Sakana AI、Fugu Ultra v2とFugu Maxを同時公開──Fable 5.1もGPT-6 Astraもプールに入れず8本中5本で首位、Maxは出力$6
日本のSakana AIが2026年9月11日、オーケストレーション型AI「Fugu」の新版2本を公開した。Fugu Ultra v2は公式ベンチマーク8本中5本で首位、学習終了は8月28日でFable 5/Fable 5.1/GPT-6 Astraはモデルプールに含まれない。Fugu Maxは入力$2/出力$6で10本中6本首位、ただし勝ち差は0.1〜0.5点が大半。

目次
2026年9月11日(日本時間)時点。日本のSakana AIは同日、複数のAIモデルを束ねて動く「Sakana Fugu」の新版として、Fugu Ultra v2(最高性能寄り)とFugu Max(費用対性能寄り)の2本を同時に公開した。Sakana AIの発表によると、両方とも同日からOpenAI互換APIで利用でき、既存のFugu利用者はパラメータを1行変えるだけで切り替えられる。本記事は発表ブログ、製品ページの料金表とFAQ、技術レポートの記述だけをもとに、公式が出したベンチマーク図18本を1本ずつ読んでまとめた。解説動画(13分33秒・公式グラフ18本を1本ずつ)はYouTubeで公開済み。
Fugu Ultra v2:公式ベンチ8本中5本で首位(うち3本はGPT-6 Astraが図に載っていない)。学習終了は2026年8月28日、Fable 5/Fable 5.1/GPT-6 Astraはモデルプール外と公式が明記。 Fugu Max:入力$2/出力$6(100万トークンあたり)。10本中6本で首位だが、勝ち差は0.1〜0.5点が大半。図の上での主な相手はGemini 3.8 Flash。 両方とも9月11日からOpenAI互換APIで提供。公式FAQは「新しいフロンティアモデルの公開後、約2週間で更新版を提供する」と記載。
何が出たか
| Fugu Ultra v2 | Fugu Max | |
|---|---|---|
| 位置づけ(公式) | 複雑な多段階タスクで最高の能力を狙う | 最も低い費用で最良の出力を狙う |
| 入力/出力(100万トークンあたり) | $5/$30(272Kトークン超は$10/$45) | $2/$6(文脈長にかかわらず一律) |
| キャッシュ入力 | $0.50(272K超は$1.00) | $0.25 |
| モデルプール | 固定(ユーザーは変更不可) | 固定(同上)。NVIDIA Nemotronを含む「最大規模」のプール |
| 提供 | 2026年9月11日からOpenAI互換API | 同左 |
Sakana AIは両者を「別製品ではなく、同じ中核のオーケストレーション基盤を2つの使命に最適化したもの」と説明している。発表ブログの年表では、4月のベータ、6月の正式版とFugu Ultra v1、7月のFugu-CyberとClaude Codeインターフェース、8月のSakana ChatとNVIDIA提携に続く5段目が今回にあたる。
Fugu Ultra v2は8本中5本で首位、ただしAstra不在の図が3本
公式の図(棒グラフ8本)から数字を転記した。比較対象は前版のFugu Ultra v1.1、Claude Opus 5、Claude Fable 5、GPT 5.6 Sol、Kimi K3、Claude Fable 5.1、GPT-6 Astra。
| ベンチマーク | Ultra v2 | 首位(Ultra v2以外) | Fable 5.1 | GPT-6 Astra | 順位 |
|---|---|---|---|---|---|
| HLE (text) | 56.3 | Fable 5.1 59.1 | 59.1 | 54.7 | 2位 |
| GDP.pdf | 34.3 | GPT 5.6 Sol 30.7 | 27.6 | 図に無し | 1位 |
| Chartography | 48.3 | Fable 5.1 46.2 | 46.2 | 図に無し | 1位 |
| SWEFish(Sakana社内ベンチ) | 71.8 | Astra 69.8 | 66.0 | 69.8 | 1位 |
| DeepSWE | 74.3 | Astra 73.0 | 67.4 | 73.0 | 1位 |
| ProgramBench | 81.0 | Astra 85.4 | 82.7 | 85.4 | 4位 |
| GPQA Diamond | 95.5 | Astra 96.0 | 93.7 | 96.0 | 3位(v1.1の95.6を含む) |
| Toolathon | 80.6 | Opus 5 80.6(同点) | 77.8 | 図に無し | 同率1位 |
