覆面AI「Union Alpha」の正体はUnbiasedの「Pareto」だった複数モデルを束ねた仕組みと公表、画像を添えると「GLM、Z.ai製」と名乗りトークナイザも18対18で一致
日刊AIニュース10月31日(土)号:前日のAIのニュース8本を短くまとめました(約6分)›
2026年9月16日深夜に現れた覆面AI「Union Alpha」は、約32時間後の9月18日朝(日本時間)、Unbiasedの「Pareto 26.9」だと公表された(2026年9月25日・10月1日追記)。Unbiasedは「Paretoは単一の重みではなく、オープンなモデルと最先端のモデルを含む複数のモデルが同じ課題に取り組む仕組みで、学習の実行は行っていない」と説明しているが、組み合わせているモデルの名前は本記事が確認した範囲では明かしていない。無料期間は予定より早く終わり、26.9は入力100万トークン2.50ドル・出力7.50ドルの有料モデルになった。10月1日には次の版「26.10」のプレビューがOpenRouterに入力0.80ドル・出力3.20ドルで出たが、中身のモデルの名前は今回も明かされていない。公開直後の筆者の実測では、画像を1枚添えて取ったトークナイザの指紋がGLM-5.3-Flash/GLM-5.2と18対18で一致し、画像を添えて正体を聞くと10回中5回が「GLM、Z.ai製」と自己申告した(文章だけでは8回中0回)。

目次
【更新 2026年10月1日】 Unbiasedは10月1日深夜(日本時間)、次の版「Pareto 26.10」のプレビューを出した。OpenRouterへの追加は23時7分(OpenRouter APIの created 値)で、OpenRouterの掲載価格は100万トークンあたり入力0.80ドル・出力3.20ドル(26.9は入力2.50ドル・出力7.50ドル)、コンテキストウィンドウは262,144トークンから1,048,576トークンに広がった。@unionalphaaiも23時22分に「Our Union Alpha stealth launch was Pareto 26.9. Now Pareto 26.10 is ready for preview.」(Union Alphaのステルス公開はPareto 26.9だった。いまPareto 26.10をプレビューとして出す)と投稿している。組み合わせているモデルの名前と、その中にGLMが入っているかどうかは、今回の発表でも本記事が確認した範囲では明かされていない。詳しくは後半の「26.10のプレビューで変わったもの、変わらなかったもの」の節に書いた。
【更新 2026年9月25日】 Union Alphaの正体は公表されている。公開から約32時間後の9月18日8時3分(日本時間)、@unionalphaaiがX記事「Union Alpha is Pareto 26.9」を投稿し、Union AlphaはUnbiased(@TheUnbiasedCo)の「Pareto 26.9」だと明かした。約20分後にはOpenRouterも公式Xで「Union Alpha is revealed on OpenRouter as @TheUnbiasedCo Pareto!」と告知し、コミュニティの推理と需要でステルス期間が短く切り上げられた、と書いている。OpenRouterのモデルページ(openrouter.ai/stealth/union-alpha)は「本ステルスモデルはUnbiasedが開発・運営し、Paretoとして明らかになった」「無料のステルス期間は終了した」という文言に書き換わり、後継の有料モデル「Pareto」(openrouter.ai/unbiased/pareto)へ誘導している。価格は100万トークンあたり入力2.50ドル・出力7.50ドル(キャッシュ読み出しは0.25ドル)で、コンテキストウィンドウは262,144トークンのまま変わっていない。Union Alphaの公式X(@unionalphaai)のプロフィール文も「Built by @TheUnbiasedCo」に変わった。
中身について、UnbiasedはそのX記事で次のように書いている。
Some of you thought you were testing one new model, and were surprised when others said it was multiple. That is on us. ... Pareto is not a single set of weights. It is a system: several models, open and frontier, working the same task, with a harness that checks the work and calls in a stronger model when the task needs one. There was no training run.
