Mistral、音声モデル群「Voxtral 3(ボクストラル)」と音声エージェントSDKを提供開始文字起こし50言語超・音声合成35言語超、日本語も対象、$0.0035/分から
日刊AIニュース10月20日(火)号:前日のAIのニュース12本を短くまとめました(約8分)›
Mistral AIは2026年10月20日、音声認識・音声合成モデル群「Voxtral 3」と、聞く・考える・ツール実行・話すを1本のリアルタイム処理にまとめる音声エージェントSDKの提供を始めたと発表した。文字起こしは50言語超で$0.0035/分から、音声合成は35言語超で100万文字$13。

目次
Mistral AIは現地時間2026年10月20日(公式ページのメタデータ上の公開時刻は協定世界時12時、日本時間では20日21時)、音声認識・音声合成モデル群「Voxtral 3(ボクストラル・スリー)」と、聞く・考える・ツールを呼ぶ・話すを1本のリアルタイム処理にまとめる音声エージェントSDKの提供を始めたと発表した。同社によると、文字起こしは50言語超、音声合成は35言語超・50方言超に対応し、Mistral APIで当日から使える。
3行まとめ
- Mistral AIが2026年10月20日、文字起こし3種(Small/Mini/Realtime)と音声合成1種からなる「Voxtral 3」と、LiveKit上に作った音声エージェントSDKを発表。
- 料金は文字起こしが$0.0035〜$0.008/分、音声合成が100万文字$13。「Whisperなどを上回る」「他社TTSより安い」はMistral自身の比較。
- 日本語は文字起こしの評価対象言語と音声合成の言語一覧に載るが、声のプリセット(18言語)の一覧には無い。日本語単独の精度は、今回取得した本文には書かれていない。
本記事の内容は、日本時間10月21日1時台に公式ページで確認したものです。
Voxtral 3で何ができるのか
Mistralのブログは、良い音声エージェントには「正確に聞く」「文脈を深く理解する」「感情を込めて自然に話す」「複数の手順で外部システムを動かす」の4つが同時に必要だと述べている。Voxtral 3はその4つをまとめて扱うための、音声認識モデル・音声合成モデル・SDKの組み合わせだという。
同社が挙げる主な要素は次のとおり。
| 要素 | Mistralの説明 |
|---|---|
| Voxtral Small Transcribe 3 | 最高精度の文字起こしモデル。50言語超、話者の区別(ダイアライゼーション)、キーフレーズで精度を上げる「コンテキストバイアス」、話し終わりの検出に対応 |
| Voxtral Mini Transcribe 3 | 4Bパラメータの軽量版。50言語超、ダイアライゼーションとコンテキストバイアスに対応(バッチ) |
| Voxtral Mini Transcribe Realtime 3 | リアルタイム文字起こし。500ミリ秒未満の遅延、ダイアライゼーションとコンテキストバイアスにも対応 |
| Voxtral Speech 3(ブログ内ではVoxtral Mini TTS 3とも表記) | 音声合成。35言語超・50方言超。感情・ペース・強調を文脈や指示で調整。バッチとリアルタイムは同じAPI |
| 音声エージェントSDK | LiveKit上に構築。聞く・考える・ツール実行・話すを1本のストリーミング処理に |
| Pro Voice | 30分の音声から、話者の個性・感情の幅・話し方を言語をまたいで再現する声の適応 |
音声エージェントSDKはどう動くのか
ブログによると、パイプラインは3段に分かれる。Voxtral Mini Transcribe Realtime 3が聞いて話し終わりを検出し、Mistral Smallのような汎用モデルが考えてツールを呼び、Voxtral Speech 3がそれまでの会話の調子に合わせて返事をする。Mistralは「どの段も前の段を待たない」ため、1ターンは1秒未満で終わり、相手が割り込めばエージェントは話をやめると説明している。
通話中にできることとして、同社は本人確認、請求の確認、予約の取得を挙げる。関数呼び出し、ウェブ検索、自社システムに対する検索(retrieval)を使い、SIPで電話を受発信し、WebRTCでブラウザやアプリ上で動く。各段は別々のモデルなので、LLM・声・言語を、エージェントを書き直さずに差し替えられるという。
ブログ冒頭のデモは、フランス語の紹介状を持つ患者が皮膚科の予約を頼む場面で、エージェントが参照番号で紹介状を引き、英語で内容を伝えて予約を確定する流れになっている。これは同社が用意した例で、筆者が動かしたものではない。
誰がいつから使えるのか──日本では
