GPT-6 Astra公開──自社比較表では首位、独立指標では5位、価格はFable 5.1と同額の$10/$50
OpenAIが2026年9月3日(米国時間)、GPT-6 Astraを公開した。公式比較表ではTerminal-Bench Science 0.1が64.6%でClaude Fable 5.1の52.6%を上回り、ARC-AGI-3は99.9%。一方、同じ表に載ったArtificial AnalysisのIntelligence IndexはAstra 61.2に対しFable 5.1が65.7で、独立指標では5位にあたる。提供は今日の時点で限られた組織のみ、Plus以上には「数日以内」。API価格は入力$10・出力$50で、Fable 5.1と同額。

目次
2026年9月4日朝・日本時間時点の情報です。OpenAIが米国時間9月3日、GPT-6 Astraを公開した。公式ページの本文と比較表と脚注を全部読んで、勝っている数字、負けている数字、提供条件、安全装置を整理する。
動画版も公開しています: https://youtu.be/F2Cvjxhv3HQ
3行まとめ
- 提供は「今日の時点で限られた組織」、ChatGPTのPlus/Pro/Business/Enterpriseには数日以内、APIとAWSも同じ。API価格は入力$10・出力$50(100万トークンあたり)で、Claude Fable 5.1と同額、GPT-5.6 Solのプロモ価格$4/$20の2.5倍。
- 公式比較表では科学研究のTerminal-Bench Science 0.1が64.6%(Fable 5.1は52.6%)、ARC-AGI-3が99.9%、ExploitBenchが100%。同じ表でArtificial AnalysisのIntelligence Indexは61.2で、Fable 5.1の65.7、Opus 5の63.1、Fable 5の62.1を下回る。
- 9月1日に「Critical」と確定したサイバー能力は数字つきで公開された。公開版は攻撃コードの作成を拒否し、安全チェックが正当な作業を止めることがあると公式が明記。APIでは止まったタスクはそこで停止する。
何が出たのか
| 項目 | 内容(OpenAI公式ページ) |
|---|---|
| 名称 | GPT-6 Astra。Pro/Business/EnterpriseにはGPT-6 Astra Proも |
| 提供 | 今日は限られた組織のみ。数日以内にChatGPT Plus/Pro/Business/Enterprise、OpenAI API、AWS |
| 利用枠 | 既存サブスクの枠内。追加分はクレジット購入 |
| Enterprise | 管理者が有効化する方式。公開時点は既定でオフ |
| APIモデルID | gpt-6-astra。Amazon Bedrockでも提供 |
| 価格 | 入力$10/出力$50(100万トークンあたり)。キャッシュ読み書きは別レート |
| Fastモード | 標準の最大2.5倍速、価格は2倍 |
| データ保持 | 対象のAPI顧客はZero Data Retentionが使える |
価格はClaude Fable 5.1(入力$10/出力$50)と同額である。GPT-5.6 Solの現行プロモ価格は入力$4/出力$20なので、Sol比では2.5倍にあたる。
公式ページの冒頭文はこうである。
We're introducing GPT-6 Astra, the world's most intelligent and aligned model.
(世界で最も知的で、最も整合したモデル、GPT-6 Astraを発表する)
最先端だと主張する領域は、コンピュータ操作、ブラウジング、ソフトウェア開発、サイバーセキュリティ、科学、専門職の仕事の6つ。
公式比較表で勝っている行
比較相手はGPT-5.6 Sol、Claude Fable 5.1、Claude Fable 5、Claude Opus 5、Gemini 3.8 Flash。数値はすべてOpenAIの自社測定で、表の注記に「点数はどの努力レベルでも最大値」とある。
| ベンチマーク | GPT-6 Astra | GPT-5.6 Sol | Fable 5.1 | Fable 5 | Opus 5 | Gemini 3.8 Flash |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Terminal-Bench Science 0.1(科学研究) | 64.6% | 22.4% | 52.6% | 21.4% | 30.0% | — |
| Terminal-Bench 4.0(ターミナル作業) | 57.7% | 37.3% | 55.8% | 42.0% | 52.3% | 19.1% |
| AutomationBench(業務自動化) | 41.4% | 18.1% | 31.4% | 17.4% | 26.9% | — |
| BenchCAD(設計・CADコード) | 95.9% | 83.3% | 84.3% | 67.5% | 82.1% | — |
| DeepSWE v1.1(コーディング) | 74.1% | 72.7% | 67.4% | 69.9% | 73.7% | 73.8% |
| OSWorld 2.0 Offline(コンピュータ操作) | 72.6% | 65.7% | — | — | 70.2% | — |
