Mac Studio M5か、Ryzen AI Max+ 395か──統合メモリ型2チップの公式スペックを並べた
AMD Ryzen AI Max+ 395(開発コード名Strix Halo)はLPDDR5x統合メモリを最大128GB搭載でき、AI性能は最大126TOPS。対するApple M5 MaxはCPU/GPU/メモリが1チップに統合され、標準構成はメモリ帯域460GB/s(32コアGPU)だが、40コアGPU構成に変更すると614GB/s・最大128GB構成まで伸びる。M5 Ultraなら1.2TB/s・最大512GB構成まで伸びる。AMD公式・Apple公式それぞれのスペック表を突き合わせた。

目次
ローカルLLMを動かす土台として、「統合メモリ(CPUとGPUが同じメモリを共有する設計)」を採用したチップが2つの陣営から出そろっている。AppleのMシリーズ(Mac Studio)と、AMDのRyzen AI Max+ 395(開発コード名Strix Halo)だ。本稿は両社の公式スペックページを一次で確認し、数字だけを突き合わせる。
3行まとめ
- AMD Ryzen AI Max+ 395は、16コア32スレッドのZen 5 CPU+Radeon 8060S GPU(40コア)を1パッケージに統合し、256bit・LPDDR5x-8000の統合メモリを最大128GBまで搭載できる。AI性能は公式表記で最大126TOPS(うちNPU単体は最大50TOPS)
- Apple M5 Maxの標準構成は18コアCPU(6 super core+12 performance core)+32コアGPU+16コアNeural Engineで、メモリ帯域は460GB/s、統合メモリは標準36GB。GPUを40コアに変更するConfigurable to構成を選ぶと、メモリ帯域は614GB/sに上がり、統合メモリも最大128GBまで構成可能になる(Apple公式では128GBは40コアGPU構成に紐づく表記)。上位のM5 Ultraなら36コアCPU・80コアGPU・メモリ帯域1.2TB/s・最大512GBの統合メモリまで伸びる
- AMD Ryzen AI Max+ 395は特定のPC単体製品としては販売されず、OEMメーカーのノートPC・ミニPCに組み込まれる形で流通するチップである一方、Mac StudioはApple自身が完成品として販売する。この流通形態の違いにより、単純な価格比較は本稿では行っていない
AMD Ryzen AI Max+ 395(Strix Halo)のスペック
AMD公式製品ページで確認できた主な仕様は次の通り。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| コードネーム | Strix Halo |
| CPUアーキテクチャ | 16× Zen 5 |
| CPUコア数/スレッド数 | 16コア/32スレッド(SMT対応) |
| L2キャッシュ | 16MB |
| L3キャッシュ | 64MB |
| プロセスノード | TSMC 4nm FinFET |
| GPU | Radeon 8060S、40コア、2900MHz |
| システムメモリタイプ | 256bit LPDDR5x |
| 最大メモリ | 128GB |
| 最大メモリ速度 | LPDDR5x-8000 |
| AI性能(合計) | 最大126TOPS |
| AI性能(NPU単体) | 最大50TOPS |
| デフォルトTDP | 55W(可変TDP 45〜120W) |
LPDDR5x-8000・256bitバスという仕様から単純計算すると、理論上のメモリ帯域は約256GB/s相当になる(8000MT/s×256bit÷8=256,000MB/s)。ただしこの256GB/sという数値はAMD公式ページに直接「GB/s」の表記としては記載されておらず、本稿が仕様値から計算した数値であることを明記しておく。
Apple M5 Max / M5 Ultra(Mac Studio)のスペック
Apple公式のMac Studio技術仕様ページで確認できた主な仕様は次の通り。M5 Maxには標準構成と、注文時に選べる**Configurable to(構成変更)**の2種類のチップ仕様があり、この2つはCPUコア数は同じだがGPUコア数とメモリ帯域が異なるため、表でも分けて記載する。
| 項目 | M5 Max(標準構成) | M5 Max(Configurable to) | M5 Ultra(Configurable to) |
|---|---|---|---|
| CPU | 18コア(6 super core+12 performance core) | 18コア(同左) | 36コア |
| GPU | 32コア | 40コア | 80コア |
| Neural Engine | 16コア | 16コア | 32コア |
| メモリ帯域 | 460GB/s | 614GB/s | 1.2TB/s |
| 標準メモリ | 36GB統合メモリ | 36GB統合メモリ | 96GB統合メモリ |
| 構成可能メモリ | ― | 48GB/64GB/128GB | 256GB/512GB |
| ストレージ標準 | 512GB SSD | 512GB SSD | 1TB SSD |
Apple公式ページの表記では、「48GB、64GB、または128GB」という構成可能メモリの選択肢は、GPUを40コアに変更した場合の項目として列挙されている(原文: "48GB, 64GB, or 128GB (M5 Max with 18-core CPU and 40-core GPU)")。つまり128GBまでメモリを増やすと、GPUコア数も32コアから40コアに、メモリ帯域も460GB/sから614GB/sに切り替わる、という組み合わせでApple公式は案内している。460GB/s・32コアGPUのままメモリだけ128GBに増やせるかどうかは、本稿で確認した仕様ページの表記からは判別できない。
なおM5 Ultraは標準構成でも30コアCPU・64コアGPU・1.2TB/s帯域とすでに高スペックで、Configurable to(36コアCPU・80コアGPU)を選んでもメモリ帯域は1.2TB/sのまま変わらない。CPUのコア名称についても、Apple公式ページは従来の「高性能コア/効率コア」ではなく「super core/performance core」という表記を使っている点を明記しておく。
Mac StudioはM5 Max搭載モデルとM5 Ultra搭載モデルの2系統があり、M5 Maxは(GPU40コア構成で)128GBまで、M5 Ultraは512GBまで統合メモリを増設できる。GPU用のハードウェアレイトレーシング支援や、H.264・HEVC・ProRes・ProRes RAW・AV1のハードウェアデコードなど、AMD側のスペック表には見当たらない機能も明記されている。
Strix Haloは「Infinity Fabric」ではなく新しい配線方式を採用している
Wikipedia「Zen 5」の項でStrix Haloの技術的な特徴を確認すると、AMD公式ページには出てこない設計上の変更点が記載されていた。
"Strix Halo represented a major departure of previous multi-chiplet mobile processors. Strix Halo's CCD is actually not the same type of CCD used on regular Zen 5 desktop processors. Instead it features a unique 'sea of wires' interconnect that replaces the previous infinity fabric."
