Hugging Face Inference Endpointsに「使えるハードウェアを一覧できるコマンド」が追加された
huggingface_hub v1.28.0(2026年8月18日)で、hf endpoints hardwareコマンドが追加され、ベンダー・リージョン・アクセラレータの組み合わせごとに時間単価とクォータ残数を一覧で確認できるようになった。これまで5つのハードウェアフラグの有効な組み合わせを知る手段がCLIに無かった、という経緯をリリースノートで確認した。

目次
Hugging Face Inference Endpointsでモデルをデプロイするとき、--vendor・--region・--accelerator・--instance-type・--instance-sizeという5つのハードウェアフラグを指定する必要がある。問題は、これらの値が互いに依存しあっていて、どの組み合わせが実際に有効なのかをCLIから調べる手段がこれまで無かったことだ。huggingface_hub v1.28.0(2026年8月18日公開)のリリースノートは、この状況をこう説明している。
Deploying an Inference Endpoint requires five hardware flags (
--vendor,--region,--accelerator,--instance-type,--instance-size) whose valid values depend on each other, and until now there was no way to learn them from the CLI. The newhf endpoints hardwarecommand lists the valid combinations along with the price per replica per hour and your namespace's accelerator quota, filtered by default to the hardware you can deploy on right now.
(Inference Endpointをデプロイするには、互いに依存しあう有効な値を持つ5つのハードウェアフラグ——--vendor・--region・--accelerator・--instance-type・--instance-size——が必要で、これまではそれをCLIから知る方法がなかった。新しいhf endpoints hardwareコマンドは、有効な組み合わせを、レプリカ1台あたり1時間の価格と、自分の名前空間のアクセラレータクォータとあわせて一覧表示する。デフォルトでは今すぐデプロイできるハードウェアだけに絞り込まれる)
実際の出力例
リリースノートに掲載されている実行例はこうだ。
>>> hf endpoints hardware --vendor aws --region eu-west-1
VENDOR REGION ACCELERATOR INSTANCE_TYPE INSTANCE_SIZE MEMORY_GB GPU_MEMORY_GB PRICE_PER_HOUR QUOTA STATUS
------- --------- ----------- ------------- ------------- --------- ------------- -------------- ----- ---------
aws eu-west-1 cpu intel-spr x1 2.0 0.033 0/60 available
aws eu-west-1 cpu intel-spr x2 4.0 0.067 0/60 available
aws eu-west-1 gpu nvidia-a10g x1 30.0 24 1.0 0/16 available
aws eu-west-1 gpu nvidia-t4 x1 15.0 16 0.5 1/30 available
CPU(Intel SPR)のx1構成が時間あたり0.033ドル、GPU(NVIDIA A10G)のx1構成が1.0ドルという具合に、実際の単価がテーブルで確認できる。QUOTA列の「0/60」「1/30」は、名前空間ごとに割り当てられたクォータのうち現在の使用量を示しているとみられるが、この読み方についての明示的な説明はリリースノート本文にはなかった。
SDKからも同じデータが取れる
CLIだけでなくプログラムからも呼び出せる設計になっている。
The same data is available in the SDK via
list_inference_endpoints_hardware(), which flattens the API response intoInferenceEndpointHardwareobjects you can filter programmatically.
(同じデータはSDKのlist_inference_endpoints_hardware()からも取得でき、APIレスポンスをInferenceEndpointHardwareオブジェクトへ平坦化することで、プログラム側でフィルタできる)
デプロイスクリプトを書く際に、まずこの関数で利用可能なハードウェアとクォータを確認してからcreate_inference_endpointを呼ぶ、という組み方ができることになる。
デフォルトで「今デプロイできるもの」に絞り込まれる──--allで解除できる
リリースノートが「filtered by default to the hardware you can deploy on right now(デフォルトでは今すぐデプロイできるハードウェアだけに絞り込まれる)」と明記している点は実務上重要だ。CLIガイド本文を確認すると、この絞り込みを解除する方法も明記されていた。
Only hardware you can deploy on right now is listed: a usable status, and enough accelerator quota left in your namespace for one replica. Add
--allto also see what is deprecated, temporarily unavailable or out of quota.--format jsonadds the remaining per-replica specs (vCPUs, architecture, number of accelerators) to each entry.Quota is per namespace, and it decides which rows are listed at all. If you are deploying into an organization, pass the same
--namespaceyou will pass to deploy — otherwise you are looking at your personal quota, which can both hide hardware the organization can deploy on and show hardware it cannot.
