Qwen4とは──9月22日の雲栖大会で「Qwen4 Series Coming Soon」として Qwen4-Max/Flash & Plus/27B の3枠が出た。公式プレスリリースは「訓練中」「4.5・5は5〜10兆パラメータ」まで。「人間ゼロ介入で33回の自己改善」の主張と、Artificial Analysisで実測した現行Maxの位置(45・首位53)
Alibabaは2026年9月22日、杭州の雲栖大会(Apsara Conference)開幕式で次世代モデル「Qwen4」の名前を初めて公式の場に出した。スライドは「Qwen4 Series Coming Soon」として Qwen4-Max/Qwen4-Flash & Qwen4-Plus/Qwen4-27B の3枠を示し、同日の公式プレスリリースは「Qwen 4は訓練中」「Qwen 4.5・Qwen 5は5〜10兆パラメータへ」とだけ書いた。公開日・規模・ライセンス・27Bの重み公開は不明。この記事は、写真・プレスリリース・中国メディアの報道を【事実】【報道】【主張】【未確認】に分け、Qwen3.8-Flashが「Qwen4アーキテクチャの早期プレビュー」である経緯、「人間ゼロ介入で33回の自己改善でスコア40→45」という主張、Artificial AnalysisとHugging Face APIでの実測(Qwen3.8 Max=45・202変種中19位、首位53。Qwen3.8-27BはHFいいね数1位)、責任者とされる劉大一恒氏の肩書の出どころを整理する。

目次
2026年9月22日16時・日本時間時点の情報です。 Alibabaは同日、杭州で開幕した雲栖大会(Apsara Conference)で、次世代モデル「Qwen4」の名前を初めて公式の場に出した。ただし「発表」と呼ぶには材料が少ない。ステージのスライドに名前が出て、プレスリリースが「訓練中」と書いた、というのが今日の時点で確認できる範囲で、公開日も規模もライセンスも出ていない。この記事は、何が写真で確認でき、何が公式文書に書かれ、何が報道と会社側の主張なのかを分けて並べる。Qwenの現行世代の整理はQwen3.8-Flash-Next、Qwen3.8-27B、Qwen3.8-Omni-Flash、中国勢全体は中国AIモデルまとめに。
3行まとめ
- 【事実】開幕式のスライドは「Qwen4 Series Coming Soon」として Qwen4-Max/Qwen4-Flash & Qwen4-Plus/Qwen4-27B の3枠を示した。 同日のAlibaba公式プレスリリースは「次世代モデルQwen 4は訓練中」「Qwen 4.5・Qwen 5は5〜10兆パラメータへ拡張する」と書くだけで、4変種の名前も公開日も書いていない。Qwen公式Xは同日15:35時点でQwen4の投稿なし。
- 【事実】「Qwen4アーキテクチャ」は8月26日に一部が先に出ている。 Qwen公式Xの固定ポストはQwen3.8-Flashを「Qwen4アーキテクチャの早期プレビュー」と呼び、オープンウェイト・125B+51B N-gram・API $0.16/$0.47(100万トークン)と書いた。
- 【主張】Alibabaは「Qwen3.8-Maxが人間ゼロ介入で1か月超・33回の有効反復の自己改善を行い、Artificial Analysisのスコアを40→45に上げた」と説明した。 【事実】当サイトが同日15:45にArtificial Analysisを開くと、Qwen3.8 Max (0902) は Intelligence Index 45・202変種中19位、首位はClaude Fable 5.1 maxとGPT-6 Astra maxの53だった。「ClaudeやGPTの最上位モデルと同じ第一陣営」という位置づけはAlibaba側の枠付けで、数字の上では首位と8点差。
何が出て、何が出ていないか
| 項目 | ラベル | 内容 |
|---|---|---|
| 名前 | 【事実(写真)】 | スライド「Qwen4 系列 Coming Soon / Qwen4 Series Coming Soon」に Qwen4-Max/Qwen4-Flash & Qwen4-Plus/Qwen4-27B。写真はLobeHubの@MaxForAI氏の投稿(公式アカウントではない) |
| 公式文書 | 【事実】 | プレスリリース「Qwen 4は訓練中」「Qwen 4.5・Qwen 5は5〜10兆パラメータへ」。4変種の名前・公開日の記載なし |
