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覆面AI(ステルスモデル)とはOx Alpha・Omen Alpha・Union Alphaの一覧と正体、トークナイザで見分ける方法【2026年9月】

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日刊AIニュース10月31日(土)号:前日のAIのニュース8本を短くまとめました(約6分)›

「○○ Alpha」と名乗る開発元非公開のAIモデルが、OpenRouterやOpenCodeに数週間おきに現れている。2026年8月のOx AlphaはZ.aiがGLM-5.3-Flashと公式に認めた。9月16日に現れたUnion Alphaは約32時間後、Unbiasedが自社の「Pareto 26.9」(同社の説明では複数のモデルを組み合わせる仕組み)だと公表した。当サイトの実測ではトークナイザがGLM系と18対18で一致していたが、公表された開発・運営元はZhipuではなくUnbiasedだった。9月のOmen Alphaも同じく18対18で一致したが、正体の公表は9月25日時点で確認できていない。覆面モデルとは何か、なぜ無料で配るのか、9月16日までの7体の一覧と正体、消費トークン数から出自を推定する手順とその限界を1本にまとめる(2026年9月25日更新)。

覆面AI(ステルスモデル)とは──Ox Alpha・Omen Alpha・Union Alphaの一覧と正体、トークナイザで見分ける方法【2026年9月】
目次

2026年9月17日時点の情報です(2026年9月25日追記あり)。「Ox Alpha」「Omen Alpha」「Union Alpha」──2026年8月以降、開発元を明かさない「○○ Alpha」という名前のAIモデルが、OpenRouter(モデル中継サービス)やOpenCode(コーディングエージェント)に数週間おきに現れている。当サイトはその3体を登場当日に個別記事にしてきた(Ox Alpha・Omen Alpha・Union Alpha)。この記事は、覆面モデルという仕組みそのものと、これまでの一覧、正体の当て方を1本にまとめたもので、新しい覆面が出るたびに表を足していく。

【追記 2026年9月25日】 一覧内の「Union Alpha」の正体が公表されていたので、一覧・3行まとめ・本文の該当箇所を更新した。公開から約32時間後の2026年9月18日8時3分(日本時間)、Union Alphaの公式Xアカウント(@unionalphaai、プロフィールは「Built by @TheUnbiasedCo」)がX記事「Union Alpha is Pareto 26.9」を投稿し、Union AlphaはUnbiased(@TheUnbiasedCo)の「Pareto 26.9」だと明かした。約20分後にはOpenRouterも公式Xで「Union Alpha is revealed on OpenRouter as @TheUnbiasedCo Pareto!」と告知している。Unbiasedの説明では、Paretoは単一の重みではなく、オープンなモデルと最先端のモデルを含む複数のモデルが同じ課題に取り組む仕組みで、学習の実行は行っていない。組み合わせているモデルの名前は、当サイトが確認した範囲(このX記事と、Unbiased公式サイトの仕組み・モデルカードのページ)では挙げられていない。当サイトの実測ではUnion AlphaのトークナイザがGLM系と18対18で一致していたが、公表された開発・運営元はZhipu(Z.ai)ではなくUnbiasedだった。トークナイザの指紋で言えることの範囲は、「正体の当て方」の節に追記した。詳細はUnion Alphaの記事を参照。なお、9月23日にはOpenCodeとOpenRouterに次の覆面モデル「Space Bunny」が現れているが、今回の更新では一覧に加えていない(Space Bunnyの記事)。

3行まとめ(2026年9月25日更新)

  1. 覆面モデル(ステルスモデル)は、開発元を伏せて「○○ Alpha」の名で配信される新モデルのテスト版。無料か格安で数日〜数週間使わせ、利用データを集めたあとに本人が名乗り出る、という型が続いている。
  2. 2026年2月から9月16日までに現れたのは7体。正体が公表されたのは6体(Zhipu/Xiaomi/Ant/美団/Zhipu/Unbiased)で、Union Alpha以外の5体は中国のラボ。Union Alphaは9月18日、Unbiasedが自社の「Pareto 26.9」(同社の説明では複数のモデルを組み合わせる仕組み)だと公表した。Omen Alphaは9月25日時点で公表を確認できていないが、当サイトの実測でトークナイザがGLM系と18対18で一致した。
  3. 正体の当て方は「同じ文字列を各モデルに送り、消費トークン数を比べる」。語彙辞書は訓練前に確定して差し替えられないので、指紋のように使える。当サイトは18種類の文字列でこれをやっている。ただし分かるのは語彙辞書の系統までで、Union AlphaはGLM系と一致したが、配信していたのはZhipuではなくUnbiasedだった。

覆面モデルとは何か

OpenRouterのモデル一覧には stealth/ というカテゴリがあり、開発元を明かさないモデルがそこに置かれる。OpenRouter自身が2025年4月に、当時の覆面「Quasar Alpha」「Optimus Alpha」がOpenAIのGPT-4.1だったと種明かしをしており、この仕組みは中国ラボに限ったものではない。

