NVIDIA、ロボット開発基盤Isaac(アイザック)を拡充Isaac Lab 3.0は一般提供、参照用ヒューマノイドAgile ONE SNは2027年初頭の提供予定
日刊AIニュース10月21日(水)号:前日のAIのニュース18本を短くまとめました(約11分)›
NVIDIAは2026年10月21日、GTC BerlinでロボットAI開発基盤Isaacの拡充を発表した。Isaac Lab 3.0は一般提供中、Isaac OSはオープンソースの実行基盤として追加され、Agile Robotsの参照ヒューマノイドAgile ONE SNは2027年初頭に提供予定。

目次
NVIDIAは現地時間2026年10月21日(日本時間では同日夜)、ドイツのGTC Berlinで、オープンなロボット開発基盤「Isaac(アイザック)」の拡充を発表した。NVIDIA発表によると、ロボット学習フレームワーク「Isaac Lab 3.0」は一般提供になり、実行基盤「Isaac OS」と参照用ヒューマノイドの「Agile ONE SN」、データセットなどが加わる。Agile ONE SNを手がけるAgile Robotsは、提供を2027年初頭としている。
3行まとめ
- NVIDIAがGTC Berlinで、Isaacに「Isaac Lab 3.0」(一般提供)、オープンソースの「Isaac OS」、参照用ヒューマノイド「Agile ONE SN」などを追加すると発表(10月21日)
- Agile ONE SNは身長1.40m、31自由度、Jetson Thor搭載。提供は2027年初頭の予定で、価格は今回の公式ページに記載なし
- 2,000点超のシミュレーション用アセットとHuman 1M DatasetはHugging Faceで利用可能(Human 1Mの全体はCosmos Coalitionのパートナー向け)と、NVIDIAが説明
本記事の内容は、日本時間10月21日19時台に公式ページで確認したものです。
今回、何が加わったのか
NVIDIAのニュースルームによると、追加されたものは次のとおりです。以下はすべてNVIDIAの発表上の説明で、筆者が動かして確かめたものではありません。
| 名称 | NVIDIAの説明 | 提供の状況(発表より) |
|---|---|---|
| Isaac Lab 3.0 | オープンソースの学習フレームワーク。デスクトップからデータセンターまで、マルチGPUと、NewtonやNVIDIA PhysXなどの物理エンジンでロボットの方策を訓練・改良する | 一般提供(now generally available) |
| Isaac OS | NVIDIA Holoscan上のオープンソースの実行基盤。AI・センサー・制御・ハードウェアをつなぎ、シミュレーションから実機まで決定論的でリアルタイムな動作を目指す | 発表に時期の記載なし |
| Agile ONE SN | Agile Robotsの参照用ヒューマノイド。Isaac GR00T設定済み、Jetson Thor搭載 | 2027年初頭の提供予定 |
| SimReady Central Library | ロボットと工場向けのシミュレーション用アセット2,000点超 | Hugging Faceで利用可能 |
| Human 1M Dataset | 多様な人の活動、同期した3視点の映像、3Dの手の追跡を含む | Hugging Faceで利用可能。全体はCosmos Coalitionのパートナー向け |
| DGX Station向け参照ワークフロー3種 | GR00T 1.7のRL(強化学習)での改良、Isaac Labでの器用な操作の訓練、Cosmosワールドモデルの追加学習 | オープンソースで公開する(releasing)と説明 |
参照ワークフローの3つ目は、合成データ生成のためにCosmosワールドモデルを追加学習するもので、発表文では「ChatGPT Astra」を使うと書かれています。この名称は発表文の表記のままです。
Isaac全体について、NVIDIAの開発者向けページは「シミュレーションとロボット学習のフレームワーク、CUDA対応ライブラリ、AIモデル、参照ワークフローからなるオープンなロボット開発基盤」と説明しています。対象は、自律移動ロボット(AMR)、ロボットアーム、マニピュレーター、ヒューマノイドです。
Agile ONE SNとは何か
Agile ONE SNは、2018年にミュンヘンで創業したAgile Robots(同社の発表による)が発表した、研究開発向けの小型ヒューマノイドです。NVIDIA Isaac GR00Tをあらかじめ設定した状態で届き、オンボード計算にはNVIDIA Jetson Thorを使います。NVIDIAの発表によると、シミュレーション・学習・展開の別々のツールを1つにまとめ、準備の時間を「週単位から日単位」に縮められるとしています。
主な仕様は次のとおりです。
- 本体は「Agile ONE S」。身長1.40m、31自由度(本体)、片腕3kgまでの可搬重量
- Wuji Handの5本指ハンドを左右に。1つあたり20自由度で、本体と手を合わせて71自由度(Agile Robots側の記載)
- Jetson Thor:NVIDIAの発表では2,070 FP4テラフロップス、128GBのユニファイドメモリ
- 頭部・手首のカメラ、LiDAR、慣性計測装置によるセンシング
