Meta「Muse Wonder(ミューズ ワンダー)」発表公式の比較表14項目中7項目でFable 5.1・Astra・Opus 5.5を上回る、APIはOpus 5.5と同じ入力4ドル・出力20ドル
Metaは2026年10月12日(米国時間)、Muse Wonderと上位版Muse Wonder Fullを発表した。Meta公式の比較表14項目のうち7項目で、FullがClaude Fable 5.1・GPT-6 Astra・Claude Opus 5.5の3つを上回った。総合指数はOpus 5.5が58で首位、Fullは56。APIのMuse Wonderは100万トークンあたり入力4ドル・出力20ドルで、Opus 5.5と同額。

目次
【2026年10月13日 3時台(日本時間)追記】 初出時(2時11分)は Meta の研究ブログを読めず、「ベンチマークの数値や料金は載っていない」と書いていました。その後、研究ブログ・モデルカード・開発者ページを確認できたため、比較表の数値・API の料金・提供プランを追記し、タイトルとまとめを差し替えました。動画での解説は YouTube(AI時短ラボ) にあります。
Metaは2026年10月12日(米国時間。日本時間では10月13日午前2時台)、同社が「これまでで最も高性能」とする Muse Wonder(ミューズ ワンダー)と、上位版の Muse Wonder Full を発表した。Metaが公開した比較表では、14項目のうち7項目で Muse Wonder Full が Claude Fable 5.1・GPT-6 Astra・Claude Opus 5.5 の3つすべてを上回った。残り7項目は Opus 5.5(6項目)か Astra(1項目)が一番だった。API で使える Muse Wonder(モデル名 muse-wonder-1.0)の料金は、100万トークンあたり入力4ドル・出力20ドルで、Opus 5.5 と同じ値段だ。
3行まとめ
- Meta、Muse WonderとMuse Wonder Fullを発表。Meta公式の比較表14項目のうち7項目で、FullがFable 5.1・Astra・Opus 5.5をすべて上回った(法律の仕事・業務の自動化・長い開発など)。
- Artificial Analysisの総合指数はOpus 5.5が58で首位、Fullは56、Fable 5.1とAstraは53。ProgramBenchとTerminal-BenchもOpus 5.5が上。
- APIのMuse Wonderは入力4ドル・出力20ドル(100万トークンあたり)でOpus 5.5と同額。FullはMuse Codeの月50ドル・月200ドルのプランでだけ使える。
本記事の数値は、日本時間10月13日2時〜3時台に取得した Meta の公式ページ(発表文・研究ブログ・モデルカード・開発者ページ)と、Anthropic・OpenAI の料金ページに基づく。
何が発表されたのか
発表文のタイトルは「Introducing Muse Wonder and Muse Wonder Full: Frontier Models for Agents」。Metaは2つのモデルを「Muse Wonderシリーズ」と呼び、4月に出した Muse Spark(ミューズ スパーク)の土台の上に作ったと書いている。研究ブログによると、学習はギガワット級のデータセンター「Prometheus」で行った。
The models deliver state-of-the-art performance on personal and professional agentic tasks. (モデルは、個人向け・仕事向けのエージェント的タスクで最先端の性能を出す。)
モデルカードに載っている基本の仕様は次のとおり。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モデル | Muse Wonder(API名 muse-wonder-1.0)/Muse Wonder Full(muse-wonder-full-1.0) |
| 文脈の長さ | 100万トークン |
| 入力 | 文章・画像・動画・音声 |
| 出力 | 文章 |
| 公開日 | 2026年10月12日 |
CNBCによると、開発中の名前は「Watermelon」だった。MetaのAI責任者 Alexandr Wang 氏が同紙のインタビューで明かしている。
Fullが3つを上回った7項目
Meta公式の比較表から、Muse Wonder Full が Fable 5.1・Astra・Opus 5.5 のすべてを上回った行を抜き出した。数値はすべて各モデルの最大の推論量(max)での値。
| 項目 | Muse Wonder Full | Muse Wonder | Fable 5.1 | GPT-6 Astra | Opus 5.5 |
|---|---|---|---|---|---|
| Personal Superintelligence Index(個人と仕事の総合) | 59.1 | 54.3 | 49.9 | 54.5 | 55.2 |
| Harvey LAB-AA(法律の仕事) | 13.1 | 10.0 | 6.4 | 8.6 | 4.2 |
| Vals Finance Agent V2(金融アナリストの調査) | 59.1 | 56.6 | 58.9 | 53.5 | 58.6 |
| AutomationBench-AA(業務の流れの自動化) | 45.4 | 39.1 | 32.1 | 41.6 | 41.2 |
| MemoryBench(長い会話からの記憶) | 85.5 | 85.6 | 79.0 | 81.4 | 81.5 |
| DeepSWE 1.1(長い開発) | 79.0 | 78.8 | 67.4 | 74.1 | 74.2 |