Mistralは「本日(10月20日)からMistral API経由で、欧州・米国・グローバルの各エンドポイントで利用できる」と書いている。Studioのプレイグラウンドで、音声エージェント、文字起こし、音声合成、声のクローンを試せる。自己デプロイもでき、会話の音声をどこで処理し、保存するかを組織側で決められるという。オンプレミスや専用クラウドで全体を動かす場合は、同社の窓口に相談する案内になっている。
日本語について、今回取得したブログから言えることは次のとおり。
- 文字起こしの比較(FLEURS 45言語)の対象言語にJAが入っている。日本語・韓国語・タイ語・中国語は、単語誤り率ではなく文字誤り率(CER)で測っている
- リアルタイム文字起こしの比較(FLEURS 35言語)の対象にもJAが入っている
- 音声合成の多言語ライブラリにJapaneseの項目があり、アジア太平洋の欄に中国語・ヒンディー語・韓国語・ベトナム語と並ぶ
- 声のプリセットは18言語で、列挙された中に日本語は含まれない(アラビア語、ブラジルポルトガル語、カタルーニャ語、中国語、オランダ語、英語、フランス語、ドイツ語、ギリシャ語、ヒンディー語、イタリア語、韓国語、ノルウェー語、ロシア語、スペイン語、ベトナム語)
つまり日本語は文字起こしと音声合成の対象言語には入っているが、すぐ使える声のプリセットの一覧には入っていない、というのが公式ページの記載だ。日本語での精度や、日本語の声をどう用意するかは、この記事の時点では確かめられていない。
料金は
ブログの料金表は次のとおり(米ドル、Mistralの記載)。
| モデル | 料金 |
|---|---|
| Voxtral Mini Transcribe 3(バッチ) | $0.0035/分 |
| Voxtral Small Transcribe 3 | $0.0040/分 |
| Voxtral Mini Transcribe Realtime 3 | $0.008/分 |
| Voxtral Speech 3(バッチ・リアルタイム共通) | $13/100万文字 |
Mistralは音声合成について、$13/100万文字という価格を「OpenAI TTS-1、Deepgram、ElevenLabs Flash、Gemini Flashの比較対象モデルより安い」と述べている。同社の「品質あたりの価格」を示すグラフの注記では、価格は各社の料金ページから取ったもので、生成日は2026年10月20日とされている。
前の世代と何が違うのか
ここは公式ページどうしで記載がずれている。ブログには「Voxtral 1」と「Voxtral 3」を並べた音声合成の聞き比べがあり、同社は「表現力、数字、固有の名前」での改善を示す例として、メールアドレス、「21:00pm」のような時刻や日付・価格、人名を含む文の読み上げを挙げている。
一方、日本時間10月21日1時4分台に取得したドキュメントの音声概要ページ(docs.mistral.ai/studio/audio/overview)は、まだ前世代の記載のままだった。
| 項目 | Voxtral 3のブログ | ドキュメント概要ページ(取得時点) |
|---|---|---|
| バッチ文字起こし | 50言語超 | Voxtral Mini Transcribe 2、13言語 |
| リアルタイム文字起こしの遅延 | 500ミリ秒未満 | 200ミリ秒未満まで設定可(Voxtral Realtime) |
| 音声合成の言語 | 35言語超・50方言超 | Voxtral TTS、9言語 |
| 声のクローンに要る音声 | 30分以上(Pro Voiceは30分) | 2〜3秒の音声サンプルから |
ドキュメントの数字は、Voxtral 3ではなく前世代(Mini Transcribe 2、Voxtral TTS 26.03版)の説明だと読める。ただしドキュメントが更新されるまで、読者は新旧どちらの数字を見ているのか注意が要る。
同社が示した比較結果をどう読むか
Mistralの比較は、次の条件がついている。
- 文字起こし:Voxtral Small Transcribe 3は「Whisper、Scribe v2、Gemini 3.5 Transcribeを上回る」とされる。FLEURSの45言語(7モデル全部が対応する言語の共通部分)の平均や、ダイアライゼーションの公開ベンチマーク5種の平均など、同社が選んだ指標での比較だ
- 音声合成:品質の採点は、Voice Code Bench(BeSimple AI製)を除き、同社の内部評価。採点者は4つのグラフともgemini-3.8-flashというモデルで、プロンプトは237〜377本、声は1システムあたり2種類(多言語の評価は1言語あたり1種類)という条件だ。Voice Code Benchと発音の評価は英語のみ
