2026年8月13日 木曜日
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Google、Gemini 3.7 Flashを発表──3.6から3週間・導入価格は半額の0.75ドル、一方で総合指標と知識労働は他社の下

Googleが2026年8月13日、Gemini 3.7 Flashを発表しました。前世代の3.6 Flashからわずか3週間、導入価格は入力0.75ドル・出力3.75ドル(100万トークンあたり・年内限定)で3.6 Flashの当初価格の半分です。公式比較表ではFrontierCode 43.6%・Code Arena Elo 1588とコーディング系で1位を取る一方、総合指標は56でGPT-5.6 Terraの57に届かず、知識労働GDPVal-AA v2は1525で並んだ4モデル中最下位。今回の発表資料にはPro系モデルへの言及が一度もありません。

Google、Gemini 3.7 Flashを発表──3.6から3週間・導入価格は半額の0.75ドル、一方で総合指標と知識労働は他社の下
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目次

Googleが2026年8月13日(米国時間)、Gemini 3.7 Flash を発表しました。前世代の Gemini 3.6 Flash を出してから3週間での投入です。公式ブログの署名はプロダクト管理シニアディレクターの Tulsee Doshi 氏で、Geminiチームを代表しての投稿とされています。

同じページには公式のベンチマーク比較表が掲載されており、本文で触れられていない項目も含めて20項目近くの数字が並んでいます。本記事は、その一次資料を全部読んだ内容を整理したものです。この記事の内容は2026年8月14日・日本時間時点の公式発表に基づきます。

動画版もあります(15分・数字はすべて同じ一次資料から): Gemini 3.7 Flash の公式ベンチを全部並べた

Gemini 3.7 Flash は3.6 Flashから3週間で登場し、導入価格は100万トークンあたり入力0.75ドル・出力3.75ドル(2026年12月31日まで)。公式比較表では FrontierCode 1.1 Main 43.6%、Code Arena Elo 1588、GDP.pdf 34.0%、AutomationBench 30.4% で1位を取る一方、総合指標の Artificial Analysis Intelligence Index は56で GPT-5.6 Terra・Muse Spark 1.2 の57に届かず、知識労働の GDPVal-AA v2 は1525で並んだ4モデル中最下位。CharXiv Reasoning は前世代の3.6 Flashより下がっています。今回の発表資料には Pro 系モデルへの言及が一度もありません。

何が発表されたか

Google公式ブログは Gemini 3.7 Flash を「コーディングとエージェント向けで、これまでで最も賢い workhorse(働き者)モデル」と位置づけています。

Today, we're building on the progress of our widely used Flash series by introducing Gemini 3.7 Flash, our most intelligent workhorse model yet for coding and agents.

(本日、広く使われている Flash シリーズの進展の上に、コーディングとエージェント向けでこれまでで最も賢い workhorse モデル、Gemini 3.7 Flash を導入します)

改良の背景について、公式ブログは「開発者からのフィードバックとアルゴリズム面の革新の直接的な結果であり、今後のモデルにも取り入れていくことを楽しみにしている」と記載しています。

項目 内容
発表日 2026年8月13日(米国時間)
前世代からの間隔 3週間(Gemini 3.6 Flash は2026年7月21日発表)
導入価格 入力 $0.75 / 出力 $3.75(100万トークンあたり・2026年12月31日まで)
2027年1月1日以降 入力 $1.50 / 出力 $7.50
開発者向け提供 Gemini API(Google AI Studio・Android Studio)、Google Antigravity
企業向け提供 Gemini Enterprise Agent Platform、Gemini Enterprise アプリ
個人向け提供 Gemini アプリの Spark(Google AI Pro / Ultra 契約者・160カ国以上)

価格は「年内限定の半額」

公式ブログは導入価格について、100万トークンあたり入力0.75ドル・出力3.75ドルとし、これは「3.6 Flash の当初価格(original cost)の半分」と説明しています。

この説明は、当サイトが7月に報じた Gemini 3.6 Flash の価格(入力1.50ドル・出力7.50ドル)とちょうど一致します。そして脚注によれば、2027年1月1日からの標準価格も入力1.50ドル・出力7.50ドルです。つまり「値下げ」ではなく、年内いっぱいの期間限定価格として半額が設定されているという構造です。

なお公式比較表では、3.6 Flash の価格欄も 0.75ドル / 3.75ドル と記載されており、脚注に「3.6 および 3.7 Flash の導入価格は2026年12月31日で終了する」とあります。3.6 Flash も同じ導入価格に引き下げられていると読めます。

他社との比較は公式表に次のように記載されています。

モデル 入力($/1M) 出力($/1M)
Gemini 3.7 Flash 0.75※ 3.75※
Gemini 3.6 Flash 0.75※ 3.75※
Claude Sonnet 5 2.00 10.00
GPT-5.6 Terra 2.00 12.00
Muse Spark 1.2 1.25 4.25

