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Apple、MLX(エムエルエックス)とThunderbolt 5のRDMAでMac Studio 4台をつなぎ、816B(8,160億)パラメータのMuse Spark Openを毎秒36トークン超で動かす手順と実測を公開M5 UltraのTTFTはM3 Ultra比で最大4.6倍

執筆:約11分で読めます

Apple機械学習研究は2026年10月15日、最新のMLXとRDMA over Thunderbolt 5で、Mac Studio(M5 Ultra)4台を使い総パラメータ816BのMuse Spark Openを毎秒36トークン超で生成できると発表した。M5 UltraはM3 Ultra比で初回トークンまでの時間が最大4.6倍速いとしている。

Apple、MLX(エムエルエックス)とThunderbolt 5のRDMAでMac Studio 4台をつなぎ、816B(8,160億)パラメータのMuse Spark Openを毎秒36トークン超で動かす手順と実測を公開──M5 UltraのTTFTはM3 Ultra比で最大4.6倍
目次

Apple機械学習研究は2026年10月15日(現地日付。ページに時刻の記載なし)、同日公開の最新版MLX(エムエルエックス)とRDMA over Thunderbolt 5を使い、Mac Studio(M5 Ultra)を複数台つないで大規模LLMを手元で動かす方法とベンチマークを公開した。総パラメータ816BのMuse Spark Open(ミューズ スパーク オープン)は、4台構成で1秒あたり36トークン超を生成したと、Appleは書いている。

3行まとめ

  1. Apple機械学習研究が2026年10月15日、MLXとThunderbolt 5のRDMAでMac Studio(M5 Ultra)4台を連携し、Muse Spark Open(総816B・アクティブ42B)を毎秒36トークン超で生成と発表
  2. M5 Ultra 1台はM3 Ultra比で初回トークンまでの時間が最大4.6倍、生成速度が1.6倍(いずれもApple測定)
  3. 4ビット化したMuse Spark Openでも約493GBあり、推論中の計算用メモリを足すと1台には収まらないとApple。文脈8,192トークンで、2台のパイプライン並列は15.74、2台のテンソル並列は24.99、4台のテンソル並列は36.73トークン/秒

本記事の内容は、日本時間10月16日1時台に公式ページで確認したものです。数値はすべてAppleの記事に載っているもので、当サイトで測ったものではありません。

何が公開されたのか

公開されたのはApple Machine Learning Researchの記事「Local and Distributed Large LLM Inference with MLX and RDMA on Mac Studio」です。MLXはApple siliconの統合メモリを生かすオープンソースの配列フレームワークで、記事はその最新版(同日公開)を使った実測と手順をまとめています。

評価に使ったモデルは3つです(Appleの表1)。

モデル 総パラメータ アクティブ 元の精度 評価時の精度
Muse Spark Open 816B 42B BF16 NVFP4(4ビット)
Mistral Medium 3.5 128B 128B FP8 FP8
Qwen 3.8 27B 27B BF16 BF16

Muse Spark OpenはMoE(Mixture of Experts)で、推論のたびに一部のエキスパートだけを動かす構成です。Appleは「ほぼ1兆パラメータ」の最先端級モデルと呼んでいます。計測は mlx_lm.benchmark で行い、文脈長は8,192トークンと65,536トークンの2通りです。65,536を入れた理由として、Appleは大きな文脈が要る「エージェント型のコーディング」をローカルで動かす用途を挙げています。

Mac Studio 1台だとどこまで動くのか

Appleによると、Qwen 3.8(27B)とMistral Medium 3.5(128B)は、512GBのMac Studio 1台に収まります。65,536トークンの設定でもメモリ使用は最大でそれぞれ68GBと158GBです。

Appleは、M5 UltraをM3 Ultraと比べて次のように書いています。

  • 初回トークンまでの時間(TTFT): 計算量で決まる。GPUのNeural Acceleratorが行列演算を速くし、M3 Ultra比で最大4.6倍
  • 生成速度: メモリ帯域で決まる。M5 Ultraは1.2TB/秒、M3 Ultraは819GB/秒で、トークン/秒は1.6倍
  • ピーク消費電力: M3 Ultraが約200W、M5 Ultraが約300W(65,536トークン時)

Appleの表から、8,192トークン側と読める数値を抜くと次のとおりです。

モデル TTFT M3 Ultra TTFT M5 Ultra 生成 M3 Ultra 生成 M5 Ultra
Mistral Medium 3.5 95.9秒 24.6秒 4.95トークン/秒 7.70トークン/秒
Qwen 3.8 18.2秒 4.1秒 12.46トークン/秒 19.69トークン/秒

「最大4.6倍」は、この表の組み合わせからは出てきません(95.9÷24.6は約3.9倍、18.2÷4.1は約4.4倍)。4.6倍は65,536トークン側などの別の組み合わせの値と考えられますが、そちらの数字は今回取得した本文から読み取れませんでした。

Muse Spark Openは何台で、どう分けて動かすのか

Appleによると、Muse Spark Openは元のBF16だとパラメータだけで1.6TB超、4ビット(NVFP4)にして約493GBです。推論中の計算用メモリを足すと1台には収まらず、複数台への分割が必要としています。分け方は2通りです。

  • パイプライン並列: モデルを層の深さで分ける。前半の層を1台目、後半を2台目が処理する。実装が簡単で、コードの変更は最小限
  • テンソル並列: 各層を幅で分け、全台が全層の一部を計算する。実装は複雑で、トークンごと・層ごとに小さな通信が何度も発生する

