DNS(ディーエヌエス)とはドメイン名からIPアドレスを調べる仕組み。DNSサーバーは権威DNSサーバーとキャッシュDNSサーバーの2種類で、家庭の端末はルーターなどから自動でアドレスを受け取る。名前解決の流れ・設定の変え方・つながらない時の確かめ方【2026年10月版】
日刊AIニュース10月17日(土)号:前日のAIのニュース17本を短くまとめました(約8分)›
DNS(ディーエヌエス)とは、ドメイン名とIPアドレスを対応づけて引けるようにするインターネットの仕組みで、DNSサーバーはその問い合わせに答えるサーバーです(JPNIC・JPRSの説明)。名前解決はルートサーバー、jpなどのTLDのサーバー、そのドメインの権威DNSサーバーの順にたどり、筆者は2026年10月13日2時40分にこのMacで dig +trace を実行して同じ順を確かめました。家庭の端末はDNSサーバーのアドレスをDHCPで自動的に受け取り、このMacも2つ受け取っていました。

目次
- DNSとは。ドメイン名とIPアドレスを結ぶ「住所録」を、JPNIC・JPRS・総務省の原文で読む
- DNSサーバーは1種類ではない。権威DNSサーバーとキャッシュDNSサーバーの違い
- 名前解決の流れ。www.example.jp のIPアドレスが分かるまでの順番
- 家庭の端末は、どのDNSサーバーに聞いているのか。ルーターなどから自動で配られる
- DNS設定を変えるとは何を変えることか。公式ページが載せる公開DNSの例
- DNSが原因でつながらない時に、手元から順に確かめること
- DNSを悪用した攻撃の注意喚起。公的機関の原文と、自分の設定を確かめる方法
- 筆者がこのMacで確かめたこと。DNSサーバーの受け取り方と、example.com の引き方
- DNSの設定と確認で、本記事が確かめていない点
- DNSの定義と手順を引いた公式ページ(2026年10月13日取得)
- この記事でよく聞かれること
2026年10月13日・日本時間時点の情報です。 DNS(ディーエヌエス)とは、ドメイン名とIPアドレスを対応づけて引けるようにするインターネットの仕組みで、DNSサーバーとは、その名前の問い合わせに答えるサーバーのことです(JPNICとJPRSの説明)。パソコンやスマホの設定画面に出てくる「DNSサーバー」は、このうち、名前を代わりに調べて返すサーバーを指すのが一般的です(JPRS)。そのアドレスは、ルーターなどから自動で受け取るのが基本で、Microsoftはこの自動の設定(DHCP)を「推奨」と書いています。
3行まとめ
- JPNICはDNSを「インターネットの住所録」と書く(2013年4月1日付)。仕様の土台はRFC 1034・RFC 1035(1987年11月)。DNSサーバーには権威DNSサーバーとキャッシュDNSサーバーがあり、端末に設定するのは一般に後者(JPRS)。
- 名前解決は、ルートサーバー、jpなどのTLDのサーバー、そのドメインの権威DNSサーバーの順にたどる(JPRS)。筆者は2026年10月13日2時40分にこのMacで
dig +trace example.comを実行し、同じ順を確かめた。- 家庭の端末はDNSサーバーのアドレスをDHCPで自動的に受け取り、変える手順はApple・Microsoft・Googleが公開している。つながらない時はMicrosoftの資料にある
ipconfig /all・nslookup・ipconfig /flushdnsなどで確かめる。DNS設定の書き換え被害は、総務省とJPCERT/CCの資料に例がある。
DNSとは。ドメイン名とIPアドレスを結ぶ「住所録」を、JPNIC・JPRS・総務省の原文で読む
JPNICの「DNSとは」(2013年4月1日付)は、通信はIPアドレスで行われ、人が覚えやすいドメイン名をそれに変換している、と書いたうえで、こう説明します。
「このドメイン名とIPアドレスを対応づけるしくみがDomain Name System (DNS)であり、「インターネットの住所録」にあたります。」
「DNSは、世界中に存在する多数のサーバが協調しあって動作するデータベースです。」
JPRSの用語辞典は、DNSを「インターネットに接続されたコンピューターの情報(ドメイン名とIPアドレスの対応など)を得るための仕組みです。」とし、総務省の「情報通信白書 for Kids」は「ドメインネームをIPアドレスに置きかえるコンピュータは、ネームサーバと呼(よ)ばれます。」と書いています。IPアドレスそのものはIPアドレスの記事で扱っています。
JPRSのコラム(掲載内容は2014年12月)によると、対応表を1つのファイル(HOSTS.TXT)で管理する方式が1980年代の初頭に限界に達し、DNSは1983年にRFC 882・RFC 883として公開され、1987年にRFC 1034・RFC 1035に改版されました。RFC 1034は設計目標の1つを、こう書きます。
"The sheer size of the database and frequency of updates suggest that it must be maintained in a distributed manner, with local caching to improve performance."