- 同梱ソフト:GR00T 1.7のオープンVLAモデル、全身制御、デモの収集からデータ生成・シミュレーション・学習・評価・展開・実機テストまでのオープンなリファレンスワークフロー(Agile Robots発表)
- 安全面:NVIDIA Halosとの統合は「計画(planned)」の段階。Agile Robots側は統合を「検討している(exploring)」と書いています
Agile Robotsの発表では、URDFとUSDのアセットが付き、Isaac SimとIsaac Labにロボットをそのまま持ち込めるとされています。また、全サイズ版の「Agile ONE」は産業用途向けで、Agile ONE SNで作ったスキルとデータは後からAgile ONEへ移せると説明しています。Stanford UniversityとETH Zurichなどの機関が関心を示している、とも書かれています。
いつ、誰が使えるのか
- Isaac Lab 3.0:発表時点で一般提供。入手先や導入手順は、今回確認した発表文の本文には載っていませんでした(器用な操作の項目からはIsaac Labの「v3.0.0-EA」版のドキュメントにリンクされています)
- SimReady Central LibraryとHuman 1M Dataset:Hugging Face上。アセットの提供元として、Comau、FANUC、ForgeCAD、Franka Robotics、LG Electronics、Palatial、Robotiq、Standard Bots、Universal Robots、Vertivの名前が挙がっています
- Agile ONE SN:2027年初頭の予定。GTC Berlinの会場では、NVIDIAのブースとAgile Robotsのブース3007で実機が見られると、Agile Robotsは案内しています
- 日本での提供・料金:今回取得したNVIDIAとAgile Robotsのページには、価格も日本での提供の記載もありませんでした
前と何が変わったのか
Isaacの開発者向けページ(本記事の取得時点)は、Isaac ROS、Isaac Manipulator、Isaac GR00T、Isaac Sim、Isaac Labなどを並べています。今回の発表で加わったのは、NVIDIAが実行基盤と説明するIsaac OS、既存のIsaac Labの新版にあたるIsaac Lab 3.0、そしてAgile Robotsの参照用ヒューマノイドなどです。NVIDIAは、これでデータから展開までの「統合された道筋」が得られると説明しています。
ジェンスン・フアンCEOは発表の中で「ロボティクスにとってのChatGPTの瞬間が急速に近づいている」と述べています。これはNVIDIA CEOの見通しの表明で、確認された事実ではありません。
欧州の採用例とHalosの動き
NVIDIAは、欧州の企業の利用例も挙げています。いずれも各社の取り組みとしてNVIDIAが紹介したものです。
- ABB Robotics:Omniverseのライブラリを、RobotStudio HyperRealityと組み合わせ、設置前に仮想で試運転する
- KUKA Group:Visual Components FactoryLensにOmniverseのライブラリでリアルタイム描画を加える
- Sereact:Isaac GR00TとCosmos Transferで、荷物の取り扱い用の「Cortex」を学習。Universal Robotsのアームで動かす
- Toyota Material Handling EuropeとSoftServe:OmniverseとIsaac Simで自律搬送を開発し、導入時間を最大50%減らしたとNVIDIAは説明
- Bellboy:JetsonとGR00Tで動くロボット「Billie」が、Marriott、Hilton、IHG、OYOのホテルで稼働中
- Hugging FaceとPollen Robotics:Isaac Lab、Isaac Sim、Newtonで、小型のオープンソースロボット「Microduck」を作る
安全面では、NVIDIA Halosを安全設計に組み込む企業として、Agile Robots、Agility、Dexory、FORT Robotics、KIONが挙げられ、SICKは評価中とされています。認証の面ではReynolds & Moore、Accenture、TÜV SÜDが認証手続きを早める取り組みに加わると書かれています。
公式ページを見て気づいた、数字の食い違い
筆者は日本時間19時28分台に、NVIDIAのニュースルームとAgile Robotsのニュースページを続けて取得し、同じ機体の仕様を読み比べた。その時点で、重量の記載が食い違っていた。
| 項目 | NVIDIAのニュースルーム | Agile Robotsのニュース |
|---|---|---|
| 身長 | 1.40m(4.59フィート) | 1.4m(4.59フィート) |
| 重量 | 40kg(88ポンド) | 43kg(95ポンド) |
どちらが正しいか、または仕様が途中で変わったのかは、取得した2つのページからは判断できません。ここでは両方をそのまま載せます。また、NVIDIAの発表は手首のカメラやLiDARなどを列挙していますが、Agile Robots側は「RGB-Dカメラ」「3D LiDAR」「Wi-Fi 7」「最大140Nmの関節トルク」まで書いており、粒度が違います。
