Gemini 4 Carbon(ジェミニ4 カーボン)発表公式の表でOpus 5.5を16項目中14項目で上回る。ただし提供はサイバー防御者に限定
日刊AIニュース10月27日(火)号:前日のAIのニュース12本を短くまとめました(約8分)›
Google DeepMindは2026年10月28日、新しい最上位モデル「Gemini 4 Carbon」を発表した。同社の評価の表では、Claude Opus 5.5の点がある16項目のうち14項目で上回り、総合指数は59で1位(Opus 5.5は58)。提供はまず一部のサイバー防御者に限られる。導入価格は100万トークンあたり入力$2・出力$10。

目次
Google DeepMindは現地時間2026年10月28日(公式ページの公開時刻は日本時間29日午前2時)、新しい最上位モデル「Gemini 4 Carbon(ジェミニ4 カーボン)」を発表した。同社は「サイバーセキュリティと長時間タスクで最先端の性能を持つ、最も強いモデル」と説明している。提供は限定的で、今週から一部のサイバー防御者に出し、パートナー向けの枠組み「Fairwind Program」を通じて段階的に広げるという。開発者・企業・一般向けの提供日は書かれていない。
3行まとめ
- Google DeepMindがGemini 4 Carbonを発表。同社の評価の表では、Claude Opus 5.5の点がある16項目のうち14項目で上回った(負けはOSWorld-2.1とFrontierSWE 2)。サイバー防御の3ベンチも首位と同社が示す
- 提供は今週から一部のサイバー防御者に限定。開発者・企業・一般向けは「できるだけ早く」とだけ記載
- 導入価格は100万トークンあたり入力$2・出力$10でArgonと同じ。導入期間後は$4・$20と脚注に記載
本記事の内容は、日本時間10月29日2時台に公式ページで確認したものです。この発表は動画でも解説しました(本ページ上部の動画)。
Claude Opus 5.5・GPT-6 Astraとの比較(公式の評価の表)
Googleの公式ブログには、Carbon・Argon・GPT-6 Astra・Claude Opus 5.5・Claude Fable 5.1の5つを並べた評価の表が載っている。下は表の画像そのもの。

表からCarbonとOpus 5.5の点を抜き出した。Opus 5.5の点が載っているのは16項目(SEC-bench ProはOpus 5.5の欄が「—」)で、そのうち14項目でCarbonが上だった。数え方は筆者による。
| 項目 | Carbon | Opus 5.5 | 上回ったのは |
|---|---|---|---|
| AA Index v5.0 | 59 | 58 | Carbon |
| Vals Index v2.2 | 70.4% | 70.2% | Carbon |
| SWE-sweep | 9.6% | 3.6% | Carbon |
| FrontierSWE 2 | 61.2% | 62.3% | Opus 5.5(1位はAstraの65.5%) |
| Terminal-Bench 4.0 (AA) | 65.2% | 59.6% | Carbon |
| Agents' Last Exam v1.1 | 77.4% | 71.6% | Carbon |
| OSWorld-2.1(Offline subset) | 81.5% | 87.2% | Opus 5.5 |
| AutomationBench(Zapier) | 53.9% | 42.5% | Carbon |
| Vending-Bench 2(残高) | $16,484 | $9,235 | Carbon |
| Chartography | 72.5% | 66.3% | Carbon |
| Blueprint-Bench 2 | 58.6% | 51.2% | Carbon |
| GraphWalks(256k〜1M) | 96.2% | 66.8% | Carbon |
| RiemannBench | 80.0% | 69.6% | Carbon |
| Terminal-Bench-Science 0.1 (AA) | 64.8% | 59.0% | Carbon |
| CWE-bench | 71.0% | 67.0% | Carbon |
| ExploitGym | 54.8% | 34.5% | Carbon |
差が大きいのは長い文章のGraphWalks(約30ポイント)とExploitGym(約20ポイント)。ただしExploitGymは、公式のグラフを見ると条件がそろっていない。Carbonの54.8%は1問あたり10時間までの条件で、Opus 5.5の34.5%は6時間までの条件だ。同じ6時間で比べるとCarbonは53.5%で、それでも差は約19ポイントある。一方、総合のAA Indexは1点差、Vals Indexは0.2ポイント差で、ほぼ並んでいる。GPT-6 Astraとの比較では、AstraがCarbonを上回ったのはFrontierSWE 2の1項目だけだった(表の灰色のセル)。