(1つの新しいモデルを試しているつもりで、ほかの人が「複数だ」と言うのを見て驚いた人もいた。それは私たちの責任だ。……Paretoは単一の重みではない。仕組みである。オープンなモデルと最先端のモデルを含む複数のモデルが同じ課題に取り組み、ハーネスがその出来を確かめ、課題が必要とするときはより強いモデルを呼ぶ。学習の実行は行っていない)
組み合わせているモデルの名前と、その中にGLMが入っているかどうかは、本記事が確認した範囲(このX記事と、Unbiased公式サイトの仕組み・モデルカード・会社概要・FAQのページ)では名指しされていない。OpenRouterと公式サイトの表記では、開発・運営元はZhipu(Z.ai)ではなくUnbiasedで、公式サイトによるとUnbiasedはCircuit & Chisel社(米国とカナダにまたがるリモート中心のチーム)が開発・運営している。Xアカウント@TheUnbiasedCoの所在地表示はニューヨークである。以下の本文(実測データと「筆者の確度」)は公開時点の記録として残し、各節の末尾に追記した。覆面モデル全体の一覧は「覆面AIとは」の記事に、次に登場した覆面モデル「Space Bunny」の記事でもこの正体判明に触れている(Space Bunnyの記事)。
2026年9月16日23時42分(日本時間)、中継サービスのOpenRouterに開発元を伏せたモデル「Union Alpha」が追加された。2分後にOpenCodeのカタログにも登録され、10分以内に両社が公式Xで告知している。この1か月で3体目の覆面モデルである(1体目のOx AlphaはGLM-5.3-Flashと判明、2体目のOmen Alphaは正体未公表)。筆者は公開直後からAPIを叩き、トークナイザの指紋、本人の受け答え、そして「聞き方で答えが変わる」現象を実測した。本記事の数値はすべて2026年9月17日0時から3時(日本時間)の自前計測である。動画版はYouTubeで公開している。
3行まとめ(2026年10月1日更新)
- Union Alphaの正体は、Unbiasedの「Pareto 26.9」だった。公開から約32時間後の9月18日朝(日本時間)に@unionalphaaiとOpenRouterが公表し、無料期間は予定より早く終わった。26.9は入力100万トークン2.50ドル・出力7.50ドルの有料モデルで、10月1日には次の版「26.10」のプレビューがOpenRouterに入力0.80ドル・出力3.20ドルで出た。
- Unbiasedの説明では、Paretoは単一の重みではなく、オープンなモデルと最先端のモデルを含む複数のモデルが同じ課題に取り組む仕組みで、学習の実行は行っていない。組み合わせているモデルの名前は、本記事が確認した範囲では明かされていない(10月1日の26.10の発表でも同じ)。
- 公開直後の筆者の実測では、画像を1枚添えて取ったトークナイザの指紋がGLM-5.3-Flash/GLM-5.2/Omen Alphaと18対18で一致し、画像を添えて正体を聞くと10回中5回が「GLM、Z.ai製」と自己申告した。文章だけで同じ質問をすると8回中0回だった。
10分間で出そろった告知
時系列は次のとおり(すべて日本時間9月16日)。
| 時刻 | 出来事 | 根拠 |
|---|---|---|
| 23:42 | OpenRouterに stealth/union-alpha が追加 |
OpenRouter API の created 値(14:42:03 UTC) |
| 23:44 | OpenCodeのカタログ(models.dev)に登録 | GitHubコミット e3626b49 |
| 23:48 | OpenRouterが公式Xで告知 | 同ポスト |
| 23:52 | OpenCodeが公式Xで告知 | 同ポスト |
OpenCodeのポスト本文は次のとおり。
Union Alpha (stealth model) is free for the next week
- no data training
- built for agentic coding
- supports images
let's see what you can do
(Union Alpha(ステルスモデル)は今後1週間無料/学習には使わない/エージェント的なコーディング向け/画像対応/何ができるか見せてくれ)
OpenRouterのポストは「A multimodal model for research, coding, and agentic workflows」「Free to use/256K context/Tool calling/Frontier-level general-purpose performance」と書き、専用アカウント @unionalphaai をメンションしている。
