Google、Agents CLI(エージェンツ・シーエルアイ)に拡張機能の仕組みを追加ADKなしでLangChain(ラングチェーン)のエージェントをCloud Runへ出せる公式テンプレートも
日刊AIニュース10月21日(水)号:前日のAIのニュース18本を短くまとめました(約11分)›
Googleは2026年10月21日(現地)、エージェント開発用のAgents CLIに、コマンドを上書き・追加できるExtension Systemを加えたと開発者ブログで発表した。v1.5.0から使え、v1.8.0ではADKに依存しないLangChain用の公式テンプレートが付く。仕組みは実験的扱い。

目次
Googleは現地時間2026年10月21日付で、エージェント開発用CLI「Agents CLI(エージェンツ・シーエルアイ)」に、コマンドを上書き・追加できる「Extension System(拡張機能の仕組み)」を加えたと、公式の開発者ブログで発表しました。ブログによると、仕組み自体はv1.5.0から使え、v1.8.0では、Agent Development Kit(ADK)に依存せずLangChain(ラングチェーン)のエージェントを扱う公式テンプレートが付きます。Googleは拡張の仕組みを「v1.8.0時点では実験的」と位置づけています。
3行まとめ
- Agents CLIがv1.5.0から、
agents-cli-extension.yaml1枚で組み込みコマンドを上書き・追加できる拡張機能に対応(ツール本体のフォークは不要とGoogleは説明)。- v1.8.0の公式LangChain拡張は、
google-adkへの依存ゼロのプロジェクトを作り、ADKと同じ経路でCloud Runにデプロイできる。上書きは6コマンド。- 拡張機能は実験的扱いで、マニフェストの形式が互換性なく変わる可能性があるため、Googleはバージョンの固定を勧めている。
本記事の内容は、日本時間10月22日2時台に公式ページで確認したものです。
何ができるようになったのか
Googleのブログによると、これまでAgents CLIはADKでエージェントを作る人向けの「一本道」でした。agents-cli create で作り、Cloud Runに出し、可観測性と評価がつながる、という流れです。今回の拡張機能は、その一本道の一部を差し替えるためのものです。
拡張機能は、Gitリポジトリ内のディレクトリに置いた agents-cli-extension.yaml というファイル1つで成り立ちます。ブログと公式ドキュメントによると、できることは次の3つです。
- コマンドの上書き:
playground・deploy・eval generateなどの挙動を置き換える。引数はそのまま渡されるので使い心地は変わらない - コマンドの追加: CLIにない処理を
agents-cli <名前>として足す - コーディングエージェント用スキルの同梱: 拡張が宣言したスキルが
.agents/skills/にコピーされる
背景としてブログが挙げているのは、フレームワークの固定です。Agents CLIのコマンドのうち、ADKの実行環境を前提にするのは playground、run、eval の4つのサブコマンドの計6つで、残りの約18個(scaffold、infra、deploy、publish、login など)はフレームワークに依存しないと、ブログは数えています。拡張機能がないと、ADK以外を選んだ時点で24個すべてを使えなくなっていた、という説明です。
LangChainの公式拡張は何を変えるのか
v1.8.0で出た公式のLangChain拡張は、「拡張機能を入れる」のではなく「テンプレートから作る」形です。公式ドキュメントでは、テンプレートが自分の agents-cli-extension.yaml を持っているため、マシン全体には何もインストールされず、そのプロジェクトだけに上書きが効くと説明されています。
ブログが示す作成コマンドは次のとおりです。
agents-cli create my-agent \
--agent google/agents-cli/extensions/langchain/template@v1.8.0 \
-d cloud_run
cd my-agent && agents-cli install
テンプレートの説明は「LangChain agents、LangGraph graphs、Deep Agents を agents-cli のライフサイクルで動かす」というものです。ブログは、LangChain 1.0以降は状態管理がLangGraphで提供されるため、3つが同じグラフ表現を共有していると書いています。
上書きされるコマンドは、ブログの agents-cli info の出力で6つです。
| コマンド | LangChainプロジェクトでの動き |
|---|---|
playground |
langgraph dev のローカルサーバーを起動(ポート8080) |
run |
コンパイル済みのグラフをプロセス内で実行 |
eval generate |
標準のEvaluationDataset形式で出力するので、eval grade はそのまま使える |
publish gemini |
