AI動画の尺は予算である──Sora 2の4秒・8秒・12秒に何を入れられるか
OpenAIのAPIリファレンス「Create video」は2026年8月14日確認時点でSora 2のsecondsを4・8・12(既定4)と定義する一方、同社の「Sora 2: Prompting Guide」は4/8/12/16/20の5値と最大20秒、「Video generation with Sora」は「16秒と20秒に対応」と記す。公式3ページで記載が割れているため断定せず全て確認日つきで併記した上で、公式の「4秒のショットには短いやり取りが1〜2回、8秒ならもう少し入る」という目安と、当サイトの制作ログ(6キャラクター分の動作を1区間に詰めて全員が静止した回、16秒で通りの奥から手前まで歩かせて早歩きになった回)を突き合わせ、尺を秒単価つきの予算として配分する手順を整理する。

目次
動画生成AIの尺は「長く出せるほど得」という性質のものではなく、1本の中に置ける事件の数と、その動作の速度を同時に決めてしまう予算である。OpenAIのAPIリファレンス「Create video」は2026年8月14日確認時点で seconds の許容値を "4" "8" "12"(既定 "4")と定義し、同社の「Sora 2: Prompting Guide」は durations として "4" "8" "12" "16" "20" の5値と最大20秒を挙げ、ガイド「Video generation with Sora」は「Both sora-2 and sora-2-pro support 16- and 20-second generations.」と書く。公式3ページで記載が食い違っているため、本記事はどれが正しいかを断定せず、3つとも確認日つきで併記する。なお同社の Deprecations ページは sora-2 系モデルと Videos API を2026年9月24日に停止予定と記載しており(2026年8月14日確認)、以下の秒数・単価には期限がある。
3行まとめ
- Sora 2 の尺は公式3ページで記載が割れている。APIリファレンス「Create video」= 4/8/12(既定4、16と20はページ内に出現しない)、「Sora 2: Prompting Guide」= 4/8/12/16/20(最大20秒)、「Video generation with Sora」=「16秒と20秒に対応」(いずれも2026年8月14日確認)
- 秒単価は sora-2(720p)$0.10/秒、sora-2-pro は 720p $0.30・1024p $0.50・1080p $0.70/秒(2026年8月14日、OpenAI Pricing ページ確認)。同じモデル・解像度なら12秒1本と4秒3本の金額は同じで、変わるのは「外した時に何秒分が丸ごと外れるか」
- 公式は「a 4-second shot will usually accommodate one or two short exchanges, while an 8-second clip can support a few more」とし、1ショットにつきカメラの動き1つ・被写体の動作1つを推奨する。当サイトの制作では6キャラクター分の動作を1区間に詰めた回に全員が静止し、「不気味な集合写真」になった
Sora 2 は何秒まで生成できるのか──公式3ページの記載が割れている
「Sora 2 は何秒まで」は本来なら数字を1つ書けば終わる質問だが、2026年8月14日にOpenAIの公式ページを3つ読んだ時点では、書かれている数字が揃っていなかった。
| 公式ページ | 尺に関する記載 | 確認日 |
|---|---|---|
| Create video(APIリファレンス) | seconds の許容値は "4" "8" "12"、既定は "4"。16・20 という数字はページ内に出てこない |
2026-08-14 |
| Sora 2: Prompting Guide | durations は "4" "8" "12" "16" "20"。最大20秒 | 2026-08-14 |
| Video generation with Sora(ガイド) | 「Both sora-2 and sora-2-pro support 16- and 20-second generations.」「Generate videos up to 20 seconds when you need longer beats, fuller scenes, or fuller spots.」 |
2026-08-14 |
APIリファレンスは機械的な仕様表であり、ガイドは説明文書である。通常なら仕様表のほうが実行時の挙動に近いと考えたくなるが、ガイド側にも「16秒と20秒に対応」という明示の一文がある以上、当サイトの手元では判定できない。実際にAPIを叩いて seconds: "20" が通るかどうかを確認していないので、本記事は「Sora 2 は20秒まで出せる」とも「12秒までしか通らない」とも書かない。
