2026年8月14日 金曜日
AI時短ラボ
活用· 約24

AI動画は1本何回で仕上がるのか──完成5本・参照画像109枚を数え直した

納品した30秒クリップ5本の制作フォルダをファイル単位で数え直しました。参照画像は江戸3本で80枚・アリス2本で29枚の計109枚、手元に残っている動画ファイルは完成5本に対して15本、記録に残る失敗は百鬼夜行の7回とチェシャ猫の4回。さらにHiggsfield・Google・Runwayの公式ドキュメントを2026年8月14日に確認し、failedとnsfwは課金されない一方で「生成は成功したが使えない回」だけが課金されるという、回数と金額のずれを整理しました。

AI動画は1本何回で仕上がるのか──完成5本・参照画像109枚を数え直した
執筆・編集:
目次

動画生成AIで30秒のクリップを1本仕上げるまでに何回生成するのか、という質問に正面から答えようとして、自分の制作フォルダを開いて実際にファイルを数えた。結果は、完成5本(各30秒)に対して手元に残っている動画ファイルが15本、参照画像が109枚、そして「何回落ちたか」を数字で記録できていたのは百鬼夜行の7回とチェシャ猫の4回だけだった。つまり総生成回数は自分でも数えられない。捨てた回のファイルは残らないからである。この記事では、数えられた分だけを出したうえで、回数を金額に変換するときに一番効く区別——課金される失敗と課金されない失敗——を、Higgsfield・Google・Runwayの公式ドキュメント(いずれも2026年8月14日確認)で裏を取りながら整理する。

3行まとめ

  1. 完成5本(30.04〜30.08秒)に対し、制作フォルダに残る動画ファイルは15本、参照画像は江戸80枚+アリス29枚の計109枚。江戸の80枚のうち18枚(22.5%)は本番に載らなかったことがファイル名から特定できた
  2. 「7回落ちた」は財布にはほとんど響かない。Higgsfield公式は "Requests ending as failed or nsfw are not charged." と明記し、Googleも Veo について "You will only be charged if your video is successfully generated." と書く(2026年8月14日確認)。金額を削るのは生成が成功したうえで使えなかった回だけである
  3. Runway APIの料金表(2026年8月14日確認)では seedance2_5 の720pが「30 credits per second of output」、クレジットは "$0.01 per credit"。30秒1回=900クレジット=9.00ドル。同ページで gen4_image は720p 1枚5クレジット=0.05ドルなので、動画1回の撮り直しは参照画像180枚分に相当する

数えられたのは何だったのか

まず、何が実際に手元にあるかを出す。完成クリップは ffprobe で尺を測り直した(2026年8月14日実行)。企画としては5本で、百鬼夜行だけ v1 と v2 の2ファイルが残っている(本編に使ったのは祭囃子を足した v2)。

完成クリップ 実測の尺 題材
江戸①参勤交代 30.080秒 昼の通り・大名行列
江戸②花魁道中 30.042秒 夜の通り・花魁道中
江戸③百鬼夜行(v1) 30.080秒 深夜の通り・妖怪の行列
江戸③百鬼夜行(v2) 30.080秒 同じ設計を作り直した版
アリス①ウサギを追って 30.080秒 落下
アリス②お茶会 30.080秒 着席

同じ企画のアリス2本については、納品フォルダとは別に 15.042秒版と20.064秒版 が残っていた。同じ場面を尺違いで撮り直している。さらに試射用のクリップが7本ある。

保管場所 残っている動画ファイル 内訳
納品フォルダ 6本 江戸4本(百鬼夜行はv1/v2)+アリス30秒版2本
デスクトップ 2本 アリス15.042秒版・20.064秒版
試射フォルダ 7本 ケーキ/ウサギ穴落下/アリス像3案/あべこべ物理/無表情少女
合計 15本 ※画面録画99.068秒は生成物ではないので除外

完成5本に対して残存ファイルは15本。ただしこれは「成功して保存した回」しか数えていない。落ちた回と、出力を見て即座に捨てた回はここに入らない。AI動画の生成回数は、意識して記録しない限り事後には数えられない。

失敗には課金されるものとされないものがある

回数を予算に換算するときに、まず分けなければならないのがここである。制作時の運用メモでは、失敗ジョブを4種類に分けて扱っていた。そのうち公式ドキュメントで扱いを確認できたものを並べる。

