2026年8月14日 金曜日
AI時短ラボ
活用· 約13

Veoは書いていない効果音とカメラワークを足す──公式が認めるprompt rewriterと、3系で切れない仕様

Google Cloudの公式ドキュメントは、Veoが「prompt rewriter」でユーザーのプロンプトにvideo description・camera motions・transcription・sound effectsを追加すると明記している。この機能はveo-2.0-generate-001では既定で有効かつenhancePrompt=falseで無効化できる一方、Veo 3とVeo 3.1では無効化できないとされる。書き換え後のプロンプトがAPI応答で返るのは、元のプロンプトが30語未満のときだけ。2026年8月14日に公式ページを確認して整理した。

Veoは書いていない効果音とカメラワークを足す──公式が認めるprompt rewriterと、3系で切れない仕様
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Veoに同じプロンプトを投げても毎回違う映像が返る、指定していない効果音やカメラの動きが入る──これは書き方の問題である前に、モデル側に「プロンプトを書き換える機能」が挟まっているためである。Google Cloudの公式ドキュメントは、Veoが**LLMベースのprompt rewriter(プロンプト書き換え機能)**を持ち、ユーザーのプロンプトに映像の描写・カメラの動き・書き起こし・効果音を追加すると明記している。そしてVeo 3およびVeo 3.1では、この機能を無効化できないと書かれている(2026年8月14日確認)。つまり3系を使っている限り、あなたが送った文字列はそのままモデルに届いていない。

  1. 公式ドキュメントは prompt rewriter が「video description, camera motions, transcription, and sound effects」をプロンプトに追加すると明記している(2026年8月14日確認)
  2. 無効化できるのは veo-2.0-generate-001 系で、REST の enhancePrompt / Python SDK の enhance_promptfalse にする。Veo 3・Veo 3.1 では無効化できないと公式が明記
  3. 書き換え後のプロンプトがAPI応答で返るのは、元のプロンプトが30語未満(fewer than 30 words)のときだけ。長い本番プロンプトでは何を足されたか確認できない

リライタが実際に何を足すのか

公式ページの記述は次の通りである。

Veo offers an LLM-based prompt enhancement tool, also known as a prompt rewriter. The prompt rewriter offers the option to rewrite your prompts to add video description, camera motions, transcription, and sound effects to your prompt. More detailed prompts result in higher quality videos.

追加される4要素と、それが生成物の側でどう見えるかを対応させると次のようになる。

公式の記述(原文) 内容 生成物側で現れる形
video description 映像の描写 指定していない背景・小物・照明が足される
camera motions カメラの動き 固定で撮りたい場面に寄り・パン・ドリーが入る
transcription 書き起こし(台詞) 頼んでいない発話・台詞が生成される
sound effects 効果音 指定していない環境音・効果音が乗る

ここで重要なのは、これが不具合ではなく設計された挙動として文書化されている点である。公式は「More detailed prompts result in higher quality videos(より詳細なプロンプトほど高品質な映像になる)」という前提でこの機能を置いている。書き手の意図を再現することより、平均的な出来を底上げすることが優先されている。

Veo 3・3.1では切れない

無効化の可否はモデル世代で分かれる。公式ページには次の注意書きがある。

Important: You can't disable the prompt rewriter when using Veo 3 and 3.1 models.

また、既定で有効なモデルについては「This feature is enabled by default for veo-2.0-generate-001」と書かれており、無効化手順のRESTサンプルで MODEL_ID に指定できる値としても veo-2.0-generate-001 のみが挙げられている。

モデル prompt rewriter の無効化 公式ページでの扱い
veo-2.0-generate-001 可能(既定は有効) 「enabled by default」と明記。無効化手順の対象
Veo 3 不可 「You can't disable」と明記
Veo 3.1 不可 「You can't disable」と明記

整理すると、公式が挙げる追加要素には sound effectstranscription が含まれており、かつVeo 3・3.1にはそれを止める手段が用意されていない。同じプロンプトで音の出方が毎回変わる、頼んでいない台詞が入るという症状は、書き手の技量以前に、この2点の組み合わせで説明できる範囲がある。

無効化する場合の指定名

veo-2.0-generate-001 を使う場合、無効化の指定は経路によって名前が異なる。

経路 指定する場所
Google Cloud コンソール Media Studio の Veo → Settings の「Enable prompt enhancement」トグル オフにする
Python(Google Gen AI SDK) GenerateVideosConfigenhance_prompt False
REST リクエストJSONの parametersenhancePrompt false