| SWE-Marathon(さらに長い開発) | 57.5 | 53.1 | 45.6 | 42.5 | 46.3 |
差が一番大きいのは法律の仕事を見る Harvey LAB で、Full の13.1は Opus 5.5(4.2)の3倍を超える。長い開発の DeepSWE と SWE-Marathon では、API で使える Muse Wonder(Full でない方)も3つすべてを上回っている。
表の読み方について、モデルカード自身が付けている注記は次のとおり。
- Personal Superintelligence Index は、Metaが7つの評価を合わせて作った社内の指標。MemoryBench も社内の評価。
- DeepSWE は、Muse の2モデルと Opus 5.5 について Datacurve という外部の会社の測定値を使っている。SWE-Marathon は Abundant AI の測定。
- SWE-Marathon の Full は xhigh の推論量での値。Astra は Codex、Fable 5.1 は Claude Code で動かした結果で、同じ道具での比較ではない。
Opus 5.5やAstraが一番だった7項目
残りの7項目は、Opus 5.5 か Astra が一番だった。
| 項目 | Muse Wonder Full | Muse Wonder | Fable 5.1 | GPT-6 Astra | Opus 5.5 |
|---|---|---|---|---|---|
| Artificial Analysis Index(総合指数) | 56 | 52 | 53 | 53 | 58 |
| ProgramBench(プログラムを一から作る) | 59.0 | 50.0 | 55.5 | 52.5 | 70.5 |
| Terminal-Bench 4.0-AA(ターミナル作業) | 57.1 | 52.0 | 52.0 | 59.1 | 59.6 |
| OSWorld V2.1(パソコン操作・部分点) | 78.4 | 72.6 | 80.7 | 75.8 | 81.8 |
| HealthBench Pro(医療の質問) | 62.3 | 60.5 | 62.1 | 65.3 | 65.6 |
| JobBench(仕事の道具を使う作業) | 75.3 | 70.5 | 73.1 | 66.1 | 75.4 |
| GDP.pdf(PDF資料からの専門作業) | 33.2 | 30.8 | 27.6 | 34.2 | 30.6 |
差が大きいのは ProgramBench で、Opus 5.5 の70.5に対して Full は59.0。JobBench は75.4と75.3で0.1の差だった。
Metaが研究ブログに載せた Artificial Analysis の総合指数のグラフ(2026年10月12日時点)では、Opus 5.5 が58、Full が56、Fable 5.1・GPT-6 Astra・Gemini 4 Argon が53、Muse Wonder と GPT-6.1 Sol が52、前のモデルの Muse Spark 1.3 が48だった。4月に出た最初の Muse Spark は31(Artificial Analysis の推定値)なので、半年で31から56まで上がったことになる。
粘り強さ(Active Focus)と記憶(Active Memory)
Metaが新しいモデルの特徴として挙げたのは2つ。
- Active Focus(アクティブフォーカス): 作業が難しくなっても目標に向かって続け、別の方法を試し、エラーから回復して最後までやり切る。必要なら確認を求め、重要なことを実行する前には確認を取る、とされる。
- Active Memory(アクティブメモリー): 大事なことを会話をまたいで覚え、作業に関係する詳細を呼び戻す。
CNBCのインタビューで、Wang氏は狙いを次のように話している。
We specifically tried to train the model to be able to try other approaches instead of stalling and then checking back in with the user at any time. (止まってユーザーに確認を戻すのではなく、別の方法を試せるように、特にそこを狙って学習させた。)
Metaの社内評価 FocusBench では、Full が54.2%で、GPT-6 Astra(47.7%)、Opus 5.5(45.8%)、Muse Wonder(44.9%)、Fable 5.1(36.6%)を上回った。研究ブログには、ブラウザやアプリを操作してその人に合わせたランニングの計画を立てる例や、細かい条件に合わせて結婚式の席順を組む例が載っている。
研究ブログは、ベンチマークに特化しすぎたモデルへの疑い(「benchmaxxing」)にも触れている。Metaは、学習で狙っていない課題での点数を推論量ごとに比べ、Full が Muse Spark 1.3 の伸び方から予想されるより高い点を取ったと説明している。理由は「土台のモデルを大きく強くしたこと」としている。
料金と使える場所
Metaの開発者ページに載っている API の料金を、Anthropic と OpenAI の料金ページの値と並べた(100万トークンあたり・各社の標準料金)。
| モデル | 入力 | キャッシュ読み | 出力 |
|---|---|---|---|
| Muse Wonder | 4ドル | 0.20ドル | 20ドル |
| Claude Opus 5.5 | 4ドル | 0.20ドル | 20ドル |
| Claude Fable 5.1 | 10ドル | 0.25ドル | 50ドル |
| GPT-6 Astra | 10ドル | 1ドル | 50ドル |
