履歴書・職務経歴書をAIに書かせる方法2021年の厚労省新様式と、経歴を盛らないための注意点
「JIS規格の履歴書」と呼ばれてきた様式例は、厚生労働省のリーフレットによると日本規格協会が2020年7月にJIS規格の解説から削除し、厚生労働省が新たに「厚生労働省履歴書様式例」を作成した(2021年4月16日付の審議会資料)。新様式では性別欄が任意記載になり、「通勤時間」など4項目が削除された。職務経歴書はハローワークのパンフレットが「自由様式」の書類と説明しており、本記事はAIに下書きを頼む際も社名・期間・数字は自分で入力することを勧める。

目次
3行まとめ
- 「JIS規格の履歴書」と呼ばれてきた様式例は、厚生労働省のリーフレットによると、一般財団法人日本規格協会が2020年7月(令和2年7月)にJIS規格の解説から削除した。代わりに厚生労働省が「厚生労働省履歴書様式例」を作成し、2021年4月16日付の労働政策審議会の分科会資料で変更点を示している。
- 新様式では性別欄が「男・女」の選択から任意記載に変わり、「通勤時間」「扶養家族数(配偶者を除く)」「配偶者」「配偶者の扶養義務」の4項目が削除された。
- 職務経歴書は、ハローワークのパンフレットが「自由様式」の書類と説明し、編年体式・逆編年体式・キャリア式などの書き方を示している。AIに下書きを頼むなら、社名・期間・実績の数字は自分で入力し、AIには構成と言葉遣いを任せる、というのが本記事の勧める線引きだ。
就職・転職活動で使う履歴書の様式は、2020年から2021年にかけて変わっている。長く「JIS規格の履歴書」と呼ばれてきた様式例は、厚生労働省の事業主向けリーフレットによると、一般財団法人日本規格協会(以下、日本規格協会)が2020年7月に削除した。その後、厚生労働省が新しい様式例を作成し、2021年4月16日付の労働政策審議会の分科会資料で旧様式との違いを示している。この記事では、まずこの変更の中身を厚生労働省とハローワークの一次資料で確認し(2026年9月25日・日本時間時点)、そのうえで履歴書・職務経歴書の下書きや添削をAIに頼むとき、どこまで任せてよいか、どこから経歴の誇張になるかを整理する。
「JIS規格の履歴書」はなぜ、どう変わったのか
「JIS規格の履歴書」と呼ばれてきたものは、厚生労働省のリーフレットの言葉では、日本規格協会が「JIS規格の解説の様式例において示していた履歴書の様式例」だった。経緯は、2021年4月16日付の資料「履歴書の様式例の作成について」(PDFの冒頭に「令和3年4月16日 労働政策審議会安定分科会資料」とある)と、事業主向けリーフレット「新たな履歴書の様式例の作成について」によると次のとおりだ。
- 厚生労働省は、公正な採用選考を確保する観点から、日本規格協会が示していたJIS規格の履歴書の様式例の使用を推奨していた。
- 2020年7月(令和2年7月)、LGBT当事者を支援する団体から、厚生労働省、日本規格協会等に対して、履歴書様式の検討(性別欄の削除等)を求める要請が行われた。
- 分科会資料によると、この要請を契機にJIS規格の履歴書の様式例全体が削除された。リーフレットは、日本規格協会が2020年7月に「JIS規格の解説の様式例から履歴書の様式例を削除した」と書いている。
- そのため厚生労働省が、公正な採用選考を進めるうえで参考となる様式を定めることにした。
リーフレットの記述に沿えば、JIS規格そのものが廃止されたのではなく、日本規格協会がJIS規格の解説に載せていた履歴書の様式例が削除された、ということになる。分科会資料のPDFは、サーバーが返す更新日時(Last-Modified)も2021年4月16日だった。
厚生労働省が新たに作成した様式(厚生労働省履歴書様式例)と、従来のJIS規格の様式例との違いは、分科会資料とリーフレットで次のように整理されている。
| 項目 | 旧・JIS規格の様式例(〜2020年7月) | 新・厚生労働省履歴書様式例 |
|---|---|---|
| 性別欄 | 「男・女」から選択する形式 | 任意記載欄(未記載も可能) |
