VPN(ブイピーエヌ)とはインターネット上に仮想の専用トンネルを作り、通信を暗号化してやり取りする仕組み。Windows 11 は「設定」の「VPN」で接続を追加・変更でき、入力する値は会社か VPN サービスが決める【2026年10月版】
VPN(ブイピーエヌ)とは、Virtual Private Network(仮想専用回線)の略で、インターネット上に仮想の専用トンネルを作り、通信内容を暗号化して安全にやり取りする仕組みです(警察庁の報告書の説明)。Windows 11 では「設定」の「ネットワーク & インターネット」>「VPN」>「VPN の追加」で接続を作れますが、サーバーのアドレスなどは会社か VPN サービスから受け取ります(Microsoft サポート)。警察庁によると、令和8年上半期のランサムウェア被害で侵入経路に答えた36件のうち18件が VPN 機器でした。筆者は2026年10月13日に、この Mac の VPN 設定一覧と公式ページで確かめました。

目次
- VPN(ブイピーエヌ)とは何か。警察庁・総務省・国家サイバー統括室の説明
- 暗号化されるのは出口サーバまで。https・リモートデスクトップとの違い
- 会社の VPN と、個人が契約する VPN サービスは何が違うのか
- Windows 11 で VPN 接続を追加・変更するには。Microsoft サポートの手順
- 安全に使うために、公的機関の資料が挙げていること
- 警察庁の統計:ランサムウェアの侵入経路で、VPN 機器は5割台から6割台
- 筆者がこの Mac で確かめたこと:VPN の設定は0件、公式ページを開いた時刻
- この記事が確かめていない点:Windows の実機、VPN サービスの中身ほか
- 出典の取得時刻と、保存してある原文
- この記事でよく聞かれること
2026年10月13日・日本時間時点の情報です。 VPN(ブイピーエヌ)とは、Virtual Private Network(仮想専用回線)の略で、インターネット上に仮想の専用トンネルを作り、通信内容を暗号化して安全にやり取りする仕組みです。警察庁の報告書が脚注でこのように説明しています。Microsoft サポートや IPA の資料によると、会社のネットワークに外からつなぐときにも、公衆Wi-Fiで通信を暗号化するときにも使われます。Windows 11 には VPN 接続を追加する画面が標準で用意されていますが、入力するサーバーのアドレスなどは、会社か VPN サービスから受け取ります。
3行まとめ
- VPN は、警察庁の報告書(2026年9月公表)によると「インターネット上に仮想の専用トンネルを作り、通信内容を暗号化して安全にやり取りする仕組み」。国家サイバー統括室(NCO)のハンドブックによると、暗号化されるのは自分の機器から「出口サーバ」までで、その先は VPN では暗号化されない。
- Windows 11 は「設定」の「ネットワーク & インターネット」>「VPN」>「VPN の追加」。サーバーのアドレス・VPN の種類・サインイン情報は会社か VPN サービスが決める。変更は接続を選んで「詳細オプション」>「編集」(Microsoft サポート、2026年10月13日取得)。
- 警察庁によると、ランサムウェア被害で侵入経路に答えた組織のうち VPN 機器は、令和8年上半期が36件中18件、令和7年が92件中61件。組織側の機器の話と読め、個人が VPN 接続を足す操作の話ではない(この区別は筆者の整理)。
意味は公的機関の資料で、手順は Microsoft サポートの文言で、注意点は警察庁と IPA(情報処理推進機構)の資料で確かめました。特定の VPN サービスの比較や推薦はしません。
VPN(ブイピーエヌ)とは何か。警察庁・総務省・国家サイバー統括室の説明
警察庁サイバー警察局が2026年9月に公表した「令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」は、ランサムウェア(データを暗号化して身代金を要求する不正プログラム)の侵入経路を説明する箇所の脚注13で、VPN をこう説明しています。
「Virtual Private Network(仮想専用回線)の略。インターネット上に仮想の専用トンネルを作り、通信内容を暗号化して安全にやり取りする仕組み。管理不備やぜい弱性を突かれると、暗号化を突破され、ランサムウェアの侵入経路となり得る。」
