NVIDIA、RTX Spark(スパーク)搭載PCの10月16日発売を前に「Nemotron 3.5 Bolt 74B」を15日公開へPAIR(ペア)は正式版、Broadcast 2.3は配布中
NVIDIAは2026年10月13日、RTX Spark搭載ノートPCの10月16日発売に合わせたソフトの更新を発表した。74Bパラメータ(有効9B)のオープンモデルNemotron 3.5 Bolt 74Bは10月15日公開、家庭内PCに推論を振り分けるPAIRはベータを終えて正式版になった。

目次
NVIDIAは2026年10月13日(公式ブログの公開は協定世界時12時、日本時間の同日21時ごろ)、10月16日に発売するRTX Spark(スパーク)搭載ノートPCに向けたソフトの更新をまとめて発表した。目玉は、ローカルで動くAIエージェント向けの大規模言語モデル「Nemotron(ネモトロン)3.5 Bolt 74B」(10月15日公開予定)と、家庭内のPCに推論を振り分けるソフト「PAIR(ペア)」の正式版だ。NVIDIA Broadcast 2.3は発表時点で配布中、Adobeの最適化はベータが始まっている。
3行まとめ
- NVIDIAは、RTX Spark搭載ノートPCの10月16日発売に合わせ、74B(有効9B)のオープンモデル「Nemotron 3.5 Bolt 74B」を10月15日に公開すると発表した。
- 無料のオープンソース「PAIR」はベータを終えて1.0.0に。llama.cpp対応とRTX Spark対応が入った。
- Broadcast 2.3は配布中。NVIDIAによると、AdobeのPhotoshop・Premiere・Substance 3Dで「最大2倍」の高速化を見込み、PhotoshopとPremiereのAI機能の最適化はベータで提供中。
本記事の内容は、日本時間10月13日21時台に公式ページで確認したものです。
今回、新しく発表されたことは何か
9月29日にIFAで予告された内容は、別の記事で整理した(NVIDIA、IFA 2026でローカルAIの4本)。今回は、発売日が決まったうえでの具体的な日付と中身が出た。NVIDIAのブログに書かれた主な項目は次のとおり。
| 項目 | 内容 | 時期(NVIDIA発表) |
|---|---|---|
| Nemotron 3.5 Bolt 74B | エージェント向けの大規模言語モデル | 10月15日(木) |
| PAIR | ベータ終了、llama.cpp対応など | 10月13日(発表日) |
| NVIDIA Broadcast 2.3 | Video Super Resolution、Video Frame Generation、オフライン処理など | ダウンロード可(発表日) |
| Adobe(Photoshop・Premiere・Substance 3D) | GPUを使った処理の作り直し。「最大2倍」 | AI機能の最適化はベータ。Substance 3Dは「近日」 |
| DLSS 5の新モデル | 従来比2倍高速をうたう | 10月16日(NBA 2K27) |
| Nemotron 3.5 Bolt E4B 4GB | ゲーム内AIキャラクター向けの小型モデル | 10月23日 |
| RTX Remixの更新 | DLSS 5対応を含む | 10月23日 |
| Blender 5.3 | DLSS Ray Reconstruction | 11月 |
Nemotron 3.5 Bolt 74Bはどんなモデルか
NVIDIAのブログによると、正式名は「Nemotron 3.5 Bolt 74B-A9B 24GB」。74Bパラメータのうち有効は9Bの MoE(専門家混合)モデルで、2ビット量子化と量子化を前提にした学習で品質を保ちつつ24GBに収めたという。NVIDIAは「人気の密なモデルの多くより速く、同程度のメモリで動く人気のMoEの多くより賢い」と位置づけている。この比較はNVIDIAの主張で、今回確認したページには数値のベンチマークは載っていなかった。
公開時点で動かせる環境として、llama.cpp、vLLM、Ollama、Unsloth、LM Studioが挙げられている。HermesやOpenClawなどのエージェントからも直接使えるという。NVIDIAは、他のNemotronと同じく学習データ・重み・レシピまで含めて完全なオープンソースで、開発者が自分のエージェント向けに調整できると説明している。
ゲーム向けには、別の小型モデル「Nemotron 3.5 Bolt E4B 4GB」が10月23日に出る。NVIDIAによると、ゲーム内AIキャラクター向け技術群NVIDIA ACE用の第3世代の小型言語モデルで、開発者が推論のオン・オフを切り替えられる。
PAIRは何が変わったのか
NVIDIAの説明では、PAIRは同じローカルネットワーク上の対応PCを自動で見つけてつなぎ、AIモデルや推論エンジンの導入、処理の振り分けまで行う無料のオープンソースだ。NVIDIAは10月13日にベータを終えたと書いている。公式ページの1.0.0の項目によると、変更点は次のとおり。