(訳)データベースの規模が非常に大きく更新も頻繁なので、性能を上げるための手元のキャッシュを使いながら、分散して管理しなければならないと考えられる。
RFC Editorの情報ページは、RFC 1034を「STD 13」(Internet Standard)とし、RFC 9471までの19本のRFCが更新した、と載せています。
DNSサーバーは1種類ではない。権威DNSサーバーとキャッシュDNSサーバーの違い
JPRSの用語辞典は、次のように書いています。
「DNSサーバーは、DNSプロトコルによるサーバー、すなわち権威サーバーに加え、フルサービスリゾルバーも含む呼び方です」
JPRSは「フルサービスリゾルバー(キャッシュDNSサーバー)」を1つの項目にし(2つの語は厳密には同じ意味ではない、と断っています)、JPNICは「キャッシュDNSサーバ」と呼びます。この記事では「キャッシュDNSサーバー」と書きます。
| 権威DNSサーバー | キャッシュDNSサーバー(フルサービスリゾルバー) | |
|---|---|---|
| JPRSの定義 | あるゾーン(JPRSは「委任によって作られる管理の単位」と説明)の情報を保持し、他のサーバーに問い合わせることなく応答を返すことができるサーバー | スタブリゾルバー(端末側のDNSクライアント)からの「名前解決要求」を受けて、権威サーバーに問い合わせを行い、その結果をスタブリゾルバーに返すリゾルバー |
| 端末に設定するのは | 一般的にはこちらではない | 一般的にはこちら(JPRS) |
名前解決の流れ。www.example.jp のIPアドレスが分かるまでの順番
JPRSの用語辞典は、名前解決を「クライアントからの問い合わせに応じて、ネームサーバーから情報を取り出すことを言います。」と説明します。JPRSのコラム(No.10)が①から⑨で書く www.example.jp の例に、端末側の動き(JPRSの「スタブリゾルバー」の項目)を足すと、次の順になります。
- Webブラウザーなどのアプリが、端末の中のスタブリゾルバー(DNSクライアント)に、IPアドレスを調べるよう頼む。
- スタブリゾルバーが、設定されているキャッシュDNSサーバーに問い合わせる。
- キャッシュDNSサーバーは、同じ答えをキャッシュに持っていれば、それを返す。
- 持っていなければ、あらかじめ持っているルートサーバーのアドレスの表を使い、ルートサーバーに問い合わせる。JPRSのコラムによると、ルートサーバーはその名前のIPアドレスは管理していないが、jpのDNSサーバーの情報を返す。
- jpのDNSサーバー(jpのようにドメイン名の一番右にある部分をTLDと呼ぶ)が、example.jp のDNSサーバーの情報を返す。
- example.jp のDNSサーバー(権威DNSサーバー)が、www.example.jp のIPアドレスを返す。
- キャッシュDNSサーバーは答えを端末に返し、キャッシュに保持する。アプリはそのIPアドレスで通信を始める。
キャッシュに残る時間(TTL)
JPRSの用語辞典によると、毎回ルートサーバーからたどるのは負荷が高く時間がかかるので、得た情報(リソースレコード)はキャッシュに一時的に保持して次回以降に使います。保持してよい時間がTTLで、JPRSの例では3600なら最大1時間です。
「TTLはキャッシュに保持されたのち減少していき、ゼロになると当該リソースレコードがキャッシュから削除されます。」
名前が存在しなかったことを示す応答(不在応答)もキャッシュされ、JPRSはこれを「ネガティブキャッシュ」と呼んでいます。つながらない時にキャッシュを消す手順が案内されているのは、この仕組みがあるためだと筆者は読みます。
家庭の端末は、どのDNSサーバーに聞いているのか。ルーターなどから自動で配られる
Microsoftのサポートは、Windowsの「IP 設定の編集」の説明で、次のように書いています。
「[自動 (DHCP)] を選択すると、ルーターまたはその他のアクセス ポイントにより、IP アドレスと DNS サーバー アドレスが自動的に設定されます (推奨)。」