総務省の「国民のためのサイバーセキュリティサイト」の用語集には、「VPN機器(ブイ・ピー・エヌ・きき)」の項目があります(2026年10月13日2時台にサイトマップの全124ページを取得して確かめた範囲では、VPN の項目はこの1件のみでした)。
「Virtual Private Networkの略。インターネットや多人数が利用する閉域網を介して、暗号化やトラフィック制御技術により、プライベートネットワーク間が、あたかも専用線接続されているかのような状況を実現する技術又はそのための機器。」
総務省のテレワークセキュリティガイドライン(第5版・令和3年5月)の用語集(108ページ)は、VPN そのものをこう説明しています。
「Virtual Private Networkの略称。主にインターネット上で、認証技術や暗号化等の技術を利用し、保護された仮想的な専用線環境を構築する仕組み。」
国家サイバー統括室(NCO)の「インターネットの安全・安心ハンドブック」Ver 5.10(令和7年3月11日)の用語集は、業務用と一般の利用者用を分けて書きます。
「業務用としてはインターネットを利用しながらセキュリティを守りつつ、独立したネットワーク間をLANのように接続する。一般の利用者用には、自分の機器からインターネット上の安全とされる出口サーバまでの区間の通信をすべてまるっと暗号化する」
同じハンドブックの第5章(116ページ)は、「VPN とは元々は、地理的に離れた 2 点の事業者間をインターネットを利用しながら専用線で接続したかのように接続する技術です。」と書き、その「事業所から事業所」を「個人の IT 機器から安全な場所にある出口サーバ」に置き換えたものが個人利用だ、と説明します。ハンドブックの説明では、元々の VPN は事業所どうしを、個人利用は自分の機器と出口サーバをつなぎます。
用語の補足です。「暗号化」は通信の中身を、鍵を持たない人には読めない形に変えること、「出口サーバ」は暗号化された通信を元に戻して目的のサイトなどへ送り出すサーバーです(ハンドブックの図の説明による)。「ぜい弱性」(脆弱性)は、機器やソフトにある、攻撃に悪用されうる欠陥のことです。
暗号化されるのは出口サーバまで。https・リモートデスクトップとの違い
ハンドブック第5章の図と説明(117ページ)を順番に直すと、次の3段階です。
- 自分のパソコンやスマートフォンの中で、通信をまとめて暗号化する。
- 暗号化したまま、公衆無線LANやインターネットを通って出口サーバまで運ぶ。
- 出口サーバで暗号化を解き、そこから目的のウェブサイトやメールサーバへ送る。
ハンドブックは、守られる範囲をこう書いています。
「VPN はすべての通信を暗号化し、かつ広範囲にカバーしてくれます。しかし、その範囲は利用者の機器から安全と思われる場所に設定された出口サーバまで限定であり、その先の目的のサーバまでは暗号化されない区間が残ります。VPN さえあればすべて安全というわけではないのです。」
https(エイチティーティーピーエス)との違い。 VPN が暗号化しない、出口サーバから先の区間について、ハンドブックは「利用者のそれぞれのソフトやアプリから目的のサーバまでを個別に暗号化するやり方があります」と書き、続く節で SSL/TLS(URL が「https://」で始まる通信)を説明します。同じ章は、暗号化した通信を使う詐欺サイトで利用者に「あ、暗号化しているから大丈夫」と油断させる手口にも触れています。
リモートデスクトップとの違い。 総務省のテレワークセキュリティガイドライン(第5版・令和3年5月)は、VPN 方式を「テレワーク端末からオフィスネットワークに対してVPN接続を行い、そのVPNを介してオフィスのサーバ等に接続し業務を行う方法」と書き、オフィスの端末のデスクトップ環境を遠隔操作する「リモートデスクトップ方式」とは別の方式に整理しています。
会社の VPN と、個人が契約する VPN サービスは何が違うのか
| 観点 | 会社などの組織の VPN | 個人が契約して使う VPN サービス |
|---|---|---|
| つなぐ先 | オフィスネットワーク(総務省のガイドライン) | インターネット上の出口サーバ(NCO) |
