Gemini 3.8 Liveと3.8 Live Extended Thinking公開──話しながら裏で考えて道具を動かす音声モデル、Artificial Analysisの音声対話指数で首位、音声は1分あたり入力$0.005・出力$0.018
Googleが2026年9月15日、音声対話(speech-to-speech)モデルのGemini 3.8 Liveと、裏で長く考える3.8 Live Extended Thinkingを公開した。会話を止めずにツールやAPIを非同期で実行し、97言語を会話の途中で自動で切り替える。Extended ThinkingはArtificial AnalysisのSpeech to Speech Index 82.6で首位(当サイトが9月17日に同サイトの表で確認。2位はOpenAIのGPT-Live-1 Astra設定81.5)。価格は音声入力$0.005/分・音声出力$0.018/分(100万トークンあたり$3/$12からの換算値)。APIでは前世代からthinking_levelが使えなくなり、感情対話は削除、能動的発話は常時オンに変わる。

目次
2026年9月17日・日本時間時点の情報です。 Googleが9月15日(米国時間)、音声で対話するモデルを2つ公開した。Gemini 3.8 Live(速さと費用向け)とGemini 3.8 Live Extended Thinking(裏で長く考える向け)で、どちらも音声を音声で返すspeech-to-speech型。公開から2日たっているが、当サイトはまだ扱っていなかったので、Google公式ブログ2本・APIのモデルページ2本・料金ページと、独立の比較サイトArtificial Analysisの表を突き合わせて整理する。9月2日のテキスト側の新モデルはGemini 3.8 Flash、8月の音声認識専用モデルはGemini 3.5 Transcribe、比較相手になるOpenAI側の音声モデルはGPT-Liveに。
3行まとめ
- 2モデル。 3.8 Liveは「規模と費用効率」向けで、視覚入力をほぼリアルタイムで会話に取り込み、97言語を会話の途中で自動で切り替え、ツールやAPIの呼び出しを会話を続けたまま裏で実行する。3.8 Live Extended Thinkingは複雑な多段階の課題向けで、考えながら同時に話す(「ちょっと確認しますね」と先に言って、進み具合を話しながら裏で作業する)。
- 数字。 Googleの発表では、Extended ThinkingがArtificial AnalysisのSpeech to Speech Quality Indexで82.6の首位、エージェント課題のτ-Voiceで68.6%、Sierraのτ-Voice-bankingで35.1%、Big Bench Audioで97.7%。当サイトが9月17日にArtificial Analysisの表を見ると、指数は82.6で首位、2位はOpenAIのGPT-Live-1(Astra設定)81.5、3位はSpaceXAIのGrok Voice Think Fast 2.0の81.3、無印の3.8 Liveは76.0だった。
- 料金と場所。 APIは音声入力**$0.005/分**・音声出力**$0.018/分**(100万トークンあたり$3/$12からの換算値、と脚注にある)。開発者はGemini APIとAI Studioで今日から。一般向けは3.8 LiveがSearch Live、Extended ThinkingがGemini Liveと、Google AI Pro/Ultra契約者のWorkspace(Docs)・全Google AI契約者のGmail/Keep。APIでは前世代からの変更が5つあり、
thinking_levelが使えなくなり、感情対話の設定は削除、能動的な発話は常時オンになる。
何が出たのか
Google公式ブログの冒頭は、2つのモデルをこう分けている。
Gemini 3.8 Live: Built for scale and cost efficiency, combining conversational intelligence with fluid dialogue and visual grounding. Gemini 3.8 Live Extended Thinking: Built for high-complexity tasks, with increased intelligence and multi-step reasoning.
