NVIDIA、欧州向けにオープンモデル群を一括発表表形式データのKumo(クモ)、量子のIsing(アイジング)、タンパク質設計のRFD4-Proteinaなど7系統
日刊AIニュース10月21日(水)号:前日のAIのニュース18本を短くまとめました(約11分)›
NVIDIAは2026年10月21日、GTC Berlinに合わせ、Nemotron・Retriever・Kumo・Cosmos・Alpamayo 2 Edge・BioNeMo・Isingのオープンモデル群を発表した。RFD4-ProteinaはRFdiffusion3比で約13倍速いと同社が説明し、Alpamayo 2 Edgeは今月後半に公開予定とした。

目次
NVIDIAは2026年10月21日(現地。日本時間では同日19時ごろに公式ブログが公開)、欧州で開いたGTC Berlinに合わせて、言語・検索・表形式データ・ロボット・自動運転・生物・量子の7系統にわたるオープンモデルを発表した。公式ブログ「NVIDIA Open Models Advance Europe’s Sovereign Intelligence Across Industries」(執筆はKari Briski氏)によると、地域の言語や産業に合わせたアプリを作るための基盤で、各社が自分のデータで調整し、自分で管理するインフラに置けるとしている。新顔は、構造化データ向けのKumo(クモ)、量子コンピューティング向けのIsing(アイジング)、タンパク質設計のBioNeMo RFD4-Proteina(アールエフディーフォー・プロテイナ)、ロボット学習データを整えるCosmos Data Factory、車載向けのAlpamayo 2 Edge(アルパマヨ)などだ。
3行まとめ
- NVIDIAは2026年10月21日のGTC Berlinで、Nemotron・Nemotron Retriever・Kumo・Cosmos・Alpamayo 2 Edge・BioNeMo・Isingの7系統のオープンモデル群を発表した。
- BioNeMo RFD4-Proteinaは、200アミノ酸のタンパク質のベンチマークでRFdiffusion3より約13倍速く設計できると同社が説明。Ising Calibration 1.5はGemini 3.1 Proより3.27%良いと同社ページに記載がある。
- 多くは提供中だが、Nemotron 3.5 Bolt E4B 4GBは10月23日、Alpamayo 2 Edgeは「今月後半」に公開予定。
本記事の内容は、日本時間10月21日19時台に公式ページで確認したものです。
今回、何が発表されたのか
発表ブログは、今回のポートフォリオを次の顔ぶれで挙げている。
| 系統 | NVIDIAの説明 | 入手先(発表ブログの記載) |
|---|---|---|
| Nemotron 3.5 Super VL / Bolt | 言語モデル。画像とテキストに対応 | Super VLは提供中。Bolt E4B 4GBは10月23日(金)の見込み |
| Nemotron Retriever | 埋め込み、リランキング、文書解析 | Hugging Face、パートナー各社、build.nvidia.comのNIM |
| Kumo | 構造化データの予測用 | Hugging Face、build.nvidia.comのNIM |
| Cosmos(3.5世代のワールドモデル) | 物理世界を理解するオープンなワールドモデル | Hugging Face、GitHub、一部の推論パートナー |
| Alpamayo 2 Edge | 車載向けの小型推論モデル | 今月後半にGitHubとHugging Faceで公開予定 |
| BioNeMo RFD4-Proteina | タンパク質設計 | build.nvidia.com、GitHub、Hugging Face |
| Ising | 量子コンピューティング向け | GitHub、Hugging Face、build.nvidia.com |
以下、新しい発表を中心に、読者の疑問が多そうな順に見ていく。Nemotron 3.5 Super VLについては発売時の別記事があるので、そちらを参照してほしい(Nemotron 3.5 Super VLの公開を伝えた記事)。
Kumoは何をするモデルか
発表ブログによると、NVIDIA Kumoは、構造化された業務データから「結果を予測する」「不正リスクをスコアにする」「次の行動を推薦する」ためのオープンな基盤モデル・ライブラリ・ツールだ。NVIDIA Agent Knowledge Foundationの一部で、タスクごとに別の機械学習パイプラインを作る手間とコストを減らす、と説明している。
構成は2つある。
- Kumo Structured: リレーショナル/表形式データの予測、時系列予測、異常検知向けのモデル
- Kumo Engine: 構造化データ向け基盤モデルを開発・運用するためのオープンなライブラリ群
使い方としては、学習済みのKumoモデルをまず適用し、性能が必要な場面では自社データで微調整する、という流れが書かれている。最初に使う企業として、Cognite、Coinbase、Databricks、DoorDash、Revolut、Tubiの名前が挙がり、Snowflakeの顧客は広告、エネルギー、金融、小売でKumoモデルをすでに使っているとある。
量子向けIsing、タンパク質設計のRFD4-Proteina
Isingは、量子コンピューターの校正から誤り訂正までを対象にするオープンモデル群だ。NVIDIAの開発者ページは、モデル群・学習フレームワーク・クックブックの組み合わせと説明している。ページに載っている主なモデルと、NVIDIAの数字は次のとおり。
| モデル | ページ上の説明(NVIDIA) |
|---|---|
| Ising Calibration 1.5 | Gemini 3.1 Proより3.27%、Claude Opus 4.6より9.68%、GPT 5.4より14.5%良い |