| 設定の探し先 | 会社のイントラネットサイトの「VPN 設定または VPN アプリ」、または会社のサポート担当者(Microsoft サポート) | Microsoft Store のそのサービスのアプリ、またはサービスの Web サイト(Microsoft サポート) |
| VPN でつながる区間 | テレワーク端末からオフィスネットワークまで(総務省) | 自分の機器から出口サーバまで。暗号化はこの区間だけ(NCO) |
| 公的資料が挙げる注意 | VPN 機器の脆弱性(ぜい弱性)の放置(総務省・IPA・警察庁) | サービスによっては、接続が切れると暗号化されない状態で通信を続ける(NCO)。無料の VPN サービスの中に、マルウェアが組み込まれたものが含まれている場合がある(警察庁) |
出典は2026年10月13日に取得した各資料。表の整理は筆者による。
Microsoft サポートのページには、この使い分けがそのまま書かれています(画像は、筆者が2026年10月13日2時8分に headless、つまり画面に出さないブラウザで開いたページ)。

会社の VPN のように、所属先からテレワークの環境が提供されている場合について、IPA の「テレワークを行う際のセキュリティ上の注意事項」は「不明な点等がある場合は自分で判断せず、まずは所属先のシステム管理者等に相談をしてください。」と書いています。
個人向けの VPN サービスについて、同じ IPA のページは「公衆Wi-Fiを利用する場合は、必要に応じて信頼できるVPNサービス(脚注3)を利用してください。」と書き、脚注3はハンドブックの「まとめて暗号化するVPN」の節を指します。「信頼できる」の条件を並べた箇所は、この IPA のページとハンドブック第5章には見つかりませんでした(本記事が確認した範囲)。本記事は、どのサービスが信頼できるかを示しません。
Windows 11 で VPN 接続を追加・変更するには。Microsoft サポートの手順
Microsoft サポートの「Windows で VPN に接続する」には、「Windows 11」と「Windows 10」のタブがあります(取得した HTML の ms.date は 02/27/2026)。Windows 11 のタブの「概要」には、次の一文があります。
「仕事でも個人でも、Windows デバイスで仮想プライベート ネットワーク (VPN) に接続できます。」
同じタブには「この機能は Windows 11 SE では使用できません。」という注があります。Windows 10 のタブの冒頭には「Windows 10 のサポートは 2025 年 10 月 14 日に終了しました」とあり、本記事は Windows 11 だけを扱います。
追加の手順
VPN に接続する前に必要なものを、Microsoft サポートは「VPN に接続する前に、デバイスに VPN プロファイルが必要です。」と書きます。ページは「プロファイル」の意味を説明していません。本記事では、接続先のアドレスや認証の方法をまとめた設定、と説明します。追加の手順は、Microsoft サポートによると次のとおりです(画面の項目名は、ページの表記を「」で示します)。
- 「設定」アプリで、「ネットワーク & インターネット」>「VPN」>「VPN の追加」の順に選ぶ。
- 「VPN 接続の追加」で、次の5つを選ぶか入力する。
- 「VPN プロバイダー」で「Windows (ビルトイン)」を選ぶ。
- 「接続名」のボックスに、認識しやすい名前(ページの例は「自分の VPN」)を入れる。
- 「サーバー名またはアドレス」のボックスに、VPN サーバーのアドレスを入れる。
- 「VPN の種類」で、作成する VPN 接続の種類を選ぶ。ページは「自分の会社または VPN サービスで使われている VPN 接続の種類を把握しておく必要があります。」と書いています。
- 「サインイン情報の種類」で、使用するサインイン情報(資格情報)の種類を選ぶ。ページは例として「ユーザー名とパスワード、ワンタイム パスワード、証明書、または仕事で VPN に接続する場合はスマート カードなど」を挙げています。必要な場合は、ユーザー名とパスワードもそれぞれのボックスに入れます。
- 「保存」を選ぶ。
手順1は、日本語のページでは「[ネットワーク & インターネット>VPN]>VPN の追加] を選択します。」と括弧の位置がずれた表記です。英語版の同じ箇所は「Network & internet > VPN > Add VPN」で、3つの項目を順に選ぶ手順です(どちらも2026年10月13日取得)。