【推測】モデル名が sora-2-2025-10-06 sora-2-2025-12-08 sora-2-pro-2025-10-06 のようにスナップショットで分かれている(Create video の model 許容値、2026-08-14確認)ため、後発のスナップショットで16秒・20秒が追加され、APIリファレンスの許容値表がそれに追随していない、という説明はあり得る。ただし公式にそう書かれた記述は見つけられなかったので、これは推測にとどめる。
実務上の安全側の置き方は次の2点になる。第一に、既定値が "4" である以上、seconds を明示せずに投げると4秒が返る。第二に、16や20を決め打ちでコードに埋め込まず、値を変数にしてエラーレスポンスを拾える形にしておく。長い尺を前提にした絵コンテを先に作り込んでから「その秒数は通らない」と分かると、設計をやり直すことになる。
解像度の記載も同じように割れている
尺と同じ確認を解像度についても行うと、やはり3ページで書かれている値が違った。
| 公式ページ | size に関する記載 |
確認日 |
|---|---|---|
| Create video(APIリファレンス) | 許容値は "720x1280" "1280x720" "1024x1792" "1792x1024"、既定は "720x1280" | 2026-08-14 |
| Sora 2: Prompting Guide | sora-2 は 720x1280 / 1280x720。sora-2-pro は加えて 1024x1792 / 1792x1024 / 1080x1920 / 1920x1080 | 2026-08-14 |
| Video generation with Sora(ガイド) | コード例に 1280x720 / 1920x1080 / 1080x1920。「Use sora-2-pro when you need 1080p exports in 1920x1080 or 1080x1920.」 |
2026-08-14 |
尺の設計に効いてくるのは、どのページでも縦(720x1280、1080x1920)と横(1280x720、1920x1080)が同じ画素数で対になっている点である。縦動画にしたからといって秒単価が下がる構造にはなっていない。ショート用に縦で出すか横で出すかは、尺の予算とは独立に決めてよい。
尺は秒単価つきの予算である
OpenAI の Pricing ページ(2026年8月14日確認)に記載されている動画生成の秒単価は以下の通りだった。
| モデル / 解像度 | 標準の秒単価 | Batch の秒単価 |
|---|---|---|
| sora-2(720p) | $0.10 | $0.05 |
| sora-2-pro(720p) | $0.30 | $0.15 |
| sora-2-pro(1024p) | $0.50 | $0.25 |
| sora-2-pro(1080p) | $0.70 | $0.35 |
秒単価に秒数を掛けた単純計算が下表である。実際の請求は失敗ジョブの扱いや税・為替で変わるので、比較のための目安として見てほしい。
| 尺 | sora-2 720p | sora-2-pro 720p | sora-2-pro 1080p |
|---|---|---|---|
| 4秒 | $0.40 | $1.20 | $2.80 |
| 8秒 | $0.80 | $2.40 | $5.60 |
| 12秒 | $1.20 | $3.60 | $8.40 |
ここで分かるのは、同じモデル・同じ解像度であれば「12秒を1本」と「4秒を3本」の金額が同じだということである。つまり長尺を選ぶこと自体に金銭的な割引も割増もない。変わるのは、外した時に何秒分が丸ごと無駄になるかという損失の単位と、後から編集で切り分けられるかどうかだけである。12秒を1本引いて後半3秒が破綻していたら、直すには12秒分をもう一度引く。4秒を3本引いていれば、破綻した1本だけを引き直せる。
そしてもう一つ、金額とは別の意味での「予算」がある。1本の尺に入れられる事件の数である。
4秒・8秒・12秒に何を入れられるのか
「Sora 2: Prompting Guide」には、尺と内容量の関係について次の一文がある(2026年8月14日確認)。
a 4-second shot will usually accommodate one or two short exchanges, while an 8-second clip can support a few more
4秒のショットには短いやり取りが通常1〜2回、8秒のクリップならもう少し多く入る、という目安である。この文は台詞(dialogue exchanges)の文脈で書かれているが、同じガイドは動作についても具体的な指針を並べている。要点は次の通りだった。
- 1ショットにつき、はっきりしたカメラの動きを1つ、はっきりした被写体の動作を1つに保つ
