画像モデルFLUXが動画に本格参入──「FLUX 3 Video」と4Kアップスケーラーを公式ブログで確認する
Black Forest Labsは2026年8月4日、動画生成モデル「FLUX 3 Video」の初期版を一般提供開始した。最大20秒・HD/Full HD・音声同時生成に対応し、8月20日には最大4Kまで再生成する「FLUX Upscale」も公開。「Seedance 2.0と同等」という自社評価の位置づけを含め、公式ブログの記載を確認する。

目次
画像生成モデル「FLUX」で知られるBlack Forest Labs(BFL)が、動画生成の領域に本格参入した。2026年8月4日、BFL API と一部パートナー経由でFLUX 3 Videoの初期版を一般提供開始したと公式ブログで発表している。日本語圏でFLUXは「画像モデル」として認知されてきたため、動画+音声への拡張はまだあまり知られていないとみられる。
3行まとめ
- Black Forest Labsは2026年8月4日、動画生成モデル「FLUX 3 Video」の初期版を一般提供開始。最大20秒・HD(720p)/Full HD(1080p)、ネイティブ音声同時生成、日本語を含む多言語のリップシンクに対応する。
- BFL自身の社内評価では「text-to-videoは既存SOTAを上回り、image-to-videoはSeedance 2.0と同等、他は上回る」としている──これは第三者検証ではなく、BFL自身の主張である点に注意。
- 8月20日には、映像を最大ネイティブ4Kまで再生成する独立ツール「FLUX Upscale」を公開。Precise(4ステップ、$0.07/mp/s)とCreative(8ステップ、$0.10/mp/s)の2モードがある。
FLUX 3 Videoの機能
公式ブログ「Introducing FLUX 3 Video」によると、初期版の機能は次の通り。
- 最大尺: 20秒
- 解像度: HD(720p)/Full HD(1080p)
- 音声: ネイティブ音声を映像と同時生成
- 継続生成: キーフレーム、または最大4秒の既存映像からの継続に対応
- マルチショット: 1本の動画の中に複数ショットを含められる
- 多言語リップシンク: 日本語を含む多言語に対応
提供チャネルはBFL APIおよび一部パートナー経由となっている。
なお、解像度表記には公式ブログ内でもやや揺れがある。「Introducing FLUX 3 Video」の冒頭要約は「HD解像度で生成し、Full HDはアップスケールで出力する」という書き方をしているのに対し、同じ記事内の機能一覧では「HD(720p)とFull HD(1080p)の両方の解像度でモデルをリリースする」とも書かれている。BFLのモデルページ(bfl.ai/models/flux-3)のFAQには「解像度帯は総ピクセル数(HDは1フレームあたり最大100万画素、FHDは最大200万画素)で決まり、アスペクト比では決まらない」という技術的な補足があるが、FHD出力がネイティブ生成なのかアップスケールを経たものなのかは、公式サイト内の記述だけでは完全には一致しておらず、本記事では判断を保留する。
FLUX 3 Video自体の料金
「FLUX Upscale」の料金は既に紹介した通りだが、FLUX 3 Video本体(生成そのもの)の料金は、公式ブログの記事2本には記載がなく、モデルページのFAQを別途curlして初めて確認できた。サブスクリプションやシート料金はなく、従量課金(pay-as-you-go)のみとされている。
| 生成タイプ | 品質 | 料金(1秒あたり) |
|---|---|---|
| Text/Image to Video | Draft HD | $0.06 |
| Text/Image to Video | Standard HD | $0.17 |
| Text/Image to Video | Standard FHD | $0.29 |
| Video to Video | Draft HD | $0.12 |
| Video to Video | Standard HD | $0.41 |
| Video to Video | Standard FHD | $0.53 |
FAQには具体例として「標準品質・HD・5秒のtext-to-video生成で$0.85」という記載があり、これは$0.17/秒×5秒と一致する。Draft Enhance(下書きから本番品質への引き上げ)は、対応するFHD標準料金と同額になるという。
「Seedance 2.0と同等」という自社評価