さらに、同じ時刻にNVIDIAの開発者向けIsaacページも取得しましたが、そのページには「Isaac OS」と「Isaac Lab 3.0」の記載は見当たりませんでした(本記事の取得時点・取得したページの本文を確認した範囲)。同じページのIsaac Labの欄は「Isaac Sim上に作られた軽量なサンプルアプリケーション」という説明のままでした。
確認できなかったこと
- Hugging Faceの解説記事:発表の関連ページとして、SimReady Central Libraryを説明するHugging Faceのブログ記事を取得しようとしましたが、HTTP 401で内容を読めませんでした。アセットの中身やライセンスは確認していません
- GitHubのリポジトリ:発表文で「GR00T 1.7 models」(RLで改良する参照ワークフローの項目)からリンクされている
nvidia-isaac/isaac-rlptは、取得時点でHTTP 404でした。中身は確認できていません - 性能の数字:Agile ONE SNやIsaac Lab 3.0の学習速度などを比べた数値は、今回確認した発表には載っていませんでした。「週から日」という準備時間の短縮もNVIDIAの説明で、第三者の検証ではありません
- Isaac OSの提供時期:発表文は「オープンソースの実行基盤」と書いていますが、公開場所と時期は書かれていませんでした。なお同じ発表文は、HumanoidなどがIsaac OSを使って開発していると紹介しています
- 前提の免責:NVIDIAの発表には、記載の製品や機能は「提供可能になり次第」の扱いで、時期は変わりうるとの注意書きがあります。Agile ONE SNの2027年初頭も予定であって約束ではありません
出典と確認時刻
- NVIDIA Newsroom: NVIDIA Advances Isaac Platform for General-Purpose Robotics With New Reference Humanoid, Frameworks, Simulation Pipelines and Data(日本時間2026年10月21日19時28分に確認)
- Agile Robots: Agile Robots Launches Agile ONE SN – a Humanoid Reference Platform Built on NVIDIA Isaac GR00T(同19時28分に確認)
- NVIDIA Developer: NVIDIA Isaac(同19時28分に確認)
同じGTC Berlinでの発表は、OpenShell参照アーキテクチャ、欧州のHyperion採用の記事でも扱っています。本記事は続報があり次第更新します。
この記事でよく聞かれること
- Isaac Lab 3.0はもう使えますか?
- NVIDIAの発表(2026年10月21日)によると、Isaac Lab 3.0は一般提供(generally available)になっています。オープンソースのロボット学習フレームワークで、マルチGPUのワークフローと、NewtonやNVIDIA PhysXなどの物理エンジンに対応するとNVIDIAは説明しています。
- Agile ONE SNはいつ買えますか?
- NVIDIAとAgile Robotsの発表では、2027年初頭に提供される予定です。価格と日本での提供については、今回確認した公式ページに記載がありませんでした。
- Isaac OSとは何ですか?
- NVIDIAの発表によると、Isaac OSはNVIDIA Holoscanの上に作られたオープンソースの実行基盤(ランタイムフレームワーク)で、AI・センサー・制御・ロボットのハードウェアをつなぎ、シミュレーションから実機まで決定論的でリアルタイムな動作を目指すものです。
- SimReady Central LibraryとHuman 1M Datasetはどこで手に入りますか?
- NVIDIAの発表では、どちらもHugging Faceで入手できます。SimReady Central Libraryはロボットと工場向けのシミュレーション用アセット2,000点超で、Human 1M Datasetの全体はCosmos Coalitionのパートナーが対象です。
出典・参照資料
- 一次資料NVIDIA Advances Isaac Platform for General-Purpose Robotics With New Reference Humanoid, Frameworks, Simulation Pipelines and Data — NVIDIA Newsroom公式 ↗
- 一次資料Agile Robots Launches Agile ONE SN – a Humanoid Reference Platform Built on NVIDIA Isaac GR00T — Agile Robots公式 ↗
- 一次資料NVIDIA Isaac — AI Robot Development Platform — NVIDIA Developer公式 ↗
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