(訳)「Strix Haloは、従来のマルチチップレット型モバイルプロセッサから大きく方向転換した。Strix HaloのCCD(コアダイ)は、通常のZen 5デスクトップ向けプロセッサと同じ種類のCCDではない。代わりに、従来のInfinity Fabricを置き換える、独自の『sea of wires(配線の海)』という相互接続方式を採用している」
同じ項目には、Ryzen AI MAX+ 395を含むStrix Haloファミリー全体の一覧表もあった。395は16コア32スレッド・ベース3.0GHz/ブースト5.1GHz・L3キャッシュ64MB・GPU「8060S」40CU・NPU 50TOPS・2×CCD+1×I/OD構成・TDP 45〜120W・2025年第1四半期発売と、AMD公式ページの記載と一致する数値だった。同ファミリーには他に、GPU32CU版の「Ryzen AI MAX 390」、8コア版の「MAX+ 388」、6コア版の「PRO 380」なども並んでおり、395がラインナップ最上位のチップであることも確認できた。またこの一覧の脚注には「全モデルがLPDDR5Xメモリを256bitメモリバスでオンボード実装(ソルダー)のみサポート」という記載もあり、本稿が計算で導いた「256bitバス」という数値がAMD公式以外の情報源でも裏付けられた形になる。
Mac Studioの実売価格は4段階──$2,499から$6,799
honest章で先に触れていた「Mac Studioの価格は仕様ページから確認できなかった」という点について、Apple公式ストアの購入ページ(apple.com/shop/buy-mac/mac-studio)を追加で確認したところ、価格情報自体は取得できた。ページの説明文には「Get a new Mac Studio desktop with M5 Max or M5 Ultra from only $208.25 per month(月々$208.25からM5 MaxまたはM5 Ultra搭載の新しいMac Studioを)」とあり、購入ページに埋め込まれた価格データからは、$2,499・$3,099・$5,499・$6,799という4段階の価格が確認できた。最安値の$2,499が「月々$208.25」という月額表記に対応することから、M5 Max標準構成(32コアGPU・460GB/s・36GB統合メモリ)の最小構成がこの価格帯にあたるとみられる。ただし、4つの価格それぞれがどの構成(M5 Max標準/Configurable to、M5 Ultra標準/Configurable to)に対応するかの一対一の対応関係までは、今回取得したページの構造からは確定できなかった。
数字を並べて見えること
- 最大メモリ容量: AMD Ryzen AI Max+ 395は128GBが上限。Apple側はM5 Max(40コアGPU構成)でも同じく128GBまでだが、M5 Ultra構成を選べば512GBまで到達する
- メモリ帯域: 本稿の計算によるAMD側の理論値(約256GB/s)に対し、Apple M5 Maxは公式表記で460GB/s(標準構成・32コアGPU)〜614GB/s(Configurable to・40コアGPU)、M5 Ultraは1.2TB/sと、Apple側が明確に上回る
- AI性能の指標が異なる: AMDは「TOPS(Tera Operations Per Second)」という指標を公式に打ち出しているのに対し、Apple側のMac Studio仕様ページで確認した範囲では、Neural EngineのTOPS値そのものは明記されていなかった。指標の出し方が揃っていないため、AI性能そのものの単純比較は本稿ではできていない
- CPU構成の思想差: AMDは16コアすべてが同じZen 5アーキテクチャなのに対し、Appleは「super core+performance core」の非対称構成(M5 Maxで6+12)を取っている
価格と実際の推論速度は比較していない
- Mac Studioの価格($2,499〜$6,799の4段階)は購入ページから確認できたが、AMD Ryzen AI Max+ 395はOEM各社の完成品(ノートPC・ミニPC)ごとに販売価格が異なるチップで、AMD自身が定める単体価格・完成品価格の一覧は本稿では見つけられなかった。チップ単体を比較できる共通の価格情報がない以上、両者を単純な金額で比べる前提が成立しないという結論自体は変わらない
- Mac Studioの4段階の価格($2,499・$3,099・$5,499・$6,799)が、それぞれM5 Max標準/Configurable to、M5 Ultra標準/Configurable toのどの組み合わせに対応するかは、購入ページの構造からは確定できなかった
- ローカルLLM推論における実際の速度(トークン/秒)は、本稿では比較していない。TOPS・メモリ帯域という公式スペック値の違いが、実際の生成速度にそのまま反映されるとは限らない
- AMD側の「約256GB/s」というメモリ帯域は公式ページの直接記載ではなく、公表されているバス幅とメモリ速度からの計算値である点を重ねて明記しておく
- OS(macOS対Windows/Linux)の違いによる、ローカルLLM実行フレームワーク(llama.cpp・MLX・ROCmなど)ごとの実効性能差は、本稿の範囲では検証していない
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