2026年7月21日 火曜日
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Google、Gemini 3.6 Flashなど3モデルを同時発表──出力トークン17%減・長文1Mで54.0%、一方でコーディング4種目は1位ゼロ

Googleが2026年7月21日、Gemini 3.6 Flash / 3.5 Flash-Lite / 3.5 Flash Cyber を同時発表しました。3.6 Flashは出力単価が9ドルから7.5ドルに下がり、出力トークンは3.5 Flash比17%減。公式比較表ではパソコン操作83.0%・長文128kで91.8%と1位を取る一方、コーディング4種目と知識労働GDPValでは1位がありません。上位のGemini 3.5 Proは「パートナーとテスト中」のまま未提供です。

Google、Gemini 3.6 Flashなど3モデルを同時発表──出力トークン17%減・長文1Mで54.0%、一方でコーディング4種目は1位ゼロ
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目次

Googleは2026年7月21日、Geminiの新モデル3つを同時に発表しました。主力の Gemini 3.6 Flash、高スループット向けの Gemini 3.5 Flash-Lite、そしてセキュリティ特化の Gemini 3.5 Flash Cyber です。発表はGeminiチームのシニアディレクター Tulsee Doshi 氏の名義で公式ブログに掲載されました。本記事は2026年7月22日時点の公式資料に基づいています。

同時に公開された評価資料「Gemini 3.6 Flash Model evaluation」には、他社モデルとの比較表と、その数字がどう測定されたかの条件が記載されています。本記事はこの一次資料を読んだ内容を整理したものです。

Gemini 3.6 Flash は出力単価が100万トークンあたり9.00ドルから7.50ドルに下がり、出力トークン量も3.5 Flash比で17%減少(Artificial Analysis Index基準)。公式比較表ではOSWorld-Verified 83.0%、GDM-MRCR v2の128kで91.8%と1位。一方でSWE-Bench Pro 58.7%、DeepSWE v1.1 49%、Terminal-bench 2.1 78.0%、MLE-Bench 63.9%のコーディング4種目と、知識労働のGDPVal-AA v2で1421と、いずれも1位がありません。上位モデルのGemini 3.5 Proは「パートナーとテスト中」のまま未提供です。

何が発表されたか

Google公式ブログによると、今回発表された3モデルの位置づけは次のとおりです。

モデル 位置づけ 価格(100万トークン) 提供状況
Gemini 3.6 Flash コーディング・知識労働・マルチモーダル向けの主力 入力 $1.50 / 出力 $7.50 Geminiアプリ、AI Studio、Antigravity、Android Studio 等
Gemini 3.5 Flash-Lite 高スループット・低レイテンシ向け 入力 $0.30 / 出力 $2.50 Gemini API、AI Studio、Gemini Enterprise、Google検索に展開中
Gemini 3.5 Flash Cyber 脆弱性の発見と修正(CodeMender) 記載なし 政府と信頼できるパートナー向けの限定パイロット

Gemini 3.6 Flash の入力コンテキストは100万トークン、出力は6万4千トークンです(公式モデルページ)。Flash-Lite は毎秒350トークンの出力速度と公式ブログに記載があります。

Flash Cyber については、Googleは「CyberGymベンチマークで競争力のあるフロンティア性能」と説明していますが、具体的なスコアは公開していません。

価格と「17%減」の意味

公式比較表によると、Gemini 3.6 Flash の出力単価は100万トークンあたり7.50ドルです。前世代の Gemini 3.5 Flash は9.00ドルだったため、1.50ドルの値下げになります。入力単価は1.50ドルで据え置きです。

値下げ幅そのものより、Googleが強調しているのは出力トークン量の削減です。公式ブログは、Artificial Analysis Index を基準に3.5 Flash比で出力トークンが17%減ったと説明しています。さらに DeepSWE ベンチマークでは最大65%減という数字を挙げています(この65%はDeepSWEに限定された数字であり、全タスクの平均ではありません)。

単価と消費量の両方が下がるため、同じ作業にかかる実際の支払額はその掛け算で効くことになります。

公式比較表で1位を取った3領域

比較対象は GPT-5.6 Luna、Grok 4.5、Claude Sonnet 5、および自社の Gemini 3.5 Flash と Gemini 3.1 Pro です。Gemini 3.6 Flash が最高値を記録したのは次の3領域でした。

ベンチマーク Gemini 3.6 Flash 比較対象の最高値
OSWorld-Verified(パソコン操作) 83.0% Claude Sonnet 5 81.2%
CharXiv Reasoning(ツールなし) 85.2% Gemini 3.5 Flash 84.2%
CharXiv Reasoning(ツールあり) 89.4% Claude Sonnet 5 88.3%
GDM-MRCR v2 128k平均(長文) 91.8% Gemini 3.1 Pro 84.9%
GDM-MRCR v2 1M(長文) 54.0% Gemini 3.5 Flash 26.6%