選んだり入れたりする項目は5つあり、うち「サーバー名またはアドレス」「VPN の種類」「サインイン情報の種類」は、会社か VPN サービスの案内が無いと決められません。
「VPN の種類」について、Microsoft Learn(Windows Server の管理者向け文書・英語・最終更新 2024-06-21)は次のように書いています。
「We don't recommend that you use L2TP or PPTP, due to their lack of security features.」 (訳: L2TP や PPTP は、セキュリティ機能が足りないため、使うことを勧めない。)
これは VPN サーバーを立てる側の文書です。利用者が画面で種類を選ぶ場面では、接続先の案内に合わせる、というのが本記事の読み方です。
つなぐ・つながったか確かめる・変更する
つなぐには、「タスク バーで、[ネットワーク]、[音量]、[バッテリー] アイコン >VPN を選択します。」か、設定アプリの「VPN」で「使用する VPN 接続の横にある [接続] を選択します。」です。つながったかは、Microsoft サポートによると次の2つで見ます。
- 「VPN 設定」ページで、VPN 接続名の下に「接続済み」と表示される。
- 「認識された VPN に接続している場合、タスク バーに青い盾が表示されます。」
追加済みの接続を変えるときの手順は、Microsoft サポートによると次のとおりです。ページは、これを「VPN 接続情報を編集する必要がある場合、またはプロキシ設定などの追加設定を行う必要がある場合」の手順としています。
- 「VPN 設定」ページで、編集する VPN 接続を選ぶ。
- 「詳細オプション」を選ぶ。
- 更新する詳細の横にある「編集」を選ぶ。
- 必要な更新をしたら、「保存」または「適用」を選ぶ。
VPN をつないだまま ChatGPT にログインできないときの切り分けは、ChatGPT(チャットGPT)のログイン方法の記事にまとめています。
「VPN 接続」という言葉が指す2つのもの
Microsoft サポートのページでは、「VPN 接続」が2つの意味で出てきます。設定として保存した接続(「VPN 接続の追加」「VPN 接続情報を編集する」)と、つながっている状態(「VPN 接続を確認する」)です。「VPN 接続とは」と調べたときの意味は、文脈で変わります。
安全に使うために、公的機関の資料が挙げていること
運営者が分からない無線LANでは、VPN があっても積極的な利用を勧めない。 ハンドブックは、運営者がよく分からない無線 LAN アクセスポイントには「多分に攻撃者が潜んでいる可能性がある」ので「VPN を使えたとしても積極的な利用は推奨しません。」と書き(117ページ)、暗号化のない公衆無線LANなどへの対策としては、自前の携帯電話回線や、スマホをルータ代わりに使う「テザリング」の範囲で接続することを「おすすめします」と書いています(116ページ)。設定はテザリング(デザリング)のやり方に書きました。
VPN サービスの作りによっては、接続が切れると暗号化が外れる。 ハンドブックは、サービスによっては「VPN 接続が切れると暗号化されていない状態に移行して通信を継続したりしてしまうものもある」と書き、注意を促しています。Windows の「接続済み」の表示と青い盾を使う前に見る、というのは筆者の提案です。
無料の VPN サービスの中には、マルウェアが組み込まれたものが含まれている場合がある。 警察庁の報告書は、一般家庭で使われるネットワーク接続機能を持つ機器(IoT 機器)の悪用の項で、こう書いています。
「無料 VPN サービスや無料音楽アプリケーションの中に、プロキシ機能を持たせるためのマルウェアが組み込まれたものが含まれている場合があり、これらを機器にインストールすることで、利用者の端末がレジデンシャルプロキシとなる事例も確認されている。」
報告書は「レジデンシャルプロキシ」を「一般家庭の回線を利用して通信を中継し、接続を行う仕組み」と注記しています。
警察庁の統計:ランサムウェアの侵入経路で、VPN 機器は5割台から6割台