- 動作はビートやカウントで記述する(例として「takes four steps, pauses, pulls curtain in final second」=4歩あるいて、止まって、最後の1秒でカーテンを引く、という書き方が挙げられている)
- 台詞のやり取りはクリップの長さに合わせて数文までに制限する。長く複雑な演説は同期しにくい
- 複数ショットをまとめて書く場合は「keep each shot block distinct: one camera setup, one subject action, and one lighting recipe at a time」=ショットのブロックごとに、カメラ設定1つ・被写体の動作1つ・ライティング1つに分ける
この「1ショット=カメラ1・動作1」という単位が、尺の予算を配分するときの最小通貨になる。公式の記述を当サイトの運用に落とすと、次の表のような当て方になる。
| 尺 | 公式ガイドの記載 | 当サイトの運用上の置き方 |
|---|---|---|
| 4秒 | 短いやり取りが通常1〜2回 | 事件は1つ。カメラは固定か、1方向への動きだけ |
| 8秒 | 4秒より少し多く入る | 事件は1〜2つ。あいだに「止まる」を1回挟む |
| 12秒 | 個別の目安の記載は見つからなかった | 事件は2〜3つ。ただし画面内の人物が増えるほど減らす |
12秒の行は公式に対応する記述が無いため、当サイトの設計上の当て方であり、実測値ではない。この区別を曖昧にしないために表内に明記した。
詰めすぎると何が起きるか──制作ログから
尺を予算として扱う理由は、予算を超えた分が「圧縮されて速く再生される」のではなく「消える」からである。当サイトが実制作で記録した中で、これが最もはっきり出たのは次の回だった。
6キャラクター分の動作を1つの区間(ビート)に同時に詰め込んだところ、全員が静止した。動きが速くなるのでも、一部が省略されるのでもなく、誰も動かないまま全員がその場にいるだけの、「不気味な集合写真」のような映像になった。区間を分割し、1区間に1つの事件しか置かない構造に変えたところ、この症状は解消した。語彙を精緻にしても直らず、構造を変えた時にだけ直ったという点が重要で、詳細な前後比較は複数人物が同時に動かない原因の検証記録にまとめている。
もう一つ、尺が動作の「速度」まで決めてしまう例がある。花魁(おいらん)の外八文字という、意図的にゆっくり歩く特殊な所作を出そうとした回で、プロンプトに「16秒で通りの奥から手前まで歩く」と書いた。結果は早歩きになった。移動距離を尺で割った値が速度になる以上、奥から手前までという距離を16秒で消化するには速く歩くしかない。所作の指定を増やしても直らず、行列を最初から手前に配置して数歩だけ進ませる設計に変えたところ解消した。
この2件から取れる規律は次の3つである。
- **事件の数を先に数え、そこから尺を決める。**尺を先に決めて事件を詰めるのではない。
- 移動距離は尺に合わせて縮める。「どこからどこまで」を書く時は、その距離をその秒数で歩けるかを先に検算する。
- 禁止や順序は秒数で書く。「20秒より前には着席していない」のように、後から映像を見て検証できる形にすると、時系列の破綻が減った。
なお、これらは当サイトが別の動画生成モデルでの制作中に記録したものであり、Sora 2 で同じ挙動が出るかは検証していない。技法の一覧と各項目の確信度ラベルは動画生成AIプロンプトの技法台帳に置いている。
長い尺を選べば得なのか
ここまでを踏まえると、「長い尺を選べば得か」という問いには材料が3つある。
金額の面では、前述の通り同一モデル・同一解像度なら12秒1本と4秒3本は同額で、長尺の割引はない。一方 Batch 価格は標準価格のおよそ半額が設定されており(sora-2 720p で $0.10 → $0.05)、急がない量産では尺よりバッチの選択のほうが金額に効く。
破綻リスクの面では、尺が伸びるほど1本の中で起きる事件が増え、時系列の破綻や人物の複製が入り込む機会も増える。当サイトの記録では、事件数を減らした区間ほど狙い通りになる率が高かった。
連続性の面では、ガイド「Video generation with Sora」に延長機能の記述がある(2026年8月14日確認)。「Video extensions let you continue an existing completed video and create a new stitched result.」「Each extension can add up to 20 seconds. A single video can be extended up to six times, for a maximum total length of 120 seconds.」とあり、使いどころとして「Use extensions when you want to preserve motion, camera direction, and scene continuity.」=動き・カメラの方向・シーンの連続性を保ちたい時、と書かれている。ただしこの延長に対応するエンドポイントの定義は、APIリファレンス側で確認できなかった。