失敗の種類 何が起きるか 課金 公式の記載(2026年8月14日確認)
failed 生成が始まらずに終わる されない Higgsfield「Requests ending as failed or nsfw are not charged. If credits were reserved when the request was accepted, they are refunded automatically.」
nsfw モデレーションで弾かれる されない 同上
503 モデルが無効/未準備 ジョブが成立しないため課金対象外 Higgsfield「503 Model is disabled or not ready」(後で再試行)
プラン制限 上位プランが必要 ジョブが成立しない 制作ログでは job_minimum_basic_plan_required を観測。公式ドキュメント側では未確認
completed だが使えない 生成は成功、内容が狙いと違う される Higgsfield「Higgsfield charges successful generation requests using account credits.」

Googleも同じ立て付けで、Gemini Developer API の料金ページには Veo について「You will only be charged if your video is successfully generated.」と書かれている(2026年8月14日確認)。Higgsfieldのリクエストは queued in_progress completed failed nsfw canceled の6状態で、queued の間に取り消せば返金される、というのも同社ドキュメントの記載である。

この区別を自分の制作ログに当てると、印象と金額がはっきりずれる。

  • 百鬼夜行の7回は、参照画像を30枚渡すと生成が始まらずに落ちる種類の失敗だった。枚数を30→22→29→18と変えても、文章量を削っても落ち続けた。原因は枚数でも文章量でもなく、大入道(屋根より高い位置にいる)・おとろし(門の上)・赤舌(雲の中)の3枚が持っている空間が、通りの参照画像と矛盾していたことで、この3体を外して通った。7回すべてが failed 系なので、金額としてはほぼゼロである。
  • 一方、チェシャ猫の4回は毎回ちゃんと猫が出てきた。出てきたのが「ただの猫」か「歯を剥いて唸る猫」だっただけである。5回目に、テニエルの挿絵を参照画像として渡して「口の幾何だけ構造の型として使え」と指定して通った。この4回は completed なので全額課金されている。

体感としては「7回落ちた」ほうが重い事件だったが、財布を削っていたのは4回のほうだった。失敗時の課金条件はサービスごとに書き方が違うので、AI動画の生成に失敗したらクレジットは戻るのかで公式4社の原文を並べてある。

参照画像109枚と、載らなかった18枚

もう一方の実測が参照画像である。フォルダを ls で数えた(2026年8月14日実行)。

フォルダ 枚数 内訳
江戸3本用 80枚 通り9・昼20・夜17・花魁5・妖怪29
アリス2本用 29枚 キャラ9(3人×様式3)・帽子屋の帽子案4・異形4・情景12
合計 109枚 解像度は2688×1520または1520×2688が中心

江戸の80枚のうち、ファイル名から「本番に載らなかった」と特定できるものが18枚あった。

不採用の理由 枚数 具体
通りの候補から1枚選んだ 3枚 A_広い大通り/B_狭い商店街/C_掘割沿い(Dを採用)
夜の通りの失敗版 2枚 E・E2(二階の遊女が軒に座ってしまう。昼の通りから作り直して解決)
大名の造形候補 4枚 三日月・鹿角・水牛角・無印(D_威厳を採用)
花魁の造形候補 3枚 気品・妖艶・可憐(メインを採用)
「改」で置き換えた旧版 3枚 禿①・禿②・振袖新造
空間が矛盾した妖怪 3枚 大入道・おとろし・赤舌
合計 18枚(80枚の22.5%)

参照画像の失敗のしかたは動画の失敗とは種類が違う。失敗版を参照にすると同じ失敗が再生産されること、参照画像は見た目だけでなく被写体のいる空間ごと渡してしまうことは、AI動画の参照画像は「失敗」も「複製」も運ぶにまとめてある。

制作にかかった時間もファイルの更新時刻から測れた。江戸の80枚は2026年8月12日17:51の1枚目から22:44の最後の1枚まで、4時間53分。アリスの29枚は2026年8月9日23:32から23:43までの11分間に固まっている。後者はまとめて並列で投げた回で、時間差がほとんどない。ただしこれはローカルファイルの更新時刻であり、サーバ側の生成時刻そのものではない。

参照画像は動画生成の課金対象ではない

ここが予算設計を一番動かす事実だった。Runway APIの料金ページ(2026年8月14日確認)は、seedance2_5 の課金をこう書いている。

720p: "30 credits per second of output, plus 15 credits per second of input and reference video (combined video capped at 30 seconds); reference images and audio are free (80 credit minimum per generation)"

つまり参照動画は秒単価で課金されるが、参照画像は何枚渡しても動画生成の料金には乗らない。同ページはクレジットの価値を「Credits can be purchased for $0.01 per credit in the developer portal for an organization.」としている。