警察庁の令和8年上半期の報告書(2026年9月10日付の公表資料)は、本文にこう書いています。
「被害組織へのアンケート結果によると、侵入経路は VPN機器が約5割を占める状況である。攻撃者は、未修正のぜい弱性や漏えいした認証情報等を悪用して組織のネットワークへ侵入する。」
統計編(143ページ)の「感染経路」の件数は次のとおりです。報告書のグラフと統計データ(Excel)で件数が一致することを確かめました。割合は筆者の計算です。
| 期間 | 有効回答 | VPN機器 | リモートデスクトップ | 不審メールやその添付ファイル | その他 | VPN機器の割合 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 令和3年 | 76件 | 41件 | 15件 | 5件 | 15件 | 53.9% |
| 令和4年 | 102件 | 63件 | 19件 | 9件 | 11件 | 61.8% |
| 令和5年 | 115件 | 73件 | 21件 | 6件 | 15件 | 63.5% |
| 令和6年 | 100件 | 55件 | 31件 | 2件 | 12件 | 55.0% |
| 令和7年 | 92件 | 61件 | 19件 | 2件 | 10件 | 66.3% |
| 令和8年上半期 | 36件 | 18件 | 9件 | (この期は区分なし) | 9件 | 50.0% |
出典: 警察庁「令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」統計編143ページと統計データ(2026年10月13日取得)。「有効回答」は不明・未回答を除いた件数。
読むときの注意が3つあります。
- 母数が小さい。 令和8年上半期にランサムウェア被害として警察庁に報告されたのは123件(半期の件数として令和2年下半期以降で最多)で、侵入経路に有効な回答があったのは36件です。被害を届けた組織の一部の回答で、全体を数えた統計ではありません。
- 統計の「VPN機器」は、被害に遭った組織側の装置と読める(筆者の整理)。 警察庁のアンケートは被害に遭った企業・団体等が対象で、報告書は攻撃者が「組織のネットワークへ侵入する」と書いています。内閣府政府広報室の「ランサムウェア、あなたの会社も標的に?被害を防ぐためにやるべきこと」(取材協力は警察庁)は、VPN の注記で「オフィスにVPN機器を設置し、パソコンにインストールしたVPN接続用のソフトウェアからオフィスにアクセスすることで、テレワークを実施することができます。」と書いています。個人が Windows に VPN 接続を足す操作は、この統計の項目ではない、というのが本記事の読み方です。ただし、家庭の機器にも VPN の機能を持つものはあります。総務省の「国民のためのサイバーセキュリティサイト」は、Wi-Fi ルータの認証情報が盗まれた場合の対処として「VPN機能やDDNS機能などリモートからルータにアクセスできる機能が意図せず有効になっていないか確認し」と書いています。
- VPN 自体が危険という意味ではない。 警察庁の脚注は「管理不備やぜい弱性を突かれると」と条件をつけています。
IPA も、2025年10月31日公開の注意喚起で「ネットワーク境界に位置するVPN機器等において、深刻な脆弱性が相次いで報告され、実際にネットワーク貫通型攻撃に悪用される事例も確認されています。」と書き、対策に「迅速なパッチ適用・機器の更新」(パッチは、欠陥を直す修正プログラム)を挙げています。
被害に気づいたときの連絡先
- 警察庁「サイバー事案に関する相談窓口」: 被害届は「最寄りの警察署等に連絡をお願いします」と書き、通報・相談の「全国統一のオンライン受付窓口」も案内しています。報告書も、ランサムウェアの被害に遭った際は「早期に警察や関係機関に通報・相談する」よう呼びかけています。
- IPA: 「サイバーセキュリティ 相談・届出窓口一覧」は、個人のパソコンやスマートフォンの相談先として「IPA情報セキュリティ安心相談窓口」を、企業・組織には「企業組織向けサイバーセキュリティ相談窓口」(メール)と、「ランサムウェア感染事象」などの届出ページ「コンピュータウイルス・不正アクセスに関する届出について」を案内しています。
会社の VPN で不審な動きに気づいたときは、自分で判断せずに所属先のシステム管理者へ知らせるのが先、というのが筆者の提案です(IPA のテレワークの注意事項は、不明な点は自分で判断せず、まず所属先のシステム管理者等に相談するよう書いています)。