長文処理の1M列は、GPT-5.6 Luna、Grok 4.5、Claude Sonnet 5 のいずれも空欄です。公式資料はその理由を「この評価の1M版は非Geminiモデルのコンテキストウィンドウに収まらない」と説明しています。他社が低いスコアを出したのではなく、測定自体が成立していないという記載です。

コーディング4種目と知識労働では1位がない

同じ表のコーディング関連4項目は次のとおりです。

ベンチマーク Gemini 3.6 Flash GPT-5.6 Luna Grok 4.5 Claude Sonnet 5
SWE-Bench Pro (Public) 58.7% 62.7% 64.7% 63.2%
DeepSWE v1.1 49% 67% 54% 54%
Terminal-bench 2.1 78.0% 84.7% 83.3% 80.4%
MLE-Bench 63.9% 47.6% 43.2% 66.9%

SWE-Bench Pro、DeepSWE、Terminal-bench の3種目では、Gemini 3.6 Flash が比較対象4モデル中で最下位です。MLE-Bench では GPT-5.6 Luna と Grok 4.5 を上回りましたが、Claude Sonnet 5 の66.9%には届いていません。

コーディング以外にも、知識労働を測る GDPVal-AA v2 があります。

GDPVal-AA v2 (Elo) スコア
Claude Sonnet 5 1607
GPT-5.6 Luna 1584
Grok 4.5 1535
Gemini 3.6 Flash 1421
Gemini 3.5 Flash 1349
Gemini 3.1 Pro 965

ここでも他社3モデルすべてを下回っています。

価格を見ると、GPT-5.6 Luna と Grok 4.5 の出力単価はいずれも6.00ドルで、Gemini 3.6 Flash の7.50ドルより安い設定です。Claude Sonnet 5 は15.00ドル(一時割引価格10.00ドル)でGeminiより高価格です。

数字を読むときの但し書き

公式資料には測定条件が明記されています。表を横に読む際に関わる記載を挙げます。

他社の数字は各社の自己申告が基本です。資料には次のようにあります。

All the results for non-Gemini models are sourced from providers' self reported numbers unless otherwise mentioned below.

(非Geminiモデルの結果は、以下に別途記載がない限り、各プロバイダの自己申告値を出典としています)

他社は推論設定を最大にした数字が使われています。

For GPT-5.6 Luna, Sonnet 5, and Grok 4.5 we default to reporting maximum thinking/reasoning settings available

(GPT-5.6 Luna、Sonnet 5、Grok 4.5については、利用可能な最大の思考/推論設定での報告を既定としています)

一方で、自社モデル間で設定が揃っていない項目もあります。DeepSWE については、Gemini 3.5 は medium reasoning、Gemini 3.6 Flash は high reasoning のスコアが使われていると記載されています。37%から49%への改善は、推論設定も異なる比較ということになります。

また SWE-Bench Pro については、Geminiモデルのスコアは Antigravity ハーネスの内部版を使った自己計測であると記載されています。

この記事を書いている立場から

筆者は同じ資料をもとに解説動画を作りました。その過程で、最初に作った構成では GDPVal-AA v2 を丸ごと落としていました。章立てを「1位を取った領域」と「コーディング4種目」の二分にしたため、そのどちらにも属さない項目が抜けたためです。結果として、負けている項目だけが1つ消えた状態になっていました。

公式資料は、勝っている項目も負けている項目も同じ表に並べ、測定条件まで公開しています。読む側が恣意的に切り取らない限り、判断材料としては十分な形で出されている、というのが資料を通読した実感です。

上位モデルは未提供のまま

Gemini 3.5 Pro について、公式ブログは「パートナーとテスト中」であり「準備でき次第、広く提供する」と記載しています。提供時期の具体的な日付は示されていません。9to5Googleは、Googleが5月のGoogle I/Oで6月提供を予定していたと報じていますが、この点は公式資料では確認できていません。

一方で公式ブログは、Gemini 4 について「これまでで最も野心的な事前学習を開始した」と明記しています。

正直な但し書き

  • 本記事の比較表の数値はすべてGoogle公式の評価資料からの引用です。他社モデルの数値は各社の自己申告値であり、Googleが独立に検証したものではありません(公式資料の記載どおり)
  • 知識のカットオフ時期(2026年3月)と、前回のモデルリリースが5月のGoogle I/Oであるという点は9to5Google報道が出典で、公式資料では確認できていません
  • Flash Cyber の CyberGym スコアは公式に数値が示されていないため、本記事でも数値は記載していません
  • 3.5 Pro の遅延理由について複数の報道がありますが、本記事では公式に記載のある「パートナーとテスト中」までを事実として扱っています
  • 本記事は続報があり次第更新します

出典

解説動画では、同じ資料を数字と測定条件まで通して扱っています。読んで気づいた点や、事実の誤りがあれば教えてください。確認のうえ本記事に反映します。

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出典・参照資料

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