NTTアーバンソリューションズなど5社、札幌のオフィスビルで生成AI空間演出「Utsuroi Art」を実証放映時間帯・季節・天候で273パターン
日刊AIニュース10月21日(水)号:前日のAIのニュース18本を短くまとめました(約11分)›
NTTアーバンソリューションズとNTT都市開発、ピーディーシー、丹青社、point0の5社は2026年9月24日、札幌の「アーバンネット札幌リンクタワー」2Fオフィスロビーで、生成AIを活用した空間演出技術『Utsuroi Art』の実証放映を開始すると発表した(同ビルのグランドオープンは発表時点で10月3日の予定)。現地の時間帯・季節・天候とリアルタイムに連動する273パターンのデジタルアートを放映し、ワーカーの心理的負荷軽減とデジタルサイネージの運用負荷低減をめざす。発表資料が紹介する、利用者の96%が『アートが定期的に変化することに価値を感じる』と回答したという数字は、札幌ではなく別施設point 0 marunouchiでの先行実証のものだ。

目次
2026年9月25日(日本時間)時点の情報である。 NTTアーバンソリューションズ株式会社とNTT都市開発株式会社、ピーディーシー株式会社、株式会社丹青社、株式会社point0の5社は2026年9月24日、北海道札幌市中央区の「アーバンネット札幌リンクタワー」ノース2階オフィスロビーで、生成AIを活用した空間演出技術『Utsuroi Art』によるアートコンテンツの実証放映を開始すると発表した。発表時点で、同ビルは2026年10月3日のグランドオープンを予定していた。現地の時間帯・季節・天候とリアルタイムに連動する273パターンのデジタルアートをオフィスの共用空間に流す取り組みで、ビルを開発したNTT都市開発自身が共用部の演出に生成AIを使う例として、公式発表のWebページ版とPDF版を突合したうえで内容を整理する。
3行まとめ
- 何を実証するか。 「アーバンネット札幌リンクタワー」ノース2階オフィスロビーで、生成AIが札幌・北海道の風景をモチーフに描いた抽象度の高い「アート(絵画)風」のデジタルアートを放映する。発表資料によると、春夏秋冬(4パターン)×朝・昼・夕(3パターン)の掛け合わせを中心に、晴・曇・雨・雪の天候アニメーションを動的にレイヤーとして組み合わせ、273パターンのバリエーションにするという。
- 何のためか。 発表資料は、従来のデジタルサイネージ運用の課題として、映像コンテンツの制作コスト、長期間の繰り返し放映による「鮮度の低下」、バリエーションを増やすほど大きくなる「運用の負荷」を挙げ、生成AIを用いた映像でこれを解決するとともに、出社時やエレベーター待機時間などの「待ち時間・隙間時間」をワーカーの心理的負荷軽減とウェルビーイングの向上につなげる、としている。
- 役割分担と、効果の根拠の出どころ。 NTTアーバンソリューションズ/NTT都市開発が実証フィールドの提供とAI活用リスク評価、ピーディーシーがサイネージシステム構築、丹青社が空間ディレクション、point0がコンテンツ作成の監修と技術提供を担当する。point0の「技術提供」には、ダイキン工業株式会社と大阪大学の包括連携による開発成果で、ダイキン工業が権利を保有する特許を活用している、との注記が付く。効果の裏付けとして挙げられた、利用者の96%が『アートが定期的に変化することに価値を感じる』、81%が『展示されたアートでリラックスできた』と回答したという数字は、札幌の実証ではなく、別施設「point 0 marunouchi」での先行実証の数字である。
札幌リンクタワーでの実証、発表内容の一覧
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年9月24日 |
| 発表主体(5社) | NTTアーバンソリューションズ、NTT都市開発、ピーディーシー、丹青社、point0 |
| 技術名 | 生成AIを活用した空間演出技術『Utsuroi Art』 |
| 実証の場 | 「アーバンネット札幌リンクタワー」ノース2階オフィスロビー |
| ビルの竣工 | 2026年6月30日(NTT都市開発の7月9日付リリース) |
| ビルのグランドオープン日 | 2026年10月3日(NTT都市開発の9月2日付リリースで決定と発表。同リリースによると、ホテル「ハイアット セントリック 札幌」も同日開業) |
| コンテンツの構成軸 | 季節4パターン×時間帯3パターン(朝・昼・夕)を中心に、天候(晴・曇・雨・雪)をレイヤーとして動的に組み合わせ |
| バリエーション数 | 273パターン |
| コンテンツのモチーフ | 札幌・北海道の風景。実写ではなく抽象度の高い「アート(絵画)風」表現 |
| 掲げる効果 | ワーカーの心理的負荷軽減・ウェルビーイング向上、デジタルサイネージの運用負荷低減 |
