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diffusersの「Modular Diffusers」が実験段階を卒業──新モデルは既に旧来パイプラインを持たずModular専用で配布される

画像・動画生成ライブラリdiffusersのv0.40.0(2026年8月)で、ブロックを組み合わせてパイプラインを構築する「Modular Diffusers」が実験マークを外れ正式サポートになった。新規統合されたMiniMax-H3・MiniMax Music 3・Wan-Animate-2の3モデルは、従来のDiffusionPipeline版を持たずModularブロックのみで配布されている。リリースノート本文を確認した。

diffusersの「Modular Diffusers」が実験段階を卒業──新モデルは既に旧来パイプラインを持たずModular専用で配布される
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Hugging Faceの画像・動画・音声生成ライブラリdiffusersには、従来のDiffusionPipeline(1モデル1クラスで完結する形)とは別に、処理をブロック単位で組み立てる「Modular Diffusers」という仕組みが実験的機能として存在していた。v0.40.0のリリースノートによると、これが正式サポートに切り替わった。

Modular Diffusers is no longer marked experimental — the API warning has been dropped.

(Modular Diffusersはもはや実験的とマークされていない——APIの警告表示は取り下げられた)

3行まとめ

  • diffusers v0.40.0(2026年8月20日公開)で、ブロック組み立て式の「Modular Diffusers」が実験マークを外れ正式サポートに。実装したPR #14525は23ファイル変更・8月18日マージ(GitHub API確認)
  • 新規統合されたMiniMax-H3・MiniMax Music 3・Wan-Animate-2はModularブロック専用配布(従来のDiffusionPipeline版なし)。同リリースには他にStable Audio 3・LTX-2.5・JoyAI-Image-Edit-Plusという3つの新パイプラインも追加されている
  • テンソル並列推論がCUDA・AWS Neuron(Trainium/Inferentia)向けに追加され、FLUX.1・FLUX.2・Qwen-ImageのDiTに_tp_planが実装された

新モデルが「Modular版しか無い」状態で配布される時代に

この変化を象徴するのが、同じv0.40.0で追加された新モデルの配布形態だ。リリースノートは次のように明記している。

Three of this release's new integrations — MiniMax-H3, MiniMax Music 3, and Wan-Animate-2 — ship as Modular blocks only, with no DiffusionPipeline half.

(この記事のリリースで追加された3つの新統合——MiniMax-H3、MiniMax Music 3、Wan-Animate-2——は、Modularブロックのみで配布され、従来型のDiffusionPipeline版を持たない)

これまでModular Diffusersは、既存のDiffusionPipelineと並行して提供される「もう一つの選択肢」という位置づけだった。この3モデルではその前提が逆転し、Modularブロックが唯一の入口になっている。既存のCosmos 3・Krea 2もModularパイプラインを新たに獲得し、Animaはimg2imgブロックを追加した、ともある。

「値の食い違い」を型で表現する仕組みも追加

Modular Diffusers側の改善として、複数の処理経路(ブランチ)が同じ入力に対して異なるデフォルト値を宣言している場合の扱いも変わった。

Branch-specific input defaults (#14234): when sibling blocks of a ConditionalPipelineBlocks declare different defaults for the same input, combine_inputs now merges the default to None and records the per-block defaults in a new InputParam.defaults_by_block field. get_block_state falls back to the block's own declared default, so each branch resolves its own default when it actually runs. Docstrings render conflicted defaults as e.g. "defaults to None or 189, depending on the workflow".

(ブランチ固有の入力デフォルト:ConditionalPipelineBlocksの兄弟ブロックが同じ入力に対して異なるデフォルト値を宣言している場合、combine_inputsはデフォルト値をNoneにマージし、ブロックごとのデフォルト値を新設のInputParam.defaults_by_blockフィールドに記録するようになった。get_block_stateはブロック自身が宣言したデフォルト値にフォールバックするため、各ブランチは実際に実行された時点で自分自身のデフォルト値を解決する。ドキュメント文字列は、値が食い違うデフォルトを「ワークフローによってNoneまたは189になる」のように表示する)