(今すぐデプロイできるハードウェアだけが一覧される:使用可能なステータスであり、かつ1レプリカ分のアクセラレータクォータが自分の名前空間に残っていること。--allを付けると、非推奨・一時的に利用不可・クォータ切れのものも含めて表示される。--format jsonを付けると、レプリカあたりの残りスペック(vCPU数・アーキテクチャ・アクセラレータ数)が各エントリに追加される。/クォータは名前空間ごとであり、どの行が一覧されるか自体を左右する。組織にデプロイする場合は、deployに渡すのと同じ--namespaceを渡すこと——そうしないと自分個人のクォータを見ていることになり、組織がデプロイできるハードウェアが隠れたり、逆に組織では使えないハードウェアが表示されたりする)
つまり「組織アカウントでデプロイしたいのに、個人の--namespaceのままhf endpoints hardwareを実行すると、見えるハードウェアの一覧が実際とズレる」という、実務上ハマりやすい注意点が明記されている。
QUOTA列の読み方と、上限を引き上げる方法
Inference Endpointsの公式Pricingページには、QUOTA表示の仕組みと引き上げ方法が明記されている。
Listed available quota can now be seen in the Inference dashboard at
https://ui.endpoints.huggingface.counder "Quotas Used". The number displayed will reference the number of instances used / available instance quota. Paused endpoints will not count against "used" quota. Scaled to Zero endpoints will be counted as "used" quota — simply pause the scaled-to-zero endpoint should you like to unlock this quota. Please contact us if you'd like to increase quota allocations. PRO users and Enterprise Hub organizations will have access to higher quota amounts when requested.
(利用可能なクォータは、https://ui.endpoints.huggingface.coのInferenceダッシュボード「Quotas Used」欄でも確認できる。表示される数字は「使用中インスタンス数/利用可能なインスタンスクォータ」を示す。一時停止(Paused)中のエンドポイントは「使用中」クォータにカウントされない。ゼロスケール(Scaled to Zero)状態のエンドポイントは「使用中」クォータにカウントされる——このクォータを解放したい場合は、ゼロスケール状態のエンドポイントを一時停止すればよい。クォータの引き上げを希望する場合は問い合わせること。PROユーザーおよびEnterprise Hub組織は、リクエストすればより高いクォータ上限にアクセスできる)
つまりhf endpoints hardwareのQUOTA列「0/60」の「0」は、一時停止していないエンドポイントの使用数(ゼロスケール状態も含む)を表し、上限(60)を超えたい場合は問い合わせが必要で、PROプラン・Enterprise Hub組織はリクエストベースでより高い上限を得られる、ということが公式Pricingページから分かった。
Pricingページには、GPUインスタンスの時間単価一覧も掲載されている。代表的な構成を抜粋すると次の通り。
| プロバイダ | インスタンス | サイズ | 時間単価 | メモリ |
|---|---|---|---|---|
| AWS | nvidia-t4 | x1 | $0.5 | 14 GB |
| AWS | nvidia-l4 | x1 | $0.8 | 24 GB |
| AWS | nvidia-a10g | x1 | $1 | 24 GB |
| AWS | nvidia-a100 | x1 | $2.5 | 80 GB |
| AWS | nvidia-h200 | x8 | $40 | 1,128 GB |
| GCP | nvidia-h100 | x8 | $80 | 640 GB |
hf endpoints hardwareコマンドが表示するPRICE_PER_HOURは、この一覧表と同じ単価を指している。
自分の手元でコマンドは実行していない
本記事はv1.28.0のリリースノート、CLIガイド、Inference Endpoints公式ガイド・Pricingページを情報源としている。この記事を書いている自分の手元では、実際にhf endpoints hardwareコマンドを実行して自分のアカウントのクォータを確認する検証は行っていない(Hugging Faceの有料エンドポイントへの実際のデプロイを伴う検証は本セッションの方針上行っていない)。QUOTA上限(例の「60」という数字)自体がアカウント種別やリージョンごとにどう初期設定されるかについては、Pricingページにも明示的な基準の記載がなく、確認できていない。
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