| point0の「技術提供」への注記 | 「ダイキン工業株式会社と大阪大学の包括連携による開発成果であり、ダイキン工業が権利を保有する特許を活用」 |
273パターンはどう組み合わさっているか
発表資料によると、コンテンツは「春夏秋冬の季節(4パターン)と、朝・昼・夕の時間帯(3パターン)の掛け合わせを中心に展開」し、さらに「晴・曇・雨・雪」の天候アニメーションを動的にレイヤーとして組み合わせることで、273パターンのバリエーションで「常に新鮮なアート表現」を生み出すという。季節・時間帯・天候を単純に掛け合わせると4×3×4=48通りで、273パターンとの差がどういう内訳から来るのか、算出式は発表資料に書かれていない。
放映されるのは実写映像の再現ではなく、札幌・北海道をモチーフにした風景をベースに生成AIで描いた「アート(絵画)風」の抽象度の高い表現だと発表資料は説明する。発表資料に載っている9枚組の画像(本記事のサムネイル。PDF版でのキャプションは「札幌・北海道をモチーフとしたアート表現の例」)では、水路に囲まれた星形の区画を上空から見た風景が昼・夕・夜の3パターンで、北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)に似た赤れんがの洋館が晴天・雨・雪の3パターンで、丘の畑の風景が花の季節・秋・雪の冬の3パターンで描き分けられている。画像に地名や建物名の記載はなく、どの場所かは本記事の見立てである。
なお、この画像例には夜景が含まれるが、発表資料が挙げる時間帯は朝・昼・夕の3パターンである。point0の製品ページは Utsuroi Art の時間帯を「朝・昼・夕・夜」の4つとして紹介しており、札幌の実証で夜がどう扱われるかは発表資料からは分からない。
なぜオフィスの共用部に生成AIアートなのか
発表資料が挙げる課題は、デジタルサイネージ特有の運用面にある。映像コンテンツの制作コストがかかること、長期間繰り返し放映すると「鮮度の低下」が起きること、バリエーションを増やそうとすると更新や管理といった「運用の負荷」が大きくなること──この3つを、時間帯・季節・天候とリアルタイムに連動するデジタルアート(発表資料の言葉では「生成AIを用いた多様なバリエーションの映像」)を放映することで解決する、という建て付けである。加えて、出社時や移動時のエレベーター待機時間など、オフィスで生じがちな無機質な「待ち時間・隙間時間」をアート鑑賞の時間へと変え、ワーカーの心理的負荷軽減とウェルビーイング向上をめざす、と説明されている。
NTT系2社・ピーディーシー・丹青社・point0の分担
| 企業名 | 本実証における役割(発表資料の表から) |
|---|---|
| NTTアーバンソリューションズ/NTT都市開発 | コンテンツ品質・運用検証、AI活用リスク評価、実証フィールド(アーバンネット札幌リンクタワー)の提供および現場評価&フィードバック |
| ピーディーシー | 実証の推進、検証・評価支援、サイネージシステムの構築およびコンテンツディレクション |
| 丹青社 | コンテンツの企画、空間ディレクションおよびデザイン調整 |
| point0 | コンテンツ作成の監修および技術提供(※注記あり) |
注記の全文は「ダイキン工業株式会社と大阪大学の包括連携による開発成果であり、ダイキン工業が権利を保有する特許を活用」で、HTML版・PDF版ともpoint0の役割欄の中に置かれている。空調機器メーカーのダイキン工業の特許が使われている点は目を引くが、どの特許か(番号や名称)は、発表資料にもpoint0の製品ページにも書かれていない。
「96%」「81%」は札幌の数字ではない
発表資料は効果の裏付けとして、「他物件の事例として、コワーキングスペース『point 0 marunouchi』(運営:point0)でこれまで実施された同様の実証では、利用者の96%が『アートが定期的に変化することに価値を感じる』と回答し、さらに利用者の81%が『展示されたアートでリラックスできた』と回答して」いると紹介している。この数字は今回実証放映が始まる「アーバンネット札幌リンクタワー」で測定されたものではなく、別施設での先行実証の結果を参考値として引用したものである。point0の製品ページにも同じ96%・81%が「利用者アンケート調査結果」として載っているが、回答者数や調査時期はどちらにも書かれていない。札幌での実証について、利用者アンケートや効果測定の具体的な数値は今回の発表には含まれていない。
各社が描く今後の展開
発表資料は、各社が実証を踏まえて次のように展開する考えを示している。
- NTTアーバンソリューションズ/NTT都市開発: 実運用環境での検証・評価を行い、得られる知見をもとにNTTアーバンソリューションズグループが開発・保有・運営する施設への展開や、さらなる高度化・効率化をめざす