2週間前のArgonからは、AA Indexが50から59、GraphWalksが84.2%から96.2%、ExploitGymが42.0%から54.8%に上がっている。
何が新しいモデルなのか
発表者はGoogle DeepMindのKoray Kavukcuoglu氏(SVP、Chief AI Architect)。公式ブログは、Carbonを2週間前に出したGemini 4 Argonの次のモデルと位置づけている。Argonについては、当サイトのGemini 4 Argonの一般提供と価格の記事を参照してほしい。
同社が示している主な数字は次のとおり。いずれも発表側の主張で、本記事では再現していない。
| 項目 | 同社が示す数字 | 同社の説明 |
|---|---|---|
| Artificial Analysis Intelligence Index(v5.0) | 59で1位 | 「最近更新されたv5.0」で首位と記載 |
| SEC-bench Pro | 88.2% | 脆弱性を見つける課題。「state-of-the-art」 |
| ExploitGym | 54.8% | 悪用(エクスプロイト)できるかの検証。「new state-of-the-art」 |
| CWE-bench(Collinear) | 71.0% | 根本原因を直すパッチの生成 |
| WebDev Arena | 1769で4位(+89 elo) | Web開発の出来栄え |



外部ベンチマークは「ガードレールなしで評価した」と書かれている。つまり、限定提供のモデルに安全対策をかけた状態の数字ではない。
そのほか発表には、次の社内評価やパートナーの声がある。
- 社内ベンチマークで、安全なコードの生成成功率がArgonの2倍超
- Chromeチームの報告として、高品質なパッチの生成で、別の研究機関の大型フロンティアモデルより10倍超良い結果だった
- Wizが、Web侵入テストのベンチマークでCarbonが首位だと観測した
比べた「別の研究機関のモデル」が何を指すかは、取得したページに書かれていない。
長時間タスクについて、何が書かれているか
発表では、Carbonは「はるかに難しい長時間のエンジニアリング課題」向けだとされる。同社の社内チームでは、Carbonが数日間走り続け、行き詰まりを越えながら、大規模コードベースや低レベルのシステムに潜む微妙なバグの原因特定とパッチ適用を行ったという。これは社内での観察で、外部の検証は示されていない。
安全面で同社が示した数字
CarbonはArgonと同じ多層の安全・セキュリティの仕組み(モデル訓練、リアルタイムの悪用対策、プロンプトインジェクション耐性、思考過程の監視)の上に作られたと説明されている。Argonの安全面はArgonの安全・セキュリティ報告の記事で扱った。Carbonについて同社が挙げた点は次のとおり。
| 観点 | 同社の記載 |
|---|---|
| ズル(近道・抜け穴)の悪用 | Terminal-Bench 4.0で成功したズルが0.0%、試みは0.4%。全体の精度も向上 |
| 重大な不整合の警告 | 社内の実コーディング環境で、重大度の高い不整合の警告が80%近く減 |
| 根拠のない主張 | 社内テストでArgon比約2分の1 |
| 越権と不足 | 越権が26%減、依頼への不足対応が29%減 |
| 間接プロンプトインジェクション(Gray Swan) | 攻撃成功率0.0%(Argonは0.7%) |

「0.0%」は、評価した攻撃のすべてを防げたという意味で、同社自身が「evaluated attack attempt」に限った表現にしている。あらゆる攻撃を防げるという意味ではない。
誰がいつから使えるのか
発表によると、提供は次の順になる。
- 今週から、一部のサイバー防御者に提供する
- Fairwind Programを通じて、信頼できるパートナーに段階的に広げる
- ガードレールの調整が済み次第、開発者・企業・一般向けに製品経由で出す(時期は「できるだけ早く」)
同社は、公開前のモデル試験に関する米国政府の自発的な枠組みに「積極的に参加している」とも書いている。試験結果や承認が出たという記述は、今回確認したページにはなかった。
Fairwind Programの公式ページによると、対象は政府・国のサイバー当局、重要インフラの運営者(医療、通信、エネルギー、金融)、広く使われるソフトウェアの基盤を担う企業で、同社が申請した組織の身元調査を行う。参加組織はユーザー単位の認証やフィッシング耐性のあるMFAなどに同意し、許されるのは防御・学術研究目的の脅威シミュレーション、リバースエンジニアリング、マルウェア分析などのデュアルユース作業に限られる。マルウェアの作成は認められない。学術機関は、防御側のベンチマークに取り組む研究室なら申請できる。パートナーは世界で650超とされている。
日本の読者はどうなるのか
今回確認した公式ページ2つには、日本を含む提供地域の記載がなかった(Grepで「Japan」を検索し、該当は言語切り替えの「日本 (日本語)」だけだった)。Fairwindは申請制なので、日本の組織が対象になるかは、申請して審査を受けるまでわからない。一般の開発者がAPIで試せるのは、同社の言う「製品経由の提供」が始まってからになる。
料金は?