| 通勤時間欄 | あり | 設けない |
| 扶養家族数欄(配偶者を除く) | あり | 設けない |
| 配偶者欄 | あり | 設けない |
| 配偶者の扶養義務欄 | あり | 設けない |
| 示した主体 | 日本規格協会(JIS規格の解説の様式例) | 厚生労働省 |
| 位置づけ | 厚生労働省が使用を推奨していた(リーフレット) | 法的拘束力はなく、使うかどうかは企業が判断できる(分科会資料) |
性別欄について、リーフレットは「性自認の多様な在り方に対応するため、〔男・女〕の選択ではなく任意記載欄としました」と説明する。そのうえで、性別の確認が必要になる場合として、制度上特定の性別の者を就業させられない場合(坑内業務の一部等)、女性活躍推進法に基づいて男女別の競争倍率を把握する場合、男女雇用機会均等法に基づいて女性を積極的に採用する場合を挙げ、確認するときは理由を説明し本人の納得の上で行うよう求めている。あわせて「性別欄の記載内容や、未記載であることで採否を決めることはないようお願いします」と事業主に書いている。
削除された4項目について、リーフレットは「特に応募者のプライバシーの要素が非常に高い情報であることなどを踏まえ」て設けないことにしたと説明する。これらの欄で把握していた事柄(超過勤務・休日出勤、緊急対応、配置先、転勤など)の確認が必要な場合は、面接時等に確認するよう求め、質問例も載せている。
厚生労働省の新しい履歴書様式例は、どこで手に入るのか
新様式は、厚生労働省の「公正な採用選考の基本」ページ、ハローワークインターネットサービスの「履歴書・職務経歴書の書き方」ページ、栃木労働局の「履歴書様式例(厚生労働省)」ページなどで配布されている。栃木労働局のページでは、PDF版(A3・A4)とExcel版(A3・A4)をダウンロードでき、「ご自宅のパソコンやコンビニで印刷できます」と案内している。
本記事の確認では、栃木労働局のA4版PDF(2ページ)を取得して文字を抜き出した。性別の欄は「※性別」という見出しだけで、PDFの文字の中に「男」「女」の字は1つも無かった。欄の並びは、氏名・生年月日・現住所・連絡先、学歴・職歴、「免許・資格」、「志望の動機、特技、好きな学科、アピールポイントなど」、最後に「本人希望記入欄」で、通勤時間・扶養家族・配偶者の欄は無かった。ハローワークインターネットサービスが掲載しているA4版PDFも取得して比べたところ、ファイル自体は別物だったが、抜き出した文字は栃木労働局版と同じだった。
ハローワークのページには、この様式例のほかに「応募書類の作り方」パンフレット(履歴書の記載例つき)も載っている。AIに履歴書の下書きを頼む前に、どちらかのページから様式そのものを入手し、埋める欄を確かめておくとよい。AIが旧様式(「男・女」の選択や通勤時間の欄がある形)を前提に下書きしてしまった場合も、手元の様式と見比べればすぐ気づける。
履歴書と職務経歴書、様式の違いを表で確認する
「履歴書」と「職務経歴書」は、書く内容も様式の位置づけも別物だ。ハローワークインターネットサービスの解説ページと、職務経歴書パンフレットを突き合わせると次のようになる。
| 項目 | 履歴書 | 職務経歴書 |
|---|---|---|
| 様式の位置づけ | 厚生労働省が様式例(厚生労働省履歴書様式例)を示している。法的拘束力はない | パンフレットの言葉で「自由様式」。作り方は「基本的には自由」 |
| 分量の目安 | 様式に沿う(A3・A4版がある) | A4縦サイズ1〜2枚程度(パンフレット) |
| 性別欄 | 新様式では任意記載(未記載可) | 決まった欄は無い。パンフレットが必須とするのは冒頭の「標題」「氏名」「日付」と「職務経歴」 |
| 主な記載内容 | 氏名・学歴・職歴・免許資格など経歴の全体像 | 職務経歴のほか、活かせる能力、自己PR、志望動機など |