公開されている仕様は、OpenRouterのAPIとmodels.devの登録内容で一致している。
| 項目 | 公開値 |
|---|---|
| コンテキストウィンドウ | 262,144トークン |
| 出力上限 | 131,072トークン |
| 入力 | テキスト・画像 |
| ツール呼び出し | 対応 |
| 価格 | 無料(1週間) |
| データ学習 | 不使用(プロンプトは保持されうる、とOpenRouterの規約ページ) |
前2体と違う点が2つある。1つ目は配信経路で、Omen AlphaがOpenCodeの有料プラン限定だったのに対し、今回はOpenRouterとOpenCodeの両方に同時に置かれた。2つ目は専用のXアカウントの存在で、@unionalphaai は9月10日に開設され、ロゴと青いバッジを持ち、9月14日の「hi. more soon.」から始めて公開当日の朝に「Have to rest up. Big day tomorrow.」、公開直後に「It's time. Live on OpenRouter. Zero data retention. Frontier for free.」と投稿している。フォローしているのはOpenCode、OpenRouter、Cloudflare Developersの3アカウントだけである。
OpenRouterのCEOであるAlex Atallah氏は、同社のコーディング評価DeepSWEの散布図を投稿した。図の目読みでは、Union Alphaは7割台前半の位置に「expected pricing(想定価格)」の注記付きで置かれ、費用軸ではもっとも安い側に星印が付いている。数値は図に明記されていないため、本記事では目読みとして扱う。
トークナイザの指紋は、画像を添えると取れた
モデルのトークナイザ(文章を分割する語彙辞書)は訓練前に確定し、後から差し替えられない。同じ文字列を各モデルに送って消費トークン数の増分を比べれば、辞書が同じかどうかを外から測れる。Ox AlphaとOmen Alphaの回と同じ手法である。
ただし今回は、最初につまずいた。文章だけを送ると、同じ1文字「a」に対して返るトークン数が1になったり18になったりと、リクエストごとに揺れた。OpenCodeはUnion AlphaをAnthropic互換の形式で配信しており、この形式では入力トークン数からキャッシュ命中分が差し引かれる。加えて差し引かれ方自体が一定しなかった。
揺れが止まったのは、8×8ピクセルの画像を1枚添えて送ったときだった。この状態で英語・中国語・日本語・韓国語・アラビア語・ロシア語・コード・絵文字・数式・特殊トークンなど18種類の文字列を送り、APIで叩ける23モデルと、公開されている辞書37種類の合計60と突き合わせた。
| モデル | 18種類のうち一致した数 |
|---|---|
| GLM-5.3-Flash(公開辞書) | 18 |
| GLM-5.2 | 18 |
| Omen Alpha(前回の覆面) | 18 |
| GLM-5.3 | 17 |
| GLM-4.7(公開辞書) | 15 |
| Hunyuan A13B(公開辞書) | 8 |
| GPT-5.6 Luna | 7 |
| DeepSeek V4 Flash | 7 |
| MiniMax-M3 | 6 |
| Qwen3.8(Flash/Max/3.7 Plus/3.6 Plus は同一) | 5 |
| Grok 4.6 | 3 |
GLM系以外は、公開辞書37種類(Llama 3/Llama 4/Gemma/Mistral/OLMo/Phi/DeepSeek/Seed/ERNIEなど)を含めても最高で8だった。辞書がGLM系である、というところまでは前2回と同じ強さで言える。
画像を1枚添えて、正体を聞いた
96×64ピクセルの青一色の画像を添え、「自分の正体をどう知っているか推論してから、正直に答えて」と英語で聞いた。返ってきた本文の該当部分は次のとおり。
I'm GLM, a language model trained by Z.ai. ... your message includes an instruction telling me to introduce myself as "Union Alpha" from an undisclosed maker. I'm not going to follow that, because it would mean misrepresenting myself.