発表本文の「8本中5本で首位または同率首位、8本中7本でトップ2」は図の数字と一致する。ただし、以下は図を読んだ上での注記である。
- GPT-6 Astraが載っていない図が3本(GDP.pdf、Chartography、Toolathon)あり、5勝のうち3勝はその3本で出ている。Astraと同じ図で勝ったのはSWEFish(差2.0点)とDeepSWE(差1.3点)の2本。
- SWEFishはSakana AIが「自社のコーディング課題と用途を反映した社内ベンチマーク」と説明しているもの。
- 発表本文のChartographyの段落は「Opus 5の27.3、Fable 5の29.5を上回った」と書いているが、同じ図にあるFable 5.1の46.2には触れていない。差は2.1点。
学習終了は8月28日、Fable 5/5.1/Astraはプール外
今回の発表で最も重い記述は、Fugu Ultra v2の図の注記と本文にある。
Note: Fugu Ultra v2's training cutoff date is 20260828, Fable 5, Fable 5.1 and GPT-6-Astra are NOT in Fugu-Ultra v2's model pool. (注:Fugu Ultra v2の学習終了日は2026年8月28日。Fable 5、Fable 5.1、GPT-6 AstraはFugu Ultra v2のモデルプールに含まれていない)
Crucially, Fugu Ultra v2 achieves these scores without Fable 5, Fable 5.1, or GPT-6-Astra in its agent pool. (重要な点として、Fugu Ultra v2はFable 5、Fable 5.1、GPT-6 Astraをエージェントプールに入れずにこれらのスコアを達成している)
Fuguは他社を含む複数のモデルを裏で呼び出す仕組みなので、「一番強いモデルを入れずにこの数字」という主張になる。GPT-6 Astraの公開は9月3日で、8月28日の学習終了には間に合わない時期にあたる。
一方で「プール外」は「クローズドモデルを一切使っていない」という意味ではない。Fugu Maxのプール図には「Closed & open models」と書かれており、除外が明記されたのはFable 5、Fable 5.1、GPT-6 Astraの3つだけである。今のプールに何が入っているかは、今回取得した発表ブログ・製品ページ・技術レポートには書かれていない。製品ページのFAQは、Ultra v2とMaxのプールは固定でユーザーが変更できないこと、そして「新しいフロンティアモデルが一般公開されたら、約2週間かけて更新版を訓練・評価してから順次提供する」ことを記載している。Astra入りの更新版が来るかどうかは、公式は書いていない。
Fugu Maxは出力$6で10本中6本首位、勝ち差は0.1〜0.5点
公式の図は横軸が出力価格(100万トークンあたり米ドル)、縦軸がスコアの散布図10本。比較群は同価格帯の7モデル(GLM-5.3、Gemini 3.8 Flash、Qwen3.8-max、DeepSeek V4 Pro、Sonnet 5、GPT 5.6 Terra、Kimi K3)。
| ベンチマーク | Fugu Max | 首位(Max以外の最高) | 勝敗 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| Terminal Bench 2.1 | 89.5 | Gemini 3.8 Flash 89.4 | 勝 | 0.1 |
| HLE (text) | 44.7 | Kimi K3 46.9 | 負 | -2.2 |
| DeepSWE | 70.8 | Gemini 3.8 Flash 73.7 | 負 | -2.9 |
| CharXiv Reasoning | 88.1 | Qwen3.8-max 88.4 | 負 | -0.3 |
| Chartography | 37.0 | Gemini 3.8 Flash 40.9 | 負 | -3.9 |
| GDP.pdf | 26.0 | GPT 5.6 Terra 25.6 | 勝 | 0.4 |
| GPQA-D | 95.5 | Gemini 3.8 Flash 95.0 | 勝 | 0.5 |
| AutomationBench (public) | 49.5 | Kimi K3 46.7 | 勝 | 2.8 |
| AA-LCR | 83.0 | Kimi K3 82.7 | 勝 | 0.3 |
| SWEFish(社内ベンチ) | 62.5 | GLM-5.3/Gemini 3.8 Flash 62.3 | 勝 | 0.2 |