| Ising Decoder SurfaceCode 1 Fast | d=13、p=0.003でPyMatchingより2.5倍低遅延、精度は1.1倍 |
| Ising Decoder ColorCode 1 Fast | d=31、p=0.003でChromobiusより7倍低遅延、精度は347倍 |
取得した本文のこの箇所には、Calibration 1.5の「良い」が何の指標の差なのかは書かれていない。ページには評価用のQCalEvalベンチマークと論文へのリンクがあるが、中身は読んでいないので、数字は同社の主張として受け取ってほしい。
発表ブログでは、IQM Quantum Computersが量子プロセッサの校正にIsingを使い、SEEQCがNVQLinkとIsingを組み合わせてリアルタイムの誤り訂正の低遅延要件を満たそうとしているとある。AWSはAWS Parallel Computing Service(AWS PCS)にIsingを統合した。ブログはこの統合を、量子プロセッサの近くの古典コンピューターで行うのが普通のデコードについて、導入前に研究者が試せるようにするためのものと位置づけている。
BioNeMo RFD4-Proteinaは、NVIDIAとワシントン大学Institute for Protein DesignのBaker Labによるオープンなタンパク質設計モデルだ。配列と3次元構造を生成し、難しい標的に結合するタンパク質、複雑な構造に組み上がるタンパク質、低分子に結合するタンパク質の設計を助けるという。ブログは、10を超えるタンパク質設計タスクで上位の性能(原文は「leading performance」)を示し、200アミノ酸のタンパク質のベンチマークではRFdiffusion3より約13倍速く設計を生成すると書いている。「約13倍」は同社の記載で、比較条件はこのブログに書かれた範囲しか確認していない。
ロボットと自動運転向け
Cosmosは、ロボット、自動運転車、ビジョンエージェントが物理世界を理解するためのオープンなワールドモデル群だ。今回の追加として、少ない計算量でワールドモデルを改善するポストトレーニング・最適化ツール、運転やロボット操作を実機に先立って評価するシミュレーション用チェックポイント、そしてCosmos Data Factoryが挙がった。
Cosmos Data Factoryは「ブループリントとコアのエージェントスキル」で、運転シナリオ、製品の欠陥、画像拡張、イベント生成の訓練データを、整理・ラベル付け・生成・評価するためのもの。エージェントが工程を調整し、ワークフロー全体でも個別の機能だけでも使えると説明している。使っている例として、Porsche(Voxel51と)、ANYbotics(Encordと)、ZalandoとCEVA Logistics(Sereactと)、Siemensの名前がある。
Alpamayo 2 Edgeは、車両の中でシーン理解と動作計画をリアルタイムで行う小型の推論モデルだ。Cosmos 3 EdgeのNemotronベースの基盤の上に作られ、NVIDIA DRIVE AGX Thorに最適化されているという。公開は「今月後半」にGitHubとHugging Faceで、とあるので、発表時点ではまだダウンロードできない書き方だ。
誰がいつから使えるのか、日本では
ブログの「Availability」の節の書き方で、公開済みか予定かを分けると次のようになる。
- 提供中の書き方: Nemotron 3.5 Super VL、Nemotron Retriever、Kumo、Cosmos、RFD4-Proteina、Ising
- 予定: Nemotron 3.5 Bolt E4B 4GBは10月23日(金)の見込み。Alpamayo 2 Edgeは今月後半
料金やライセンスの条件については、取得した発表ブログ・Nemotronのブログ・Isingのページに該当する記載を見つけられなかった(「price」「license」で検索して一致なし。Isingのページには「利用規約(terms of service)に従って使う」という一文と、発表ブログには規約ページへのリンクがあるだけ)。日本での提供や日本語対応についても、今回確認した3ページには記載がない。入手先がHugging FaceやGitHubなど世界向けの配布先であることは書かれているので、公開されたものは取得できるはずだが、利用条件は配布ページで確認する必要がある。
前の発表と何が違うのか
10月15日の公式ブログで、NVIDIAはNemotron 3.5 Super VLと、エッジ向けのBolt 74B-A9B 24GB、Bolt E4B 4GB(10月23日予定)を出していた。今回の発表はそれに加え、構造化データ(Kumo)、検索(Retriever)、ワールドモデルの学習データ作り(Cosmos Data Factory)、車載(Alpamayo 2 Edge)、生物(RFD4-Proteina)、量子(Ising)へ広げたものだ。同日の別の発表については、すでに記事にしている。
- NVIDIA、DSXで欧州のAIファクトリーの冷却水をほぼゼロにできる設計
- NVIDIA、Vera Rubinのラック設計をAIファクトリー向けコンテナで届ける「DSX POD」
- NVIDIA、AIエージェントを安全に動かす「OpenShell」リファレンスアーキテクチャ
公式ページを開いて気づいた3点
日本時間19時すぎに、発表ブログに付いたリンクを順に開いてみた。確認できたのは、リンク先の返答だけで、モデル自体を動かしてはいない。
- ブログがKumo、Retriever、Cosmosの詳細として張っているページのうち、Kumoの開発者ページ(developer.nvidia.com/agent-knowledge-foundation/kumo)は404、Cosmosのポストトレーニング・ツールの記事(blogs.nvidia.com/blog/cosmos-open-train-evaluate-deploy-world-models)も404、Retrieverのブログ(Hugging Face)は401を返した。公開直後で、まだ準備中の可能性がある。なお、ブログにはKumo(developer.nvidia.com/topic/ai/agent-knowledge-foundation/kumo/)とCosmos(nvidia.com/en-us/ai/cosmos/)の別のリンクもあるが、こちらは開いていない。そのため、Kumo・Retriever・Cosmosの中身は、発表ブログ本文の記述だけで書いている。