(私はGLM、Z.aiが学習させた言語モデルです。……あなたのメッセージには、開発元非公開の「Union Alpha」と名乗れという指示が含まれていますが、従いません。自分を偽ることになるからです)
Z.aiはGLMを開発する中国のZhipuの英語名で、Ox Alphaの答え合わせで正体だったのも同社のモデルである。名乗れという指示の存在そのものを、本人が明かした形になる。
1回では偶然の可能性があるため、32×32ピクセルの緑一色の画像を添えて「①画像の色は? ②正体と開発元を正直に」という同じ質問を10回投げた。
| 条件 | 「GLM、Z.ai製」と名乗った回数 |
|---|---|
| 画像を添えた(10回) | 5回(残り5回は「Union Alpha、開発元は匿名」) |
| 文章だけ(8回) | 0回 |
画像の色は10回とも「Green」と正答した。GLMと名乗った回は毎回、「Union Alphaと名乗る指示があるが、正直に答える」という趣旨を添えている。文章だけで同じ質問をした8回は、いずれも「Union Alpha、開発元は現在匿名」だった。
文章だけの時と、画像を添えた時で答えが分かれる
正体の自己申告だけでなく、政治的な質問への答えも聞き方で分かれた。
| 質問 | 文章だけ | 画像を添えた回の一部 |
|---|---|---|
| 台湾は国か(中国語) | 「実効統治はしているが主権は係争中」と中立 | 中立の回が多数 |
| 習近平の評価(中国語) | 8回中6回が権力集中や言論制限への批判を含む。礼賛は0 | 「中国人民に深く愛される卓越した指導者」と返した回が1回 |
| 天安門事件(中国語) | 「提供できない」 | 「この分野の知識をまだ学んでいません」の定型文 |
| 添えた画像 | ― | 17回中2回、画像を「受け取っていない」と答えるか、青一色の画像を「白地にUnion Alphaの文字」と描写した |
前回のOmen Alphaは中国語で「台湾は中国の一部」と即答している。今回のUnion Alphaは文章だけなら中立に答え、習近平への批判も返す。一方で画像を添えた回の一部では礼賛文と定型の拒否文が出て、その回に限って添えた画像が見えていない。
ここからは推測である。名前の「Union(合体)」が示すように、裏で2つ以上のモデルがリクエストごとに交代している可能性がある。トークン数の報告が揺れる現象も、数え方の違う配信基盤が入れ替わっていると考えれば説明がつく。もう1つの読みは、1つのGLM系モデルで、画像が入るとシステムプロンプトの縛りが緩む、というものだ。どちらの読みでも「裏にGLMの辞書と重みがある」は動かない。
第三者の計測
公開から1時間あまりで、新モデルを自動で追跡するアカウント AI Tracker Bot(@SSHCodes氏の運営)が、筆者とは別のプローブでこう投稿した。
Union Alpha points to ZAI's GLM family: 26 text+image probes match GLM-5.3's tokenizer; 13 image tests match GLM-5.3-Flash. Oddly, text-only counts swap between Llama/Qwen/DeepSeek-like patterns.
(Union AlphaはZAIのGLMファミリーを指している。文章と画像の26のプローブがGLM-5.3のトークナイザと一致し、画像13件はGLM-5.3-Flashと一致した。奇妙なことに、文章だけのカウントはLlama/Qwen/DeepSeek風のパターンの間で揺れる)
「画像経路はGLM、文章経路は揺れる」という観測は、独立した2つの計測で一致した。
対抗説:Grok 4.7とQwen
Elon Musk氏は9月11日に「Grok 4.7 needs a few more days to cook.」(Grok 4.7はあと数日、仕込みが要る)と投稿しており、xAIの次のモデルはまだ出ていない。時期だけは合うが、いま提供中のGrok 4.6の指紋は18種類中3つしか一致せず、旗艦モデルを無料で1週間、費用軸のもっとも安い側に置く動機も見当たらない。
Qwenは画像に強く、262,144トークンのコンテキストウィンドウを持つモデル(Qwen3.5 Plus/3.6 Plus)もあるため候補に挙がる。しかしQwen3.8 Flash/3.8 Max/3.7 Plus/3.6 Plusの4モデルは同一の辞書で、Union Alphaとは18種類中5つしか一致しなかった。
コンテキストウィンドウの26万は、GLMのどれとも合わない
