10月13日に保存されたAPIのリリースノート(2025年9月分を含む)と、APIのデータ保持のドキュメント(2026年3月・6月の保存版と10月8日の版)にも7日の記述は見つからなかったため、30日以内に直した。
  • Anthropicの個人アカウント向けオプトイン/アウト導入時期を「2025年8月」としていたが、出典のAnonyome記事は一貫して「2025年9月(10月8日から適用)」としていたため訂正した。
  • OpenAI Privacy Filterについて「GPU環境で約3GBのVRAM、CPU環境で4〜8GBのRAMで動作する」という記述は、出典のOpenAI公式ページ・MarkTechPostのどちらにも該当する記述が見つからなかったため削除した。
  • Netskope統計として「47%が個人アカウント」「月223件」「AIとのやり取りの39.7%に機密データ」を挙げていたが、出典元のHelp Net Security記事にはこれらの数値が実際には掲載されておらず、39.7%は別会社(Cyberhaven)のレポートの数値であることが判明した。47%・223件はNetskopeの実データと確認できたためCybersecurity Diveの記事に出典を差し替え、確認できなかった39.7%は削除した。
  • 2026年4月7日閣議決定の個人情報保護法改正案の内容として「報告義務の厳格化」を挙げていたが、出典のUravation・Legal GPTのどちらにも根拠がなく(報告義務は既存の2022年施行規定であり、改正では一部通知義務の緩和が検討されている)削除した。
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