通信には、macOS 26.2で入ったThunderbolt 5経由の低遅延RDMAドライバーと、MLX v0.30.1以降の通信集合演算 jaccl(「ジャッカル」と読むとAppleは書く)を使います。検証では、2台構成も4台のメッシュも、各2台の間をThunderboltケーブル2本でつないでいます。ケーブル2本にした理由は、リンク帯域を2倍にするためです。起動には mlx.launch を使い、実行コマンド例が記事に載っています。

実測:Muse Spark Openの生成速度

Appleの表3のうち、Muse Spark Openの行は次のとおりです。

構成 生成速度(トークン/秒)
M5 Ultra 2台・パイプライン並列 15.74
M5 Ultra 2台・テンソル並列 24.99
M5 Ultra 4台・テンソル並列 36.73

ほかの2モデルも、台数を増やすと速くなっています。4台のテンソル並列は、Mistral Medium 3.5が23.37、Qwen 3.8が50.89トークン/秒です(1台はそれぞれ7.70と19.69)。Appleは、密なモデル(全パラメータが常に動くモデル)は複数台に分けたときの伸びが特に良いと書いています。一方で、Muse Spark Openの生成速度もテンソル並列で大きく伸び、大きな文脈でも密なモデルと同程度の伸びだとしています。

TTFTでは、Muse Spark Openの4台テンソル並列が、8,192トークン側と読める表で4.8秒です。65,536トークンでは、ケーブル2本で約40.6秒、1本だと約50.5秒だったと本文にあります(1本の実験は追加で行ったもの)。2台のテンソル並列は、この大きな文脈で2台のパイプライン並列よりも遅れました。Appleは、エキスパート出力の正規化が通信を増やすためと説明しています。台数を増やせばこの差は取り戻せるとも書いています。

手元で使うには:エージェントツールとの接続

mlx_lm.server の前に mlx.launch を付ければ、複数台に計算を分けたままローカルのサーバーとして起動できます。記事は、エージェントツールの OpenCode から使う設定例も載せています。OpenAI互換のプロバイダー設定(@ai-sdk/openai-compatible)で、baseURL を http://127.0.0.1:8080/v1 に向ける書き方です。

公式ページを確認して気づいたこと

日本時間10月16日1時59分に公式ページを取得して、本文を読みました。表2と表3は、文脈長の8,192と65,536の2つを並べた表のはずですが、取得した本文では片方の値の列だけが残っていました。Figure 1が8,192トークンの図で、Muse Spark Openの4台構成が「36トークン超」と書かれていること、パイプライン並列のTTFTが1台とほぼ同じ(8,192では重ねる効果が出ない、とAppleが書く部分)ことから、残っている列は8,192トークン側と読んでいます。本記事で「8,192トークン側と読める」と書いた数字は、この推定にもとづくものです。65,536トークン側の表の数字は、今回の取得分からは確認できませんでした。

今回の発表で確認できなかったこと

  • 日本での提供や価格: 今回取得した公式ページには、Mac Studio(M5 Ultra)の日本での発売や価格、Muse Spark Openの配布条件・ライセンスの記載を見つけられませんでした。「Mac Studio」の仕様ページへのリンクは付いていますが、そのページは取得していません
  • 第三者による再現: 数値はすべてAppleによる測定です。当サイトでは試していません
  • 構成の前提: 1台での比較は512GBのMac Studioと明記され、結びでも512GBの統合メモリを組み合わせの一つに挙げています。ただ、2台・4台構成の各台が512GBかどうかは、ベンチマークの説明の中では明示されていません
  • モデルの出どころ: 実行コマンドのモデル名は meta-models/Muse-Spark-Open-816B-A42B-NVFP4 です。Appleは「newly released(新たに公開された)」と書いていますが、モデルの公開元や具体的な公開日の説明は、この記事にはありません
  • 精度や品質: 速度と電力の記事で、4ビット化による回答の質の変化は扱っていません

Muse Spark系の周辺情報は、当サイトのMeta AIの日本提供の解説で、公式が示す基盤がMuse Sparkであることを扱っています。

出典と確認時刻

本記事は続報があり次第更新します。

この記事でよく聞かれること

Mac Studioを何台つなぐと、Muse Spark Openはどのくらいの速さで動きますか?
Apple機械学習研究の発表によると、M5 Ultra搭載のMac Studio 4台をテンソル並列でつないだ構成で、文脈8,192トークンのとき1秒あたり36.73トークンを生成しました(同社の測定)。2台のテンソル並列は24.99、2台のパイプライン並列は15.74トークン/秒です。
Muse Spark Openは、Mac Studio 1台では動かせませんか?
Appleの発表では、動かせません。総パラメータ816BのMuse Spark Openは、4ビット(NVFP4)にしても約493GBで、推論中の計算用メモリを足すと最大512GBの1台には収まらないと説明しています。複数台に分ける必要があるとしています。
複数のMacをつなぐのに必要な条件は何ですか?
Appleの記事によると、macOS 26.2で追加されたThunderbolt 5経由のRDMAドライバーと、MLX v0.30.1以降が前提です。検証ではMac Studio同士をThunderboltケーブル2本で接続しています。起動には mlx.launch コマンドを使います。
M5 UltraはM3 Ultraより何が速くなりましたか?
Appleは、初回トークンまでの時間(TTFT)が最大4.6倍、生成速度が1.6倍と説明しています。TTFTはGPUのNeural Accelerator(行列演算の専用回路)、生成速度はメモリ帯域(M5 Ultraは1.2TB/秒、M3 Ultraは819GB/秒)が理由としています。
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出典・参照資料

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