BFLはブログの中で、社内評価の結果として「text-to-videoは既存SOTA(最高水準)を上回り、image-to-videoはSeedance 2.0と同等、他は上回る」と主張している。ここで重要なのは、これがBFL自身による社内評価であり、第三者による独立した検証結果ではないという点だ。動画生成モデルの評価は、評価軸(画質、動きの自然さ、プロンプトへの忠実度など)や評価対象のプロンプトセットによって結果が変わりやすく、開発元自身の評価をそのまま鵜呑みにすることはできない。
より具体的な数字は、FLUX 3本体の発表記事(2026年7月23日付「FLUX 3 - Real World Models」、当時は早期アクセス段階)に掲載されていた。720pで10秒のtext-to-video動画を使った予備評価として、次の「選好率(比較で好まれた割合)」が挙げられている。
| 比較対象 | FLUX 3が選ばれた割合 |
|---|---|
| Luma Ray 3.2 | 93% |
| Runway Gen-4.5 | 77% |
| Grok Imagine Video | 最大69% |
| Kling v3 Pro | 60% |
| Happy Horse v1 | 59% |
| Happy Horse 1.1 | 57% |
| Seedance 2.0 | 52% |
| Gemini Omni Flash | 52% |
Seedance 2.0との比較では52%というほぼ五分に近い数字になっており、8月4日の一般提供版ブログが使う「同等(ties)」という表現と整合的だ。ただし、この評価自体が「モデル・ハーネスとも開発途上で、結果は予備的なもの」とBFL自身が注記している早期アクセス段階(7月23日時点)のデータである点には注意したい。一般提供された8月4日時点でモデルがさらに改善されているとブログは述べているが、その後の改善を反映した具体的な選好率の再測定結果は、本記事で確認した範囲のソースには見当たらなかった。
FLUX Upscale:4Kまでの再生成
8月20日には、独立ツール/エンドポイントとして「FLUX Upscale」が公開された。映像を最大ネイティブ4Kまで再生成する機能で、料金体系は次の2モードだ。
- Precise: 4ステップ、$0.07/mp/s(メガピクセル・秒あたり)
- Creative: 8ステップ、$0.10/mp/s
いずれもBFL公式の掲載価格だ。生成した動画の最終的な仕上げ工程として、他社のアップスケール技術(Topaz Labsなど)と並ぶ選択肢が増えたことになる。
安全性評価は第三者機関Cinderが担当
品質評価はBFL自身の社内評価にとどまる一方、安全性の評価については外部機関が関与している。「Introducing FLUX 3 Video」は「信頼できる第三者パートナーであるCinder社と協力し、非同意の性的画像(NCII)・児童性的虐待コンテンツ(CSAM)を含む、対応する全モダリティにわたるリスクについてリリース前に評価した」と述べている。品質・性能面の「SOTA超え」はBFL自身の主張にとどまるが、悪用対策の一部については外部機関によるチェックを経ている、という違いがある点は記録しておきたい。
Seedance系との比較軸としての価値
自サイトはSeedance 2.5に関連する動画コンテンツを複数公開しており、視聴者にとって馴染みのある比較対象だ。FLUX 3 Videoが「Seedance 2.0と同等」を自称している以上、この2つのモデルを実際に比較検証する動画・記事を作る際の材料として、今回の発表内容は直接使える。ただし、これはあくまでBFL側の主張であり、実測比較は別途必要になる。
「SOTA超え」はBFL自身の社内評価、第三者検証ではない
- 「既存SOTAを上回る」「Seedance 2.0と同等」「Luma Ray 3.2に93%の選好率で勝った」といった評価は、いずれもBFL自身による社内評価であり、独立した第三者評価機関やベンチマークによる検証結果ではない。本記事はこの点を明示した上で紹介している。
- FLUX 3 Videoの実際の生成品質・生成速度・成功率については、本記事では独自に検証していない。BFL公式ブログ・モデルページの記載を紹介するにとどまる。
- 日本語のリップシンク精度についての具体的な評価データ(対応言語一覧には日本語が含まれるとブログにあるが、精度の数値評価)は、本記事で確認した範囲のソースには記載がなく確認できていない。
- 料金(FLUX Upscaleの$0.07/$0.10という単価、FLUX 3 Video本体の$0.06〜$0.53/秒という単価)は本記事執筆時点(2026年8月29日)でBFL公式サイトに掲載されていた価格であり、将来変更される可能性がある。
- FHD出力がネイティブ生成かアップスケール経由かという点は、公式ブログ・モデルページの記述が完全には一致しておらず、本記事では判断を保留した。BFLに直接問い合わせて確認したわけではない。
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