- グラフの個々の数値は、今回取得した本文のテキストには含まれていない。「上回る」という結論の幅はこの記事では確かめていない
「State-of-the-art」の主張は、これらの条件つきの同社発表として読むのが妥当だ。
観測:公式ページで確認できたこと、できなかったこと
日本時間10月21日1時3分台にブログ本体を取得し、その直後の1時4分台に、ブログが各モデルの詳細として案内しているドキュメントのうちVoxtral Mini Transcribe 3のページ(docs.mistral.ai/models/voxtral-mini-transcribe-3-0)を開こうとしたが、HTTP 404が返った。モデルの詳細ページは、少なくともこのページについては、この時点で見られなかったことになる。同じ案内にあるSmall・Realtime・TTSの詳細ページは、本記事では取得していない。
また、ブログのなかでも数字が揃っていない箇所がある。Voxtral Mini Transcribe Realtime 3の対応言語は、本文では「35言語超」、料金カードでは「40言語超」と書かれている。
本記事で確認できていないこと
- 日本語の精度、日本語音声の種類、日本語の通話での遅延は、今回の公式ページからは分からない
- 重みの公開や、自己デプロイに使えるライセンス条件は、今回取得したブログの本文に書かれていない(確認は取得した本文の範囲)。前世代についてはドキュメントにApache 2.0やCC BY-NC 4.0の記載があるが、Voxtral 3に当てはまるかは不明
- 「1ターン1秒未満」「500ミリ秒未満」は同社の説明で、筆者は動かして測っていない。この記事は、製品を試した記録ではない
- 発表に書かれたAPIのエンドポイントは欧州・米国・グローバルで、日本向けのエンドポイントや日本の事業者向けの契約形態は、今回取得したブログには書かれていない
出典と確認時刻
- Mistral AI「Voxtral 3: Voice Agent SDK & Speech Models in 50+ Languages」: https://mistral.ai/news/voxtral-3/(日本時間2026年10月21日1時3分に取得)
- Mistral Docs「Audio」: https://docs.mistral.ai/studio/audio/overview(同1時4分に取得)
- 参考:同日のブログ案内にあったVoxtral Mini Transcribe 3のドキュメントページはHTTP 404(同1時4分)
本記事は続報があり次第更新します。音声分野の関連記事としては、xAIのGrok Voice 3.0やOpenAIのprompt-to-voiceの記事もあわせてどうぞ。
この記事でよく聞かれること
- Voxtral 3(ボクストラル)とは何ですか?
- Mistral AIが2026年10月20日に発表した音声モデル群です。文字起こしのVoxtral Small Transcribe 3・Voxtral Mini Transcribe 3・Voxtral Mini Transcribe Realtime 3と、音声合成のVoxtral Speech 3(ブログ内ではVoxtral Mini TTS 3とも表記)に加え、聞く・考える・ツール実行・話すを1本のリアルタイム処理にまとめる音声エージェントSDKが含まれます。
- Voxtral 3は日本語に対応していますか?
- Mistralのブログでは、文字起こしのベンチマーク(FLEURS)の対象言語に日本語(JA)が入っており、音声合成の多言語ライブラリにもJapaneseが載っています。一方、18言語とされる声のプリセットの一覧に日本語は含まれていません。日本語単独の精度は、取得した本文からは読み取れませんでした。
- Voxtral 3の料金はいくらですか?
- Mistralのブログの料金表では、Voxtral Mini Transcribe 3(バッチ)が$0.0035/分、Voxtral Small Transcribe 3が$0.0040/分、Voxtral Mini Transcribe Realtime 3が$0.008/分、Voxtral Speech 3(バッチ・リアルタイム共通)が100万文字あたり$13です。
- Voxtral 3はどこで使えますか?
- Mistralによると、欧州・米国・グローバルの各エンドポイントのMistral APIで本日から利用でき、Studioのプレイグラウンドで試せます。自社のインフラに載せる自己デプロイも案内されていますが、オンプレミスや専用クラウドで動かす場合は同社に問い合わせる形です。
出典・参照資料
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