| 時期 | 【報道】 | TechWeb見出し「Qwen4很快发布(近日公開)」。日付なし |
| 公式Xとサイト | 【事実】 | @Alibaba_Qwenは15:35時点でQwen4の投稿なし(最新はIntel OpenVINO対応)。qwen.ai/researchの最新もQwen3.8のまま |
| 27Bの重み公開・Flash/PlusのAPI専用か・Maxの規模・ライセンス | 【未確認】 | どの資料にも記載なし。Qwen3.8-27Bはオープンな密モデルだったが、Qwen4-27Bが同じかは不明 |
7月のWAIC(世界人工知能大会)の時点で中国メディアが「Qwen4.0-Max」と書いた件は、当時は先走りだった。今回はステージで公式に名前が出た点が違う。
「Qwen4アーキテクチャ」は8月に一部が見えている
Qwen公式Xの固定ポスト(8月26日)は、Qwen3.8-Flashを「Qwen4アーキテクチャの早期プレビュー」として出した。オープンウェイトで、125Bのモデルに51BのN-gramを組み合わせ、APIは入力$0.16・出力$0.47(100万トークンあたり)。新浪の報道では、注意機構と情報伝達機構を刷新して訓練コストを約90%減らし、ごく少ないパラメータの活性化で推論効率を「パレート前線」に置いた、と説明されている(【報道】)。当サイトのQwen3.8-Flash-Nextの記事は、その時点で公式が公開した範囲を整理している。
ロードマップの「5〜10兆パラメータ」は、プレスリリースでは「Qwen 4.5とQwen 5」の話で、Qwen4本体の規模ではない。新浪は劉大一恒氏の発言として「Scalingは ASI への鍵となる道」「総パラメータを5兆、さらには10兆まで拡張」と伝えている。
「人間ゼロ介入で33回の自己改善」という主張
今回の開幕式でAlibabaが中核に置いたのは、再帰的自己改善(RSI)の話だった。会社側の説明(鳳凰網・IT之家の報道とプレスリリース)を、主張のまま並べる。
- モデル:Qwen3.8-Maxが、人間の介入なしに1か月超・33回の有効な反復で、訓練パイプラインの構築・データ構築・実験設計・欠陥の特定を自律的に行い、Artificial Analysisのスコアを40から45に上げた。
- 推論:初見の平頭哥(T-Head)新GPU上で、Qwen3.8-Flashの推論フレームワークを自律的に最適化し、単一インスタンスのスループットを96%上げた。
- チップ協調設計:バスモジュールの仕様書1枚から、前段・検証・後段まで自律的に反復し、60時間超・EDAツール呼び出し1万回超で面積を42%削減した(プレスリリースは「性能の妥協ゼロ」)。
これらは論文や技術ブログの形では出ておらず、「33回」の中身(何を基準に有効とみなしたか、人間が全く見ていないのか)は確認できていない。同じ週にOpenAIが「自動研究インターンに到達」と宣言した件(記事)と並べると、AIが自分の訓練に関わる話を各社が同時期に前面に出している、という流れは読める。
実測で確かめた数字
筆者は同日15:45(日本時間)にArtificial Analysisのモデルページとリーダーボードを開いた。Qwen3.8 Max (0902) は Intelligence Index 45、変種別に数えて202中19位。上位は Claude Fable 5.1 max と GPT-6 Astra max が53、Opus 5 maxが51、Muse Spark 1.3 maxが48、GPT-5.6 Sol maxが47。Alibabaの「40→45」の45はこの数字と一致するが、「ClaudeやGPTの最上位モデルと同じ第一陣営」という位置づけは同社の枠付けで、8点の差がある。「GLM-5.3やKimi-K3など国産勢を全て上回る」という主張は、この記事ではAA上で突合していない。
もう一つ、プレスリリースは「Hugging Faceで史上最多のいいね」と書く。筆者が15:40にHugging FaceのAPIをいいね数順で叩いたところ、Qwen/Qwen3.8-27Bが15,985で1位、次いでFLUX.1-dev 14,883、DeepSeek-R1 14,278、Kimi-K3 11,465、SDXL 8,210、Llama-3.1-8B-Instruct 7,797だった。Qwen3.8-27Bは8月5日作成でダウンロード715万。この主張は実測と合う。「オープンモデル460超・累計ダウンロード30億超・派生30万超」は未検証。
