CapCutのAI動画編集機能と商用利用の条件──自動字幕・背景除去を使う前に確認すること
CapCutの素材は「非商用限定」と「限定商用可」の2種類に分かれており、商用利用できる範囲は広告・印刷物などに限定されている。さらに商用音源(Commercial Sounds)はCapCut・TikTok・TikTok for Business以外では使えないなど、YouTube投稿者が見落としやすい制約を利用規約の原文から確認した。

目次
「CapCut 商用利用」で検索すると、CapCut自体が無料で使えることを紹介する記事は多いが、CapCut内蔵の素材・AI機能を使って作った動画をYouTubeなどで収益化してよいかまで踏み込んだ記事は少ない。CapCutの利用規約(CapCut Materials License Agreement、2026年1月22日更新版)を実際に読み、AI機能と商用利用の関係を確認した。
- CapCutの素材は「非商用限定(Non-commercial Use Materials)」と「限定商用可(Dual Use Materials)」の2種類に分かれ、後者にも「商用利用」マークが付いているものだけが対象
- 限定商用可の素材でも、動画をCapCut内で編集し、書き出した後は改変せずそのまま使うことが条件。素材だけを取り出して別用途に使うことは禁止されている
- 商用音源(Commercial Sounds)はCapCut・TikTok・TikTok for Businessの3プラットフォームでのみ使用が許可されており、YouTubeなど他のプラットフォームで使う場合は別途権利者から許諾を得る必要がある
CapCutのAI機能にはどんなものがあるか
CapCut公式サイトの機能一覧ページを確認すると、動画編集に関わるAI機能として以下が挙げられている。
- 自動キャプション(音声から字幕を自動生成)
- 音声認識
- テキスト読み上げ
- カスタム音声・声を加工
- ノイズ軽減
- 動画背景削除
- 画質向上
- AIアバター(Dreamina Seedance 2.0による生成)
これらの機能名は、CapCut公式サイトの「AIビデオエディター」ページに実際に掲載されているものだ。ページの説明では「AIビデオエディタCapCutの特徴」として、AIアバターやAI動画テンプレート、ワンクリックでの動画生成、AIとのブレインストーミング(トピック・構成案の提案)が紹介されている。
一方でこの機能一覧ページはJavaScriptで描画されるSPA(シングルページアプリケーション)になっており、個々の機能の詳細な仕様(例えば自動字幕の対応言語数や、背景削除の精度)までは静的な取得では確認できなかった。機能名の存在は確認できたが、細かい仕様は実際にアプリを開いて確認する必要がある。
AI機能の一部は外部AIサービスに接続されている
CapCut Terms of Serviceの本文には「Third-Party AI Services」という項目があり、次の記載がある。
Certain features of the Services are integrated with third-party AI technologies and APIs (e.g., Runway, Stable Diffusion, Google, YouTube, FLUX, Luma) that are subject to these terms and any additional terms imposed by such third parties.
(訳:本サービスの一部の機能は、サードパーティのAI技術・API(例: Runway、Stable Diffusion、Google、YouTube、FLUX、Luma)と統合されており、これらは本規約に加えて、当該サードパーティが課す追加条件の対象となる。)
つまりCapCutのAI機能の一部は、CapCut独自のモデルではなく外部のAIベンダーの技術で動いている。同じ条項には、利用者側の責任として次の点も明記されている。
Licenses and Permissions: You must ensure that you have all necessary rights, licenses, and permissions to provide inputs to the third-party AI technologies or APIs, including any required publicity clearances or releases.
(訳:利用者は、サードパーティのAI技術・APIへの入力を提供するために必要な、すべての権利・ライセンス・許可(必要なパブリシティ権の許諾を含む)を確保しなければならない。)
これは特にAIアバター機能で見落としやすい。他人の顔写真や声を入力してAIアバターを生成する場合、その人物のパブリシティ権(肖像・氏名を商業的に利用される権利)についての許諾を利用者自身が確保する責任がある、と規約上は読める。CapCut側が入力データの権利関係を代わりに確認してくれるわけではない。
素材は「非商用限定」と「限定商用可」の2種類に分かれている
CapCutの利用規約では、動画クリップ・画像・ステッカー・テキストテンプレート・フォント・効果音・エフェクト・フィルター・キャンバス・アニメーションといった素材群を「Platform Materials」と呼び、これを2種類に分類している。
While certain Platform Materials may only be permitted for personal and non-commercial use and purposes ("Non-commercial Use Materials"), certain Platform Materials may be used for limited commercial purposes in addition to personal and non-commercial use and purposes ("Dual Use Materials"). Dual Use Materials will be made available with specific marks (e.g., "commercial use", "commercial" marks) on the Platform.
