2026年9月4日 金曜日
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モデル· 約16

Google、Gemini 3.8 Flashと3.8 Flash Cyberを発表──6週間で3本目のFlash、Opus 5の7分の1の値段で金融・法務・長尺動画のベンチは上、汎用エージェントは19.1%対51.8%

Googleが2026年9月2日、Gemini 3.8 FlashとGemini 3.8 Flash Cyberを発表しました。3.7 Flashから3週間、6週間で3本目のFlashです。価格は3.7と同じ入力0.75ドル・出力3.75ドル(100万トークンあたり・2026年12月31日まで、2027年から1.50ドル・7.50ドル)。公式比較表ではVals Finance Agent 61.4%、Harvey法務ベンチ10.0%、LVBench 87.8%、HLE-Verified 54.9%でClaude Opus 5やGPT-5.6 Solより上、一方でTerminal-bench 4.0は19.1%(Opus 5は51.8%)、GDPVal Eloは1545でSonnet 5の1584より下でした。最後のPro系は2月19日の3.1 Pro Previewで、以降半年はFlashのみです。

Google、Gemini 3.8 Flashと3.8 Flash Cyberを発表──6週間で3本目のFlash、Opus 5の7分の1の値段で金融・法務・長尺動画のベンチは上、汎用エージェントは19.1%対51.8%
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目次

2026年9月3日未明・日本時間時点の情報です。Googleが9月2日(米国時間)、Gemini 3.8 FlashGemini 3.8 Flash Cyberを発表しました。公式ブログは「3週間前の3.7 Flashの勢いを引き継ぎ、6週間で3本目のFlashリリース」と書いています。3.8 FlashはGemini API・AI Studio・Antigravity・Gemini Enterpriseで即日利用でき、GeminiアプリではGoogle AI ProとUltraの加入者が対象です。Flash Cyberは新設の「Fairwind Program」を通じた限定配布です。

動画版も公開しています: https://youtu.be/A9sNn05wvRo

3行まとめ

  1. 価格は3.7 Flashと同じ入力0.75ドル・出力3.75ドル(100万トークンあたり)。ただし公式料金表の脚注どおり2026年12月31日までの導入価格で、2027年1月1日から1.50ドル・7.50ドルに上がる。
  2. 公式比較表(対3.7 Flash・Claude Opus 5・Sonnet 5・GPT-5.6 Sol・Terra)で、金融(Vals Finance Agent 61.4%)・法務(Harvey 10.0%)・長尺動画(LVBench 87.8%)・HLE-Verified 54.9%・Terminal-bench 2.1(89.4%)・生物系2本で首位。一方でTerminal-bench 4.0は19.1%(Opus 5は51.8%)、OSWorld 59.0%(Opus 5は75.4%)、GDPVal Elo 1545(Opus 5は1824、Sonnet 5は1584)
  3. Pro系は2月19日のGemini 3.1 Pro Preview以降出ていない。5月19日の3.5 Flash、7月21日の3.6 Flash、8月13日の3.7 Flash、9月2日の3.8 Flashと、半年間Flashだけが刻まれている。

何が出たのか

項目 内容(出典)
公開日 2026年9月2日(APIリリースノート「Gemini 3.8 Flash generally available (GA)」)
モデルID gemini-3.8-flash(モデルページ)
土台 「Gemini 3.7 Flashをベースにしている」(モデルカード。学習データ・アーキテクチャの説明は3.7のカードを参照する形式)
コンテキスト 入力1,048,576トークン/出力65,536トークン(モデルページ)
入出力 入力=テキスト・画像・動画・音声・PDF/出力=テキストのみ。画像生成・音声生成は非対応(モデルページ)
知識カットオフ 2026年3月(モデルカード)
提供先 Geminiアプリ(AI Pro/Ultra加入者)・AI Studio・Gemini API・AIモード・Antigravity・Gemini Enterprise・Google スプレッドシート(公式ブログ/モデルカード)
Flash Cyber 同じ土台の脆弱性発見・修正特化版。Fairwind Programを通じて「政府機関・重要インフラ事業者・ソフトウェア保守者」に優先提供(公式ブログ)

価格──年内は同額、来年から倍

公式料金表では3.8 Flashは**入力0.75ドル・出力3.75ドル(100万トークンあたり、出力は思考トークン込み)**で、3.7 Flashと同額です。脚注にはこうあります。

For 3.7 and 3.8 Flash, introductory price expires on December 31, 2026. Starting January 1, 2027, $1.50/1M input tokens and $7.50/1M output tokens will apply. (3.7および3.8 Flashの導入価格は2026年12月31日で終了。2027年1月1日から入力1.50ドル、出力7.50ドルが適用される)