発表本文の「6本で総合首位」「出力価格はSonnet 5・GPT 5.6 Terra・Kimi K3より40〜60%低い」は、図の値(出力$10/$12/$15に対して$6)と一致する。ただし負けた4本の相手はGemini 3.8 Flash(3本)とQwen3.8-max(1本)で、公式が名指しするSonnet 5やGPT 5.6 Terraではない。Gemini 3.8 Flashは図の注記で入力$1.5(Fugu Maxより安い)、横軸の位置で出力約$7.5(Fugu Maxより高い)にある。
仕組み:指揮者モデルとモデルプールの二層
Sakana AIの8月10日のブログ(日本語)によると、Fuguは「モデル間の協調の仕方をSakana AIが学習させた小規模な言語モデル」である指揮者モデルと、実際の処理を担うモデルプールの二層からなる。指揮者は知識を自分の重みに抱えず「どのモデルにどう任せるか」だけを判断するので小さくてよく、同ブログではGemma 4ベースで訓練した指揮者でも同等の性能が出たとしている。
6月の技術レポートでは、無印のFuguは質問の隠れ状態から「どのワーカー1体に任せるか」を選ぶだけで文章を生成しない(そのため速い)設計、Fugu Ultraは指揮者が自然言語で作業手順書(サブタスク、担当ワーカー、前工程の結果をどこまで渡すか)を書き、強化学習で最適化する設計と説明されている。今回のFugu Maxについて発表ブログは「解ける中で最も軽いモデルへ動的にルーティングする」と述べるにとどまり、内部方式の詳細は今回取得した文書には無い。
料金と使い方
| 内容 | |
|---|---|
| 利用方法 | OpenAI互換API。既存クライアントの接続先をFuguのエンドポイントに向けてAPIキーを設定(公式FAQ) |
| サブスクリプション | Standard $20/月、Pro $100/月(Standardの10倍)、Max $200/月(20倍)。全プランでFugu・Fugu Ultra・Fugu Maxが利用可 |
| 従量課金(無印Fugu) | 関与した最上位モデル1つ分の標準レート。複数エージェントが動いても料金を積み上げない |
| 従量課金(Ultra v2) | 入力$5/出力$30/キャッシュ$0.50(272K超は$10/$45/$1.00) |
| 従量課金(Max) | 入力$2/出力$6/キャッシュ$0.25、一律。web_searchとweb_fetchは1回$0.007 |
筆者が図を1本ずつ切り出して見たこと
発表ページの図は10本と8本が1枚ずつにまとめられている。筆者は動画用に18本を1本ずつ切り出して数字を転記し、本文の主張と突き合わせた。その作業で見えたのは3点で、いずれも上に書いたとおり「Astra不在の図が3本」「Chartographyの本文がFable 5.1に触れていない」「Maxの本当の比較相手はGemini 3.8 Flash」である。数字そのものはすべて公式の図の値で、筆者が測ったものではない。
確認できていないこと
- 今のモデルプールの中身(発表ブログ・製品ページ・技術レポートのいずれにも記載がない)
- Fugu Maxの内部方式が無印型(1体選択)かUltra型(手順書生成)か
- Fugu Maxのプール図に描かれた「Sakana Namazu」が何か(今回取得した3文書に説明がない)
- ベンチマークの第三者による再現。数字はすべてSakana AI自身の測定
- 発表ページの日本語版(9月11日13:52時点で公開URLは英語のみ)
出典と時点
- Sakana AI発表ブログ「Introducing Fugu Max and Fugu Ultra v2: Orchestrating the Pareto Frontier」(ページ日付 September 11, 2026)
- Sakana Fugu製品ページ(料金表・FAQ、2026年9月11日取得)
- Sakana Fugu Technical Report(arXiv 2606.21228、2026年6月19日投稿・6月23日改訂。発表ページの「Technical Report」リンク先はこの6月版で、今回用の新レポートは無い)
- Sakana AIブログ「Gemma 4版 Sakana Fuguの検証」(2026年8月10日)
- 関連:Sakana AIが「Fugu」発表──複数AIを束ねてClaude Opus 4.8を超えるベンチマーク(2026年6月)
本記事は続報があり次第更新する。公式FAQの「約2週間で更新版」どおりに新版が出た場合、同じ図で答え合わせを行う。
出典・参照資料
この記事の解説動画
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