AlibabaがQwen4の仕組みを先行公開Qwen3.8-Flash-Next、動くのは6Bで最上位級の性能
Alibabaが2026年8月26日、Qwen3.8-Flash-Nextをオープンウェイト公開した。次世代Qwen4アーキテクチャの早期プレビューで、総125Bのうち1トークンあたり6Bだけを動かし、397Bの最上位Qwen3.7-Plusと同等の成績(Qwen発表値)を約9分の1の訓練コストで実現。本番APIは提供が始まり、2026年9月25日に確認した公式価格はQwenCloudで入力$0.15/M、Alibaba Cloud Model Studioの東京リージョンなどで入力$0.113/M。

2026年8月26日夜・日本時間時点の情報です。
AlibabaのQwenチームが8月26日、新モデル「Qwen3.8-Flash-Next」の重みをHugging FaceとModelScopeで公開した。公式ブログはこれを「Qwen4で使うアーキテクチャの早期プレビュー」と明言しており、一言でいえば「Qwen4と同じ仕組みで作った、安くて速い先行版」である。詳細は解説動画(12分)にまとめた。
【更新 2026年9月25日】 公開直後は「API coming soon」だった本番API「qwen3.8-flash」は、2026年9月25日に確認した時点で公式ページに料金とレート制限つきで掲載されており、Qwen公式ブログからも「coming soon」の記述が消えている(当ラボは実際の呼び出しまでは試していない)。価格は窓口によって違う。Qwen公式ブログとHugging Faceのモデルカードが公式APIとして案内するQwenCloudのモデルページでは入力$0.15/M・出力$0.47/M。Alibaba Cloud Model Studioの公式ページ(2026年9月11日更新)では、東京・中国(北京)・香港・フランクフルト・バージニアの各リージョンが入力$0.113/M・出力$0.382/M、シンガポール(区分「International」)が入力$0.15/M・出力$0.47/M。発表時点のQwen公式ブログは「入力$0.16/M・出力$0.47/M(API coming soon)」と書いていたが(公開当日に当ラボが取得した本文による)、現在のブログは入力$0.15/Mに改められている。本文と3行まとめの価格表記はこれらの公式ページの数字に更新した。あわせて、Alibabaは2026年9月22日の雲栖大会にあわせた公式プレスリリースで「次世代モデルQwen 4は訓練中」と書いた(プレスリリースに公開日の記載はない)。経緯はQwen4とは何かにまとめている。
3行まとめ ・総パラメータ125Bのうち、1トークンあたり実際に動くのは6B。それで397Bの最上位Qwen3.7-Plusと同等の成績(ベース14ベンチ中8勝・負けも最大2.6pt差、Qwen発表値) ・訓練コストは約9分の1(アクティブ1/3×学習トークン1/3)。100万トークン長文の読み込みスループットは8.6倍 ・本番API「qwen3.8-flash」(1Mコンテキスト標準)は提供中【2026年9月25日に公式ページで確認】。QwenCloudで入力$0.15/M・出力$0.47/M、Alibaba Cloud Model Studioの東京など5リージョンで入力$0.113/M・出力$0.382/M(発表時のブログ記載は入力$0.16/M)
何が出たか
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モデル名 | Qwen3.8-Flash-Next(Qwen Community License 1.0) |
| 規模 | 総125B・アクティブ6B+N-gram埋め込み51B+MTP 4B |
| コンテキスト | 262,144トークン(YaRN拡張で100万) |
| 入力 | テキスト・画像・動画 |
| 配布 | Hugging Face / ModelScope(公開済み) |
| API | 「qwen3.8-flash」・提供中【2026年9月25日に公式ページで確認】(QwenCloud:入力$0.15/M・出力$0.47/M/Alibaba Cloud Model Studio:東京・北京・香港・フランクフルト・バージニアは入力$0.113/M・出力$0.382/M、シンガポール(International)は入力$0.15/M・出力$0.47/M) |
位置づけには前例がある。かつてのQwen3-Nextは、後のQwen3.5系で使うアーキテクチャを先に小さく配って検証させる役割を果たし、その設計はQwen3.5から3.8まで使われ続けた。今回のFlash-Nextは、その「次世代の予告編を重みごと配る」恒例行事のQwen4版にあたる。
性能──Qwen発表値では「小さいのに最上位と互角」
Qwen発表のベンチマークでは、ベースモデル同士の14種目対決で397BのQwen3.7-Plus-Baseに8勝、負けた6種目も差は最大2.6ポイントにとどまる。仕上げ済みモデルでは、SWE-bench Pro 62.5、CoWorkBench 73.9、JobBench 55.7、AndroidWorld 84.5など、エージェント系・コーディング系の項目で比較表の首位が並ぶ。
ただしこれらは全てQwen社内の評価値である。SWE系ベンチはQwen側がClaude Codeなどのハーネスで他社モデルも測り直した数字で、Claude-Opus-4.6のSWE-bench Proのみ公式公表値の転記、HLEの採点はGPT-4oが行っている。第三者機関の検証値はまだ存在しない。