(訳:一部のプラットフォーム素材は個人・非商用目的のみで利用が許可されている(「非商用限定素材」)一方、一部の素材は個人・非商用目的に加えて限定的な商用目的でも利用できる(「限定商用可素材」)。限定商用可素材には、プラットフォーム上で「commercial use」「commercial」といった特定のマークが付与される。)
つまり、CapCut内の素材はデフォルトで商用利用できるわけではなく、「commercial」マークが付いているものだけが限定商用可という位置づけだ。マークの有無を確認せずに使うと、意図せず非商用限定の素材を収益化動画に使ってしまう可能性がある。
さらに注意が必要なのは、限定商用可素材と非商用限定素材を同じ動画の中で混在させた場合の扱いだ。規約では「content you create on the Platform incorporates both Dual Use Material and Non-commercial Use Material」の場合、その動画全体が「personal and non-commercial use」に限定される、とされている。一部にでも非商用限定の素材が混ざれば、動画全体が商用利用できなくなるという設計になっている。
限定商用可の素材でも「CapCut内で編集・書き出し後は改変不可」が条件
限定商用可素材であっても、無条件に自由な商用利用ができるわけではない。規約には利用形態の一覧があり、以下のような用途に限定されている。
- デジタル形式:eコマースプラットフォーム上の販促・広告素材(ただし製品・サービスの真正性や品質を保証する内容にしないこと)、その他オンラインメディアでの販促・広告
- 物理印刷物:販売目的でないパンフレット・ポスター・写真集などの印刷物、雑誌・書籍の中面(表紙・裏表紙を除く)、屋外広告(看板・ライトボックス・店舗ウィンドウ・車両広告など)
またライセンスの前提条件として、規約には次の一文がある。
under such license you may edit the Platform Material only on the Platform and after you export the content you create from the Platform, you can only display such Platform Material as part of the content without further modification.
(訳:このライセンスのもとでは、プラットフォーム素材はプラットフォーム上でのみ編集でき、プラットフォームから書き出した後は、その素材をコンテンツの一部としてそのまま表示することのみが許可され、それ以上の改変はできない。)
つまり「CapCutの中で編集する」「書き出した動画をそのまま公開する」という使い方が前提で、素材だけを抜き出して他のソフトで加工する、あるいは書き出し後に他のソフトで素材部分だけを差し替えるといった使い方は規約違反になる。
もうひとつ見落としやすいのが、ライセンスが「書き出し単位」で発生する点だ。規約には「if you selected certain paid Platform Material for creating your content, paid for such Platform Material, used such Platform Material in your content and exported such content, then you intend to re-edit your exported content (even a very minor edit), you need to pay for such Platform Material again」(訳:有料素材を使って動画を作成・書き出した後、その動画をわずかでも再編集する場合、その素材の利用料を再度支払う必要がある)とある。サブスクリプションに加入していれば追加料金なしで使える場合もあるとされているが、単発課金の素材を使った場合は再編集のたびに課金が発生しうる、という点は動画を後から修正する運用をしている人には見落としやすい。
商用音源はCapCut・TikTok・TikTok for Business以外では使えない
音楽素材については、通常の「Sounds」ライブラリと、商用利用者向けの「Commercial Sounds」ライブラリが分かれている。通常のSoundsは「個人的な娯楽・非商用目的の動画に限り」利用でき、ブランドや事業のプロモーションに関連付けた商用利用はできないと明記されている。
Commercial Soundsは企業・事業者・広告主向けに提供されている音源だが、利用できる範囲が限定されている。
Commercial Users may show or share their video that includes a Commercial Sound within CapCut, TikTok and TikTok for Business ("Permitted Plaforms"). Any uses of Commercial Sounds outside of the Permitted Platforms require you to obtain separate permission and license the necessary rights directly from all necessary rights holders.
(訳:商用ユーザーは、Commercial Soundsを含む動画をCapCut・TikTok・TikTok for Business(「許可されたプラットフォーム」)内でのみ表示・共有できる。許可されたプラットフォーム以外でCommercial Soundsを使用する場合は、権利者から直接、別途許諾を得る必要がある。)
つまりCommercial Soundsは、CapCutで動画を作ってTikTokに投稿する運用であれば使えるが、同じ動画をYouTubeやInstagramに投稿する場合は権利者への別途許諾が前提になる。YouTube中心で動画を投稿している場合、CapCutの「商用利用可」の音源ライブラリをそのまま使うと、意図せず規約の範囲外での利用になる可能性がある。
CapCut側も、あなたがアップロードした素材への広い権利を得る
これまでの内容は「CapCutの素材をあなたがどこまで商用利用できるか」だったが、Terms of Serviceにはその逆方向、「あなたがCapCutにアップロードした動画・写真・音声(User Content)に対して、CapCut側がどんな権利を得るか」についての条項もある。
By submitting User Content via the Services, you grant to the Company and its affiliates a non-exclusive, royalty-free, transferable, sub-licensable, perpetual and worldwide license to use your User Content. [...] You further grant us and our affiliates, agents, services providers, partners and other connected third parties a royalty-free fully transferable (including sub-licensable), worldwide license to use your username, image and likeness to identify you as the source of any of your User Content, including for use in sponsored content.