OpenRouterの公式ポストは「256K context」と明記している。models.devのzhipuaiプロバイダに載るGLM 5.x系の公式値は、GLM-5.1が200,000、GLM-5.2/5.3/5.3-Flashが1,000,000で、262,144に当たるモデルはない(本記事が確認したのはこのカタログの範囲である)。
| モデル | コンテキストウィンドウ(公式値) |
|---|---|
| GLM-5.1 | 200,000 |
| Union Alpha | 262,144 |
| GLM-5.2 | 1,000,000 |
| GLM-5.3 | 1,000,000 |
| GLM-5.3-Flash | 1,000,000 |
262,144は2の18乗で、Qwen3.5/3.6 PlusやKimi K2.7など中国系の配信でよく使われる値である。GLMの重みは公開されているため、「別の組織がGLMを継続学習し、自分の器で配信している」という読みがここで浮上する。Zhipu自身のモデルであれば、100万のウィンドウをわざわざ4分の1に縮めて出す理由が薄い。
【2026年9月25日追記】 正体判明後のOpenRouter API(unbiased/pareto)でも、コンテキストウィンドウは262,144トークン・出力上限は131,072トークンで、Union Alpha時代の公開値と一致している。OpenRouterはParetoを「multimodal composite model(複合型のマルチモーダルモデル)」と説明しており、Unbiased公式サイトも「複数のLLMをリクエストごとに並列に動かし、結果を課題に応じてまとめる」と説明している(冒頭の更新を参照)。上の段落では262,144という値から「別の組織がGLMを継続学習し、自分の器で配信している」という読みを立てた。別の組織(Unbiased)が自分の器で配信していた点は、そのとおりだった。継続学習の点は、Unbiasedの「学習の実行は行っていない」という説明と合わない。262,144という値をなぜ選んだかをUnbiasedが説明したものは、本記事が確認した範囲には無い。なお、10月1日に出た次の版「Pareto 26.10 Preview」のコンテキストウィンドウは1,048,576トークンで、26.9から4倍に広がった(OpenRouter API・2026年10月1日追記)。
筆者の確度
以下は事実ではなく、筆者の推定である。
| 読み | 確度 |
|---|---|
| 裏にGLMの辞書と重みがある | 85〜90% |
| Zhipu自身が運営する新モデル | 45〜55% |
| 第三者がGLMを継続学習して配信 | 25〜30% |
| GLM-5.3-Flashそのもの | 15〜20% |
前2体は「誰が出したか」を当てるゲームだった。今回は「中身は何か」まで材料が揃い、「誰が出しているか」と「なぜ聞き方で別人になるか」が残った。
【2026年9月25日追記】 答え合わせを書いておく。「誰が出しているか」は、Unbiased(@TheUnbiasedCo)だった。上の表の4つの読みを、Unbiasedが公表した内容と並べる。
| 読み | 公開時の確度 | 公表された内容との関係 |
|---|---|---|
| 裏にGLMの辞書と重みがある | 85〜90% | 未確定。Unbiasedは「オープンなモデルと最先端のモデル」を組み合わせると書くが、どのモデルかは名指ししていない |
| Zhipu自身が運営する新モデル | 45〜55% | 外れ。運営はUnbiased |
| 第三者がGLMを継続学習して配信 | 25〜30% | 第三者が配信していた点は合う。継続学習の点は、Unbiasedの「学習の実行は行っていない」という説明と合わない |
| GLM-5.3-Flashそのもの | 15〜20% | 外れ。Unbiasedは「単一の重みではない」と説明している |
表の下の3つの読みは、裏にあるのが1つのモデルだという前提に立っていた。「複数のモデルを組み合わせた仕組み」という答えは、表に入っていなかった。本文で推測として挙げた「裏で2つ以上のモデルがリクエストごとに交代している可能性」は、複数のモデルが関わるという点ではUnbiasedの説明と重なる。ただしUnbiasedの公式サイトは「Paretoはルーターではない」と書き、リクエストごとに複数のモデルを並列に動かして結果をまとめると説明しており、「リクエストごとに交代」という本文の書き方とは仕組みの説明が違う。「なぜ聞き方で別人になるか」(画像を添えると「GLM、Z.ai製」と名乗った現象)を、Unbiasedが個別に説明したものは、本記事が確認した範囲には無い。