整理すると、長い尺が有利なのは「カメラも被写体も止めずに連続させたい一続きの動き」がある場合であり、それ以外は短い尺を並べたほうが、外した時の引き直しが安く済む。カットを跨いでよい内容、画面内の人物が多い内容は、短く割るほうに寄せる根拠がある。
尺を予算として配分する手順
以上を作業手順にすると次の順序になる。
- 事件を書き出して数える。「立ち上がる」「振り返る」「扉を開ける」を1つずつ数える。この時点で尺は決めない。
- **事件の数から尺を選ぶ。**1事件なら4秒、2事件までなら8秒、というように、公式の「4秒=短いやり取り1〜2回」を基準に当てる。
- **移動距離を尺に合わせる。**距離÷尺が不自然な速度になっていないか検算し、速すぎるなら被写体を最初から近くに置く。
- **クリップ全編で続く癖と、単発の事件を分けて書く。**全編続く動き(貧乏ゆすり、皿を投げ続ける等)は事件の予算を消費しない層として別段落に置き、事件の枠は1つだけ空けておく。
- **順序と禁止を秒数で書く。**検証できる形にする。
- **余白を残す。**当サイトの制作では、視聴して良かったと感じた箇所(物売りの平伏の間、水しぶき、ピント送り)の多くが、プロンプトで指定していなかった部分だった。動作の骨格だけを書き、間や物理はモデルに任せる余地を残したほうが結果が良かった回がある。
正直な但し書き
- **APIを実際に叩いていない。**公式3ページの記載の食い違い(4/8/12 と 4/8/12/16/20 と「16と20に対応」)のうち、どれが実行時の挙動なのかは当サイトでは確認していない。読者が
seconds: "20"を通せるかどうかは、各自の環境で試す必要がある。 - 制作ログは Sora 2 の実測ではない。「不気味な集合写真」「16秒で早歩き」は当サイトが別の動画生成モデルで記録したものである。モデル間で同じ挙動になる保証はなく、本記事では Sora 2 の公式記述と当サイトの記録を、どちらがどちらか分かる形で並べただけである。
- **12秒の目安は公式記述がない。**公式が数字つきで書いているのは4秒と8秒の対比だけで、12秒・16秒・20秒に何が入るかの目安は見つけられなかった。表中の12秒の行は当サイトの設計上の当て方である。
- **金額は単純計算。**秒単価×秒数であり、失敗ジョブの課金条件、リトライ回数、税、為替は含んでいない。失敗時に課金されるかどうかは公式ページで確認できていない。
- 延長機能の実装を確認できていない。「最大120秒」はガイドの記述であり、対応するAPIエンドポイントの仕様は見つけられなかった。
- **「短いやり取り1〜2回」は英語の目安である。**原文は "one or two short exchanges" で、日本語の発話が同じ秒数に同じ量入るかは検証していない。日本語は英語より1文が長くなりやすいため、実際にはもっと少ないと見ておくほうが安全だと考えているが、これは推測である。
- **数値には期限がある。**OpenAI の Deprecations ページには「2026-03-24: Sora 2 video generation models and Videos API」という見出しの下に、shutdown date 2026-09-24 として
sora-2sora-2-prosora-2-2025-10-06sora-2-2025-12-08sora-2-pro-2025-10-06および Videos API が並び、Recommended replacement 欄は空欄(---)だった(2026年8月14日確認)。本記事の秒数・単価は、この日以降そのまま使える保証がない。一方、事件の数から尺を決める、移動距離を尺に合わせるという設計の側は、モデルが変わっても検算し直せる形で書いてある。
出典
- Sora 2: Prompting Guide(OpenAI、2026年8月14日確認) https://developers.openai.com/cookbook/examples/sora/sora2_prompting_guide
- Video generation with Sora(OpenAI、2026年8月14日確認) https://developers.openai.com/api/docs/guides/video-generation
- Create video(OpenAI APIリファレンス、2026年8月14日確認) https://developers.openai.com/api/docs/api-reference/videos/create
- Pricing(OpenAI、2026年8月14日確認) https://developers.openai.com/api/docs/pricing
- Deprecations(OpenAI、2026年8月14日確認) https://developers.openai.com/api/docs/deprecations
出典・参照資料
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