(訳:サービスを通じてUser Contentを送信することにより、利用者は当社および関連会社に対し、非独占的・ロイヤリティフリー・譲渡可能・サブライセンス可能・永続的・全世界的なライセンスを付与し、当該User Contentを使用することを許諾する。[中略]さらに利用者は、当社および関連会社・代理店・サービスプロバイダー・パートナー等の第三者に対し、ロイヤリティフリーで完全に譲渡可能(サブライセンス可能を含む)な全世界的ライセンスを付与し、利用者のユーザー名・画像・肖像を、当該User Contentの提供者として識別するために使用すること(スポンサー付きコンテンツでの使用を含む)を許諾する。)
規約は同時に「We don't own your User Content(当社は利用者のUser Contentを所有しない)」とも明記しており、著作権自体が移転するわけではない。ただし、この非独占ライセンスは「永続的(perpetual)」「サブライセンス可能」という強い条件で付与されており、動画を後から削除しても、既に付与されたライセンスの扱いがどうなるかまでは、本記事で確認した条文の範囲では明記されていなかった。
CapCutの利用規約における「商用利用」に関わる規定を整理すると、次のようになる。
| 規定 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 素材(Platform Materials)の商用利用 | 「commercial」マーク付きのDual Use Materialsのみ限定商用可。CapCut内で編集・書き出し後は改変不可 | Material License Agreement |
| Commercial Sounds | CapCut・TikTok・TikTok for Business内でのみ使用可。それ以外(YouTube等)は権利者への別途許諾が必要 | Material License Agreement |
| サードパーティAI機能への入力 | Runway・Stable Diffusion・Google・FLUX・Luma等と連携。入力データの権利・パブリシティ許諾は利用者の責任 | Terms of Service |
| ユーザーがアップロードしたコンテンツ | 著作権は移転しないが、CapCut側に非独占・永続・サブライセンス可能な利用ライセンスが発生 | Terms of Service |
自分がCapCutの内蔵素材を動画で使わない理由
筆者はYouTubeでの解説動画制作にCapCutを使っておらず、音声合成にはVOICEVOX、字幕・カットにはffmpeg/Remotionの自作パイプラインを使っている。理由のひとつは、VOICEVOXの商用利用規約がクレジット表記さえすればプラットフォームを問わず使える設計になっているのに対し、CapCutのCommercial Soundsのように「利用できるプラットフォームが限定される」規約だと、YouTube投稿を主軸にしている自分の運用とは相性が悪いと判断したためだ。CapCutのAI機能自体(自動字幕・背景削除など)は便利そうに見えるが、素材・音源のライセンス設計がプラットフォーム内で完結する前提になっている点は、外部プラットフォームに投稿する運用では事前に確認しておく価値がある。
確認できなかったこと
この記事は英語版の利用規約(lang=ja-JPのURLでアクセスしても日本語版が返らず、英語版が表示された)を翻訳して整理したものだ。日本語版の規約ページを探したが、今回の環境からは見つけられなかった。規約の解釈に迷う場合は、必ずCapCutアプリ内、または英語原文で最新の規約を確認してほしい。
また、CapCutの機能一覧ページはSPAで描画されるため、自動字幕の対応言語数や背景削除の処理精度など、機能名より詳細な仕様は今回確認できていない。これらはアプリを実際に操作して確認する必要がある。
「サードパーティAI技術」として列挙されているRunway・Stable Diffusion・FLUX・Lumaのうち、CapCutのどの機能が具体的にどのベンダーを使っているかの対応関係は、Terms of Serviceの文面からは分からなかった。個々の機能ページやアプリ内の表示を確認する必要がある。ユーザーがCapCutにアップロードしたコンテンツに発生する「非独占・永続・サブライセンス可能」ライセンスについても、動画を削除した場合にこのライセンスがどう扱われるか(消滅するか、既に行われたサブライセンスには影響しないか等)は、本記事で確認した条文には明記がなく、確認できていない。
CapCut Community Guidelineも確認したが、AI生成コンテンツであることの表示・開示義務についての条項は、本記事で確認した範囲では見当たらなかった。生成AIコンテンツのラベリングをCapCut側が求めているかどうかは、この一次資料からは確認できなかった。
同じ「動画編集×AI」クラスタの記事として、動画編集AIで実際にできることではCapCutを含む複数ツールの機能を横断的に整理しており、パワーディレクター・DescriptのAI編集機能を試した記録ではCapCut・Premiere Pro以外の選択肢を扱っている。ツール横断の比較はAI動画編集ツールおすすめ比較を参照してほしい。
確認した一次情報
- CapCut Materials License Agreement(Last Updated: January 22, 2026・2026年8月29日確認)
- AIビデオエディター | CapCut(2026年8月29日確認)
- CapCut Terms of Service(2026年8月29日確認)
- CapCut Community Guideline(2026年8月29日確認)
規約は改定される可能性があるため、実際に商用利用する前には必ず最新の利用規約を確認してほしい。本記事は法的助言ではなく、判断に迷うケースでは提供元への問い合わせを推奨する。
出典・参照資料
AIニュースの解説を動画でも
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