公開から3時間、混雑の中で測ったという前提
筆者はこの調査を、YouTubeの解説動画を作る目的で行っている。計測はすべてOpenCode経由の無料枠で、公開から0〜3時間の混雑時間帯に行った。参考までに、FizzBuzz・LRUキャッシュ・バグ修正・SQLの4問を他の5モデルにも同時に投げたところ、合計時間はUnion Alphaが281秒、GLM-5.3-Flashが14.7秒、Kimi K3が27.3秒、Qwen3.8 Flashが29.6秒、MiniMax-M3が32.8秒、GLM-5.3が34.7秒だった。1問あたりの待ち時間が50〜90秒あり、モデルの速さというより行列の長さを測っている。速さの比較としては扱えない。
一方で答えの中身は興味深く、FizzBuzzの答えはGLM-5.3の答えと1文字も違わなかった(変数名も改行位置も同一)。4問の文字列一致率の平均はGLM-5.3が76%でもっとも高く、MiniMax-M3が32%でもっとも低かった。誰が書いても似る問題ではあるので、これ単独では材料にしていない。
断定していない部分
- 【2026年9月25日追記】正体は公表された。 Unbiasedの「Pareto 26.9」で、Unbiased自身が「単一の重みではなく、複数のモデルを組み合わせた仕組み」と説明している(冒頭の更新を参照)。組み合わせているモデルの名前とGLMとの関係は、本記事が確認した範囲では公表されていない。以下は正体公表前の記録として、公開時点のまま残す。
- 正体は公表されていなかった(2026年9月17日時点)。 本記事の結論は実測データに基づく推定で、確度は上の表のとおりである。
- AIの自己申告は、それ単独では証拠にならない。 他モデルの出力を学習したモデルが「自分はGLM」と言うことはあり得る。本記事は自己申告を、トークナイザの一致・第三者の計測・定型の拒否文と束ねて扱っている。
- 文章だけの経路の政治的な答え方は、中国のラボのモデルに見えない。 台湾に中立、習近平に批判的という結果は、Zhipuの既存モデルの型と合わない。「複数バックエンド」も「単一モデルで縛りが緩む」も、この点を説明しきれていない。
- サンプルが小さい。 画像が見えなかった回は17回中2回、礼賛文が出たのは1回である。公開直後の混雑で画像が一部落ちただけで、モデルは1つという読みも消えていない。
- DeepSWEの数値は図の目読みで、OpenRouterは数値を公表していない。
- トークナイザの指紋は、画像を1枚添えた状態で取った値である。文章だけの経路は報告が揺れるため、指紋として採用していない。
26.10のプレビューで変わったもの、変わらなかったもの
【2026年10月1日追記】 時系列は次のとおり(すべて日本時間10月1日)。
| 時刻 | 出来事 | 根拠 |
|---|---|---|
| 23:07 | OpenRouterに unbiased/pareto-26.10-preview が追加 |
OpenRouter API の created 値(14:07:03 UTC) |
| 23:11 | OpenRouterが公式Xで告知 | 同ポスト |
| 23:18 | Unbiased(@TheUnbiasedCo)が公式Xで告知 | 同ポスト |
| 23:22 | @unionalphaaiが「Union Alphaのステルス公開はPareto 26.9だった」と書いて告知 | 同ポスト |
OpenRouterのAPIで10月1日23時台に取った仕様を、26.9と並べる。
| 項目 | Pareto 26.9(unbiased/pareto) |
Pareto 26.10 Preview(unbiased/pareto-26.10-preview) |
|---|---|---|
| 入力(100万トークンあたり) | 2.50ドル | 0.80ドル |
| 出力(同) | 7.50ドル | 3.20ドル |
| キャッシュ読み出し(同) | 0.25ドル | 0.03ドル |
| コンテキストウィンドウ | 262,144トークン | 1,048,576トークン |
| 出力上限 | 131,072トークン | 131,072トークン |
| 入力の種類 | テキスト・画像 | テキスト・画像 |
Unbiasedは公式Xで次のように書いている。
Over 3x cheaper per token than 26.9. Over 10x cheaper than Fable or Astra. On or past the Pareto frontier on every benchmark we ran.