公式比較表に載っている他社の価格は、Claude Opus 5が入力5ドル・出力25ドル、Claude Sonnet 5が2ドル・10ドル、GPT-5.6 Solが4ドル・20ドル、GPT-5.6 Terraが2ドル・12ドルです。Opus 5との比較で入力・出力とも7分の1になります。

公式ブログはもう1つ、費用に関わる自己申告を書いています。

On complex tasks, it exhibits greater diligence — executing extra reasoning steps, and calling tools iteratively. At times, the model might use more tokens to maximize performance, especially at higher effort levels. (複雑なタスクではより粘り強く、推論ステップを余分に実行し、ツールを繰り返し呼ぶ。特に高い努力レベルでは、性能を最大化するためにトークンを多く使うことがある)

単価は据え置きでも、使用トークン数が増える設計だと公式が言っているので、請求額は単価だけでは読めません。ブログは「計算効率が最優先なら努力レベルを下げるか、3.7 Flashを使い続けてもよい」とも書いています。

公式比較表で3.8 Flashが首位だった項目

モデルカードに掲載された比較表(対3.7 Flash・Claude Opus 5・Claude Sonnet 5・GPT-5.6 Sol・GPT-5.6 Terra)から、3.8 Flashが最高値だった行です。

ベンチマーク 3.8 Flash 3.7 Flash Opus 5 Sonnet 5 GPT-5.6 Sol GPT-5.6 Terra
Vals Finance Agent v2(金融アナリスト業務) 61.4% 59.0% 58.6% 53.9% 53.8% 54.4%
Harvey's Legal Agent Benchmark(法務・全通過率) 10.0% 8.8% 6.7% 5.0% 2.5% 0.8%
Terminal-bench 2.1(ターミナルでのコーディング) 89.4% 85.8% 89.1% 80.4% 88.8% 87.4%
CharXiv Reasoning(図表からの情報統合・ツールなし) 86.2% 84.5% 83.7% 70.1% 85.8% 85.9%
LVBench(長尺動画理解・agentic) 87.8% 85.4% 75.4% 68.5% 82.1% 78.9%
HLE-Verified(専門家級の多分野推論) 54.9% 53.6% 54.4% 31.0% 54.5% 51.1%
BioMysteryBench(Human Difficult) 56.5% 43.5% 49.4% 34.1% 44.7% 49.4%
LABBench2(生物学の実務研究タスク) 86.2% 82.1% 84.2% 80.1% 82.1% 81.2%

首位を取れなかった項目

同じ表で、他モデルが最高値だった行です。

ベンチマーク 3.8 Flash 3.7 Flash Opus 5 Sonnet 5 GPT-5.6 Sol GPT-5.6 Terra
DeepSWE v1.1(長期ソフトウェア開発) 71.0% 65.3% 74.0% 53.8% 72.7% 69.6%
GDPVal-AA v2(知識労働・Elo) 1545 1482 1824 1584 1710 1528
Terminal-bench 4.0(汎用エージェント能力) 19.1% 11.2% 51.8% 12.4% 37.3% 23.6%
GDP.PDF(専門PDF読解・全通過率) 35.0% 34.0% 37.0% 28.0% 40.0% 29.0%
OSWorld-2.0(コンピュータ操作・部分点) 59.0% 50.6% 75.4% 42.6% 62.6% 50.2%
BioMysteryBench(Human Solvable) 88.8% 87.1% 90.1% 87.5% 79.5% 83.8%

同じ「Terminal-bench」でも2.1では横並び、4.0では3分の1強という差が出ています。公式表の注記では2.1が「Agentic terminal coding」、4.0が「General agent capabilities」で、測っている能力が違います。

公式ブログはDeepSWE v1.1について、外部のDatacurve AIによる「性能×1タスクあたりコスト」の散布図を掲載しており、3.8 Flashを「最も効率的(most efficient)」の位置に置いています。同じ図には3.5 Flash・3.6 Flash・3.7 Flash・3.8 Flashが順に並んでいます。

Gemini 3.8 Flash Cyber

公式ブログはFlash Cyberについて、脆弱性の発見より**修正(パッチ)**を優先して作ったと説明しています。

This is why we have invested in vulnerability fixing from the start, and prioritized it over offensive capabilities like exploitation. (だからこそ、最初から脆弱性の修正に投資し、エクスプロイトのような攻撃能力より優先した)