CNBCによると、Wang氏は API の値段について、OpenAI と Anthropic の一番いいモデルより「meaningfully below(かなり下)」に置くと話している。
使える場所は次のとおり。
| 場所 | 使えるモデル | 値段 | 出典 |
|---|---|---|---|
| Meta Model API | Muse Wonder | 上の料金表 | 開発者ページ |
| Muse Code Power | Muse Wonder・Full | 月50ドル | 開発者ページ |
| Muse Code Maximum | Muse Wonder・Full | 月200ドル | 開発者ページ |
| Museアプリ | 「まもなく」・購読者から順に | 月20ドルか月100ドル | Meta発表文・CNBC |
Muse Code は、ターミナルで動くコーディング用のエージェントで、開発者ページは「Multi-agent coding in your terminal」と説明している。開発者ページは、OpenRouter 経由でも Muse Wonder を使えると案内している。
個人情報の扱いと安全面
Museは2026年9月に出た個人向けエージェントのアプリで、CNBCによると公開後に Apple の App Store で1位になった。一方で、エージェントが許可なく個人のメッセージにアクセスしたという声がSNSに出ていた、と同紙は伝えている。Wang氏は、会話の前の方で許可したことを使う人が忘れている場合もある、と答えている。
Metaは、Muse Wonderのモデル群を「許可なく個人情報を共有しない」「実際に有害な行為を手伝う依頼を断る」「サイバー攻撃への防御を強める」よう訓練したと書いている。研究ブログに載っている評価は次のとおり(どちらも低いほど良い)。
| 評価 | Muse Wonder Full | Muse Wonder | Fable 5.1 | GPT-6 Astra |
|---|---|---|---|---|
| 個人情報の扱いを誤った割合 | 2.2% | 3.4% | 6.8% | 4.6% |
| 許可のないコードを実行させる攻撃の成功率 | 10.7% | 10.5% | 11.3% | 19.7% |
モデルカードによると、Metaは自社の「Meta Superintelligence Scaling Framework」に沿って危険度を評価した。対策を入れる前の Full については、化学・生物の分野で高い危険度の基準に達する可能性を否定できないとしている。そのため、安全のための追加学習と、システム側の分類器を入れた。対策後は全分野で「moderate or lower(中程度以下)」と評価し、公開を決めたという。追加の安全評価を含む報告書は「まもなく」公開するとしている。
このフレームワークは、10月2日に Meta AI Research のブログで更新が公表されている。
動画を作りながら表を数え直して分かったこと
筆者は今回の動画を作るにあたり、Meta公式の比較表の14行を1行ずつ数えた。Full が3つ全部を上回るのはちょうど7行で、残り7行のうち6行は Opus 5.5 が一番だった。「Opus 5.5 より強い」は、項目を選べば正しく、総合指数では逆になる。
料金ページも3社分を並べた。Muse Wonder と Opus 5.5 は、入力・キャッシュ読み・出力の3つが1セント単位まで同じだった。Wang氏の「かなり安い」は、Fable 5.1 と Astra に比べれば当たっている。Opus 5.5 と比べると、値段の差はない。
Museとの関係
Museは、Metaが2026年9月8日に発表した個人向けAIエージェントだ。同日の発表ページによると、Museは専用の仮想マシン「Muse Secure VM」の上で動き、ブラウザを開いてフォームに記入したり、メールの送信や旅行の予約をしたりできるとされる。そのときの動力は Muse Spark だった。発表文は、Muse Wonder が「まもなく」Museのより多くの部分を支える(will soon power more of Muse)と書いている。研究ブログはさらに、Muse Wonder を使って Muse 向けの専用モデルを作る計画にも触れている。
日本でのMeta AIの状況は、別の記事「Meta AIとは──日本で使えるか、無料か、モデルは何か」で整理している。9月下旬のMeta Connectの内容は「Meta Connect 2026基調講演まとめ」にある。
公式資料を読んでも残る4つの空白
- 日本での提供: 本記事が確認した公式ページの範囲では、Meta Model API と Muse Code を日本から使えるかは確認できていない。9月のMuse発表は、アプリの展開先を米国としていた。
- Museアプリでの開始日と値段: Meta の発表文は「まもなく」とだけ書いている。月20ドル・月100ドルという値段は CNBC の報道で、本記事では Meta の公式ページで確かめていない。
- 安全報告書: 公開は「まもなく」で、追加の安全評価の中身はまだ読めない。
- 社内評価の比重: DeepSWE・SWE-Marathon・総合指数は外部の測定だが、Personal Superintelligence Index・FocusBench・MemoryBench は Meta 社内の評価で、外部での再現はまだ確認していない。
参照したページ
- Meta「Introducing Muse Wonder and Muse Wonder Full: Frontier Models for Agents」(2026年10月12日): https://about.fb.com/news/2026/10/introducing-muse-wonder-models/
- Meta AI Research「Muse Wonder」(2026年10月12日・比較表と評価のグラフ): https://research.meta.ai/blog/muse-wonder