共通するのは次の3点だ。

  • 名前:動物などの単語+「Alpha」。開発元はモデルカードにもAPIにも書かれない
  • 配り方:一定期間は無料か格安(Union Alphaは「今後1週間無料」、Omen AlphaはOpenCode Goの月10ドル枠で「10ドルで100ドル分」)
  • 狙い:OpenRouter公式やOrcaRouterの整理によれば、公開前のモデルを大量の実トラフィックで試すこと。Ox Alphaの記事では「ブランドの不在こそがマーケティング」という見方も書いた。無料で使わせて話題が最高潮になった頃に本人が名乗り出る

これまでの覆面モデル一覧(2026年)

名前 登場 配信先 正体 根拠・確度
Pony Alpha 2月 OpenRouter Zhipu「GLM-5」(7,440億パラメータ) 各社発表ベース(OrcaRouterの整理)。公表まで約5日
Hunter Alpha 3月 OpenRouter Xiaomi「MiMo-V2-Pro」 同上。公表まで数週間
Elephant Alpha 4月 OpenRouter Antグループ「Ling-2.6-flash」 同上。公表まで約2週間
Owl Alpha 4月末 OpenRouter 美団「LongCat-2.0」 同上。公表まで約2か月
Ox Alpha 8月21日 OpenRouter・OpenCode(1週間無料) Z.ai「GLM-5.3-Flash」 公式が明言(Z.ai公式X・8月26日)。登場から公表まで5日
Omen Alpha 9月4日 OpenCode Go限定(月10ドル) 未公表(9月25日時点で公表を確認できず) 当サイト実測:トークナイザがGLM-5.3-Flash/GLM-5.3と18対18一致。公開表記50万トークンに対し102万トークンが通過
Union Alpha 9月16日 OpenRouter・OpenCode(1週間無料と告知。公表でステルス期間は前倒しで終了) Unbiased「Pareto 26.9」(同社の説明では複数のモデルを組み合わせる仕組み) 本人が公表(@unionalphaaiのX記事・9月18日、OpenRouter公式Xも告知)。登場から公表まで約32時間。当サイト実測ではGLM-5.3-Flash/GLM-5.2とトークナイザが18対18一致、画像を添えて正体を聞くと10回中5回「GLM、Z.ai製」と自己申告(文章だけでは8回中0回)。組み合わせているモデルの名前は、当サイトが確認した公表内容(X記事・公式サイト)には無い

Pony〜Owlの4体の正体はOrcaRouterの整理(各社の発表ベース)によるもので、当サイトは個別に追試していない。Ox Alpha以降の3体は当サイトが登場日に測っている。

正体が公表された6体のうち、中国のラボは5体(Pony・Hunter・Elephant・Owl・Ox)。Ox Alphaの記事を書いた時点で「この半年の匿名モデル4体は、すべて中国ラボだった」と書き、この記事の初版(9月17日)でも「その後も傾向は変わっていない」と書いたが、9月18日に公表されたUnion Alphaの開発・運営元はUnbiasedで、この傾向には当てはまらない。Unbiasedの公式サイトによると、UnbiasedはCircuit & Chisel社が開発・運営しており、公式サイトの規約ページに載るCircuit & Chisel社のプライバシーポリシーには、米国に本拠を置く会社だと書かれている。Unbiasedの説明では、Paretoは単一の重みではなく複数のモデルが同じ課題に取り組む仕組みで、学習の実行は行っていない。組み合わせるモデルに「オープンなモデル」が含まれるとは書いているが、どのモデルかは当サイトが確認した範囲では挙げていない。当サイトの実測でトークナイザがGLM系と18対18で一致した事実(上表・後述)と、この説明の関係は決められない。残るOmen Alphaについては、GLM系の語彙辞書を使っていることまでは言えても、それがZ.aiの次期モデルなのか、GLMの辞書を流用した別の何かなのかは決められない。Union Alphaの公開コンテキストウィンドウ(262,144トークン)は、GLM 5.x系の公式値のどれとも一致していない(正体公表後のOpenRouterの「Pareto」も262,144トークン)。

正体の当て方──トークナイザの「指紋」

AIモデルは文章を「トークン」という細切れに刻んでから処理する。刻み方を決める語彙辞書は各社が自前のデータから作り、訓練前に確定して後から差し替えられない。だから同じ文字列を各モデルに送って消費トークン数を比べれば、辞書が同じかどうかを外から測れる。APIは prompt_tokens(消費した入力トークン数)を返すので、モデルの中身を見なくても済む。