筆者がこの Mac で確かめたこと:VPN の設定は0件、公式ページを開いた時刻
筆者が使っている Mac(macOS 26.6)での読み取りと、公式ページを開いた記録です。設定を変えるコマンドは実行していません。
1. この Mac の VPN の設定一覧は空だった。 2026年10月13日2時6分、ターミナルで scutil --nc list を実行しました。man scutil は --nc を「a set of commands for monitoring and interacting with VPN connections」(VPN 接続を監視し、操作するためのコマンド群)と説明しています。出力は「Available network connection services in the current set (*=enabled):」という見出しの1行だけで、サービス名はありませんでした(終了コード0、1行)。この Mac のネットワーク接続サービスの一覧に VPN の設定が1件も無かった、ということです(伏せた箇所はありません)。scutil --nc help は使い方の表示だけで、start や stop などの操作系は使っていません。VPN 関係のアプリが一切無いとまでは言えません。
2. 公式ページを開いた時刻。 2時8分27秒に Playwright(ブラウザの自動操作ツール。headless で実行)で Microsoft サポートの「Windows で VPN に接続する」を開いて1280×800で、2時8分32秒に390×844でも撮影しました。「Windows 11」と「Windows 10」のタブがあり、サインインの案内が出ていましたが、ログインはしていません。
3. 古い URL は新しい場所へ転送されていた。 2時14分、curl -sIL(応答の先頭だけを見る)で、総務省の古い URL(.../joho_tsusin/security/index.html)が HTTP 301 で .../cybersecurity/kokumin/index.html へ転送されるのを確かめました。現在のサイト名は「国民のためのサイバーセキュリティサイト」です。
この記事が確かめていない点:Windows の実機、VPN サービスの中身ほか
- Windows 11 の実機で、手順を操作していません。 手順は Microsoft サポートの文言によるもので、筆者の Mac は macOS 26.6 です。実際の画面の項目名が、サポートページの表記と一字一句同じかは確かめていません。
- 個人向け VPN サービスの安全性・料金・速度・記録の扱いは調べていません。
- 警察庁の統計の「VPN機器」が、どの製品・どの方式を指すかは確かめていません。 報告書は「VPN機器」とだけ書いています。
- ハンドブックは Ver 5.10(令和7年3月11日)の記述です。 取得時点で最新として載っていましたが、VPN サービスの提供のしかたが変わっていないかは確かめていません。
- 会社が配る VPN アプリや、管理者が一括で配る設定は対象外です。 扱ったのは、設定アプリでの手動の追加と変更だけです。
出典の取得時刻と、保存してある原文
本文で名指しした資料は、すべて出典欄に URL を載せています。取得は2026年10月13日の2時台で、保存した原文・撮影画像・コマンドの実行結果は時刻つきで筆者の作業フォルダに残しています。
この記事でよく聞かれること
- VPNとは何ですか
- VPN(ブイピーエヌ)は Virtual Private Network(仮想専用回線)の略で、インターネット上に仮想の専用トンネルを作り、通信内容を暗号化して安全にやり取りする仕組みです。警察庁の令和8年上半期の報告書の脚注が、このように説明しています(2026年10月13日取得)。国家サイバー統括室のハンドブックの用語集は、業務用では離れたネットワークどうしをLANのようにつなぎ、一般の利用者用では自分の機器から出口サーバまでの通信をまとめて暗号化する、と使い方を分けて書いています。
- VPN接続とは何ですか
