2026年8月14日 金曜日
AI時短ラボ
検証· 約17

モデルを乗り換えると同じプロンプトが効かない──Veoは構造化推奨、Sora 2は「長いほど不自由」

動画生成AIを乗り換えたとき前のモデルの書き方が効かなくなるのは、公式ガイドが要求する型そのものが違うためである。Google Cloud公式ブログのVeo 3.1向けガイド(2025年10月16日公開)は[Cinematography]+[Subject]+[Action]+[Context]+[Style & Ambiance]の構造化を勧め、OpenAIのSora 2 Prompting Guideは散文を主体に置いて「Longer, more detailed prompts restrict the model's creativity」と書く。台詞の書式・尺・除外指示・入力形式まで食い違う箇所を、2026年8月14日に読んだ公式原文と自社の制作実測で並べた。

モデルを乗り換えると同じプロンプトが効かない──Veoは構造化推奨、Sora 2は「長いほど不自由」
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動画生成AIを別のモデルに乗り換えたとき、前のモデルで通っていた書き方が急に効かなくなる。これは書き手の腕が落ちたからではなく、開発元が公式ガイドで要求しているプロンプトの型そのものが、モデルごとに違うためである。2026年8月14日にGoogle・OpenAI・ByteDanceの公式ページを読み直すと、食い違いは型だけでなく台詞の書式・尺の上限・除外の指示・入力形式にまで及んでいた。逆に、どの公式ガイドも同じ方向を向いていて乗り換えても壊れない層もある。以下は公式原文で確認できた差と、当サイト運営者が複数モデルで動画を制作しながら取った実測を突き合わせた整理である。

  1. Google Cloud公式ブログのVeo 3.1向けガイド(2025年10月16日公開)は「[Cinematography] + [Subject] + [Action] + [Context] + [Style & Ambiance]」の構造化を示し「A structured prompt yields consistent, high-quality results」と書く一方、Sora 2 Prompting Guideは散文を主体に置き「Longer, more detailed prompts restrict the model's creativity」と逆向きの注意を書いている(2026年8月14日確認)
  2. 台詞と音の書式が非互換。Veo側は A woman says, "We have to leave now."SFX: thunder cracks in the distance と本文へ埋め込む形を示し、Sora 2側は「Place it in a <dialogue> block below your prose description」と散文から分離したブロックを求める
  3. Seedance 2.0はByteDanceの公開発表によると画像9枚・動画3クリップ・音声3クリップ+自然言語を同時入力でき、文章が担当する範囲がそもそも他モデルより狭い

なぜ「同じ書き方」が通用しなくなるのか

Google Cloud公式ブログの「The ultimate prompting guide for Veo 3.1」(2025年10月16日公開/2026年8月14日確認)は、プロンプトの式として [Cinematography] + [Subject] + [Action] + [Context] + [Style & Ambiance] を提示し、各要素を「Define the camera work and shot composition」のように役割で説明したうえで、「A structured prompt yields consistent, high-quality results」と構造化そのものを品質の条件として書いている。

一方、OpenAIの「Sora 2 Prompting Guide」は冒頭に散文の段落を置き、その下に Cinematography: Actions: Dialogue: の見出しを付けるテンプレートを示す。しかし同じ文書内でそのテンプレートを「This is not a one-size-fits-all recipe for success, but it gives you a clear framework」と相対化し、情報量については「Shorter prompts give the model more creative freedom. Expect surprising results.」「Longer, more detailed prompts restrict the model's creativity.」と、書き込むほど良くなるとは限らないことを明示している。

Veo向けに要素を埋めて長くしたプロンプトをそのままSora 2に貼ると、Sora 2の公式ガイドが「creativityを制限する」と説明する状態に自分で持ち込むことになる。逆にSora 2で機能していた短い散文をVeoへ持っていくと、Veo側が求める構成要素が空欄のまま投げられる。どちらも下手になったのではなく、移植先の想定から外れたという現象である。型そのものの内訳はVeoの7要素とSora 2の散文テンプレートを原文で並べた記事で扱っており、本記事は型が違うことで移植時に何が壊れるかに絞る。