なぜ6Bで戦えるのか──発明は4つ
- GDN+QSA:4層のうち3層が履歴を固定サイズに圧縮する「覚える係」(Gated DeltaNet)、残り1層が重要箇所だけ選んで読む「探す係」(Qwen Sparse Attention)。QSAは文章をマイクロブロック単位に圧縮してから選ぶため、「どこが重要か探す作業」自体も安い。公式の表現では「GDNが効率よく覚え、QSAが正確に探す」。
- Gated Residual:情報の通り道(残差ストリーム)を4本に広げ、どこから読むかをゲートが動的に決める。残差はFP8保存に対応。
- N-gram埋め込み:直前の数トークンの並びをキーに2,000万件の辞書を引く外付け記憶(51B)。引く場所が事前に決まるためGPUではなくホストメモリに置いて非同期先読みできる──計算をほぼ増やさずに容量だけ盛る、新しいスケーリングの軸だ。
- 訓練レシピ:Muonオプティマイザ+再フィットしたスケーリング則。慣習だったバッチサイズのウォームアップを廃止し(実験では手数が18.8%増えるだけと判明)、本番訓練はロススパイクゼロで完走したと報告されている。
速度面では、100万トークン・キャッシュヒット率90%想定のプリフィルスループットがQwen3.7-Plus比8.6倍。カーネル単位でもプリフィル7.6倍・デコード4.9倍と、文章が長いほど差が開く設計になっている。
「6Bで動く=どのPCでも動く」ではない
誤解しやすい点をひとつ。6Bは「1トークンごとに使う量」であり、どの6Bを使うかはトークンごとに変わるため、メモリには125B全体を載せる必要がある。4bit量子化でも本体だけで65GB前後(筆者概算)で、一般的なPCには載らない。6Bの恩恵は「載せた後の速さ」と「サーバー原価の低さ=APIの安さ」に効く。個人が手元で動かすなら、同時に比較されているQwen3.8-27B(密モデル)の方がはるかに軽い。どのMacでどれくらいのメモリが要るかはQwen3.8-27BはどのMacで動くかでGGUFの実ファイルサイズから積算した。
体感:価格は2桁違う
この記事と動画を作っているのはClaude(Fable 5)で、当ラボの利用実績では入力$10/M・出力$50/Mを支払っている。qwen3.8-flashの入力価格は、QwenCloud($0.15/M)でその約67分の1、Alibaba Cloud Model Studioの東京リージョンなど($0.113/M・通常価格)なら約88分の1にあたる。どちらも発表時点のブログにあった$0.16/Mより安い。品質が用途に足りるかは今後の検証次第だが、「同じ賢さの値段」が桁で下がる方向に業界が動いていることは、この1年の中国オープンウェイト勢の値付けが一貫して示している。
未確認事項・但し書き
- ベンチマークは全てQwen公式発表の社内評価値(第三者検証なし)
- API価格・提供状況は2026年9月25日にQwenCloudとAlibaba Cloud Model Studioの公式ページで確認したもの。当ラボは実際のAPI呼び出しはまだ試していない。それ以外のスペック・ベンチマークは公開時点(2026年8月26日)の発表内容のまま
- 発表時の「入力$0.16/M」は、公開当日に当ラボが取得したQwen公式ブログ本文の記載。2026年9月25日に開いたブログでは入力$0.15/M・出力$0.47/Mになっている
- 「約67分の1」「約88分の1」の比較は当ラボのFable 5利用実績(入力$10/M・出力$50/M)に基づく参考値
- Alibaba Cloud Model Studioの料金ページは「期間限定の割引を除いた通常価格」と明記しており、実際の請求額はキャンペーン等で変動しうる
関連
- 解説動画:Qwen3.8-Flash-Next速報(12分)
- Qwen3.8-Max発表の速報記事(2026年8月)
- Qwen4とは──雲栖大会で「Coming Soon」として出た次世代モデルの現在地
- 中国AIモデルまとめ【2026年9月版】──DeepSeek・Qwen・Kimi・GLMの現行モデルを1つの表で比較
本番APIの提供開始は公式ページで確認できたが、当ラボによる実際の呼び出しと「6Bの実力」の手元検証はまだ行っていない。実施でき次第、続報として追記する。本記事は続報があり次第更新します。
出典・参照資料
- 二次資料Qwen公式ブログ: Qwen3.8-Flash-Next ↗
- 二次資料テックレポート (QwenLM/Qwen3.8-Flash-Next) ↗
- 一次資料Hugging Face: Qwen/Qwen3.8-Flash-Next ↗
- 二次資料ModelScope: Qwen/Qwen3.8-Flash-Next ↗
- 一次資料Alibaba Cloud Model Studio: qwen3.8-flash モデル情報・料金 ↗
- 一次資料QwenCloud: Qwen3.8-Flash(qwen3.8-flash)モデルページ・料金 ↗
- 一次資料Alibaba公式プレスリリース「Alibaba Unveils Roadmap on Full-Stack AI Strategy」(Media OutReach配信・2026年9月22日) ↗
この記事の解説動画
YouTubeで見る ↗大きいニュースはYouTubeでも解説しています。Xでは新着記事をお知らせしています。
コメント
まだコメントはありません。最初のコメントを書いてみませんか?
AIについて聞きたいことはありますか?
質問箱で無料で受け付けています。回答は公開され、他の方の参考にもなります。
質問箱を見る →