- llama.cppの導入と管理をPAIRから行え、Hugging FaceからGGUFモデルを直接ダウンロードできる
- 推論エンジンの起動オプションと環境変数を、ローカル側・ペア側とも調整できる
- RTX Spark(N1X)上のWindows on Arm版で、llama.cppとCUDAでの動作を確認した
互換性についての注意も書かれている。ローカルのエンドポイントは各エンジンのCORS設定に従うようになったため、ブラウザ上のクライアントは追加設定が要る場合がある(Ollamaは OLLAMA_ORIGINS で指定)。製品名は「Personal AI Router」から「PAIR」に変わり、macOSでは古い版を一度アンインストールする必要がある。対応OSはWindows 11、DGX OS、Ubuntu 24.04、macOS Tahoeで、検証済みの構成にはGeForce RTX 20シリーズ以降、DGX Spark、RTX Spark、M1以降のMacが並ぶ。対応言語は英語と書かれている。
公式ページは、複数の機器が「1つの仮想GPUになるわけではなく、別々のシステムとして並列のタスクを処理する」とも説明している。
RTX Sparkのノートは、いつ・どんな構成で出るのか
10月7日のNVIDIAとMicrosoftのイベントを伝えるブログによると、ノートPCの予約は同日に始まり、発売は10月16日(金)。小型デスクトップは11月に販売される。搭載メーカーとして、Acer、ASUS、Dell、HP、Lenovo、Microsoft、MSI、Gigabyteが挙がっている。製品ページには、ASUS ProArt P16、Dell XPS 16、HP OmniBook Ultra 16、Lenovo Pro 9n、Microsoft Surface Laptop Ultra、MSI Prestige N16 Flip AI+ が並ぶ。
スペックは、最大6,144コアのBlackwell RTX GPUと最大20コアのGrace CPU、最大128GBのユニファイドメモリ、FP4で1ペタフロップスまで(いずれも「最大」)。GeForceの公式記事は、発売は「世界中で2026年10月16日」と書いている。
クリエイター・開発者・ゲーム向けには何が用意されたか
クリエイター: NVIDIAのブログによると、Adobeは Photoshop、Premiere、Substance 3D を RTX Spark向けに最適化し、AI、編集、色、エフェクトで「最大2倍」をうたう。Photoshopは合成処理をGPUで行い、Premiereは再生、レンダリング、Enhance Speech、Object Maskなどが対象。ベータに参加するとRTX Spark向けのビルドを使える。Broadcast 2.3には、録画済みの動画に効果をかけるOffline File Processorと、ローカルのAIエージェントから設定を操作できるMCPサーバーが入った。ComfyUIにはRTX Video Frame GenerationとRTX Video HDRの2つのノードが加わり、EXR書き出しにも対応した。
開発者: NVIDIAはMicrosoftと組み、Windows on Arm向けに、初のPyTorch-CUDAビルド、Python 3.15の既定ネイティブビルド、2,000超のパッケージを持つネイティブのConda インストーラーが出ると書いている。上位1万5,000のPython wheelの97%が対応済みという。llama.cppはWindowsアプリ「Llama Windows」を公開し、システムトレイからモデルのダウンロードと実行ができる(詳細はHugging Faceのブログとされているが、後述のとおり今回は開けなかった)。
ゲーム: 発売日にCyberpunk 2077、Fortnite、Hogwarts Legacy、Marvel Rivalsなど数百タイトルが遊べるとされる。NBA 2K27では、従来の2倍速いDLSS 5のAIモデルが10月16日に入り、フレームレートが最大1.4倍になるとNVIDIAは説明する。同じモデルはHogwarts Legacyに11月5日、Where Winds Meetに11月下旬に入る。
エージェントのセットアップはどうなるのか
NVIDIAによると、RTX Sparkの初回起動時に「Getting Started」画面が出て、エージェントアプリを選んで入れられる。GitHub Copilot(コパイロット)、Hermes Agent、OpenClaw、Perplexity、Pi、WorkBuddyは、RTX Spark向けに最適化したローカルモデルと設定を数クリックで用意する。安全面では、MicrosoftのMXC(Microsoft Execution Containers、10月7日に一般提供と発表)とNVIDIAのOpenShellを使う。OpenClawとGitHub CopilotはMXCに対応済みで、Hermes Agentは月末までにOpenShellとMXCを統合するという。ローカルとクラウドを振り分けるオープンソースのルーター「NVIDIA Switchyard」は、Hermesが10月後半に採用する予定と書かれている。