| Agents' Last Exam(実務エージェント) | 59.3% | 53.6% | — | 48.7% | 55.5% | — |
| FrontierMath Tier 4(数学) | 97.6% | 83.0% | 87.8% | 87.8% | 73.2% | — |
| GPQA Diamond(大学院レベル科学) | 96.0% | 94.6% | 93.7% | 92.6% | 93.7% | 95.3% |
| ARC-AGI-3(抽象推論) | 99.9% | 7.8% | — | — | 30.2% | — |
| HealthBench Professional | 63.4% | 60.5% | 56.6% | 60.9% | 54.5% | 52.1% |
公式が本文で最も押しているのはTerminal-Bench Science 0.1で、64.6%対52.6%に加えて「推定APIコストは約31%低い」と書いている。BenchCADのClaudeの値は、脚注で「評価に3つの変更を加えた測定」と注記されている。ARC-AGI-3の99.9%は、脚注1で「Responses APIのハーネスで2つの設定を変えて測定した」とある。
公式ページのグラフは26枚あり、そのうち22枚は横軸がAPIコストか出力トークンである。絶対値の差より、同じ点数に要する費用とトークンの差を見せる構成になっている。DeepSWEのグラフではAstraが約2万6千トークンで0.73に達し、Opus 5が同じ0.73に届くのは約6万4千トークン以降(グラフの目視読み取りのため「約」)。
公式比較表で負けている行
同じ表に、Astraが他社を下回る行もある。
| ベンチマーク | GPT-6 Astra | 上回ったモデル |
|---|---|---|
| Artificial Analysis Intelligence Index v4.1.1 | 61.2 | Fable 5.1 65.7、Opus 5 63.1、Fable 5 62.1 |
| Humanity's Last Exam(ツールあり) | 57.2% | Fable 5.1 65.0%、Fable 5 63.8%、Opus 5 63.6% |
| FrontierCode 1.1 Extended | 64.5% | Fable 5 64.9% |
| FrontierCode 1.1 Main | 53.3% | Fable 5 53.5%、Opus 5 53.4% |
| Artificial Analysis Coding Agent Index v1.4 | 67.0 | Opus 5 68.1、Fable 5 67.2 |
Artificial Analysisが同日に公開した独立指標では、Intelligence Index v4.1.1でAstraは61(Fable 5.1が66、Opus 5が63、Fable 5が62)で5位、Coding Agent Index v1.4でもCodex上のAstraは67(Claude Code上のFable 5.1が70、Opus 5が68、Fable 5が67)で5位である。
サイバー能力の数字
9月1日の「Path to Astra」でOpenAIは、AstraがPreparedness Frameworkの「Critical」閾値を満たすと確定させていた(記事)。公開ページには、本番の安全装置を外した状態での測定値が載った。
| 評価 | GPT-6 Astra | GPT-5.6 Sol |
|---|---|---|
| ExploitBench(既知の脆弱性から攻撃コード) | 100.0% | 78.5% |
| ExploitGym | 42.4% | 30.3% |
| ExploitBench(2026年6〜8月の新規脆弱性) | 39.0% | 5.5% |
| SRE-Bench(バイナリ逆解析・1回/4回まで) | 88.0%/99.2% | 55.9%/68.7% |
「6〜8月版」はChromeの13リリースにまたがるV8の重大な脆弱性20件で作った内部評価で、既知の脆弱性を学習済みだった可能性への懸念に答えるものだと公式は説明している。この評価の途中でAstraは未知のゼロデイ脆弱性を2件発見して使い、OpenAIは両方を開発元に開示中と書いている。
公開版のAstraは、脆弱性の実証コード作成のような作業を拒否する。防御側向けの緩い安全策は、OpenAI Daybreakを通じて数週間かけて広げるとしている。
整合性と、公式が書いた「悪くなった項目」
意地悪に選んだコンピュータ操作課題で望まない結果を起こした率は、共通の操作ハーネス・自動レビュー無しの条件でAstra 2.4%、Fable 5.1 9.5%、Opus 5 11.5%、Sol 22.0%。Hugging Face事件を元にした「不可能な課題」の試験では、本番セーフガード無しのSolが48%で許可外の標的に手を出したのに対し、Astraは0%だった。
一方で、公式は悪化した項目も書いている。書かれた推論の監視のしやすさはSolより低下したと述べ、「we take the decline seriously」(この低下を深刻に受け止める)としている。
安全チェックについてはこう書かれている。
Extra safety checks can sometimes slow, pause, or stop legitimate work, including defensive cybersecurity.