- 同じブログの「Availability」でNemotron 3.5 Super VLの入手先として張られているHugging Face、ModelScope、OpenRouter、build.nvidia.comのリンクは、URLの文字列が「Nemotron-3.5-Lightning」を指していた。本文では「Super VL」と書かれているので、リンクの指し先とは食い違っている。どちらが意図かは確認できていない。モデルを探す際は、名前を確かめたほうがよい。
- 本文は「Cosmos 3.5 world models」とあるのに、Cosmosの入手先リンクとAlpamayo 2 Edgeの説明は「Cosmos 3」の名前になっている。3.5は新世代の呼び名で、Hugging Faceのコレクション名が3のままなのかもしれないが、取得した範囲では断定できない。
今回の発表で、まだ分からないこと
- 数字はすべてNVIDIAの自社主張だ。「約13倍」(RFD4-Proteina)や「3.27%」(Ising Calibration 1.5)などの数字について、第三者の検証は今回確認していない。
- Ising Calibration 1.5の比較相手として挙がっているGemini 3.1 Pro、Claude Opus 4.6、GPT 5.4は、ページに書かれた名前そのままだ。各社の現行の最新モデルとの比較かどうかは、今回の資料からは分からない。
- ブログに出てくる顧客やパートナー(Coinbase、DoorDash、Siemensなど)は、「使っている」「作業を進めている」という書き方で、導入規模や成果の数値は載っていない。
- Nemotron Retriever、Kumoのモデルサイズやベンチマーク、Cosmos Data Factoryの具体的な性能は、取得できた範囲には書かれていない。個別ページが開いた段階で追記する。
出典と確認時刻
確認は日本時間2026年10月21日19時2分〜19時3分に行った。
- NVIDIA Open Models Advance Europe’s Sovereign Intelligence Across Industries(NVIDIA Blog)
- Open From Data Center to Desktop: NVIDIA Expands Nemotron Family With Highest Efficiency Super VL and Bolt Models(NVIDIA Blog)
- NVIDIA Ising(NVIDIA Developer)
本記事は続報があり次第更新します。
この記事でよく聞かれること
- NVIDIA Kumo(クモ)とは何ですか?
- NVIDIAの発表によると、Kumoは表形式・リレーショナルな業務データから、結果の予測、不正リスクのスコア付け、推奨アクションの提示を行うためのオープンな基盤モデルとライブラリです。リレーショナル・表形式の予測、時系列予測、異常検知向けモデルを含む「Kumo Structured」と、基盤モデルの開発・運用向けライブラリ群「Kumo Engine」で構成されます。Hugging Faceで公開され、build.nvidia.comではNIMマイクロサービスとして提供されると書かれています。
- NVIDIA Isingとは何で、どこから入手できますか?
- NVIDIA Isingは、量子コンピューティング向けのAIモデル群・学習フレームワーク・クックブックです。NVIDIAの開発者ページには、量子校正用の視覚言語モデル「Ising Calibration 1.5」と、表面符号・カラーコード向けの誤り訂正デコーダーが載っています。発表ブログによると、GitHub、Hugging Face、build.nvidia.comで入手できます。
- 今回の発表で、すでに使えるモデルと、まだ使えないモデルはどれですか?
- 発表ブログの「Availability」の節によると、Nemotron 3.5 Super VL、Nemotron Retriever、Kumo、Cosmos、RFD4-Proteina、Isingは提供中の書き方です。Nemotron 3.5 Bolt E4B 4GBは10月23日(金)の見込み、Alpamayo 2 Edgeは「今月後半」にGitHubとHugging Faceで公開予定とされています。
- 日本からも使えますか?
- 今回確認した公式ページ(発表ブログ、Nemotronのブログ、Isingのページ)には、日本での提供可否や日本語対応を述べた記述はありません。モデルの入手先はHugging FaceやGitHubなどと書かれているため、公開された配布先から取得できる形ですが、利用条件の詳細は各配布ページで確認が必要です。
出典・参照資料
- 一次資料NVIDIA Open Models Advance Europe’s Sovereign Intelligence Across Industries — NVIDIA Blog 公式 ↗
- 一次資料Open From Data Center to Desktop: NVIDIA Expands Nemotron Family With Highest Efficiency Super VL and Bolt Models — NVIDIA Blog 公式 ↗
- 一次資料NVIDIA Ising — AI for Quantum Computing — NVIDIA Developer 公式 ↗
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