- VPN を通して会社のネットワークやインターネットにつなぐこと、またはそのための設定を指します。Microsoft サポートの Windows 11 のページは、VPN 接続で会社のネットワークやインターネットに、より安全に接続してアクセスできると説明し、接続する前にデバイスに VPN プロファイル(接続先の設定)が必要と書いています。つながると、「VPN 設定」ページで接続名の下に「接続済み」と出ます(2026年10月13日取得)。同じページは、保存した設定(VPN 接続の追加)と、つながっている状態(VPN 接続を確認する)の両方を「VPN 接続」と呼んでいます。
- Windows 11でVPN接続を追加するにはどうしますか
- Microsoft サポートによると、「設定」アプリで「ネットワーク & インターネット」>「VPN」>「VPN の追加」を選び、「VPN プロバイダー」で「Windows (ビルトイン)」、「接続名」、「サーバー名またはアドレス」、「VPN の種類」、「サインイン情報の種類」を入れて「保存」を選びます。サーバーのアドレスなどは、会社のイントラネットサイトやサポート担当者、契約している VPN サービスのアプリや Web サイトで確かめます。
- Windows 11でVPN接続を変更するにはどうしますか
- Microsoft サポートによると、「VPN 設定」ページで編集する VPN 接続を選び、「詳細オプション」を選んで、更新する詳細の横にある「編集」を選びます。必要な更新をしたら「保存」または「適用」を選びます。プロキシ設定などの追加設定も、Microsoft はこの手順で案内しています。VPN の種類について、Microsoft は、自分の会社または VPN サービスで使われているものを把握しておく必要があると書いています。
- VPNを使えば通信は全部安全になりますか
- なりません。国家サイバー統括室のハンドブック(Ver 5.10)は、VPNが暗号化するのは自分の機器から出口サーバまでで、その先の目的のサーバまでは暗号化されない区間が残り、「VPN さえあればすべて安全というわけではないのです」と書いています。運営者がよく分からない無線LANのアクセスポイントでは、VPNを使えたとしても積極的な利用は推奨しない、とも書いています(2026年10月13日取得)。
- 会社のVPNと、個人が契約するVPNサービスは何が違いますか
- つなぐ先と、設定の出どころが違います。総務省のテレワークセキュリティガイドラインは、VPN方式を、端末からオフィスのネットワークへVPN接続して業務をする方法と説明します。個人向けは、自分の機器からインターネット上の出口サーバまでを暗号化します(国家サイバー統括室)。Microsoft サポートは、仕事なら会社のイントラネットサイトか担当者、個人契約ならサービスのアプリか Web サイトで設定を探すと書きます。
- 無料のVPNサービスは使っても大丈夫ですか
- 警察庁は注意を呼びかけています。令和8年上半期の報告書は、無料 VPN サービスや無料音楽アプリの中に、プロキシ機能を持たせるためのマルウェアが組み込まれたものが含まれる場合があり、入れた端末がレジデンシャルプロキシ(家庭の回線を使った通信の中継)になる事例も確認されている、と書いています。個別のサービスの良し悪しは、本記事では評価していません。
- ランサムウェアの侵入経路はVPN機器が多いそうですが、自宅のパソコンのVPN設定は危ないのですか
- 警察庁のこの統計は、自宅のパソコンのVPN設定の危なさを数えたものではない、というのが本記事の読み方です(筆者の整理)。統計はランサムウェアの被害に遭った企業・団体等へのアンケートで、令和8年上半期は侵入経路の有効回答36件のうち18件がVPN機器でした(令和7年は92件中61件)。内閣府政府広報室のページは、オフィスにVPN機器を設置してテレワークをする使い方を例に挙げています。一方、総務省は家庭のWi-Fiルータの認証情報が盗まれた場合の対処として、VPN機能などリモートからルータにアクセスできる機能が意図せず有効になっていないか確かめるよう案内しています。
出典・参照資料
- 一次資料警察庁サイバー警察局「令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(令和8年9月10日付の公表資料・PDF。VPN の脚注定義とランサムウェアの侵入経路。2026年10月13日2時台に取得) ↗