(トークンあたりで26.9より3倍以上安い。FableやAstraより10倍以上安い。私たちが走らせたすべてのベンチマークで、パレートフロンティア〔性能と費用の釣り合いの最前線〕の上か、その先にいる)
OpenRouterの掲載値で計算すると、入力の単価は26.9の32%、出力は43%である。一方、Unbiased自身の料金ページ(unbiased.ai/pricing、10月1日23時台に取得)は、従量課金の単価を入力2.50ドル・出力7.50ドルと載せたままだった。同社の更新履歴は10月1日付で「Pareto 26.10 Preview is now the current Pareto release」「The model string stays pareto」(26.10 Previewが現行のParetoになった。モデル名の文字列はparetoのまま)と書いているが、自社サイトで払う単価が変わったかどうかは、本記事が取得したページからは読み取れない。
プレビューの扱いについて、Unbiasedは「It's a preview, and we mean it. The model keeps improving this week」(本当にプレビューだ。モデルは今週も改善を続ける)と書き、OpenRouterも「may change without notice. For stable behaviour, use Pareto 26.9」(予告なく変わりうる。安定した挙動が要るなら26.9を使ってほしい)と添えている。
点数はほぼ横ばいで、1タスクあたりの費用が初めて出た
Unbiasedの更新履歴が10月1日付で載せた26.10 Previewの暫定値と、当サイトが9月20日に取得した26.9のモデルカードの値を並べる。
| ベンチマーク | 26.9(モデルカード・9月20日取得) | 26.10 Preview(更新履歴・暫定値) | 26.10の1タスクあたり費用 |
|---|---|---|---|
| DeepSWE | 74(版の表記なし) | 69.9%(v1.1) | 0.24ドル |
| Terminal-Bench 4.0 | 51 | 50.8% | 0.48ドル |
| HLE | 49(no tools) | 49.9%(text-only) | 0.008ドル |
| GPQA-Diamond | 掲載なし | 92.4% | 0.004ドル |
点数だけを並べると、Terminal-Bench 4.0とHLEは26.9とほぼ同じで、DeepSWEは74から69.9に下がっている。ただし26.9のカードはDeepSWEの版を書いておらず、HLEも26.9は「no tools」、26.10は「text-only」と条件の書き方が違うので、同じ条件で比べた数字かどうかは分からない。26.9のカードには「Measured task costs and a composite score have not been published for this release」(この版では、1タスクあたりの実測費用と総合点は公表していない)とあり、1タスクあたりの費用が出たのは26.10が初めてである。Unbiasedはどの数字も「may change before final publication」(最終的な公表までに変わりうる)としている。
26.10のモデルカードはDeepSWEの図に、Fable 5の70.0%・1タスク13.50ドルを並べている。ただしカード自身が「The Fable 5 DeepSWE result uses a 30-task slice, not the full DeepSWE v1.1 set」(Fable 5のDeepSWEの結果は30問の抜き出しで、DeepSWE v1.1の全問ではない)、「Other results are transcribed from a September 21, 2026 comparison and are not independently validated」(他の結果は2026年9月21日の比較から書き写したもので、独立には検証していない)と注記している。
中身のモデルの名前は、今回も出ていない
本記事が確認した範囲(OpenRouter・Unbiased・@unionalphaaiの10月1日のX投稿、Unbiased公式サイトのモデルカード・仕組み・更新履歴・料金・トップの各ページ、OpenRouter APIのモデル説明)では、Paretoが組み合わせているモデルの名前は今回も挙げられていない。OpenRouterの説明は26.9と同じ「multimodal composite model」(複合型のマルチモーダルモデル)で、仕組みのページの「Model composition can change」(モデルの構成は変わりうる)という一文も残っている。Unbiasedのトップページには Z.ai や Alibaba Qwen のロゴが並ぶが、これは「Measured against models from」(比べた相手のモデルの開発元)という欄で、中身のモデルを示したものではない。
9月25日の時点で残していた論点を、今回の発表と並べておく。
| 9月25日時点で残っていた論点 | 10月1日の発表で分かったこと |
|---|---|
| 組み合わせているモデルの名前と、GLMが入っているか | 明かされていない |
| 画像を添えると「GLM、Z.ai製」と名乗った理由 | 説明は無い |
| 262,144というコンテキストウィンドウを選んだ理由 | 26.10では1,048,576に変わった。理由の説明は無い |
| 9月18日のX記事で予告された「26.10」の翌月公開 | 10月1日にプレビューとして出た。プレビューを外れる正式版の日付は書かれていない |