RESTの enhancePrompt について、公式は True(既定・Geminiを使ってプロンプトを拡張する)か False(拡張しない)のいずれかと説明している。書き換えを行っている主体がGeminiであることは、このパラメータ説明の中で示されている。

同じRESTサンプルに載っている他のパラメータの受付範囲も、あわせて確認できる値として挙げておく。生成本数を指定する sampleCount は1〜4の整数、尺を指定する durationSeconds は5〜8の整数である(いずれも2026年8月14日時点の公式記載)。

なお、無効化した場合の副作用も公式が先に明示している。「If you disable prompt enhancement, the quality of the videos and how well the output resembles the prompt that you supplied may be impacted」──映像の品質と、送ったプロンプトへの忠実さの両方が影響を受ける可能性がある、という書き方になっている。オフにすれば意図通りになる、とは書かれていない。

何を足されたか確認できる条件

書き換え後のプロンプトを見られるかどうかにも条件がある。

A rewritten prompt is delivered by API response only if the original prompt is fewer than 30 words long.

元のプロンプトが30語未満のときだけ、書き換え結果がAPI応答で返る。実務で書く本番プロンプトは、キャラクターの造形・ビート構成・禁止事項を書けば数百語規模になる。つまり実務で使う長さのプロンプトでは、何を足されたかを応答から確認する手段がない。短いテストプロンプトで挙動を観察することはできるが、そこで得た観察が本番の長さでもそのまま成り立つかは、この経路では検証できない。

当サイトの実測と噛み合う点

当サイトは動画生成AIの制作ログを一次データとして記録している。その中に、公式のこの記述と噛み合う実測がある。

音の勝手な生成【実証済み】:プロンプトに「歓声」とだけ書いた回で、全キャラクターが意味不明な言語を喋り出した。No music, no dialogue, no spoken words, no singing(音楽なし、台詞なし、発話なし、歌唱なし)と明示的に禁止して解消した。公式が transcriptionsound effects を追加要素として挙げていることと、この症状は整合する。音について何も書かない状態は「無音の指定」ではなく、リライタが埋める余白として扱われる。構造面の詳しい書き方は「AI動画で複数人物が同時に動かない理由」で扱っている。

再現性の揺れ【実証済み】:同系統の指定を複数回投げても、表情の微細な動作は「決まった回」と「ぎこちない回」が混在した。指示を分解して細かく書いても安定しなかった。リライタが毎回異なる語を足しているのであれば、モデルに届く入力そのものが毎回違うことになる。ただし、この揺れをリライタだけで説明できるかは確認できていない(後述)。

実務上の対処は、切れないものを切ろうとするのではなく、埋められたくない余白を自分で埋めておく方向になる。音・カメラ・台詞について「指定しない」ではなく「無いことを明示する」と書き分ける。他の技法とあわせた記録は「動画生成AIのプロンプト技法台帳」にまとめている。

否定形の指示そのものがなぜ通りにくいのかはAI動画の「〜しないで」が効かない理由で扱っている。

正直な但し書き

  • 当サイトの実測はVeoに対するものではない。 本文で触れている「音を明示的に禁止しないと勝手に喋る」という実測は、制作ログにモデル名が記録されておらず、Veoで取ったものかどうかを確認できない。公式が transcription と sound effects を追加要素として挙げていることと症状が整合して見えるが、同一モデルでの検証ではない。さらにこの実測は1事例で、音の最終判定は人間の耳による

  • 参照した公式ページは、Google Cloud の Gemini Enterprise Agent Platform 上で使うVeoについての記述である。GeminiアプリやFlowなどコンシューマー向け経路で同じ仕様かどうかは、このページからは判断できない

  • 「Veo 3・3.1では無効化できない」は2026年8月14日時点の記載である。将来のバージョンで変わる可能性があり、本記事の内容が古くなることを前提に読んでほしい

  • 明示的な禁止(No music, no dialogue...)を書くとリライタの追加そのものを止められるのか、それとも追加はされたうえで生成側で打ち消されているのかは、切り分けられていない。30語未満でないと書き換え後プロンプトが返らないため、当サイトの本番プロンプト長では検証手段がない

  • 再現性の揺れ(表情の微細動作が安定しない)について、リライタが原因だと断定はできない。サンプリングの確率的な揺れとリライタの揺れを分離する実験は行っていない

  • Veo 3系で無効化できない理由(技術的制約か、方針か)について、公式は説明していない。本記事も推測していない

  • 無効化した場合に映像品質がどの程度落ちるかの実測は、当サイトでは行っていない。公式が「may be impacted」としている以上の情報を持っていない

出典

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