Mistral(ミストラル)、1兆パラメータの Mistral Large 4 の重みを公開コーディングで公開重み首位とうたい、API価格は入力$0.70・出力$2.10
日刊AIニュース10月29日(木)号:前日のAIのニュース54本を短くまとめました(約22分)›
Mistral AIは2026年10月29日、1兆パラメータのマルチモーダルモデル Mistral Large 4(愛称 Le Chonk)の改良版の重みを公開した。Terminal-Bench 4.0は41%、API価格は入力$0.70・出力$2.10(100万トークン)で、いずれも同社の発表。

目次
Mistral AI(ミストラル)は現地時間2026年10月29日(日本時間では同日21時、ページのメタデータによる)、主力モデル Mistral Large 4(愛称「Le Chonk」)の改良版の重みを公開しました。1兆パラメータのネイティブ・マルチモーダルモデルで、Hugging Face(ハギングフェイス)からダウンロードできます。同社はコーディングで公開重みモデルの首位をうたい、APIの価格を入力$0.70・出力$2.10(いずれも100万トークンあたり)と発表しています。以下の数字や順位は、特に断りがない限りMistral AIの発表に書かれたものです。
3行まとめ
- Mistral AIが1兆パラメータの Mistral Large 4 の重みを2026年10月29日に公開。Hugging Face、Mistral API、OpenRouter、Microsoft Foundryなどで使える。
- 同社によると、Terminal-Bench 4.0は41%(プレビュー版から13ポイント増)、サイバー指標のArtificial Analysis Cyber Indexは51%。API価格は入力$0.70・出力$2.10。
- ライセンスは修正MIT。MaaS事業者は別途商用ライセンスが必要。技術レポートは「近日公開」とされ、日本向けの記載は今回確認したページに見当たらない。
本記事の内容は、日本時間10月30日23時台に公式ページで確認したものです。
何が公開されたのか
Mistral AIによると、Mistral Large 4 は同社の旗艦モデルで、今月初めに公開プレビューとして出ていました。発表では、プレビュー後に寄せられた意見を反映し、強化学習をさらに拡大して、コーディングと防御側のサイバーセキュリティが大きく伸びたと説明しています。今回公開したのは、この改良版の重みです。推論効率も上がり、推論コストを下げられるとも書かれています。
モデル紹介の欄には「公開重みのハイブリッド(指示応答と推論)MoE、マルチモーダル入力」とあり、160以上の言語に自然に対応するとされています。推論モードは3段階です。
| モード | 推奨用途(Mistral AIの説明) |
|---|---|
| Low | 簡単なタスク。従来の「None」推論モードに代わる |
| Medium | 日常的なタスク |
| High(既定) | 高い精度と十分な推論が要る最も難しい用途 |
同社が示した成績は?
発表に載っている数字を、測定主体とあわせて並べます。いずれも同社がページで示したもので、こちらで再現したものではありません。
| 指標 | Mistral Large 4 | 発表での位置づけ |
|---|---|---|
| Cognition の非公開ベンチ FrontierCode 2.0 | 19.7% | 同社によると首位 |
| Artificial Analysis Coding Agent Index | 48% | 公開重みの首位 GLM-5.3 と「実質同点」、1タスクあたりのトークンは平均47%少ない |
| Terminal-Bench 4.0 | 41% | プレビュー版から13ポイント向上、公開重みで首位、出力トークンは30%減 |
| Artificial Analysis Cyber Index | 51% | 脆弱性の発見・再現・修正を測る指標 |
| FinWorkBench(Finch) | 73.3% | 公開重みでは Kimi K3 に次ぐ2位 |
| BrowseComp | 84.5% | SFT段階の75%から上昇。GLM-5.3や DeepSeek Flash 4.1 1017 より上と説明 |
| B3 Agent Security Benchmark の攻撃耐性 | 97.1% | プレビュー版は93.3%。公開重みの最上位と説明 |
人間による評価も載っています。Surge Code の目隠し対戦評価で、GLM-5.3、Kimi K3、DeepSeek V4.1 Flash より好まれ、評価対象のうち上にいるのは Claude Opus 5.5 だけだったと同社は書いています。
サイバー防御向けで何を変えたのか
発表の後半は、サイバー防御に多くを割いています。
- 悪意あるサイバー要求への平均拒否率は96.6%で、同社が測った公開重みモデルでは最高と説明(JailbreakBench、StrongREJECT、AgentHarm のサイバー関連プロンプトの平均)
- 正当な防御タスクでは「不要な拒否をしない」とも書いている
- Booz Allen Hamilton、Cisco、Cloudflare、CrowdStrike、Elastic、ENISA、Fortinet、NVIDIA、Orange Cyberdefense、Rubrik、Zscaler の担当者のコメントを掲載
見落とせないのは、同社自身が書いた次の点です。
we see a potential for uplift to conduct real attacks. We are modifying our guardrails accordingly, and will continue updating them in the months to come. (実際の攻撃を行うための能力底上げになりうると見ている。そのためガードレールを修正しており、今後数か月も更新を続ける。)
プレビュー後の実トラフィックを監視した結果として書かれた一文です。同じ段落で同社は、稼働中の標的へのブラックボックス攻撃にはモデルが応じず拒否したことも観測したと書いています。あわせて、ペネトレーションテストや脆弱性評価、レッドチーム向けに最適化した特化版を、Orange Cyberdefense などの設計パートナーに限ってプレビュー提供するとしています。同社は、アクセスは審査と契約上の保護措置が前提で、テストは自己所有または明示的に許可されたシステムに限るとしています。
どこで使えるのか、日本ではどうか
同社の案内をまとめると次のとおりです。
- Mistral Studio / Mistral API / OpenRouter: すぐに試せる・配備できる
- Hugging Face: 重みをダウンロードし、vLLM か SGLang で自前の環境に配備
- Vibe Code: 自分のリポジトリで機能追加やバグ修正を任せられる
- Microsoft Foundry: Microsoft のコメントによると、同社が Mistral Large 4 を顧客に届ける最初のクラウド。Mistral AI の説明では、Azure 開発者向けにプライベート配備の選択肢もある
- NVIDIA: ホスト型エンドポイントと、vLLM で動かす最適化済み NIM コンテナ。カスタマイズには NeMo AutoModel、高スループット配信には TensorRT LLM
日本での提供について、今回取得したページには日本または日本語への個別の言及を見つけられませんでした(ページ本文を「Japan」で検索して確認)。160以上の言語に自然に対応するという記載はありますが、言語別の数字は載っておらず、日本語がどの程度使えるかはこのページからは判断できません。
料金とライセンスの条件は?