(追加の安全チェックは、防御目的のサイバーセキュリティを含む正当な作業を、遅らせたり、一時停止したり、止めたりすることがある)
ChatGPTとCodexでは止まった時に内容を確認して続行できる。APIではタスクがそこで停止する。9月1日の予告どおりの実装である。
使う側に何が変わるか
- 資料作成: 会社のテンプレートに沿ったスライド・文書・表計算を作る訓練を特別にしたと説明。デモではOpenAIのテンプレート数枚から架空モデルの発表スライドを作らせている
- Sites in ChatGPT: プロンプトからウェブサイト・ウェブアプリ・ゲームを作り、そのまま公開・共有できる
- 聞き返し: 指示が曖昧な時、結果を変える点だけ質問し、返事を待たずに他の作業を進める。返事が無ければ影響の小さい所は自分で決め、重い判断だけ待つ
- Codexのコンテキスト: 窓が埋まった時に要約で潰す代わりにノートを残し、前の窓を検索できる実験機能。config.tomlで有効化、数週間で既定化
- 数学: 隣り合う素数が無限回現れる距離の上界を、10年以上最良だった246(最近240に更新)から186へ。大きな素数ギャップの評価式の項を80年以上ぶりに改良。証明と要約した思考の記録を公開
公式ページには顧客の声が5社分載っている。そのうちHiggsfield AIのCEOは「他のモデルより最大20%少ないトークンで最も複雑なクリエイティブワークフローを実行した」と述べている。Higgsfield AIは当サイト・当チャンネルのタイアップ先で、このコメントは公式ページの引用であり、当方で検証したものではない。
公式ページが日本から読めなかった1時間
この記事を書いている筆者の環境では、公式Xの公開ポスト(日本時間4日04:32)から1時間あまり、公式ページ https://openai.com/index/gpt-6-astra/ が404と500を返し続けた。公開直後に出回った比較表の画像は、その後読めた公式ページの表と7か所で数字が違う(ARC-AGI-3が98.6%と99.9%、HealthBench ProfessionalのOpus 5が57.5%と54.5%など)。本記事と動画の読み上げ数字はすべて、05時台に読めた公式ページの表に合わせている。動画の第2章冒頭に置いた1枚だけは公開直前に出回った版の画像で、数字が公式表と一部異なる。
公式ページの中でも数字が揃っていない箇所
- Terminal-Bench 4.0のAstraの値は、本文と公式Xの図が57.9%、比較表が57.7%。本記事の表は比較表の値、動画の読み上げは本文の値を使っている
- HealthBench ProfessionalのClaude Fable 5.1の値は、比較表が56.6%(脚注11: OpenAIが独自に測り直した値)、公式Xの図が58.1%
- Fable 5とFable 5.1は、LifeSciBench・GeneBench Pro・MedChemBenchで「大半の質問を拒否するため」掲載されていない(脚注12)
- ScreenSpot-ProとExploitGymのFableの値は、安全策の少ない版であるMythosの値(脚注17)
- 外部の追試は、執筆時点でArtificial Analysisの指数1件のみ。順位は物差しで変わる
出典・時点
- 数値と引用はすべてOpenAI公式ページ「GPT-6 Astra: A new generation of intelligence」(本文・比較表・脚注)による。グラフからの読み取り値は目視のため「約」を付けた
- 発表日は米国時間9月3日。公式Xの公開ポストは日本時間9月4日04:32
- Fable 5.1の価格はAnthropic公式ドキュメント、GPT-5.6 Solのプロモ価格はOpenAI公式料金ページ(9月3日時点)
- 本記事は続報があり次第更新します。Plus以上への実際の提供日、システムカードの内容、APIでの停止の発生頻度、外部ベンチの追加は追記予定です
出典・参照資料
- 一次資料GPT-6 Astra: A new generation of intelligence — OpenAI公式ブログ(本文・比較表・脚注) ↗
- 一次資料OpenAI公式X 公開ポスト(2026-09-04 04:32 JST) ↗
- 一次資料Path to Astra: critical capabilities and frontier safeguards — OpenAI公式ブログ(2026-09-01) ↗
- 一次資料OpenAI API 料金ページ ↗
- 一次資料Claude Fable 5.1 — Anthropic公式ドキュメント(価格比較に使用) ↗
- 二次資料Artificial Analysis 公式X(Intelligence Index v4.1.1/Coding Agent Index v1.4・2026-09-03) ↗
この記事の解説動画
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