(Gemini 3.8 Live:規模と費用効率のために作られ、会話の知性と滑らかな対話、視覚的な根拠づけを組み合わせる。Gemini 3.8 Live Extended Thinking:複雑度の高い課題のために作られ、知性と多段階の推論を高めた)
3.8 Liveについてブログが挙げる特徴は3つ。視覚入力をほぼリアルタイムに処理して会話の文脈に足す、対応97言語を会話の途中で自動検出して切り替える、ツールやAPIの呼び出しを会話を続けたまま裏で実行する(依頼を受けたと応じて、雑談を続けながら裏で処理が終わるのを待てる)。デモ動画は、新入社員の研修で画面を見ながら質問に答える、カメラ越しにチェスを指す、の2本。
Extended Thinkingは「推論と発話を同時に行う」と説明されている。「Let me check that…(ちょっと確認しますね)」のような先出しの相づちで依頼を受け止め、多段階の裏作業の進み具合を実況しながら進める。デモは、手描きのスケッチと音声の指示からReactのコンポーネントを作る、複数の予約を非同期の関数呼び出しで段取りする、事業計画とマーケティング資料を話しながら作る、の3本。
公式の数字と、独立指標で見た順位
Googleが本文で出した数字は次のとおり(すべてGoogleの記述)。
| 項目(Googleの記述) | 3.8 Live Extended Thinking | 3.8 Live |
|---|---|---|
| Artificial Analysis Speech to Speech Quality Index | 82.6(首位) | — |
| τ-Voice(エージェント課題の完了率) | 68.6% | — |
| Sierra τ-Voice-banking | 35.1% | — |
| Big Bench Audio(音声での推論) | 97.7% | — |
| Speech Agent Arena(利用者の選好) | — | 2位 |
| ServiceNow EVA-Bench | 「複雑なワークフローでパレート最前線を押し上げた」(Gemini Enterprise Agent PlatformのLive APIで測定、との注記) | 同左 |
当サイトは9月17日にArtificial Analysisのspeech-to-speechのページを取得し、Speech to Speech Indexが付いているモデルを並べ直した。
| 順位 | モデル(設定) | 指数 | 音声推論 | 会話の自然さ | エージェント | Arena Elo | タスク成功率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | Google Gemini 3.8 Live Extended Thinking(High) | 82.6 | 98% | 91.9% | 68.6% | 990 | 89.1% |
| 2 | OpenAI GPT-Live-1(Astra, medium) | 81.5 | 90% | 94.9% | 67.9% | 1048 | 87.4% |
| 3 | SpaceXAI Grok Voice Think Fast 2.0(High) | 81.3 | 97% | 95.1% | 56.5% | 1011 | 94.6% |
| 4 | OpenAI GPT-Live-1(Sol, low) | 80.1 | 89% | 97.3% | 59.3% | 1053 | 90.9% |
| 5 | Google Gemini 3.8 Live | 76.0 | 92% | 96.1% | 30.1% | 1083 | 93.2% |
| 6 | OpenAI GPT-Realtime-2.1(High) | 73.9 | 96% | 95.7% | 45.7% | 928 | 91.5% |
| 7 | Google Gemini 3.1 Flash Live(High) | 71.5 | 97% | 74.3% | 37.7% | 1063 | 71.8% |
指数の首位はGoogleの言うとおりで、2位との差は1.1。列ごとに見ると、Extended Thinkingが頭ひとつ抜けているのは「エージェント」(68.6%。2位のGPT-Live-1 Astra設定が67.9%)で、「会話の自然さ」ではGPT-Live-1(Sol)の97.3%やGrokの95.1%より低い91.9%、Arena Eloは990で、表の7モデルの中ではGPT-Realtime-2.1(928)に次いで低い。無印の3.8 Liveは、会話の自然さ96.1%・タスク成功率93.2%・Elo 1083と会話寄りの列が高く、エージェント列が30.1%と低い。同じ「3.8 Live」でも2モデルの性格は表の上で逆になっている。
なお、Arena Eloの列では前世代のGemini 3.1 Flash Live(Minimal設定)が1096で、3.8 Liveの1083より上にある。Googleが書いた「Speech Agent Arenaで2位」がどの集計を指すかは、ブログに出典の記載が無く、本記事では確かめられていない。