※導入価格。2026年12月31日で終了

コーディングとWeb開発では1位

公式ブログが本文で挙げているのは4つのベンチマークです。いずれも Gemini 3.6 Flash からの伸びが示されています。

ベンチマーク 測定対象 3.7 Flash 3.6 Flash Claude Sonnet 5 GPT-5.6 Terra
FrontierCode 1.1 Main 製品品質のコード 43.6% 34.4% 42.7% 41.3%
DeepSWE v1.1 長工程のソフトウェア開発 65.3% 48.6% 53.8% 69.6%
Code Arena(Elo) Web開発 1588 1538 1541 1523
GDP.pdf 専門PDFの読解 34.0% 22.0% 28.0% 24.7%
AutomationBench 業務ワークフロー自動化 30.4% 17.0% 10.7% 23.6%

UI生成について公式ブログは、「スクリーンショットでも画像でもデザインシステム全体でも、参照入力に対する高いデザイン忠実度と一致度を示す」と記載しています。より少ないプロンプトで機能の揃ったアプリを生成できる、という説明です。

DeepSWE v1.1 では GPT-5.6 Terra の69.6%が上で、Gemini 3.7 Flash は2位です。Google はこの負けているグラフも自社の発表資料にそのまま掲載しています。

公式比較表には、本文に無い項目が並んでいる

ここからが今回の資料の本題です。公式ブログのページ下部にある比較表には、本文で一切触れられていない項目が入っています。そして、その多くで Gemini 3.7 Flash は1位ではありません。

ベンチマーク 測定対象 3.7 Flash 3.6 Flash Claude Sonnet 5 GPT-5.6 Terra Muse Spark 1.2
Artificial Analysis Intelligence Index 総合指標 56 52 55 57 57
Terminal-bench 2.1 エージェント的ターミナル操作 85.8% 78.0% 80.4% 87.4% 82.9%
Terminal-bench 3.0 エージェント総合 14.9% 5.4% 14.6% 20.8%
GDPVal-AA v2(Elo) 知識労働 1525 1422 1598 1578 1628
OSWorld-2.0 パソコン操作 47.9% 33.8% 50.2%
Agent's Last Exam デスクトップ/OSエージェント 26.3% 24.2% 33.3% 28.0%
CharXiv Reasoning(ツール無し) 図表からの情報統合 84.5% 85.2% 77.0% 85.9%
CharXiv Reasoning(ツール有り) 同上 88.7% 89.4% 88.3%
LVBench 長い動画の理解 85.4% 84.2% 68.5% 78.9%
GDM-MRCR v2(128k平均) 長文脈の保持 97.0% 91.8% 81.5% 93.5%
HLE-Verified 専門家レベルの推論 53.6% 51.2% 31.0% 51.1%
Harvey LAB-AA 複雑な法務ワークフロー 90.7% 85.1% 90.1% 85.2%
LABBench2 生物学の実務課題 82.1% 76.1% 80.1% 81.2%
BioMysteryBench(難問) バイオインフォマティクス 43.5% 41.2% 34.1% 49.4%

読み取れることは3つです。

1. 総合指標では追い抜いていない。 Artificial Analysis Intelligence Index は52から56へ上がっていますが、GPT-5.6 Terra と Muse Spark 1.2 の57には届いていません。

2. 知識労働は最下位。 GDPVal-AA v2 は1422から1525へ100ポイント以上伸びていますが、並んでいる4モデルの中では最も低い数字です(Muse Spark 1.2 が1628、Claude Sonnet 5 が1598、GPT-5.6 Terra が1578)。コーディングでは1位を取り、知識労働では最下位という、得意分野のはっきり分かれたモデルです。

3. 前世代より下がった項目がある。 図表からの情報統合を測る CharXiv Reasoning は、ツール無しで84.5%(3.6 Flash は85.2%)、ツール有りで88.7%(同 89.4%)と、どちらも新しい方が低くなっています。Google はこの行も同じ表にそのまま載せています。

エージェント総合を測る Terminal-bench 3.0 は、1位の GPT-5.6 Terra でも20.8%です。5.4%から14.9%への伸びは3倍近いものの、絶対値としてはまだ2割に届いていません。

Spark と安全対策

個人向けの Gemini Spark も同日から 3.7 Flash に切り替わります。公式ブログによれば Spark は Google I/O で発表された「24時間365日動作し、ユーザーの指示のもとで代わりに行動するパーソナルAIエージェント」で、Google AI Pro / Ultra 契約者向けに160カ国以上で提供されています。

今回の更新で Google Workspace アプリのツール利用が改善され、複数スキルを要する複雑なワークフローでの精度と出力品質が向上した、と記載されています。挙げられている具体例は「ファイルの統合」「メールの下書き」「ステータス文書の更新」で、事務作業寄りの内容です。