公式ページを確認して気づいたこと
日本時間21時09分ごろにPAIRの製品ページを取得したところ、ページのメタ情報の説明文はまだ「NVIDIA PAIR beta」のままだった。一方、本文の「What's New in NVIDIA PAIR 1.0.0?」の項目は更新済みで、ブログの「今日ベータを終えた」という記述と本文は合っていた。理由は公式ページからは分からず、確かめられたのは取得した時点の表示だけだ。また、ブログのHugging Face関連のリンク先は、取得時にHTTP 401で開けなかった。
未確認のこと・読むときの注意
- 今回確認した公式ページには、日本での発売日・価格・取扱店の記載は見つからなかった。GeForce公式記事の「worldwide」という表現があるだけで、日本向けの案内かどうかは分からない。
- RTX Sparkのノートの価格も、今回確認したページには載っていなかった。
- 10月7日のブログは、メタ情報の説明文が「予約は10月16日に開く」、本文が「予約は同日(10月7日)に開く」と書いており、食い違っている。本記事は本文に従った。
- Nemotron 3.5 Bolt 74Bの「速さ」「賢さ」の比較、Adobeの「最大2倍」、DLSS 5の「最大1.4倍」はいずれも発表者側の主張で、第三者の検証は確認していない。
- 筆者はこれらの製品を実機で試していない。Nemotron 3.5 Bolt 74Bは本稿の時点では未公開で、Hugging Face上のモデルページも確認していない。
- NVIDIAのブログは10月15日(木)の公開とだけ書いており、時刻や基準のタイムゾーンは書かれていない。日本時間では16日になる可能性もある。
本記事が読んだ5つの公式ページ
- All Systems Go: Global PC App Ecosystem Ready for NVIDIA RTX Spark(NVIDIA Blog)
- NVIDIA, Microsoft Kick Off a New Beginning for Windows PCs With RTX Spark and AI Agents(NVIDIA Blog)
- NVIDIA RTX Spark(NVIDIA公式)
- NVIDIA PAIR(NVIDIA公式)
- RTX Spark Launches With Hundreds Of Top Games On October 16th(NVIDIA GeForce)
確認時刻は日本時間2026年10月13日21時08分〜21時09分。本記事は続報があり次第更新します。
この記事でよく聞かれること
- Nemotron 3.5 Bolt 74Bはいつ公開されますか。どんなモデルですか。
- NVIDIAのブログによると、2026年10月15日(木)に公開されます。74Bパラメータのうち有効は9BのMoE(専門家混合)モデルで、2ビット量子化により24GBに収めたとされています。学習データ・重み・レシピまで含めて完全にオープンソースだとNVIDIAは説明しています。
- RTX Spark搭載のノートPCはいつ買えますか。
- NVIDIAとMicrosoftの発表によると、ノートPCは10月16日(金)に発売で、予約は10月7日から開いています。小型デスクトップの販売は11月の予定です。GeForceの公式記事は発売を「worldwide(世界中)」で10月16日としていますが、日本での価格や取扱店は今回確認した公式ページには書かれていません。
- NVIDIA PAIRとは何ですか。無料ですか。
- NVIDIAのブログと公式ページによると、同じネットワーク上のRTX搭載PC・DGX Spark・Macなどを見つけて接続し、AIの推論をそれらに振り分けるソフトです。無料のオープンソースで、Windows・Linux・macOSで動きます。10月13日にベータを終えて1.0.0になり、llama.cpp対応が加わりました。
出典・参照資料
- 一次資料All Systems Go: Global PC App Ecosystem Ready for NVIDIA RTX Spark — NVIDIA Blog ↗
- 一次資料NVIDIA, Microsoft Kick Off a New Beginning for Windows PCs With RTX Spark and AI Agents — NVIDIA Blog ↗
- 一次資料NVIDIA RTX Spark — Slim Laptops & Small Desktops — NVIDIA公式 ↗
- 一次資料NVIDIA PAIR — Your Personal AI Cluster — NVIDIA公式 ↗
- 一次資料RTX Spark Launches With Hundreds Of Top Games On October 16th — NVIDIA GeForce公式 ↗
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