Microsoft AI、セキュリティ特化モデル MAI Cyber 1.1 Flash を MDASH で公開性能は前版並みで1スキャンのコストが18%減と発表
日刊AIニュース10月27日(火)号:前日のAIのニュース12本を短くまとめました(約8分)›
Microsoft AIは2026年10月27日、脆弱性スキャン基盤 MDASH 向けのセキュリティ特化モデル MAI Cyber 1.1 Flash を発表した。社内評価で MAI Cyber 1 Flash と同等の性能のまま、1スキャンあたりのコストが18%低いとしている。提供先は認証済みの MDASH 顧客。

目次
Microsoft AI は現地時間2026年10月27日(日本時間28日午前0時)、脆弱性スキャン基盤 MDASH 向けのセキュリティ特化モデル「MAI Cyber 1.1 Flash(マイ・サイバー 1.1 フラッシュ)」を発表した。同社の公式ブログによると、社内の MDASH 脆弱性スキャン評価で、前版の MAI Cyber 1 Flash と同等の性能のまま、1スキャンあたりのコストが18%低い。提供先は、MDASH を通じた認証済みの顧客に限られる。
3行まとめ
- Microsoft AI が10月27日、セキュリティ特化モデル MAI Cyber 1.1 Flash を MDASH で提供開始。前版 MAI Cyber 1 Flash と同等の性能で、1スキャンのコストは18%減(社内評価、同社発表)
- MDASH の全スキャンのうち MAI Cyber は50%近くを占め、数百社・数千件超のスキャンがあると同社。MAI Cyber 1 Flash のプロファイルで最初のスキャンを走らせた後は、その後のスキャンの10件中9件近くが MAI プロファイルを使うという
- 使えるのは認証済みの MDASH 顧客。既存顧客は新規スキャン開始時にプロファイルを選び、新規は申請フォームから。料金表と日本での提供は、今回確認した公式ページに記載なし
本記事の内容は、日本時間10月28日0時台(0時30分〜31分)に公式ページで確認したものです。
何が出たのか:MDASH の中で動く「1.1」
発表の中心は、MDASH(Microsoft の脆弱性発見・修正のためのマルチエージェント基盤)の中で MAI Cyber 1.1 Flash が使えるようになったことです。公式ブログの冒頭は、1.1 Flash が「MAI Cyber 1 Flash と同等の性能を、社内の MDASH 脆弱性スキャン評価で1スキャンあたり18%安く」出すと説明しています。
Microsoft AI は 1.1 Flash を「より焦点を絞ったモデルで、より多くの作業をモデル自身が引き受ける」ものだと書いています。目的は個々のモデルを安く動かすことよりも、「性能を保ったまま脆弱性発見のシステム全体を効率化する」ことだとしています。
性能とコストについての数字は1つだけです。「18%減」という相対値で、比較の土台は「社内の製品評価セット」上の同じ MDASH 評価スイートです。ブログには、1.1 Flash 単体の点数やベンチマーク名、1スキャンの金額は載っていません。
前の MAI Cyber 1 Flash は何だったのか
前版は2026年8月13日の発表(Mustafa Suleyman 氏と Hayete Gallot 氏の連名)で出ました。同記事によると、MAI-Cyber-1-Flash は MAI-Thinking-1 の系統から作られた、コード寄りの小型セキュリティモデルです。MDASH がタスクの最大9割をこのモデルで処理し、特に難しい1割に大きなモデル(この例では GPT-5.4)を使う設計だと説明されていました。
この8月の記事には、次の数字もあります。いずれも前版についての同社の主張で、今回の1.1 Flash の数字ではありません。
| 項目 | 8月13日の記事(MAI-Cyber-1-Flash、同社発表) |
|---|---|
| CyberGym のスコア | 96%(any-crash の指標) |
| 同記事の補足 | Target(Any-of)は90.4%、リーダーボード掲載の final-submission は86.3% |
| コスト | MDASH 内の既存の最良構成(GPT 5.4 + 5.4 mini + 5.3 codex)に対し50%の節約 |
CyberGym のスコアは指標によって96%、90.4%、86.3%と開きがあり、8月の記事自体がその区別を注記しています。1.1 Flash のページには CyberGym の記載がないため、「前版並み」を CyberGym の数字で言い換えることはできません。
誰が使えて、どう始めるのか
公式ブログの「Try it now」には3つの入口が書かれています。
| 立場 | 手順(公式ブログの記載) |
|---|---|
| 既存の MDASH 顧客 | 新しいスキャンを始めるときに MAI Cyber 1.1 Flash のプロファイルを選ぶ |
| MDASH が初めて | ページ内の「here」リンクからアクセスを申請する |
| 詳しく知りたい | MAI Cyber 1 Flash の記事と「model page」を読む |
提供は MDASH を通じて「verified customers(認証済みの顧客)」に対して行われ、同社は「明確な利用ポリシーと継続的な監視を含む安全策」があるとしています。誰でも登録してすぐ使える一般公開ではない、という位置づけです。
どれくらい使われているのか
ブログは「顧客の勢い」として2つの数字を挙げています。いずれも Microsoft AI の自己申告です。
- MAI Cyber 1 Flash のプロファイルで最初のスキャンを実行した後は、その後のスキャンの「ほぼ10件中9件」が、OpenAI のみのモデルプロファイルではなく MAI プロファイルを使う