安全面については、Frontier Safety のセーフガードを更新し、CBRN(化学・生物・放射性物質・核)とサイバー攻撃の領域における悪用対策を強化したとしています。有益なユースケースは可能にしたまま、bioresilience のアプローチとサイバープログラムに沿った対応だという説明です。詳細はモデルカードに記載されています。

Pro はどこにあるのか

ここが、7月の3.6 Flash発表と今回で最も変わった点です。

当サイトが7月22日に報じた Gemini 3.6 Flash の記事を書いた時点では、公式ブログに Gemini 3.5 Pro について「パートナーとテスト中」であり「準備でき次第、広く提供する」 という記載がありました。同じ発表には Gemini 4 について「これまでで最も野心的な事前学習を開始した」 という一文もありました。

今回の Gemini 3.7 Flash の発表資料には、Pro 系モデルへの言及が一度もありません。 ページ全文を確認しましたが、"Pro" という語が出てくるのは「Google AI Pro」というサブスクリプションの名称と、筆者の肩書き(Product Management)、サイト共通のナビゲーション(Products)だけです。Gemini 3.5 Pro も Gemini 4 も、今回は登場しません。

Google 自身が今回掲載したコスト効率グラフ(出典:Datacurve AI)も、同じことを示しています。DeepSWE V1.1 の正答率と1タスクあたり平均コストを取った散布図で、そこに載っている Google のモデルは gemini-3.5-flash / gemini-3.6-flash / gemini-3.7-flash の3つだけです。gemini-3.7-flash より上(正答率が高い側)にいるのは claude-opus-5、claude-fable-5、kimi-k3、gpt-5.6-sol で、いずれも Gemini 3.7 Flash より左=1タスクあたりのコストが高い側に位置しています。

つまりこの図は、「安い価格帯での効率で戦っている」という主張としては成立していますが、正答率の上限を取りに行くモデルとして Google の名前は入っていません。

なお、Pro 系の現行提供モデルが 3.1 で止まっているという点は今回の発表資料には書かれていません。これは Google のモデル公開履歴に基づく情報で、本記事では発表資料の記載(言及がないこと)と切り分けて扱っています。

数字を読むときの注意

一次資料を読んでいて気づいた、細かいが無視できない点を3つ書いておきます。

Google 自身の表記が1箇所割れています。 DeepSWE v1.1 における Gemini 3.6 Flash のスコアは、公式ブログの本文では「49.0%」、同じページの比較表とグラフでは「48.6%」と記載されています。本記事では、図として掲載されている側の 48.6% を採用しました。どちらが正しいかは公式資料からは判断できません。

コスト効率グラフは横軸が反転しています。 左が10ドル、右が0ドルで、右上に行くほど効率が良いという作りです(グラフ内にも "most efficient" と右上に注記があります)。通常の散布図の感覚で見ると逆に読めるため、注意が必要です。本記事ではこのグラフから目盛りを目測した数値は使っていません。

開発者体験に関する説明には数字がありません。 公式ブログは「行き詰まりへの適応が良くなった」「必要なときに意図を確認するようになった」「指示への忠実度が上がった」「複数ステップの計画とツール呼び出しにより多くの労力をかけるようになった」「結果として人手による監督とリトライが減る」と説明していますが、これらにベンチマーク値は付いていません。実際に触った開発者の報告を待つ領域です。

正直な但し書き

  • 本記事の数値はすべて Google 公式ブログと、同ページ掲載の公式ベンチマーク比較表からの引用です。他社モデルの数値はGoogleが掲載したものであり、当サイトが独立に検証したものではありません
  • 「Pro 系の現行提供モデルが 3.1 で止まっている」は今回の発表資料に記載がなく、Googleのモデル公開履歴に基づく情報です。発表資料から確認できるのは「今回の資料に Pro への言及がない」という事実までです
  • Gemini 3.5 Pro の提供状況について、当サイトが7月時点で確認できていたのは公式の「パートナーとテスト中」までで、その後の変化は本記事執筆時点で公式に確認できていません
  • 3.6 Flash の価格が導入価格として引き下げられたという読み方は、比較表の記載と脚注に基づく解釈です。値下げの明示的なアナウンスは公式ブログ本文にはありません
  • 公式ブログには4本のデモ動画(テキストから3Dゲーム生成・1回の指示でランディングページ生成・ロボット学習・PDFからインタラクティブな読み物)が掲載されていますが、本記事では映像そのものを扱っていません
  • コンテキスト長・知識カットオフ・出力トークン上限については、今回の発表ブログに記載がありません
  • 本記事は続報があり次第更新します

出典


比較表を1項目ずつ読み上げた動画版もあります: Gemini 3.7 Flash の公式ベンチを全部並べた

「この項目の見方が違う」「実際に触ったらこうだった」という指摘があれば、コメントかXで教えてください。この記事に追記して反映します。

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出典・参照資料

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