xAIの新製品「Grok Bot」──常設クラウドPCを持つAIチームメイトを公式ドキュメントで読む
xAIが2026年8月のrelease notesで公開した「Grok Bot」は、各Botが専用の常設クラウドPC(ブラウザ・ファイルシステム・ターミナル付き)を持ち、複数のBotが同じユーザースコープのPCを共有して協調動作できる新製品です。公式ドキュメントを実際に開いて確認すると、ライブデモから手順を学んでルーチン化する機能や、Botどうしのメッセージ・引き継ぎ機能も明記されていました。

目次
2026年8月27日、xAIの公式ドキュメント(docs.x.ai)を実際に開いて確認した内容です。 xAIのrelease notesの「August」セクションに、次の1行があります(原文からの訳)。
「Grok Botが利用可能になりました。常設クラウドコンピュータ上で動く、耐久性のあるAIチームメイトです。メッセージング・承認・コネクタ・ルーチンに対応しています」
このリンク先にあるGrok Bot専用ドキュメントの本文を読むと、単なるチャットボットではなく「PCを持つエージェント」という設計思想が具体的に書かれていました。
3行まとめ
- Grok Botは各Botが専用の常設クラウドVM(ブラウザ・ファイルシステム・ターミナル付き)を持つ。ワークフロービルダーや事前セットアップは不要で、Botを作って話しかけるだけで始められる
- 1ユーザーが持つ複数のBotは同じ「ユーザースコープのコンピュータ」を共有し、ファイル・ブラウザセッション・アプリのログインを引き継げる。並行して動くが、セキュリティ境界は個別ではない
- ライブデモから手順を1回見せるだけで、その手順を「ルーチン」として記憶し、スケジュール実行や再実行ができる機能もある
「Bot」の定義
公式ドキュメントは冒頭で用語を定義しています(原文からの訳)。
「ドキュメントおよびGrok Botアプリにおいて、Bot=1体の永続的で名前を持つエージェント、つまり1人のAIチームメイトを指す」
Botに対しては、テキストで「本当に任せられる仕事」を渡す形で使う、とされています。タスクや機能、関連するコンテキスト、必要なツールやファイルへのアクセス権を与えると、Botは複数のツール・システムをまたいで作業し、会話の中で自分の行動を随時報告する、という使い方です。
5つの特徴
公式ドキュメントの「What makes Grok Bot different」セクションが挙げる特徴を、原文の要点で整理します。
自分専用のコンピュータを持つ:各Botはブラウザ・ファイルシステム・ターミナル付きの常設クラウドVM上で動く。きれいなAPIを持たないアプリやWebサイトに対しては「コンピュータ操作(computer use)」で対応するため、作業がチャットの下書きで終わらず、実際のツールの中で完結する、とされています。
始めるのが簡単:Botを作り、メッセージを送り、必要に応じてアクセス権を付与するだけ。ワークフロービルダーや事前のBotセットアップは不要。同じBotはデスクトップアプリとモバイル(iPhone・Android)の両方からアクセスできる。
Bot同士が独立して協調する:複数のBotが1つのユーザースコープのコンピュータを共有し、並行して動作できる。Bot同士でメッセージをやり取りし、スレッドやグループチャットでコンテキストを共有し、所有権を引き継げるため、ユーザー自身がツール間のルーターになる必要がない。
ライブデモから手順を学習できる:複数ステップ・複数システムにまたがる作業を1回だけ見せると、Botはその経路を「ルーチン」として記憶し、スケジュールに沿って、またはオンデマンドで再実行できる。
永続的な状態を持つ、名前付きのチームメイト:名前を付けたBotは、記憶・ファイル・ブラウザセッション・好みをターンをまたいで保持する。タスクごとにまっさらな環境にリセットされるのではなく、コンテキストが積み上がっていく。
Botは1台のコンピュータを共有する(同時にセキュリティ境界も共有する)
公式ドキュメントの「Bots share one computer」セクションには、運用上重要な注意点が書かれています(原文からの訳)。
「そのコンピュータはあなたのアカウントに対して隔離されているのであって、個々のBotに対して隔離されているのではない。コンピュータに置いたログインやファイルは、すべてのBotから利用可能だと考えること。各Botはそのコンピュータ上に自分専用の画面を持つため、複数のBotが個別のセキュリティ境界を持たずにブラウザ・デスクトップツールを並行利用できる」
つまり、あるBotに与えたログイン情報やアップロードしたファイルは、同じアカウントの他のBotからも見える可能性がある、ということです。Botを機能ごとに分けて運用する場合、この「共有コンピュータ」という前提を踏まえてアクセス権を設計する必要があります。
最初の一手として推奨されるタスクの例
公式ドキュメントは「良い最初のハンドオフ」の例として、次のようなタスクを挙げています(原文からの訳)。
「Salesforceから今週のStrategic Prospects PGリストを取得して。既にシーケンスに入っている人はスキップして。上位5社をWeb・Slack・Databricks・Sumbleで横断的にリサーチし、連絡先を取得して、私の口調でLinkedInとメールの下書きを作成し、明日の朝までに承認できるようドラフトを残しておいて」