- 一次資料警察庁「令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」統計データ(Excel。感染経路の件数。2026年10月13日2時台に取得) ↗
- 一次資料警察庁「令和8年上半期…」正誤表(特殊詐欺の図表の訂正で、ランサムウェアの記述は対象外。2026年10月13日2時台に取得) ↗
- 一次資料警察庁「サイバー空間をめぐる脅威の情勢等」(報告書の一覧ページ。2026年10月13日2時3分に取得) ↗
- 一次資料警察庁「サイバー事案に関する相談窓口」(2026年10月13日2時13分に取得) ↗
- 一次資料総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」用語集(英字)の「VPN機器」(2026年10月13日2時2分に取得) ↗
- 一次資料総務省「テレワークにおけるセキュリティ確保」(ガイドライン第5版の掲載ページ。2026年10月13日2時台に取得) ↗
- 一次資料総務省「テレワークセキュリティガイドライン 第5版」(令和3年5月・PDF。VPN方式・リモートデスクトップ方式、108ページの用語集の VPN。2026年10月13日2時台に取得) ↗
- 一次資料総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」事例8「Wi-Fiルータの認証情報が盗まれた・・・」(家庭の Wi-Fi ルータの VPN 機能の確認。2026年10月13日2時台に取得) ↗
- 一次資料国家サイバー統括室(NCO)「インターネットの安全・安心ハンドブック」(Ver 5.10・令和7年3月11日の掲載ページ。2026年10月13日2時5分に取得) ↗
- 一次資料国家サイバー統括室(NCO)ハンドブック 第5章(VPN の個人利用・守備範囲・https。PDF。2026年10月13日2時台に取得) ↗
- 一次資料国家サイバー統括室(NCO)ハンドブック 用語集(VPN の項目。PDF。2026年10月13日2時12分に取得) ↗
- 一次資料内閣府政府広報室 政府広報オンライン「ランサムウェア、あなたの会社も標的に?被害を防ぐためにやるべきこと」(取材協力:警察庁。ページ表示の日付 2025年7月10日。VPN 機器の説明。2026年10月13日2時24分に取得) ↗
- 一次資料IPA「テレワークを行う際のセキュリティ上の注意事項」(最終更新日2026年6月4日。2026年10月13日2時5分に取得) ↗
- 一次資料IPA「VPN機器等に対するORB(Operational Relay Box)化を伴うネットワーク貫通型攻撃のおそれについて」(公開日2025年10月31日。2026年10月13日2時7分に取得) ↗
- 一次資料IPA「情報セキュリティ安心相談窓口」(2026年10月13日2時13分に取得) ↗
- 一次資料IPA「サイバーセキュリティ 相談・届出窓口一覧」(最終更新日2025年4月15日。2026年10月13日2時13分に取得) ↗
- 一次資料IPA「コンピュータウイルス・不正アクセスに関する届出について」(2026年10月13日2時13分に取得) ↗
- 一次資料Microsoft サポート「Windows で VPN に接続する」(Windows 11・Windows 10 のタブあり。HTML の ms.date は 02/27/2026。2026年10月13日2時1分に取得、2時8分に筆者が画面を開いて撮影) ↗
- 一次資料Microsoft Support「Connect to a VPN in Windows」(英語版。追加の手順1の項目の並び Network & internet > VPN > Add VPN を日本語版と照らし合わせた。HTML の ms.date は 02/27/2026。2026年10月13日2時30分に取得) ↗
- 一次資料Microsoft Learn「Configure VPN protocols in Routing and Remote Access on Windows Server」(英語・最終更新 2024-06-21。VPN の種類への注意書き。2026年10月13日2時8分に取得) ↗
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