同じ開幕式で出た周辺の発表
プレスリリースに書かれたのは、同時通訳のQwen3.8-LiveTranslate(遅延の指標LAALを2.8→2.3秒、約20%短縮)、Qwen-Audio-3.1(ASR・TTS・Realtime。台本から対話と環境音を一括生成するTTS-Next、感情や音楽を理解するASR-Next)、年内のQwen-Image-3.1(EC・デザイン向け、透明背景をネイティブ対応)、世界モデル評価の6段階フレームワーク、スマートフォン向けエージェント基盤「Qwen Intelligence」。チップではZhenwu V900(前世代M890の3倍、216GB、チップ間1,200GB/s、2027年第1四半期量産)、次世代Yitian CPU(2027年)、最大50万カードのスーパーノード。Eddie Wu CEOは「2032年に20GW」「機械の思考総量は人間の3%未満」と述べた。報道ベースでは、次世代動画モデルは11月、HappyOyster 2.0 Preview(世界モデル)、Happy Shrimp 1.1(音楽)が挙がっている。
責任者「劉大一恒」の肩書はどこから来たか
新浪(9月21日)と快科技は「知情員工によると正式に任命された」と伝えるが、Alibabaの人事プレスは見つかっていない。公式に確認できるのは雲栖大会サイトの登壇者肩書「阿里巴巴ATH事業群 Token Foundry Qwen LLMプロジェクト責任者」(並びは蔡崇信氏・呉泳銘氏の直後)で、講演題は「Qwen:迈向真実世界智能体」。報道の経緯は、3月に技術責任者の林俊旸(Justin Lin)氏が離職し、阿里雲CTOの周靖人氏が一時トップを兼務、事前学習責任者だった劉氏が3月9日から事後学習とCodingも兼務、という流れ。経歴は四川大学博士(2020年)、華為の「天才少年」第一档を経て2021年から達摩院でQwen研究、専門は自然言語生成。「新任」という表現は、匿名社員情報と公式サイトの肩書を組み合わせたものとして読む必要がある。
この記事の書き方
起点は本人(当チャンネル運営者)が提供したX投稿の写真で、そこからプレスリリース(英語)、中国メディア4本、Qwen公式X、Artificial Analysis、Hugging Face APIを同日15:30〜15:45に自分で開いて突き合わせた。ラベルの意味は、【事実】=一次ソースまたは自分で実測、【報道】=中国メディア、【主張】=Alibaba側の言い分、【未確認】=どこにも書かれていない。公開日・各変種の規模・ライセンス・27Bの重み・「33回」の中身は開いたままの問いで、続報があり次第この記事に追記する。
出典・参照資料
- 一次資料Alibaba Unveils Roadmap on Full-Stack AI Strategy: From Chips, Cloud Infrastructure, Models to Agents(Alibaba公式プレスリリース・Media OutReach配信・2026年9月22日) ↗
- 二次資料@MaxForAI のX投稿(開幕式スライド「Qwen4 Series Coming Soon」の写真・2026年9月22日) ↗
- 一次資料Qwen 公式X(@Alibaba_Qwen・固定ポスト=2026年8月26日のQwen3.8-Flash「Qwen4アーキテクチャの早期プレビュー」) ↗
- 二次資料新浪財経「Qwen4很快发布」(TechWeb・2026年9月22日・劉大一恒氏の発言と5〜10兆パラメータの報道) ↗
- 二次資料鳳凰網科技(IT之家転載)「Qwen3.8-Max 自己改善33回」の詳細報道(2026年9月22日) ↗
- 二次資料新浪財経 2026年9月21日「劉大一恒氏がQwen責任者に正式任命」(匿名社員情報の報道) ↗
- 一次資料Artificial Analysis — Qwen3.8 Max (0902) モデルページ(Intelligence Index・2026年9月22日15:45 JST実測) ↗
- 一次資料Artificial Analysis — Models leaderboard(首位53の確認・同時刻実測) ↗
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