2026年7月31日 金曜日
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活用· 約13

小売店舗のAI接客・棚割り活用──ローソン「ソムリエAI」からセブンの自動棚卸ロボットまで【2026年】

ローソンは2025年10月31日にワイン提案AI「ソムリエAI」をナチュラルローソン6店舗へ導入すると発表し、2026年7月10日には北海道3店舗で遠隔オペレーターによる「アバター接客」を開始した。KDDIとの実証では画像解析AIとVLAモデルを使う欠品検知・品出しロボットを1店舗でテスト中で、セブン-イレブンと提携するテレイグジスタンスは2029年のヒューマノイドロボット配備を目標に掲げる。店舗の「接客」「棚割り」領域で進む実証実験を一次情報で整理した。

小売店舗のAI接客・棚割り活用──ローソン「ソムリエAI」からセブンの自動棚卸ロボットまで【2026年】
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目次

3行まとめ

  1. ローソンは2025年10月31日、ナチュラルローソン6店舗にワイン提案AI「ソムリエAI(KAORIUM for Sake & Wine)」を導入すると発表した
  2. 2026年7月10日には北海道の3店舗で、遠隔地のオペレーターがアバターを通じて接客する「アバター接客」の実証を開始した──ただしこれはAIによる自動応答ではなく、人間による遠隔対応である
  3. KDDIとローソンは2025年11月8日から1店舗で、画像解析AIとVLA(Vision-Language-Action)モデルを使い欠品検知・棚割り認識・自動品出しを行うロボットの実証を進めている。セブン-イレブンと提携するテレイグジスタンスは、2029年のヒューマノイドロボット配備を目標に掲げる

なぜ「小売×AI接客・店舗体験」が動き出しているのか

小売業のAI活用というと、需要予測や自動発注など在庫・サプライチェーン側の話題が先行しがちだ(本サイトのAI在庫管理・需要予測の導入事例も参照)。一方で2025年後半から2026年にかけて、コンビニエンスストア各社は「接客」「棚出し」「陳列」といった、客と直接接する店頭業務そのものにAIやロボットを組み込む実証を相次いで発表している。

背景として各社が共通して挙げているのは人手不足だ。ローソンはKDDIとの実証発表で「深刻化する人手不足」への対応を、北海道のアバター接客導入では「働く場所や時間の制約を超えた人材活用」を、それぞれ導入目的として説明している(ローソン公式発表)。本記事では、2025年9月〜2026年7月に公表された具体的な実証事例を、各社の公式発表に基づいて整理する。


接客領域──AIが提案する事例と、人間が遠隔で対応する事例

ナチュラルローソン「ソムリエAI」──ワイン売場での対話型提案

ローソンは2025年10月31日、ナチュラルローソンのワイン売場にAIによる銘柄提案サービスを導入すると発表した。開発・提供元は SCENTMATIC株式会社で、サービス名は「KAORIUM for Sake & Wine」。同社発表によれば、売場設置のタブレット端末で「なりたい気分」や「好みの味わい」に近い選択肢を選ぶと、AIが「お客様と相性の良いワインの銘柄やナチュラルローソンのおつまみに合うワインの銘柄などを提案する」仕組みだ(ローソン公式発表)。ギフト用途では、贈りたい相手のイメージに合わせた提案も可能だという。

2025年11月1日からナチュラルローソン6店舗で導入が始まった。対象店舗数は6店舗にとどまり、全国展開の発表は本記事の調査時点(2026年7月)では確認できていない。

北海道ローソン「アバター接客」──AIではなく人間による遠隔対応

2026年7月10日、ローソンは北海道内3店舗(札幌大通西十丁目店、札幌南1東三丁目店、札幌南7条西一丁目店)で「アバター接客」の導入を発表した。仕組みは、自宅などからリモート勤務するオペレーターが、店内に設置されたモニターに投影されるアバターを通じて、店内案内やセルフレジの操作説明といった接客業務を行うというものだ(ローソン公式発表)。

ここで正確に理解しておきたいのは、この仕組みの主体はAIではなく人間のオペレーターだという点である。ローソンの発表文でも、AIによる自動応答ではなく遠隔操作による人間対応と位置付けられている。導入目的として同社は「1人のオペレーターが同時に複数店での接客業務を受け持つことが可能となり、人手不足の解消に寄与」する点、そして働く側にとって「時間」「場所」「年齢」「性別」「様々な障害」の制約のない働き方を実現する点を挙げている。

なお、この3店舗は同社が実施している「78店舗」規模の接客実証の一部と位置づけられている(ローソン公式発表)。AIそのものではないが、店舗の接客体験を変える取り組みとして、AI活用の周辺領域に位置する事例として押さえておく価値がある。


棚割り・品出し領域──ロボットが「見て」「並べる」

KDDI×ローソン──画像解析AIとVLAモデルで欠品検知・品出しを自動化

2025年10月28日、KDDIとローソンは「ローソン S KDDI高輪本社店」で、AIとロボットを活用した店舗DXの実証を2025年11月8日から開始すると発表した。使用するのは2種類のロボットだ。1つは店内を巡回し、4Kカメラで撮影した高解像度の棚画像から売場の欠品を検知するロボット。もう1つはアームを搭載し、棚の奥への商品補充を自動で行う品出しロボットである(ローソン公式発表)。