参照画像のコストは、動画側ではなく画像生成側に発生する。同じ料金ページの画像モデルを並べると次のようになる。

画像モデル 1枚あたり(Runway API・2026年8月14日確認) 109枚換算
gen4_image_turbo 2クレジット=0.02ドル 2.18ドル
gen4_image(720p) 5クレジット=0.05ドル 5.45ドル
gen4_image(1080p) 8クレジット=0.08ドル 8.72ドル
seedream5_pro(1K) 5クレジット=0.05ドル 5.45ドル
seedream5_pro(2K) 9クレジット=0.09ドル 9.81ドル
gpt_image_2 1〜41クレジット(品質と解像度で変動) 1.09〜44.69ドル

これに対し、動画は seedance2_5 の720pで1秒あたり30クレジット=0.30ドル。30秒を1回撮れば900クレジット=9.00ドルになる。

動画1回(30秒・720p)9.00ドル ÷ 画像1枚(gen4_image 720p)0.05ドル = 180枚分。

江戸の参照画像は80枚だった。gen4_image 720p換算なら4.00ドルで、参照画像を全部作り直しても動画1回の撮り直しの半額以下である。実際、単独の別人を1枚ずつ用意した江戸では17枚渡しても人物の複製が出なかったのに対し、「同じ顔が2人並んだ双子」の絵を参照にしたアリスでは少年が6〜7人に増殖し、個数指定でも重複禁止の明文化でも直らず、撮り直しになった。

30秒1本はいくらか

秒単価を公式ページから拾って並べる(すべて2026年8月14日確認)。1回で30秒出せるかどうかはモデルごとに違うので、右の列は秒単価×30の理論値として読んでほしい。

モデル 秒単価 30秒ぶん 出典
seedance2_5(720p) 0.30ドル(30クレジット) 9.00ドル Runway API 料金ページ
seedance2_5(480p) 0.20ドル(20クレジット) 6.00ドル 同上
gen4_turbo 0.05ドル(5クレジット) 1.50ドル 同上
veo3.1(音声あり/Runway経由) 0.40ドル(40クレジット) 12.00ドル 同上
veo3.1(音声なし/Runway経由) 0.20ドル(20クレジット) 6.00ドル 同上
Veo 3.1 標準・音声あり(Gemini API) 0.40ドル(720p・1080p)/0.60ドル(4k) 12.00ドル/18.00ドル Gemini API 料金ページ
Veo 3.1 Fast(Gemini API) 0.10ドル(720p)/0.12ドル(1080p) 3.00ドル/3.60ドル 同上
Veo 3.1 Lite(Gemini API) 0.05ドル(720p)/0.08ドル(1080p) 1.50ドル/2.40ドル 同上
sora-2(720p) 0.10ドル 3.00ドル OpenAI 料金ページ
sora-2-pro(1080p) 0.70ドル 21.00ドル 同上

なお seedance2_5 には「80 credit minimum per generation」(1生成あたり最低80クレジット=0.80ドル)が設定されており、短いクリップを大量に試射する運用ではこの下限が効く。OpenAIの料金ページには sora-2 の Batch 価格(720p 0.05ドル/秒)も併記されているので、締切に余裕がある試射をバッチに逃がせば半額になる。尺の決め方そのものについてはAI動画の尺は予算であるで別に扱っている。

予算をどう立てるか

以上を見積もりの形にする。ここから先は当サイトの設計であり、公式が推奨している手順ではない。式は3層に分ける。

  1. 参照画像の層=枚数 × 画像単価。今回の実測では江戸が1本あたり20〜29枚(昼20・夜22・妖怪29。通り9枚は3本で共用)、アリスが2本で29枚。江戸の80枚は gen4_image 720p換算で4.00ドル。ここは削らない。
  2. 課金されない失敗の層failed nsfw 503。金額はゼロだが時間は消える。百鬼夜行では7回落ちるまでに、枚数を30→22→29→18と変え、文章量を削り、密度指定を消す、という4通りの切り分けを回している。予算表に金額として書く必要はないが、スケジュールには書く必要がある。
  3. 課金される失敗の層completed だが使えない回。ここだけが金額に効く。

3層目に何回分を積むかは、その画がモデルの事前分布にあるかどうかで変わる。当サイトの記録では、実在する画(大名行列と平伏する町人)は本人評価で狙い通りになった一方、実在しない画(笑っている猫)は言葉を変えても4回連続で外れた。次の表の右列は実測ではなく、この記録から当サイトが当てている見積もりである。