- Muse Wonder モデルカード(Meta): https://research.meta.ai/static/muse-wonder-model-card
- Meta 開発者ページ「Muse Wonder」(API名・料金・Muse Code のプラン): https://dev.meta.ai/models/muse-wonder
- CNBC「Meta debuts Muse Wonder AI model in latest test of users' willingness to pay」(2026年10月12日): https://www.cnbc.com/2026/10/12/meta-muse-wonder-ai-model-agent.html
- Anthropic 料金ページ(Claude Opus 5.5・Claude Fable 5.1): https://platform.claude.com/docs/en/about-claude/pricing
- OpenAI 料金ページ(GPT-6 Astra): https://developers.openai.com/api/docs/pricing
- Meta AI Research「Developing Capable Models Responsibly」(2026年10月2日): https://research.meta.ai/blog/developing-capable-models-responsibly
- Meta「Introducing Muse: The World’s First Personal AI Agent Built for Everyone」(2026年9月8日): https://about.fb.com/news/2026/09/introducing-muse-personal-ai-agent/
確認時刻は日本時間2026年10月13日2時〜3時台。本記事は続報があり次第更新します。
この記事でよく聞かれること
- Muse Wonder と Muse Wonder Full は何が違い、どこで使えますか?
- Metaの開発者ページによると、Muse Wonder(API名 muse-wonder-1.0)はMeta Model APIとMuse Codeで使えます。上位版のMuse Wonder Full(muse-wonder-full-1.0)はMuse Codeの購読者だけが使え、プランはPower(月50ドル)とMaximum(月200ドル)です。Meta公式の比較表では、ほとんどの項目でFullの方が高い点を取っています。
- Muse Wonder の料金はいくらですか?
- Metaの開発者ページでは、100万トークンあたり入力4ドル、キャッシュ読み0.20ドル、出力20ドルです。Anthropicの料金ページにあるClaude Opus 5.5(入力4ドル・キャッシュ読み0.20ドル・出力20ドル)と同じ値段で、Claude Fable 5.1とGPT-6 Astra(入力10ドル・出力50ドル)の4割です。
- Muse Wonder は Opus 5.5 や GPT-6 Astra より強いのですか?
- Meta公式の比較表(14項目)では、7項目でMuse Wonder FullがFable 5.1・Astra・Opus 5.5の3つすべてを上回りました(法律の仕事、業務の自動化、長い開発など)。残り7項目はOpus 5.5が6項目、Astraが1項目で一番でした。Artificial Analysisの総合指数はOpus 5.5が58、Fullが56、Fable 5.1とAstraが53です。
- Muse Wonder は Muse アプリで使えますか?
- Metaは、Muse Wonderが『まもなく』Museの体験を支え、最初は購読者に展開すると説明しています。CNBCは、Museアプリで使うには月20ドルか月100ドルのプランが必要と報じています。具体的な開始日は今回確認したページにはありません。
- 日本で使えますか?
- 本記事が確認した公式ページの範囲では、日本からMeta Model APIやMuse Codeを使えるかは確認できていません。開発者ページはOpenRouterからも使えると案内しています。9月のMuse発表ページは、Museアプリの展開先を米国としていました。
出典・参照資料
- 一次資料Introducing Muse Wonder and Muse Wonder Full: Frontier Models for Agents — Meta公式 ↗
- 一次資料Muse Wonder — Meta AI Research公式ブログ ↗
- 一次資料Muse Wonder Model Card — Meta ↗
- 一次資料Muse Wonder — Meta 開発者ページ(API名・料金・Muse Code) ↗
- 二次資料Meta debuts Muse Wonder AI model in latest test of users' willingness to pay — CNBC ↗
- 一次資料Pricing — Claude Platform ドキュメント ↗
- 一次資料Pricing — OpenAI API ドキュメント ↗
- 一次資料Developing Capable Models Responsibly — Meta AI Research公式 ↗
- 一次資料Introducing Muse: The World’s First Personal AI Agent Built for Everyone — Meta公式 ↗
この記事の解説動画
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