これは、複数の処理経路を1つのブロック構成にまとめる設計特有の問題——「同じ引数名なのに、通るブランチによって既定値が違う」という状態——を、型システムとドキュメント表示の両面で扱えるようにした変更だと読み取れる。

同じリリースに入っているその他の変更

v0.40.0はModular Diffusersの卒業以外にも、リリースノート冒頭で「LTX2.5・MiniMax H3・Wan Animate 2を含む複数の新パイプライン」「テンソル並列の最小限のサポート」を挙げている。テンソル並列については、FLUX.1・FLUX.2・Qwen-ImageのDiT(Diffusion Transformer)にフラットな_tp_planが追加され、CUDAとAWS Neuron(Trainium/Inferentia)向けに、コンテキスト並列と同じ公開APIからpipe.transformer.enable_parallelism(config=TensorParallelConfig(mesh=tp_mesh))という形で呼び出せるようになったと書かれている。量子化バックエンドも増え、int8から2bitまで対応する学習不要のSDNQ、量子化済みチェックポイント読み込み用のNunchaku Liteが新たに加わった。

リリースノート本文には、記事冒頭で触れた3モデル以外にも新規追加されたパイプラインが並んでいる。

モデル名 提供元/特徴 Modular専用か
MiniMax-H3 映像と音声を1つのトランスフォーマーで同時denoise。条件付けはQwen3VLの50層目の隠れ状態を使用 Modular専用
MiniMax Music 3 最長5分の楽曲生成。8BのQwen3系言語モデル+2.4Bのflow-matchingトランスフォーマーのハイブリッド構成、44.1kHzステレオ出力 Modular専用
Wan-Animate-2 Alibaba Wan Teamによる、参照画像を駆動動画の動きでアニメ化するモデル Modular専用
Stable Audio 3 Stability AIのテキスト→音声モデル。T5Gemmaテキストエンコーダ+SAME方式のオートエンコーダで44.1kHzステレオ生成 従来型3パイプライン(Text2Audio/Audio2Audio/Inpaint)あり
LTX-2.5 既存のLTX2Pipelineクラスを再利用。テキストエンコーダがGemma 4に変更、duration_headでショット長を自動予測 従来型+Modular(LTX25AutoBlocks)の両方
JoyAI-Image-Edit-Plus 8BのMLLM+16BのMMDiTで、1〜5枚の参照画像から複数画像編集 記載なし(本記事未確認)

(出典:diffusers v0.40.0リリースノート本文)

この表から分かるのは、「Modular専用配布」が今回の新モデル全てに適用されたわけではないという点だ。Stable Audio 3とLTX-2.5は、Modular Diffusersと従来のDiffusionPipeline形式の両方が用意されている。つまり現時点では、新モデルの配布形態はモデルごとに開発チームの判断で決まっており、「新モデルは今後すべてModular専用になる」という一律の方針が明言されているわけではない。

Modularへの完全移行を明言しているわけではない

リリースノートは「Modular Diffusersを試してフィードバックをお寄せください」という呼びかけで結ばれており、既存のDiffusionPipeline形式が廃止されるとは書いていない。新モデル3つがModular専用で配布された理由についても、開発リソースの配分なのか、設計上Modular形式のほうが向いているのかは、リリースノート本文には明記されていなかった。

実際にModular Diffusersでパイプラインを組んで動かしたわけではない

本記事はdiffusers v0.40.0のリリースノート本文と、GitHub APIで確認できる範囲(リリース日時・PRの変更ファイル数)を情報源としている。この記事を書いている自分の手元では、Modular DiffusersのブロックAPIを実際に使ってMiniMax-H3やKrea 2のパイプラインを構築し、従来のDiffusionPipeline形式との使い勝手の違いを比較する検証は行っていない。テンソル並列の実際の性能向上幅についても、このリリースノートには具体的な数字が示されておらず、本記事でも数字は示さない。JoyAI-Image-Edit-Plusが従来型・Modular型のどちらで配布されるかも、リリースノートの「New Pipelines」節には明記がなく、本記事では確認できていない。

関連記事: Hugging Face 使い方 / AI画像生成で「文字が崩れない図解」を作る / AI動画生成ツールの選び方

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