題材の性質 当サイトの実測 3層目に積む回数の目安(当サイトの当て方)
実在する情景・史実の格好 江戸①は本人評価「狙い通り」で確定 1〜2回
実在するが動作が細かい(ウィンク、表情の微細動作) 同じ指定でも決まる回とぎこちない回がある 2〜4回
モデルの事前分布に存在しない画 チェシャ猫は4回失敗、原典の図版を参照にして5回目で成功 参照画像を用意しない限り回数を積んでも解決しない

3行目が要点である。回数で解決する失敗と、回数をいくら積んでも解決しない失敗があり、後者は参照画像を1枚作れば止まる。参照画像1枚は0.05ドル、動画1回は9.00ドルなので、「4回外したら、次の1回を投げる前に参照画像を作る」ほうが安い

記録の取り方も、今回のように後から数えられなくならないよう決めておいたほうがいい。当サイトが今回の反省から採る形は次のとおり。

  • 生成のたびに request_id を控える。Higgsfieldのドキュメントは「the stable identifier used by polling, cancellation, webhook deduplication, and support」としており、後から状態を引く唯一の鍵になる
  • 出力は7日で消える前提で落とす。Higgsfieldは「Output URLs are retained for at least seven days.」、生成物は「accessible for at least seven days after creation and may be removed after that period」と書いている
  • **捨てた回のファイルも捨てない。**今回、総回数が数えられなかった唯一の原因がこれである
  • タイムアウトしたリクエストを自動で投げ直さない。同社は「Do not automatically repeat a generation POST after an ambiguous timeout because submissions do not currently accept an idempotency key」と明記しており、二重課金の入口になる

正直な但し書き

  • **総生成回数は数えられていない。**この記事で出せた回数は、百鬼夜行の7回(台本に本人の証言として残っている)、チェシャ猫の4回失敗・5回目成功、アリスの試射7本、残存動画ファイル15本、参照画像109枚だけである。捨てた回はファイルが残っていないので、5本の総生成回数は不明のままである。「AI動画1本あたり平均◯回」という数字は、この記録からは出せない。
  • **回数の一部は本人の証言であり、ジョブログではない。**百鬼夜行の7回は制作直後に書いた台本の記述であって、サーバ側の request_id 一覧と突き合わせたものではない。チェシャ猫の4回も同様に運用メモ由来である。また、百鬼夜行の7回が実際に failed ステータスで終わったのか、別の種別だったのかまでは記録が残っていない。記事では「生成が始まらずに落ちた」という観察から failed 系と扱っている。
  • **回数の目安は実測ではない。**題材の性質ごとの「1〜2回」「2〜4回」は、当サイトの記録から当てた見積もりであって、統計ではない。
  • **時間の測定はローカルのファイル更新時刻である。**江戸80枚の4時間53分、アリス29枚の11分は stat の更新時刻から算出した。サーバ側の生成時刻ではなく、ダウンロードや保存のタイミングを見ている可能性がある。
  • **金額は当サイトの実支出ではない。**今回の制作は無制限プランの提供を受けた案件で行っており、1回いくら払ったかを実測していない。本記事の金額はすべて、Runway API・Gemini API・OpenAIの公開料金ページの単価に、当サイトの実測回数と尺を掛け合わせた換算値である。同じモデルでも提供元が違えば単価は変わる。
  • エラー種別の裏取りが2つ足りていない。job_minimum_basic_plan_required は制作中に観測したエラー文字列で、Higgsfieldの公開ドキュメントに対応する記載を見つけられなかった。503 については、同社が「課金されない」と名指ししているのは failednsfw の2つだけで、503 はHTTPステータス(Model is disabled or not ready)であってジョブの終端ステータスではない。ジョブが成立していないため課金対象外だろうと考えているが、これは推測である。
  • **参照画像が無料なのはRunway API経由の seedance2_5 についての記載である。**他社・他モデル・Web UI経由で同じ扱いになる保証はない。
  • **需要側の裏取りが1回分しか取れていない。**日本語圏では料金プランの比較記事と、制作時間(人時)ベースの記事は見つかるが、生成回数と失敗内訳の実ログを公開したものは調査時点で見つけられなかった。ただし今回の執筆時にウェブ検索の実行枠を使い切っており、言い回しを変えた再検索を実施できていない。「日本語圏に無い」は断定ではなく、当サイトの調査範囲での結果である。
  • **1回の生成で30秒出せるかはモデルによる。**秒単価×30の列は理論値であり、たとえば sora-2 系は当サイトが確認した範囲で1回あたりの秒数が30秒より短い。
  • **料金には期限がある。**すべて2026年8月14日確認の値である。動画生成の単価は改定が頻繁なので、見積もりを出す前に各社の料金ページを引き直してほしい。単価の一覧はClaude・GPT・Gemini API料金の読み方にも別途まとめてある。

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