組み込みの処理を呼ぶ。ただしAgent Runtimeでは理由を示して拒否 |
eval dataset synthesize |
ADK経由で動かすため、理由を示して拒否 |
eval optimize |
同上 |
deploy、infra、eval grade・compare・analyze などは上書きされず、そのまま動きます。ブログによると、デプロイは gcloud run deploy --source . をDockerfileに対して実行する従来の経路で、起動コマンドはADKのプロジェクトと同じ uvicorn です。エージェントはA2A(Agent2Agent)プロトコルをFastAPIで提供します。
自社のルールを差し込む例(SBOMスキャン)
ブログは、公式拡張とは別に、deploy の前にSBOM(ソフトウェア部品表)のスキャンを挟む sbom-deploy という自作拡張の例も載せています。syft と grype で重大な脆弱性が見つかればデプロイを止め、問題なければ組み込みの deploy を呼ぶ、というものです。
組み込みの呼び出しが自分自身に戻って無限に再帰しないよう、上書きされたスクリプトの中では環境変数 AGENTS_CLI_DISABLE_OVERRIDES=1 がローダーによって設定される、とブログは説明しています。公式ドキュメントでは、info・login・setup・update・install と拡張関連のコマンドは上書きできず、信頼していないリポジトリでも常に組み込みが動くと書かれています。
導入のしかたと安全面の仕様
ブログと公式ドキュメントから、運用に関わる点を表にまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 配布 | 専用レジストリはなく、Gitリポジトリのディレクトリ。org/repo、org/repo#名前、local@パス、公式の短縮名で指定 |
| スコープ | 既定はプロジェクト単位。--global でユーザー全体。両方に同じコマンドがあればプロジェクトが優先 |
| ロックファイル | 参照を正確なコミットSHAに解決して agents-cli-extensions.yaml に記録。agents-cli install はSHAを進めない |
| 更新 | agents-cli extension update で明示的に進める。バックグラウンドでは更新されない |
| 信頼 | 公式の短縮名は自動で信頼。org/repo 形式は、google/agents-cli をフルで書いた場合も含め、インストール前に確認が出る(--yes で省略可) |
| 上書きの表示 | 上書きされたコマンドは agents-cli --help で [↑ 拡張名] と表示され、実行時にも警告が出る |
ブログはv1.8.0、ドキュメントはv1.11.0
日本時間22日2時台に公式ページを取得して気づいたのは、バージョン表記のずれです。ブログ本文はLangChainテンプレートを @v1.8.0 で指定していますが、同じ時刻に取得した公式ドキュメントのページには、リポジトリのバージョンとして v1.11.0 が表示され、作成コマンドの例も @v1.11.0 になっていました。ブログの公開日は10月21日で、記事の中の手順と出力例はv1.8.0を前提に書かれています。実際に使うときは、ドキュメント側の新しいタグを使うか、ブログのとおりv1.8.0に固定するかを、自分で決めることになりそうです。なお、手元でコマンドを実行したわけではなく、ここまでは取得したページの記載から言えることだけです。
使う前に確認しておきたいこと
- 実験的であること: ブログは、v1.8.0時点で拡張機能は実験的で、マニフェストの形式やコマンドが互換性なく変わる可能性があるため、Agents CLIのバージョンを固定するよう書いています。
- デプロイ先による差: 公式ドキュメントのLangChainの節には「Experimental: deploy to Cloud Run or GKE」(実験的:Cloud RunかGKEにデプロイを)という注記があり、Agent Runtimeでは、ADKアプリを前提にした連携が動かないと書かれています。具体的には、
publish geminiの拒否、コンソールのプレイグラウンドから呼べないこと、コンソールのセッション・トレース画面が空のままになることです。Cloud Traceにはトレースが届くとされています。 - 評価の一部は使えない:
eval dataset synthesizeとeval optimizeはLangChainプロジェクトでは使えません。 - 公式の拡張は現在1つ: 公式ドキュメントの「First-party frameworks」には、LangChainのみが載っています(「LangChain today」と表記)。
- Google Cloudが前提の部分: ブログの手順ではGoogle Cloudプロジェクトと課金の有効化が必要です。READMEによると、ローカルでの開発(