DHCPは、RFC 2131(1997年3月)が「provides a framework for passing configuration information to hosts on a TCPIP network」(TCP/IPネットワーク上の機器に設定情報を渡すための枠組みを提供する)と書く仕組みで、DNSサーバーを渡す項目(オプション6)はRFC 2132の3.8節にあります。
渡されるアドレスは、ネットワークによって違います。バッファローのFAQは、LAN側IPアドレスが192.168.11.1のルーターを使う場合に、パソコンの「DNSサーバー」も192.168.11.1と表示される例を載せ、ルーターがブリッジモードの時は異なるアドレスになる、と書きます。JPRSは「多くのホームルーターは、DNSフォワーダーの機能を備えています。」とし、DNSフォワーダーを、自分では調べず別のキャッシュDNSサーバーに要求を転送するサーバーと説明しています。一方、Googleのページは、多くの場合はDHCPがISP(プロバイダー)のDNSサーバーのアドレスを設定する、と書きます。ここから筆者は、端末に渡されるのは「ルーター自身のアドレス」の場合と「プロバイダーなどのサーバーのアドレス」の場合がある、と推論しています(どちらになるかを示した公式の資料は、本記事では見ていません)。筆者のMacが受け取っていたのは、プライベートの範囲ではないアドレス2つでした(後の節)。
自分の端末のDNSサーバーを確かめる場所
| 端末 | 見る・変える場所(公式の記述) |
|---|---|
| Windows | コマンドプロンプトで ipconfig /all。出力の「DNS サーバー」の行を見る(Microsoft Learn、JPCERT/CC) |
| Mac | Appleによると、アップルメニュー >「システム設定」>サイドバーの「ネットワーク」>ネットワークサービス>「詳細」>「DNS」 |
| iPhone | Appleは、「設定」の「Wi-Fi」で接続中のネットワークから、DNSやHTTPプロキシなどのネットワーク設定を構成できると書く。現在の値の表示場所は、本記事が取得したAppleのページには書かれていない |
| Android | Googleのヘルプによると、「ネットワークとインターネット」>「プライベート DNS」。選べるのは「オフ」「自動」「プライベート DNS プロバイダのホスト名」 |
DNS設定を変えるとは何を変えることか。公式ページが載せる公開DNSの例
Appleは、Macの「DNS」の設定を「DNSサーバおよび検索ドメインを入力します」と説明しています。検索ドメインは名前を補う設定で、Appleの例では、検索ドメインに apple.com を指定してブラウザに「store」と入力すると store.apple.com に着きます。端末の「DNS設定を変える」は、聞きに行くDNSサーバーの一覧か、この検索ドメインの一覧を変えることです。
Windowsは、Microsoftのサポートによると、「ネットワーク & インターネット 設定」でWi-Fiなら「既知のネットワークの管理」から接続を選び、「IP 割り当て」の横の「編集」で「手動」を選び、IPv4(またはIPv6)をオンにすると、「優先 DNS」と「代替 DNS」にアドレスを入れられます。ルーターの側で端末に配るアドレスを変える方法もあり、バッファローのFAQ(2013年9月更新)は、DHCPサーバー機能の「通知するDNSサーバアドレス」を設定し、「設定変更後は対象端末の再接続をして、IPアドレスの再取得をしてください」と案内しています。
公式ページが載せている公開DNSのアドレス
次の2つは、各社の公式ページが載せているアドレスで、使うことを勧めるものではありません。「変える」とは何を入力することかを示す例で、変えるかどうかは使う人の判断です。
| サービス | IPv4 | IPv6 |
|---|---|---|
| Google Public DNS | 8.8.8.8 と 8.8.4.4 | 2001:4860:4860::8888 と 2001:4860:4860::8844 |
| Cloudflare 1.1.1.1(標準のリゾルバー) | 1.1.1.1 と 1.0.0.1 | 2606:4700:4700::1111 と 2606:4700:4700::1001 |