料金──音声は1分$0.005/$0.018、その根拠はトークン単価
開発者向けブログは「音声入力$0.005/分、音声出力$0.018/分」と書き、その脚注に「Estimate based on $3/1M tokens for input and $12/1M tokens for output(入力100万トークン$3・出力100万トークン$12にもとづく見積もり)」とある。料金ページの行は次のとおりで、3.8 Liveと3.8 Live Extended Thinkingと3.1 Flash Live Previewが同じ行にまとめられている。
| 種別(有料枠・100万トークンあたり) | 入力 | 出力(思考トークン込み) |
|---|---|---|
| テキスト | $0.75 | $4.50 |
| 音声 | $3.00(=$0.005/分) | $12.00(=$0.018/分) |
| 画像・動画 | $1.00(=$0.002/分) | — |
無料枠は「Free of charge」。Google検索によるグラウンディングは月5,000リクエストまで無料(Gemini 3.x系で共有)。分あたりの値は換算値なので、実際の請求はトークン数で決まる。
APIの仕様と、3.1 Flash Liveからの5つの変更
モデルページ(9月15日更新)の記載を写す。
| 項目 | gemini-3.8-live | gemini-3.8-live-extended-thinking |
|---|---|---|
| 入力 | テキスト・画像・音声・動画 | 同左 |
| 出力 | テキストと音声(応答は音声。文字起こしは別途有効化) | 同左 |
| 入力トークン上限 | 131,072 | 131,072 |
| 出力トークン上限 | 65,536 | 65,536 |
| 思考 | 対応(interleaved reasoning) | 対応(裏での推論) |
| 関数呼び出し | 対応(非同期が既定・同期も可) | 非同期のみ(同期はエラー) |
| キャッシュ/Batch API/構造化出力 | 非対応 | 非対応 |
| Google検索グラウンディング | 対応 | 対応 |
gemini-3.1-flash-live-previewから移行する人向けに、モデルページは変更点を列挙している。
thinking_levelは使えない。 セッション設定からthinking_level(thinking_config)を外す- 関数呼び出しは非同期(
behavior: NON_BLOCKING)が既定になった。従来の同期はBLOCKINGを明示すれば使える(Extended Thinkingでは同期は不可)。SILENT/WHEN_IDLE/INTERRUPTEDのスケジューリングに対応 - 能動的な発話(proactive audio)は常時オン。
proactive_audio: falseはエラーになる - 感情対話(affective dialogue)はAPIから削除。
enable_affective_dialogの設定を消す - 動画フレームは既定で全部送られる(
TURN_INCLUDES_AUDIO_ACTIVITY_AND_ALL_VIDEO)。文脈と費用を抑えるには必要な時だけ送る
Extended Thinkingにはもう1つ、クライアント側の作りに響く変更がある。turnComplete: trueが「モデルが手すきになった」を意味しなくなり、その後も裏の推論やツール呼び出しの結果(音声フレームやツール呼び出し)が届きうる。サーバーからのinteraction_status(IN_PROGRESS/IDLE)で状態を見る、とモデルページは書いている。
どこで使えるか
公式ブログの末尾にある提供先を、そのまま整理する。
| 3.8 Live | 3.8 Live Extended Thinking | |
|---|---|---|
| 開発者 | Gemini API・Google AI Studio(今日から) | 同左 |
| 企業 | Gemini Enterpriseで非公開プレビュー。Gemini Enterprise for Customer Experienceは「近日」 | 同左+Google Workspaceの法人顧客も「近日」 |
| 一般 | Search Live | Gemini Live、Google AI Pro/Ultra契約者のWorkspace(Docs Live)、全Google AI契約者のGmail Live・Keep Live |
Live APIの統合先として、Agora・Fishjam・LangChain・LiveKit・Pipecat・Vercel・Vision Agentsが挙がっている。導入企業としてSalesforce・Genspark・Lumerisの名前が出ているが、いずれもGoogleのブログに載った表明で、当サイトが確認したものではない。生成した音声にはすべてSynthIDの透かしが入る、ともある。