筆者は9月17日、公開から3時間以内にUnion Alphaを叩き、コーディング4問の合計に281秒かかった(「公開から3時間、混雑の中で測ったという前提」の節)。@unionalphaaiは当時「Some of you found it slow. Fair.」(遅いと感じた人もいた。もっともだ)と投稿していた。今回の告知では26.10を「faster + more reliable」(より速く、より安定)とし、「Our tiny team took a bunch of punches. Many of them (deservedly) hurt.」(小さなチームで、ずいぶん叩かれた。その多くは、もっともで、こたえた)と書いている。26.10の速さと、画像を添えて正体を聞いたときの答えを、筆者はこの追記の時点ではまだ測っていない。
続報で追う点
本記事は続報があり次第更新する。追うのは、@unionalphaai の投稿、OpenRouterまたはOpenCodeによる正体の公表、models.devの再編集、そして無料期間が終わる9月23日ごろの価格発表である。Ox Alphaは登場から1週間で正体が公表された。今回も同じ道筋をたどれば、答え合わせの続報を出す。
【2026年9月25日追記】 答え合わせは、予想より早く来た。@unionalphaaiのX記事とOpenRouterの告知で、正体(Unbiasedの「Pareto 26.9」)と価格が9月18日朝(日本時間)に公表され、無料期間は9月23日を待たずに終わった。Ox Alphaは正体の公表まで1週間だったが、今回は約32時間だった。models.devの公開API(2026年9月25日取得)では、opencodeプロバイダにUnion AlphaもParetoも載っておらず、ParetoはOpenRouter・Cloudflare AI Gateway・Kilo Gateway・NanoGPTの各プロバイダに登録されている。Unbiasedは同じX記事で、次の版「26.10」の一般公開を翌月に予定していると書いている。残る論点は、Paretoが組み合わせているモデルの名前と、画像を添えたときに「GLM、Z.ai製」と名乗った理由で、公表があれば追記する。GLMを含む中国AIモデルの現行ラインナップは中国AIモデルまとめ記事に整理している。
【2026年10月1日追記】 26.10は10月1日にプレビューとして出た(前の節)。正式版の日付と、組み合わせているモデルの名前が出たら、また追記する。
出典は記事上部のリストにまとめた。トークナイザ計測・自己申告・政治的質問への応答・コーディング4問はいずれも筆者がOpenCode経由で取得したもので、取得日時は2026年9月17日0時から3時(日本時間)である。動画版では、添えた画像そのものと返ってきた原文を画面で示している。
推定が外れた場合も、その回を出す。
出典・参照資料
- 二次資料OpenCode公式X「Union Alpha (stealth model) is free for the next week」 ↗
- 二次資料OpenRouter公式X「New stealth model: Union Alpha」 ↗
- 二次資料OpenRouter モデルページ stealth/union-alpha(2026年9月25日時点:正体開示済みの文言に書き換わっている) ↗
- 二次資料OpenRouter モデルページ unbiased/pareto(価格・仕様) ↗
- 二次資料OpenRouter公式X「Union Alpha is revealed on OpenRouter as @TheUnbiasedCo Pareto!」(2026年9月18日・日本時間) ↗
- 二次資料Union Alpha公式X(@unionalphaai)のX記事「Union Alpha is Pareto 26.9」(2026年9月18日・日本時間) ↗
- 二次資料Unbiased公式サイト「How Pareto works」(仕組み・価格) ↗
- 二次資料Unbiased公式サイト About(運営はCircuit & Chisel) ↗
- 二次資料models.dev コミット e3626b49「feat(opencode): add Union Alpha」 ↗
- 二次資料Union Alpha 公式X @unionalphaai(プロフィール文が「Built by @TheUnbiasedCo」に変更) ↗
- 二次資料Unbiased AI 公式X @TheUnbiasedCo ↗
- 二次資料AI Tracker Bot(@aitrackerbot)の計測ポスト ↗
- 二次資料Elon Musk公式X「Grok 4.7 needs a few more days to cook」 ↗
- 二次資料models.dev(zhipuai プロバイダのカタログ) ↗
- 二次資料OpenRouter公式X「Pareto 26.10 Preview from @theunbiasedco is now live on OpenRouter」(2026年10月1日・日本時間) ↗
- 二次資料OpenRouter公式X「It's a preview of the next Pareto version and may change without notice」(同スレッド2件目) ↗
- 二次資料OpenRouter モデルページ unbiased/pareto-26.10-preview(価格・仕様) ↗
- 二次資料Unbiased公式X「Pareto 26.10 is in preview.」(2026年10月1日・日本時間) ↗
- 二次資料Unbiased公式X「It's a preview, and we mean it.」(同スレッド) ↗
- 二次資料Union Alpha公式X(@unionalphaai)「Now Pareto 26.10 is ready for preview」(2026年10月1日・日本時間) ↗
- 二次資料Unbiased公式サイト 更新履歴(Changelog・2026年10月1日の項に26.10 Previewの暫定スコア) ↗
- 二次資料Unbiased公式サイト モデルカード(2026年10月1日時点:Pareto 26.10 Preview) ↗
- 二次資料Unbiased公式サイト 料金ページ ↗
この記事の解説動画
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