- これまでのところ、MAI Cyber は MDASH の全スキャンの50%近くを占め、数百社の顧客による数千件を超えるスキャンがある(原文は "over thousands of scans from hundreds of customers")
ブログから読み取れるのは、選択肢に「OpenAIのみ」のプロファイルがあることまでです。他の選択肢の内訳や、スキャンの規模・種類の分布は書かれていません。
前と何が変わったのか
| MAI Cyber 1 Flash | MAI Cyber 1.1 Flash | |
|---|---|---|
| 発表日 | 2026年8月13日 | 2026年10月27日 |
| 性能 | CyberGym 96%(any-crash)など(同社発表) | 1 Flash と同等(社内評価、同社発表) |
| コスト | 既存の最良構成比で50%減(同社発表) | 1 Flash 比で1スキャン18%減(社内評価、同社発表) |
| 提供 | MDASH 内 | MDASH を通じて認証済みの顧客に |
両者のコスト削減は基準が違います。前版の50%は GPT 系の既存構成との比較、1.1 の18%は前版との比較で、評価の条件が同じだとも書かれていません。2つの数字を単純に足したり掛けたりはできません。
取得したページから言えたこと
日本時間0時30分台に取得した公式ページは英語(ページ下部の表示は English (United States))で、本文に日本語版への案内や日本向けの申請窓口の記載はありませんでした。私は MDASH にも MAI Cyber にもアクセス権がなく、モデルを動かしてはいません。ここで書いているのは、取得した2本のブログ記事の記載です。
もう1点、ページの作りに関する観測があります。本文の「model page」というリンクの先は、通常のウェブページではなく「MAI-Cyber-1.1-Flash ORA Model Card.pdf」というPDFでした。取得自体は HTTP 200 で成功しましたが、PDF から文字を取り出せなかったため、内容は確認していません。評価の詳細やモデルの制限は、このモデルカードに書かれている可能性があります。
まだ分からないこと
今回確認した公式ページ(発表記事)の範囲では、次の点が分かりません。
- 料金: 単価や月額、スキャン1回あたりの金額の記載はありません。18%は相対値のみです
- 日本を含む提供地域: 地域や言語、日本での利用可否への言及はありません。認証済み顧客に限るという条件だけが書かれています
- 1.1 Flash 単体の評価値: ベンチマーク名や点数は発表記事にありません。比較は「社内の MDASH 評価スイート」と「社内の製品評価セット」で、第三者が再現できる形では示されていません
- 「同等の性能」の幅: どの指標で、どの程度の誤差で同等なのかは書かれていません
- 1 Flash の今後: 1 Flash が引き続き選べるのか、置き換わるのかは、発表記事からは分かりません
Microsoft AI が示した性能・コスト・利用状況の数字はすべて同社の発表で、独立した検証は今回確認できていません。
確認した出典と時刻
- MAI Cyber 1.1 Flash: Sharper findings and fewer tokens inside MDASH(Microsoft AI、2026年10月27日): https://microsoft.ai/news/mai-cyber-1-1-flash/ (日本時間 2026年10月28日 0:30 取得)
- Introducing MAI-Cyber-1-Flash inside MDASH(Microsoft AI、2026年8月13日): https://microsoft.ai/news/introducing-mai-cyber-1-flash-inside-mdash/ (同 0:31 取得)
- MAI-Cyber-1.1-Flash ORA Model Card(PDF。取得はできたが文字を抽出できず、内容は未確認): https://microsoft.ai/pdf/MAI-Cyber-1.1-Flash%20ORA%20Model%20Card.pdf
本記事は続報があり次第更新します。
この記事でよく聞かれること
- MAI Cyber 1.1 Flash とは何ですか?
- Microsoft AI が2026年10月27日に発表した、脆弱性の発見に使うセキュリティ特化モデルです。同社の脆弱性スキャン基盤 MDASH の中で使います。Microsoft AI によると、社内の MDASH 脆弱性スキャン評価で MAI Cyber 1 Flash と同等の性能を保ちつつ、1スキャンあたりのコストが18%低いとされています。
- MAI Cyber 1.1 Flash は誰でも使えますか?
- いいえ。Microsoft AI の発表では、MDASH を通じて認証済み(verified)の顧客に提供され、利用ポリシーと継続的な監視による安全策が付くとされています。既存の MDASH 顧客は新しいスキャンを始めるときに MAI Cyber 1.1 Flash のプロファイルを選びます。新規の場合は公式ページのフォームからアクセスを申請します。
- MAI Cyber 1.1 Flash の料金はいくらですか?
- 今回取得した公式ページ(発表記事)には、料金表や単価の記載はありませんでした。書かれているのは、社内評価で1スキャンあたりのコストが MAI Cyber 1 Flash より18%低いという相対値だけです。
- MAI Cyber 1 Flash と何が違いますか?
- Microsoft AI は、性能は同等のまま1スキャンのコストを18%下げたモデルだと説明しています。同社は1.1 Flash を、より焦点を絞り、モデル自身が作業の多くを担うことで、MDASH 全体が低コストで有用な発見を出せるようにするものと位置づけています。
出典・参照資料
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