AIの役割は2つある。1つは画像解析AIで、プライスカードや商品パッケージから商品名、棚割り(商品を品出しする際の配置)、商品の状況を正確に把握する。もう1つはVLA(Vision-Language-Action)モデルのAIで、ロボットに店舗業務を事前に学習させることで、環境に応じた自動対応を可能にするという(同発表)。

ここでいう「棚割り」は、AIが商品配置を認識する機能であり、発注計画や売上最大化のために棚のレイアウトそのものを自動設計する、いわゆる「棚割り最適化ソフトウェア」とは性質が異なる点に注意したい。この実証は現時点で1店舗にとどまり、多店舗への展開時期は公式発表では示されていない。

テレイグジスタンス×セブン-イレブン──「TX Ghost」から人型ロボット「Astra」へ

ロボティクス企業のテレイグジスタンス(東京都港区)は2025年9月26日、飲料棚の自動補充ロボット「TX Ghost」のパイロット運用を、東京都内の選定セブン-イレブン店舗で開始したと発表した。コンビニの飲料補充は冷蔵バックルーム環境での長時間作業になりがちだとした上で、この作業をロボットに任せることで、従業員が売場管理や新商品販促といった付加価値業務に注力できるようにするのが狙いだという(テレイグジスタンス公式ブログ)。パイロット対象の具体的な店舗数は、公式発表では明らかにされていない。

続けて同社は、セブン&アイ・ホールディングス傘下のセブン-イレブン・ジャパンとの提携を発表した(同社公式ブログ、発表日は本文中で2025年9月29日、ブログ公開日は9月30日)。提携の柱は3つで、①小売業務の自動化適性の特定と効果検証、②実店舗の課題に対応したロボット筐体の開発、③Vision-Language-Action(VLA)学習と配備を進めるための大規模なロボット操作データセットの構築、である。

この提携で開発が進むのが、Vision-Language-Action基盤モデルを搭載したヒューマノイドロボット「Astra」だ。ルーチン的な店舗オペレーションを担うことで、従業員が「人間にしかできないサービス」に注力できる環境を目指すとされ、既存の「Ghost」による飲料補充業務が参考例として挙げられている。同社はAstraの店舗配備目標を2029年としており、2026年7月時点ではまだ実現していない、将来の目標である点は明記しておく必要がある。


店舗インフラを支えるAI基盤──トライアルの「リテールAI事業」

九州発の大手小売、トライアルホールディングスは「リテールAI事業」を展開し、「テクノロジーによって、新時代のお買い物体験を生み出し、流通の仕組みを革新する」ことを掲げている。同社公式サイトによれば、IoTデバイスを活用した各種ソリューションやソフトウェアサービスを提供しており、「Skip Cart」と呼ばれるスマートショッピングカートの開発などを進めているという(トライアルホールディングス公式サイト)。

ただし、AIカメラの設置台数、Skip Cartの導入店舗数、具体的な効果(売上・業務時間への影響等)を示す定量的な数字は、本記事の調査で確認できた同社公式ページの範囲では公開されていなかった。トライアルのリテールAI事業は業界でしばしば話題に上る取り組みだが、公式に開示された数字の裏付けをもって語れる範囲は限定的である。


正直に書くと

  • 「アバター接客」はAIによる自動応答ではなく、遠隔地のオペレーターがアバターを介して対応する仕組みである。AI技術そのものというより、AIと隣接する周辺領域の取り組みとして紹介した
  • KDDI×ローソンの実証は「ローソン S KDDI高輪本社店」1店舗での取り組みであり、2026年7月時点で多店舗展開の発表は確認できていない
  • テレイグジスタンス「TX Ghost」のパイロット店舗数、および導入による具体的な業務時間短縮等の効果数値は、公式発表では非公開だった
  • ヒューマノイドロボット「Astra」の店舗配備は2029年を目標とする将来計画であり、2026年7月時点で実店舗への配備実績はない
  • 「棚割り」というキーワードについて、本記事で確認できたのはAIによる棚の状態・商品配置の「認識」機能であり、発注計画のために棚レイアウトを自動設計する「棚割り最適化ソフトウェア」の大規模な国内導入事例は、本記事の調査範囲では確認できなかった
  • トライアルホールディングスの「リテールAI事業」「Skip Cart」については、事業の存在と方向性は公式サイトで確認できたが、導入店舗数や効果を示す定量データは同社公式ページ上では公開されていなかった
  • テレイグジスタンスのセブン-イレブンとの提携に関する発表日は、記事本文中の記載(2025年9月29日)とブログ公開日(同年9月30日)に1日のずれがあった。原文をそのまま踏まえ、両方を併記した
  • 本記事は各社が自主的に公開している範囲の一次情報の整理であり、効果を保証するものではない。多くが実証実験・パイロット段階であり、本格展開の有無は今後の発表を待つ必要がある

出典・参考

本記事は小売店舗におけるAI・ロボット活用に関する概況の整理であり、導入・投資の助言を構成するものではない。記載の数字は各社の発表時点のものであり、実証実験段階の取り組みが多く含まれる。最新の展開状況は各社の公式発表を確認されたい。

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