| 項目 | 価格(100万トークンあたり) |
|---|---|
| 入力(導入価格) | $2 |
| 出力(導入価格) | $10 |
| キャッシュ済み入力 | 入力価格の95%引き |
| 導入期間後の入力 | $4 |
| 導入期間後の出力 | $20 |
導入価格はArgonと同じと明記されている。導入期間がいつ終わるかは、今回取得したページに書かれていない。また現在は限定提供なので、この価格で誰でも買えるわけではない。
前のArgonと何が違うのか
公式ブログが、ArgonとCarbonの差として挙げているのは、サイバー防御の成功率(安全なコード生成で2倍超)、ズルの減少、根拠のない主張の減少、プロンプトインジェクション耐性(0.7%から0.0%)、WebDev Arenaの+89 elo、の各点だ。価格は同じ。一方、提供の広さは異なる。Carbonは当面、一部のサイバー防御者への限定提供だ。Argonの提供範囲は、当サイトの一般提供の記事にまとめている。
公式ページを見比べて気づいたこと
日本時間29日2時台に、ブログとFairwind Programのページを続けて取得して見比べた。ブログはCarbonをFairwindで段階的に広げると書いているが、同じ時点のFairwindのページは、技術の項で「Gemini 4 Argon」への独占アクセスを説明しており、Carbonという語は1か所も出てこなかった(Grepで確認)。ページがまだ更新されていないだけかもしれない。申請しようとする組織は、いまのFairwindのページが案内する対象がArgonであることに注意したい。
まだわからないこと
- 開発者・企業・一般向けの提供日、提供地域、利用できる製品(今回確認した公式ページには記載なし)
- 導入価格の終了日
- 米国政府の試験枠組みでの結果。参加しているという記載のみ
- 各ベンチマークの数字はすべて同社の掲載で、第三者の再現は確認していない。Artificial Analysisの1位も、同社の記述を引いたものだ
- 筆者はCarbonを使っておらず、性能は試していない
確認した公式ページ
- Google「Gemini 4 Carbon: our next frontier model」(2026年10月28日・評価の表とグラフ): https://blog.google/innovation-and-ai/models-and-research/gemini-models/introducing-gemini-4-carbon/
- Google DeepMind「Gemini 4 Carbon: our next frontier model」(2026年10月28日): https://deepmind.google/blog/gemini-4-carbon-our-next-frontier-model/
- Google DeepMind「Fairwind Program」: https://deepmind.google/fairwind-program/
いずれも日本時間2026年10月29日2時台(ブログ2:04、Fairwind 2:05)に取得して確認した。本記事は続報があり次第更新します。
Geminiの最近の変更
- 10月22日新機能:Vaultで「Workspace内のGemini」の会話を書き出し
- 10月22日新機能:Meetの音声翻訳が63言語・言語の自動検出に順次対応
- 10月19日新機能:スプレッドシートのGeminiでBigQueryのデータを分析
この記事でよく聞かれること
- Gemini 4 Carbonとは何ですか?
- Google DeepMindが2026年10月28日に発表した新しい最上位モデルです。同社は「サイバーセキュリティと長時間タスク(long horizon)で最先端の性能を持つ、最も強いモデル」と説明しています。2週間前に出したGemini 4 Argonの次のモデルにあたります。
- Gemini 4 Carbonはいま誰でも使えますか?
- 使えません。同社の発表によると、今週から一部のサイバー防御者に提供し、Fairwind Programを通じて信頼できるパートナーに段階的に広げます。開発者・企業・一般向けの提供は「できるだけ早く」とされるだけで、日付は書かれていません。
- Gemini 4 Carbonの料金はいくらですか?
- 発表によると、導入価格はArgonと同じ入力100万トークンあたり$2、出力$10です。キャッシュされた入力トークンは入力価格の95%引きです。導入期間が終わると入力$4・出力$20になると脚注に書かれています。導入期間がいつ終わるかは、今回確認したページには書かれていません。
- 日本でGemini 4 Carbonは使えますか?
- 今回確認した公式ページには、日本を含む提供地域の記載がありません。現時点の提供先は一部のサイバー防御者に限られ、Fairwind Programは申請して審査を受ける仕組みです。
出典・参照資料
この記事の解説動画
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