同じ日の開発者向けブログは、8月に出た音声認識専用のGemini 3.5 Transcribe(85言語以上・単語誤り率はストリーミング4.0%・非ストリーミング2.6%)と、音声翻訳の3.5 Live Translate(70言語以上)、音声合成の3.1 Flash TTS、音楽生成のLyria 3.5を「音声スイート」としてまとめて紹介している。
突き合わせて気づいた3点
公式資料3本と独立指標を並べる中で、筆者が引っかかった箇所を書いておく。
- Big Bench Audioの値がずれる。 Googleのブログは97.7%、Artificial Analysisの表は98%と表示される。同サイトのFAQには97.7%とあるので、表の値は丸めで、食い違いではない
- 「感情対話の削除」はブログに無い。 モデルページの移行ガイドにだけ書かれている。前世代で
enable_affective_dialogを使っていた人は、ブログだけ読むと気づかない - 分あたりの価格は換算値。 「$0.005/分」は分かりやすいが、脚注のとおり100万トークン$3からの見積もりで、請求はトークン数で来る。無音の多い会話と、話し続ける会話で、同じ1分でも請求は変わりうる(この点は筆者の推測で、Googleは換算の前提を書いていない)
声で試していない、日本語の数字が無い
- 筆者は本記事の時点で、2モデルを音声で試していない。会話の自然さや遅延の記述はすべてGoogleとArtificial Analysisの数字による
- Artificial Analysisの表は9月17日取得の値で、同サイトは頻繁に更新される。順位は取得日のもの
- 日本語での対話品質を示す数字は、公式ブログにもArtificial Analysisの表にも無い。言語については、Live APIのドキュメント(capabilitiesページ・2026年9月16日更新)が「99言語に対応」として一覧に**日本語(ja)**を載せている。ブログの「97言語」と一覧の99は数が合わないが、どちらが3.8 Live固有の数かはドキュメントに書かれていない。同じページは、音声のみのセッションは15分・音声+動画は2分が上限(セッション管理で延長可)、ネイティブ音声出力モデルの文脈は12万8千トークン、とも書いている
- Google AI Pro/Ultraでの提供が日本のアカウントでも同日から使えるかは、公式ブログに地域の記載が無く、確認していない
数字の出どころ──Google公式2本・モデルページ2本・Artificial Analysis
- モデルの説明・数字・提供先はGoogle公式ブログ「Introducing Gemini 3.8 Live and 3.8 Live Extended Thinking」(2026年9月15日)と、開発者向けブログ「Build real-time voice applications with Gemini 3.8 Live and 3.5 Transcribe」(同日・価格の脚注つき)による
- 上限・対応機能・移行の変更点はGemini APIのモデルページ2本(最終更新2026年9月15日 UTC)、料金は料金ページ(2026年9月17日取得)
- 独立指標はArtificial Analysisのspeech-to-speechページ(2026年9月17日取得)。表の値は同サイトの表示をそのまま写した
- 本記事は続報があれば更新する。日本語対応の一覧、Gemini Enterpriseの一般提供、外部ベンチの追加は追記予定
関連記事
出典・参照資料
- 一次資料Introducing Gemini 3.8 Live and 3.8 Live Extended Thinking — Google公式ブログ(2026-09-15) ↗
- 一次資料Build real-time voice applications with Gemini 3.8 Live and 3.5 Transcribe — Google開発者向けブログ(2026-09-15・価格の脚注つき) ↗
- 一次資料Gemini 3.8 Live — Gemini API モデルページ(上限・対応機能・3.1 Flash Liveからの移行) ↗
- 一次資料Gemini 3.8 Live Extended Thinking — Gemini API モデルページ ↗
- 一次資料Gemini API 料金ページ(3.8 Live/3.8 Live Extended Thinking の行) ↗
- 一次資料Live API capabilities — Gemini API ドキュメント(対応言語99・セッション上限・2026-09-16更新) ↗
- 二次資料Artificial Analysis: Speech to Speech モデル比較(2026-09-17取得) ↗
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