公式原文で確認できた差

原文を確認できた3モデルを並べる。Seedance 2.0の行は、プロンプトガイドではなくByteDance SEED Labの公開発表(2026年2月12日)に書かれた範囲である。

項目 Veo 3.1(Google) Sora 2(OpenAI) Seedance 2.0(ByteDance)
公式が示す型 [Cinematography]+[Subject]+[Action]+[Context]+[Style & Ambiance] 散文+Cinematography:Actions:Dialogue: の見出し 型の提示は公開発表に記載なし
情報量の方針 「A structured prompt yields consistent, high-quality results」 「Longer, more detailed prompts restrict the model's creativity」 記載を確認できず
台詞の書式 引用符で本文に埋め込む('This must be the key,' he murmured. 散文から分離した <dialogue> ブロック、話者ラベルを一貫させ交互に 「character voiceovers」を含む多トラック出力と記載
効果音・環境音 SFX: thunder cracks in the distanceAmbient noise: the quiet hum of a starship bridge 無音でも「one small sound」で間を示唆してよい BGM・環境音・声を並列トラックで出力
4秒・6秒・8秒(1080p・4K・参照画像・延長を使う場合は8秒) 「A 4-second shot will usually accommodate one or two short exchanges, while an 8-second clip can support a few more」 15秒のマルチショット音声付き出力
除外の指示 除外したい内容を肯定文の描写に書き換える 今回読んだ範囲で除外専用の構文は確認できず 記載を確認できず
文章以外の入力 参照画像(使用時は8秒固定) 参照画像あり 画像9枚・動画3クリップ・音声3クリップを同時

台詞と音は書式ごと書き換える

Google AI for DevelopersのVeoページは「You can provide Veo with cues for sound effects, ambient noise, and dialogue.」と書き、台詞は「Use quotes for specific speech.」として 'This must be the key,' he murmured. を例示する。Google Cloud公式ブログも A woman says, "We have to leave now." を示し、効果音は SFX:、環境音は Ambient noise: というラベル付きの一行で書く例を出す。

対してSora 2 Prompting Guideは「Place it in a <dialogue> block below your prose description so the model clearly distinguishes visual description from spoken lines.」と、視覚の描写と発話の明示的な分離を求める。複数人物については「For multi-character scenes, label speakers consistently and use alternating turns」と、話者ラベルの一貫性と交互のターンを条件に挙げる。Veo向けの SFX: 行や地の文に埋めた台詞をSora 2へそのまま持ち込むと、この分離が満たされない。移植時は台詞と音だけ別作業として書き直すことになる。

尺の制約が、書ける台詞の量を決めている

Sora 2 Prompting Guideは尺と情報量を直接結びつけ、「A 4-second shot will usually accommodate one or two short exchanges, while an 8-second clip can support a few more.」と書く。台詞の行数は演出上の好みではなく、秒数から逆算される変数として扱われている。

Veo 3.1はGoogle AI for Developersのページによると4秒・6秒・8秒に対応し、1080p・4K・参照画像・延長を使う場合は8秒になる。ここで効くのが、参照画像を使うと自動的に8秒側へ寄る点である。キャラクターを固定したくて参照画像を入れると尺が伸び、その分を書き足す必要が出る。4秒想定の台本はそのままでは間が余る。Seedance 2.0はByteDance SEED Labの発表によると15秒のマルチショット出力に対応し、1本のプロンプトが受け持つ時間が他の2モデルより長い。

移植時に書き換える箇所 Veo → Sora 2 Sora 2 → Veo
全体の形 要素の羅列を散文の段落に組み直す 散文から[Subject][Action][Context]等を抜き出して構造化する
情報量 削る方向で調整(公式は長文が制約になると明記) 空欄の要素を埋める方向で調整
台詞 地の文から抜き出し <dialogue> ブロックへ、話者ラベルを一貫させる ブロックを解いて引用符で本文に戻す
効果音・環境音 SFX: Ambient noise: の行を文章表現に溶かす 文章中の音の描写を SFX: Ambient noise: の行に立てる
台詞の行数 秒数から逆算(4秒=短い応酬1〜2、8秒=もう少し) 参照画像を使うなら8秒前提で間を設計し直す