create・run・eval)はAI StudioのAPIキーでも動かせますが、デプロイとクラウド機能にはGoogle Cloudが要ります。 - テレメトリ: READMEによると、Agents CLIはコマンドごとに使用状況の信号を自分のGoogle Cloudプロジェクトに記録します。拡張が追加したコマンドは名前なしで記録されます。また、書き込みのリクエストのヘッダーで、CLIとPythonのバージョン、OS、コマンド名などはGoogleにも送られると書かれています。
AGENTS_CLI_TELEMETRY=0などで無効にできます。 - 日本での提供: 今回取得したページには、日本の提供範囲や日本語ドキュメントに関する記載は見当たりませんでした。ツールはApache-2.0のオープンソースとして公開されています。
- 動作は未検証: ブログ中のコマンド出力はGoogleの掲載したものです。本記事ではAgents CLIを実行していません。
ADKを使ったGoogleの別の事例は、Gemini 4 Argon(ジェミニ4 アルゴン)にADKを11時間の無人実行で最適化させた記事で扱っています。
出典と確認時刻
- Powering the Agent Development Lifecycle with any framework, from ADK to LangChain and beyond(Google Developers Blog) — 2026年10月21日付、日本時間10月22日2時26分に取得
- Extensions(agents-cli 公式ドキュメント)
- First-party frameworks(同)
- Using Extensions(同)
- google/agents-cli(GitHub)
公式ドキュメントとGitHubは、いずれも日本時間2026年10月22日2時26分台に取得しました。本記事は続報があり次第更新します。
この記事でよく聞かれること
- Agents CLIの拡張機能(Extension System)とは何ですか?
- Googleの開発者ブログによると、agents-cli-extension.yaml という1つのファイルで、組み込みコマンドの上書き(override)と新しいコマンドの追加(add)を宣言する仕組みです。ツール本体をフォークせずに、別のフレームワークや社内の配布ルールを組み込めるとGoogleは説明しています。v1.5.0から使え、v1.8.0時点では実験的(experimental)扱いで、マニフェストの形式やコマンドが互換性のない形で変わる可能性があると書かれています。
- ADK(Agent Development Kit)を使わずにLangChainでAgents CLIを使えますか?
- Googleのブログによると、v1.8.0で公式のLangChain拡張(テンプレート)が出ました。agents-cli create に google/agents-cli/extensions/langchain/template@v1.8.0 を指定して作ったプロジェクトは google-adk への依存がなく、ADKのプロジェクトと同じ経路でCloud Runにデプロイできると説明されています。LangChain・LangGraph・Deep Agentsを同じテンプレートで扱うとされています。
- LangChain用テンプレートで使えないコマンドはありますか?
- 公式ドキュメントによると、eval dataset synthesize と eval optimize はADK経由でエージェントを動かすため、LangChainプロジェクトでは理由つきで拒否されます。また Agent Runtime へのデプロイでは publish gemini が拒否され、コンソールのプレイグラウンドからの呼び出しもできないと書かれています。同じ箇所には「Experimental: deploy to Cloud Run or GKE」という注記があります。
- 拡張機能はどこから入れますか?専用のレジストリはありますか?
- ブログによると、専用のパッケージレジストリはなく、Gitリポジトリ内のディレクトリが拡張になります。agents-cli extension add に、公式の短縮名、GitHubの org/repo、org/repo#名前、またはローカルパス(local@../my-extension)を渡します。公式ドキュメントでは、org/repo形式の拡張はインストール前に確認が出る(任意コードを実行するため)と書かれています。
出典・参照資料
- 一次資料Powering the Agent Development Lifecycle with any framework, from ADK to LangChain and beyond — Google Developers Blog 公式 ↗
- 一次資料Extensions - agents-cli — Google 公式ドキュメント ↗
- 一次資料First-party frameworks - agents-cli — Google 公式ドキュメント ↗
- 一次資料Using Extensions - agents-cli — Google 公式ドキュメント ↗
- 一次資料google/agents-cli — GitHub リポジトリ ↗
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