Ox Alphaのときは開発者のSushaanth Srinivasan氏が11種類のテスト文で10モデルを比べ、GLM-5.3とGLM-5.2だけが11項目すべて一致した。数字だらけの文をDeepSeekは98トークンに刻むのに対し、GLMは29トークン、Ox Alphaも29ぴったり、という具合だ。当サイトはこの方法を18種類の文字列(日本語・韓国語・アラビア語・ロシア語・絵文字・ルーン文字・コード・数式・特殊トークンなど)に広げて、Omen AlphaとUnion Alphaで使った。

プローブ(例) Omen Alpha GLM-5.3-Flash MiniMax-M3 Qwen3.8 Flash
日本語の一文 30 30 21 24
韓国語の一文 39 39 24 29
特殊トークン 14 14 22 30

18種類を通した一致数は、Omen AlphaでGLM-5.3-Flash 18・GLM-5.3 18・MiniMax-M3 8・Qwen3.8 Flash 5。Union AlphaではGLM-5.3-Flash 18・GLM-5.2 18・GLM-5.3 17で、GLM系以外は公開辞書37種類(Llama・Gemma・Mistral・DeepSeekなど)を含めても最高8だった。特に「会話の役割を区切る特殊トークンがGLM系だけ14トークンに収まる」点は、同じ辞書でなければ説明しにくい。

【2026年9月25日追記】この方法で言えるのは、辞書の系統までである。Union Alphaは18種類すべてでGLM系と一致したが、公表された正体はZhipu(Z.ai)のモデルではなく、Unbiasedが複数のモデルを組み合わせて動かす「Pareto 26.9」だった。指紋が示すのは「APIが返すトークン数がGLM系の辞書の数え方と一致した」というところまでで、誰が配信しているか、裏にモデルがいくつあるかまでは決められない。

手順は次の通り(当サイトの実測手順)。

  1. 短い文字列を18種類ほど用意する(言語・記号・コードを混ぜる。1文字だけの「a」も入れる)
  2. 覆面モデルと、候補になる公開モデルの両方に、同じ文字列を1つずつ送る
  3. 各リクエストの prompt_tokens の増分を記録し、モデルごとに並べる
  4. 一致した数を数える。公開辞書があるモデルは、辞書ファイルから直接トークン数を計算して比べてもよい

つまずく点も書いておく。Union AlphaはOpenCodeがAnthropic互換の形式で配信しており、この形式では入力トークン数からキャッシュ命中分が差し引かれるため、文章だけを送ると同じ「a」が1トークンになったり18トークンになったりと揺れた。8×8ピクセルの画像を1枚添えると揺れが止まり、そこで測れた。

覆面モデルを試すときに知っておくこと

  • 公開スペックは当てにならないことがある。Omen Alphaは公開表記の文脈上限50万トークンに対し、実測で102万39トークンが通った
  • データの扱いは配信先の規約で決まる。Union AlphaはOpenCodeが「no data training」と告知し、OpenRouterの規約ページでは「プロンプトは保持されうる」と書かれている。仕事のデータを入れるなら、この2つを読んでからにする
  • 無料期間は短い。Ox AlphaもUnion Alphaも告知は「1週間」。過ぎると消えるか、正体を明かした正規モデルに置き換わる。Union Alphaは約32時間で正体が公表され、OpenRouterによればステルス期間は前倒しで終わった。2026年9月25日時点では、OpenRouterで有料の「Pareto」(100万トークンあたり入力2.50ドル・出力7.50ドル)として配信されている。2026年10月1日には次の版「Pareto 26.10」のプレビューがOpenRouterに入力0.80ドル・出力3.20ドルで追加された(組み合わせているモデルの名前は、このときも公表されていない。Union Alphaの記事に追記)
  • 正体が明かされるまでは、数字はコミュニティ計測だけ。Ox Alphaの「DeepSWE 80%」は10タスクの部分集合による速報値で、全113タスクでは約63%に下がった(OrcaRouter経由のBen Davis氏の計測)

当サイトで確かめていないこと

  • Pony・Hunter・Elephant・Owl Alphaの正体(OrcaRouterの整理を引いており、各社の発表を当サイトは個別に確認していない)
  • Omen Alphaの開発元。GLM系の辞書であるところまでは実測、それ以上は推定
  • Union Alphaが組み合わせているモデルの名前と、GLM系トークナイザとの関係。開発元(Unbiased)は正体を公表したが、当サイトが確認した範囲(X記事、公式サイトの仕組み・モデルカード・会社概要のページ)では内訳を挙げていない
  • 覆面モデルを配る側(OpenRouter・OpenCode)と開発元の契約関係。無料期間の費用を誰が負担しているかは公表されていない

新しい覆面モデルが出たら、この一覧に足す。Union Alphaの正体は2026年9月18日(日本時間)に公表済み(詳細はUnion Alphaの記事)。9月23日に現れた「Space Bunny」(記事)は、この一覧にはまだ加えていない。残るOmen Alphaの正体公表は、判明次第この一覧に反映する。

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出典・参照資料

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