「〜を入れないで」は書き換え方が指定されている

Google Cloud公式ブログのVeo 3.1向けガイドは除外について「specify 'a desolate landscape with no buildings or roads' instead of 'no man-made structures'」と書く。除外を単独の禁止語として置かず、望む画の描写の一部として書け、という指示である。当サイトでも、二階の人物が軒に座る問題は失敗版を参照画像にして「軒に座るな」と否定形で指示しても直らず、人物の写っていない元画像から作り直して解決した【実証済み】。方向は公式推奨と一致する。

乗り換えても壊れなかった書き方

公式ガイドどうしが同じ方向を向き、当サイトの実測とも一致した部分が3つある。移植のたびに書き直さずに済むのはこの層である。

1つ目は、1区間に1つの動作だけ置くこと。 Sora 2 Prompting Guideは「Each shot should have one clear camera move and one clear subject action.」と書く。当サイトでも6キャラクター分の動作を1区間に詰めた回は全員が静止し、区間を分けたら解消した【実証済み】。詳細は複数人物が同時に動かない原因を扱った記事にまとめている。

2つ目は、動作を時間の刻みで書くこと。 Sora 2側は「Actions work best when described in beats or counts – small steps, gestures, or pauses – so they feel grounded in time.」とする。当サイトでも歩き方の指定が早歩きに化けた原因は「16秒で通りの奥から手前まで」という移動距離の指定側にあり、数歩だけ進ませる設計に変えたら解消した【実証済み】。

3つ目は、抽象的な形容詞ではなく具体物で書くこと。 Veo側の除外の推奨も、Sora 2側の「Describe both the quality of the light and the color anchors that reinforce it.」も、指示を具体的な対象に落とす方向を向く。当サイトの実測でも、衣装に elaborate and flamboyant と書いた回は「衣装をつけただけ」の画にしかならず、白粉・襟足の塗り残し・簪20点・帯を前結び、と物の名前と数で書いた回だけ狙い通りになった【実証済み】。

正直な但し書き

  • Runwayの公式プロンプトガイドは原文を取得できていない。 2026年8月14日、ヘルプセンター記事はHTTP 403で拒否され、開発者向けドキュメントのホストは名前解決に失敗した。比較表にRunwayの行がないのはこのためで、本記事はRunwayのプロンプト仕様について何も主張していない。
  • Seedance 2.0の行はプロンプトガイドではない。 ByteDance SEED Labの製品発表(2026年2月12日)の入出力仕様を引いたもので、「どう書くか」の公式ガイダンスは今回確認できていない。したがって表のSeedance列は、書き方の推奨ではなく仕様の記載である。
  • 「記載を確認できず」は「存在しない」ではない。 表中のその表記は、今回読んだ公式ページの範囲で該当記述を見つけられなかったという意味に限られる。特にSora 2の除外指定は、専用構文の有無を断定できる状態にない。
  • 公式ガイドの記述は出力の保証ではない。 Sora 2 Prompting Guide自身が「not a one-size-fits-all recipe for success」と書くとおり、型どおりに書けば意図した映像が出る性質のものではない。当サイトの実測でも、同系統の指定で「決まった回」と「ぎこちない回」が分かれる現象は解消できていない【実証済み】。
  • 自社実測は題材が偏っている。【実証済み】と付した記録は和装・時代物・物語のキャラクターといった題材から抽出したもので、実写のプロダクト映像や人物インタビューなど別ジャンルで同じ傾向が出るかは検証していない。
  • モデルは更新される。 上記はいずれも2026年8月14日に確認した内容で、対応秒数や解像度の組み合わせ、テンプレートは更新されうる。移植前に各社の公式ページを再確認することを勧める。

出典

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