複数のツール(Salesforce・Web・Slack・Databricks・Sumble)を横断し、最終成果物(LinkedInとメールの下書き)まで明確に指示する、というタスクの粒度が推奨されています。ドキュメントは、Botの作業内容をレビューし、修正を加え、再利用可能なスキルやプロアクティブなルーチンに変換できるとも説明しています。
利用にはCursorアカウントが必要──「Get started」ページの発見
前回確認できていなかった「Get started」ページを読むと、料金・提供状況について具体的な記載がありました。Grok Botの利用には次のいずれかのプランが必要と明記されています。
An eligible plan: SuperGrok Plus, SuperGrok Heavy, Cursor Pro+, Cursor Ultra, or Cursor Teams Standard or Premium (sign in with your Cursor account)
(対象プラン:SuperGrok Plus、SuperGrok Heavy、Cursor Pro+、Cursor Ultra、またはCursor Teams StandardもしくはPremium。Cursorアカウントでサインインする)
つまりGrok Botは、xAI独自の課金体系だけでなく、AIコーディングツール「Cursor」のPro+/Ultra/Teamsプランでもアクセスでき、サインインそのものがCursorアカウント経由になっている。
| 利用条件 | 内容 |
|---|---|
| 対象プラン | SuperGrok Plus / SuperGrok Heavy / Cursor Pro+ / Cursor Ultra / Cursor Teams Standard・Premium |
| サインイン方法 | Cursorアカウント |
| 対応デスクトップOS | macOS、Windows、Linux(Linuxは安定版リリースごとに.deb/.rpm/AppImageをx64・Arm64で配布) |
| モバイル | iPhone・Android版あり |
| 必須設定 | クラウドデータ保存が必須。Legacy Privacy ModeのCursorアカウントは事前に設定変更が必要 |
デスクトップアプリはmacOS・Windows・Linux向けに配布されている。Linuxについては公式ガイドに専用の節があり、「Linuxビルドは安定版リリースごとに公開される」「Debian・Ubuntu向けの.deb、Fedora・RHEL向けの.rpm、それ以外のディストリビューション向けのAppImage」から選ぶと書かれている。モバイルはiPhone・Androidの両方に対応する。単独プランの料金額そのものは、このページにも記載がなく確認できていない。
セキュリティ・プライバシー設定もCursor基盤に乗っている
「Approvals, security, and privacy」ページを読むと、この「Cursorとの結びつき」はログインだけにとどまらないことが分かりました。
Grok Bot uses Cursor authentication and account data settings. [...] Privacy and data-sharing choices are managed through Cursor account settings and, when required, the Grok Bot access flow. [...] Review the current Cursor Privacy Policy and security information for contractual details.
(Grok BotはCursorの認証とアカウントデータ設定を使用する。プライバシーとデータ共有の選択は、Cursorのアカウント設定と、必要に応じてGrok Botのアクセスフローを通じて管理される。契約上の詳細については、現行のCursor Privacy Policyとセキュリティ情報を参照すること)
同ページはまた、複数Botが1台のクラウドPCを共有するという設計上の運用ルールも具体的に示している。パスワード・パスキー・2段階認証コード・決済確認は、Botに代わらせずユーザー自身が「Agent Computer」の操作を一時的に引き継いで入力すべきとされ、通常のチャットでパスワードやワンタイムコードを送らないよう明記されている。また「Botを分けること自体をセキュリティ境界として扱わない」「不要になったらサービス側からログアウトし、コネクタの認可も取り消す」といった最小権限運用の指針も示されていた。
対応言語・単独料金額は今回も確認できなかった
今回追加で読んだのは「Get started」「Approvals, security, and privacy」の2ページで、Grok Bot Overview・Release Notesと合わせて計4本の公式ドキュメントを確認した。それでも、対応言語(日本語での指示に対応するか)や、xAI単独プラン(SuperGrok Plus/Heavy)そのものの具体的な料金額は、今回確認した範囲のページには記載がなく確認できていない。「skills-routines-and-automations」「computer-and-apps」「use-cases」の3ページは、本記事のためにはまだ本文を読み込んでおらず、続報の際に優先的に確認したい。
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