| 公式の入手先 | 厚生労働省・ハローワーク・栃木労働局などのページでPDF・Excelを配布 | ハローワークのページに様式例の配布は無い。作成手順・記載例のパンフレットと、経歴を整理する「マスターシート」の別冊ワークブックを掲載 |
職務経歴書パンフレットは、職務経歴書を「A4縦サイズ1〜2枚程度に、これまで応募者自身が経験してきた職務の内容(職務経歴)を自由様式で詳しく記載する書類です」と定義している。履歴書の記載内容をそのまま写すような書き方では作る意味が無いとし、履歴書に書ききれなかった内容を補足して、より詳しく書くよう求めている。
また「職務経歴書の内容は、基本的には応募先企業によって異なるものとなります(同一の内容を複数の応募先企業に使い回しすることは適当でありません。)」とも書いている。AIに一度作らせた文章を、そのまま複数の会社に出すやり方は、この案内の考え方とは合わない。
AIに履歴書の下書き・添削を頼む手順
新様式(PDFまたはExcel)を入手したあと、AIに頼める作業は主に次の3つに分けられる。
- 自由記述欄(志望の動機・アピールポイント)の下書き:自分で書いた事実の箇条書きを渡し、様式の枠に収まる文字数にまとめてもらう
- 誤字脱字・表記ゆれのチェック:完成した文章を貼り付けて、誤字脱字や「である調・ですます調」の混在がないか確認してもらう
- 読みやすさの調整:一文が長すぎないか、専門用語が読み手(採用担当者)に伝わる表現になっているかを見てもらう
プロンプトの一例は次のとおりだ。
以下は私が実際に経験した事実の箇条書きです。この事実だけを使って、
厚生労働省履歴書様式例の「志望の動機、特技、好きな学科、アピールポイントなど」欄に
収まる200字程度の文章にまとめてください。事実にない内容は追加しないでください。
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(自分で書いた事実の箇条書き)
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「事実にない内容は追加しないでください」という一文を入れておく理由は、あとの章で書く。
職務経歴書はAIに何を任せられるか
職務経歴書は自由様式である分、AIに任せられる範囲も広い。ハローワークの職務経歴書パンフレットは「職務経歴書は様式が自由であるだけに、レイアウトや文字の大きさなど記載の見やすさもアピール要素になります」としている。AIが手伝いやすいのは、中身よりも構成と読みやすさの部分だ。
まず、職務経歴をどう並べるかをAIに伝える。パンフレットは「いくつか記載スタイルがあるので、自分の「職務経歴」を表現するのにどれがよいのかを選びましょう。わからないときは編年体式(古い職務経歴から記載する方法)とします」として、次の型を示している。
| 型(パンフレットの呼び方) | 並べ方 | パンフレットが挙げる使いどころ・注意 |
|---|---|---|
| 編年体式 | 職務経歴を古いものから並べる | 「一般的な方法」 |
| 逆編年体式 | 職務経歴を新しいものから並べる | 記載例は「同じ会社で長く勤めていて初めて転職の場合」 |
| キャリア式 | 職歴を職務内容の類型ごとに分け、アピール力の高い順に並べる | 職歴の時間的流れがわかりにくくなるため、時系列の「略歴」を付けるとよい |
| フリースタイル | 類型ごとに分けて時系列に並べる、勤務先ごとに書く、など | 記載例は「これまで派遣就業していた場合」 |
AIへの指示に「編年体式で」「キャリア式で、末尾に時系列の略歴を付けて」と型の名前を書くと、並べ方をこちらで決めたうえで整形だけを頼める。文体についても、パンフレットは職務経歴の部分を原則として体言止め(「〜を担当」「〜に従事」)にし、「自己PR」「志望動機」は「〜を担当しました。」のようなていねいな文体にするとよい、としている。この指定もそのままAIに渡せる。
そのほかにAIに頼みやすい作業は次のとおり。
- 過去の職務経歴を時系列またはプロジェクト単位で箇条書きにし、読みやすい順番への並べ替えを頼む