| 項目 | 内容(Mistral AI発表) |
|---|---|
| 入力 | $0.70 / 100万トークン |
| キャッシュ済み入力 | $0.07 / 100万トークン |
| 出力 | $2.10 / 100万トークン |
| 適用開始 | 発表日(10月29日)から |
ライセンスは Mistral Ecosystem Open-Weight license で、同社は「修正MITライセンス」と説明しています。利用・改変・ファインチューニング・商用化は無料ですが、条件が1つあります。Model-as-a-Service を運営する事業者は、商用利用の前に Mistral から別の商用ライセンスを得る必要があります。MaaS 事業者かどうかの線引きの詳細は、ライセンス本文で確認が要ります。今回、ライセンス全文は読んでいません。
プレビュー版とどう違うのか
同社が挙げる違いは、おおむね次の3点です。
- 追加で3週間の強化学習をかけ、Terminal-Bench 4.0 が41%(13ポイント増)に
- 推論モードが3段階になり、「None」は Low に置き換わった
- B3 Agent Security Benchmark でのエージェント攻撃への耐性が、プレビュー版の93.3%から97.1%に
BrowseComp の84.5%も載っていますが、比べている75%は「SFT段階のチェックポイント」の値で、プレビュー版の値とは書かれていません。
「3週間」という期間はページ内の文言によります。プレビューの公開日そのものは、今回確認したページには書かれていませんでした。
筆者が公式ページを読んで気づいたこと
日本時間10月30日23時28分に公式ページを取得して読んだ範囲では、ベンチマークの多くが「Download PNG / Download SVG」と書かれた図として載っており、取得した本文には図の中の数字が含まれていませんでした。このため、本記事の数字は文章中に書かれたものに限っています。FrontierCode 2.0 の19.7%、Coding Agent Index の48%などは文章にあり、図でしか見えない他モデルの点数は拾っていません。
また、ページ冒頭の説明文は「コーディングで最良の公開重みモデル」と書く一方、本文の Coding Agent Index は「首位モデルと実質同点」という書き方です。首位をうたう範囲は指標によって違うので、見出しだけで「全部で1位」と読まないほうが安全です。
今回の発表だけでは分からないこと
- 第三者による再現: 数字はすべて Mistral AI の発表です。FrontierCode 2.0 は Cognition の非公開ベンチで、外から中身を確かめられません
- 技術レポート: 発表は「完全な技術レポートが近日公開」としています。学習データや構成の詳細は、公開後の確認待ちです
- 実機の必要スペック: 1兆パラメータの重みを自前で動かす際のGPU構成やメモリ量は、今回確認したページには書かれていませんでした
- 日本語での性能と日本向けの提供条件: 前述のとおり、個別の記載を確認できていません
- 今後の方針: 同社は Mistral Large 4 を、今後の専門特化モデルの土台にするとしています。同社の最近の発表には、Voxtral 3 と Timestral があります
なお、筆者は Mistral Large 4 を自分で動かしていません。本記事は公式ページの記述に基づきます。
出典と確認時刻
- Mistral AI「Mistral Large 4 (Le Chonk) is now open weight」: https://mistral.ai/news/mistral-large-4-oss/(日本時間2026年10月30日23時28分に取得、HTTP 200)
本記事は続報があり次第更新します。
この記事でよく聞かれること
- Mistral Large 4 の重みはどこでダウンロードできますか?
- Mistral AIの発表によると、重みはHugging Faceからダウンロードでき、vLLMまたはSGLangで自前のインフラに配備できます。ホスト版はMistral Studio、Mistral API、OpenRouterで使えると同社は説明しています。Microsoft Foundryでの提供と、NVIDIAのホスト型エンドポイントも発表に載っています。
- Mistral Large 4 のAPI料金はいくらですか?
- Mistral AIの発表によると、2026年10月29日から100万トークンあたり入力$0.70、キャッシュ済み入力$0.07、出力$2.10です。
- Mistral Large 4 は商用利用できますか?
- 同社によると、Mistral Ecosystem Open-Weight licenseという修正MITライセンスで、利用・改変・ファインチューニング・商用化が無料です。ただしModel-as-a-Serviceを運営する事業者は、商用利用の前に別の商用ライセンスを同社から得る必要があるとされています。
出典・参照資料
大きいニュースはYouTubeでも解説しています。Xでは新着記事をお知らせしています。
コメント
まだコメントはありません。最初のコメントを書いてみませんか?
AIについて聞きたいことはありますか?
質問箱で無料で受け付けています。回答は公開され、他の方の参考にもなります。
質問箱を見る →