公式が挙げた数字は次のとおりです(いずれもGoogleのブログ記載)。

  • CyberGym(C/C++の脆弱性発見): 3.8 Flash Cyber 86.2%、3.5 Flash Cyber 77.5%、GPT-5.6 Sol 83.6%、Mythos 5 83.8%、GPT-5.5-Cyber 85.6%
  • 社内ベンチ(20言語の脆弱性発見): 3.8 Flash Cyber 71.0%、3.7 Flash 58.9%、3.5 Flash Cyber 46.6%
  • CWE-Bench(Collinear運営・自動パッチ): pass@1 47.2%。ブログは「先頭のフロンティアモデルは47.8%」と書いており、掲載図ではその先頭はClaude Fable 5
  • Chromeセキュリティチーム: 「はるかに大きい最良の商用モデルより2.6倍多く正しいパッチを生成」
  • Wiz: 社内ペネトレーションテストのベンチで再現率が7.5〜9.7%高く、コストは2.3〜5.2分の1
  • Google Cloudの脆弱性研究チーム: 「通常は研究と発見に数か月かかる重大な基盤的脆弱性を2時間以内に発見」

社内・提携先の事例はいずれもGoogleのブログに書かれた報告で、件数の内訳や再現条件は公開されていません。

プロンプトインジェクション耐性──Gray Swan

ブログには外部のGray Swanによる間接プロンプトインジェクション(IPI)ベンチの図があります。15回まで攻撃した時の成功率(ASR@15、低いほど良い)で、図に載った値は次のとおりです。

  • Claude Opus 5 4.8%、Gemini 3.8 Flash 5.5%、Gemini 3.8 Flash Cyber 6.0%、Claude Fable 5 6.5%、Claude Sonnet 5 6.7%、Claude Opus 4.8 8.0%、Gemini 3.7 Flash 9.2%
  • Muse Spark 1.2 24.2%、GPT 5.6 Sol 27.0%、Qwen 3.8 28.6%、GLM 5.3 31.5%、GPT 5.6 Terra 37.3%、GPT 5.6 Luna 50.0%、Grok 4.6 51.8%、Kimi K3 52.7%、DeepSeek V4 Pro 60.1%

3.7 Flashの9.2%から5.5%へほぼ半減しています。エージェントとして外部データを読ませる用途では、性能ベンチの数%差よりこの図の差の方が実用に近いと筆者は見ています。

Proはどこへ──半年間Flashだけ

Gemini APIのリリースノートを機械的にさかのぼると、Pro系の新モデルは2026年2月19日の「Gemini 3.1 Pro Preview」が最後です。以降の新モデルは次のとおりです。

日付 モデル
2026-05-19 Gemini 3.5 Flash
2026-07-21 Gemini 3.6 Flash/3.5 Flash-Lite
2026-08-13 Gemini 3.7 Flash
2026-09-02 Gemini 3.8 Flash/3.8 Flash Cyber

GoogleはGemini 3.5 Proの延期と、Gemini 4の学習開始をこれまでに表明しています。モデルカードは3.8 Flashを「3.7 Flashをベースにしている」と明記し、Frontier Safetyの評価も3.7 Flashの結果に依拠すると書いています。土台を変えずに3週間刻みで上げてきたFlashがこの数字なら、土台から変わる次のPro/Gemini 4がどう出てくるかが次の焦点です。

筆者の環境で見えたこと

この記事を書いている筆者は、9月3日0時台(日本時間)にAPIドキュメントの更新に気づいて追いかけ始めました。その時点でAPIリリースノート・モデルページ・料金表・モデルカードは更新されていましたが、blog.googleのニュースサイトマップには本記事の元になった公式ブログが載っておらず、ブログ記事のURLを直接受け取るまで見つけられませんでした。ブログの公開時刻は9月2日15:00(UTC)で、ドキュメントが先、ブログの露出が後という順番でした。

ベンチ表の値はモデルカードの画像を1セルずつ読み取り、ブログの棒グラフ画像と突き合わせています。散布図(DeepSWE)上の3.5/3.6 Flashの点は図の読み取り値になるため、本記事では数値として書いていません。

出典に当たれなかった3点

  • 評価手法ページ(deepmind.google/models/evals-methodology/gemini-3-8-flash)はJavaScriptで描画されるページで、本記事執筆時点では本文を取得できていません。ベンチの詳細条件はそちらが正です。
  • 第三者の独立ベンチは9月3日未明時点で見つけていません。出次第、本記事に追記します。
  • モデルカードの安全性評価では、多言語の安全性が3.7 Flash比で「+5.4pp(低いほど良い)」と後退が記載されています。テキスト・画像の安全性、トーン、不当な拒否は同水準とのことです。

本記事は続報があり次第更新します。

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