- 応募先の求人票(職務内容・必須スキル)を渡し、自分の経歴のどの部分を前に出すべきか提案してもらう。当サイトのAI採用ツールの企業導入事例と候補者への影響【2026年版】では、求人票のキーワードと職務経歴書の語彙をそろえる「ATSの最適化」に触れつつ、実態とのズレが生じるリスクも書いている
- 完成した文章が、面接で聞かれても矛盾なく説明できる分量・粒度になっているか、自分で読み返す
最後の項目は、人間がやる作業として書いた。職務経歴書パンフレットは「面接においては、提出した職務経歴書の記載内容に基づいて質問をされることが多いので、その記載内容を忘れてしまったり、記載内容と矛盾するような応答をしないよう、完成した職務経歴書をコピーしておき、面接前に確認しましょう」と注意している。AIが整えた文章を自分の言葉で説明できるかどうかにも、この注意はそのまま当てはまる。面接練習にAIを使う方法は、当サイトのAI面接対策 ChatGPTで練習する方法【就活・転職2026年】で扱っている。
経歴を盛らせないための一線
職務経歴書パンフレットの記載項目一覧は、実績の欄について「可能であれば」営業成績などの成果指標の数値を書くよう勧めている。数字は書類の中で目を引く部分であり、面接で掘り下げられやすい部分でもある。だからこそ、その数字は自分の記録から持ってくる必要がある。
AIへの頼み方は、たとえば次の2つで性格が変わる。
- 頼み方A:「以下の事実だけを使って自己PR文にまとめてください。事実にない内容は追加しないでください」+具体的な事実の箇条書き
- 頼み方B:「この経験を、もっと魅力的な自己PR文に書き直してください」+同じ事実の箇条書き(追加を禁じる一文なし)
頼み方Bは、何を足してよいかの範囲をAIに委ねている。返ってきた文章に自分の渡していない数字や役職が入っていても、それが自分の事実かどうかを一つずつ照らし合わせない限り気づけない。本記事では、次の2点を線引きとして勧める(検証結果ではなく、編集部の考えである)。
- 会社名・在籍期間・役職・数字(売上、件数、達成率など)は必ず自分で入力する。AIに「良い数字を考えて」とは頼まない
- AIへの指示には「事実にない内容は追加しないでください」を毎回入れる。そのうえで、返ってきた文章の数字と固有名詞を、自分が渡した箇条書きと突き合わせてから使う
民間テンプレートとAIの出力は、今回は確かめていない
- 民間の履歴書作成サービスやWordテンプレート配布サイトが、2020年7月の様式例削除後も「JIS規格」を名乗るテンプレートを配布しているかどうかは、個々のサイトを確かめていない。本記事の確認は厚生労働省・ハローワーク・栃木労働局の資料にとどまる
- ChatGPTやClaudeなど個別の生成AIサービスに頼み方A・Bを実際に入力して、出力を比べる検証はしていない。「経歴を盛らせないための一線」の2点は編集部の考えで、測定の結果ではない
- 新様式を厚生労働省が一般向けに公表した日付は、今回読んだ資料からは特定できなかった。本記事の「2021年4月16日」は、変更点を示した分科会資料の日付である
参照した資料と取得した時点
本記事は2026年9月25日(日本時間)に、次の資料を取得して本文を読んだ内容に基づく。厚生労働省の分科会資料「履歴書の様式例の作成について」と事業主向けリーフレット「新たな履歴書の様式例の作成について」(いずれもPDF)、厚生労働省「公正な採用選考の基本」ページ、ハローワークインターネットサービス「履歴書・職務経歴書の書き方」ページ、ハローワークの職務経歴書パンフレット(PDF・20ページ)、栃木労働局「履歴書様式例(厚生労働省)」ページ。JIS規格の様式例が削除された時期(2020年7月)はリーフレットとハローワークのページの記載、分科会資料の日付(2021年4月16日)はPDF冒頭の記載による。新様式の欄の並びは、栃木労働局とハローワークが配布するA4版PDFから文字を抜き出して確かめた。
出典・参照資料
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