- ピーディーシー: 「低コストかつ鮮度の高いコンテンツ配信」が可能な次世代サイネージソリューションのパッケージ化を進め、自社の配信システム「OneGATE」と連携して全国の施設運営事業者に提案する
- 丹青社: 専門知見と生成AIテクノロジーを融合させて環境適応型の演出手法を確立し、オフィス空間にとどまらず商業施設や文化施設など多様な空間で新たな体験価値を創造する
- point0: 「point 0 committee」参画企業・団体の知見を活かし、コストやコンテンツ鮮度維持といった施設運営上の課題に対する有用性を検討し、他施設への展開をめざす
確認できなかった3点──使用モデル・実証期間・札幌の費用
発表資料(HTML版・PDF版)を読んだ範囲で、以下は記載がなかった。
- 生成AIの種類やモデル名: 「生成AI」という表現にとどまり、画像生成・動画生成のどの技術をどう組み合わせているかの具体名は書かれていない。point0の製品ページにも、生成AIのモデル名の記載はない
- 実証の期間: 「実証放映を開始します」とあるのみで、いつまで実施するか、常設化の計画があるかは明記されていない
- 札幌の実証にかかる費用: 今回の導入・運用費用や、ピーディーシーが今後パッケージ化するという次世代サイネージソリューションの価格帯は書かれていない
一方、発表資料がリンクしているpoint0の製品ページには、Utsuroi Art の一般向け料金表が載っている。税別で、point0が制作したアートを配信する「デジタルアート」は月額8,000円〜/台(既存モニターを使う場合は初期費用なし)、場所に合わせて作る「オリジナルコンテンツ」は月額30,000円(1拠点・2台まで、3台目以降は1台あたり月額10,000円を追加)で、コンテンツ制作費は個別見積りとされている。同ページは「2026年度はビジネス検証フェーズのため、導入条件・提供内容により料金が異なる場合があります」とも注記しており、札幌の実証がこの料金体系に当てはまるかどうかは書かれていない。
発表資料がイメージ映像として案内するYouTube動画は、point0の公式チャンネルが2026年9月10日(日本時間)に公開した15秒の「『UtsuroiArt』Sample Movie」で、概要欄は空だった。発表資料はこれを「時間帯や天候に応じて変化するコンテンツ(イメージ動画)」と説明している。札幌の現地で実際にどう見えるかは、筆者が現地で確認したわけではない。
出典と、HTML版・PDF版を突合した結果
本記事の数字・固有名詞・引用は、NTT都市開発のニュースリリースページ(HTML版)と、NTTアーバンソリューションズのサイトに置かれたPDF版の2つを開いて本文を読み、273パターン・96%/81%の数値・役割分担表の文言を突合したうえで書いている。このPDFは、NTT都市開発のリリースページからリンクされているPDFとファイルの中身が同一だった。数値と文言に相違はなく、ロビーの設置写真、「『Utsuroi Art』の特長」の図、9枚組の画像例、ダイキン工業と大阪大学に関する注記の位置(point0の役割欄の中)も両方で同じだった。ビルの竣工日(2026年6月30日)とグランドオープン日(2026年10月3日)は、今回の発表とは別の、NTT都市開発による過去のニュースリリース(2026年7月9日付・9月2日付)で裏取りした。point0の製品ページは、料金表と時間帯の数え方(朝・昼・夕・夜)の確認に使ったが、札幌の実証、273パターン、ダイキン工業・大阪大学への言及は同ページには無かった。本記事は続報があれば更新する。
出典・参照資料
- 一次資料「アーバンネット札幌リンクタワー」にて生成AIを活用した空間演出技術『Utsuroi Art』の実証放映を開始──NTT都市開発 ニュースリリース(2026年9月24日) ↗
- 一次資料同リリースのPDF版(NTTアーバンソリューションズ/NTT都市開発/ピーディーシー/丹青社/point0 連名、2026年9月24日) ↗
- 一次資料Utsuroi Art 製品ページ(特長・料金・FAQ)──株式会社point0 ↗
- 一次資料アーバンネット札幌リンクタワー竣工 7/15(水)にスタートアップ支援施設「HooK」、9/1(火)より一部店舗が開業予定──NTT都市開発 ニュースリリース(2026年7月9日) ↗
- 一次資料アーバンネット札幌リンクタワーが10/3(土)にグランドオープン──NTT都市開発 ニュースリリース(2026年9月2日) ↗
- 一次資料『UtsuroiArt』Sample Movie(point0公式YouTube。NTT都市開発リリースがイメージ映像として案内) ↗
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