変える前に、公式ページが書いている注意
- Googleは、変更前に現在のアドレスや設定を書き留めること、変更はOSの設定に習熟した利用者に勧めること、ISPが提供する機器にDNSサーバーが固定で書き込まれていると、その機器ではGoogle Public DNSを使う設定ができないこと、構成によっては管理者の権限が要ることを書いています。
- Appleは、macOS Monterey 12までの版のガイドにある「MacでDNSサーバを指定する」(Tahoe 26とmacOS 27の版には無いページ)で、特定のDNSサーバに接続する必要があるかどうかと使うアドレスを、ISPまたはネットワーク管理者に問い合わせるよう書いています。会社や学校のネットワークでは、変える前に管理者に確かめるのが先だと筆者は考えます。
- バッファローのFAQは、Google Public DNSを使う場合に、Googleの利用規約とプライバシーポリシーの確認を求めています。
変えると何が変わるのか
Googleは、"you are changing your DNS "switchboard" operator from your ISP to Google Public DNS"(DNSの「交換手」をISPからGoogle Public DNSに変える)と書いています。変わるのは、ドメイン名の問い合わせが届く先です。次のログの扱いは各社の記述で、本記事は検証していません。
- Google Public DNSのプライバシーのページ(最終更新2024-09-03)は、"Temporary logs are the only logs that store both your IP address and your DNS query."(一時的なログだけが、あなたのIPアドレスとDNSの問い合わせの両方を保存する)と書き、一時ログは24〜48時間以内の削除の対象だが、セキュリティと不正対策のために48時間より長く保持することがある、としています。
- Cloudflareのプライバシーのページは、"Cloudflare will delete the Public Resolver Logs within 25 hours."(公開リゾルバーのログを25時間以内に削除する)と書きます。送信元IPアドレスは不揮発性の記憶装置に残さないとし、その例外に、同社のネットワークに送られる全トラフィックの最大0.05%から無作為に採取したパケットを挙げています。
元に戻すには。ドメインを持つ側の「DNS設定」との違い
Windowsは「IP 設定の編集」で「自動 (DHCP)」を選びます(Microsoft)。バッファローのFAQ(2026年7月3日更新)は「DNSサーバーのアドレスを自動取得する」にチェックを入れる手順を載せています。Macは、Appleによると、DNSサーバーの一覧でサーバーを選び、一覧の下の削除のボタンを押します。
「DNS設定」は、ドメインを運営する側がレコードを書く作業を指すこともあります。JPRSはリソースレコードを「ドメイン名に関連付けられた情報(レコード)」とし、Aレコード(IPv4アドレス)、NSレコード(権威サーバーの指定)、MXレコード(メールの配送先)などを挙げています。この記事が扱うのは、端末やルーターがどのDNSサーバーに聞くかの設定です。
DNSが原因でつながらない時に、手元から順に確かめること
Appleは、上の「MacでDNSサーバを指定する」(macOS Monterey 12までの版)で、次のように書いています。
「Webサイトにアクセスしようとしたときに「サーバが見つかりません」のようなメッセージが表示される場合は、コンピュータからDNSサーバに接続できていない可能性があります。DNSサーバを手動で選択した場合は、間違ったDNSサーバアドレスを入力したか、DNSサーバに問題がある可能性があります。」
確認の順番を、公式の記述から並べます(順番は筆者の提案)。
- 別の端末で試す。 Microsoftのサポートは、別のノートPCやスマートフォンで同じネットワークに接続できるなら、問題の原因はデバイスにある可能性がある、と書きます。
- 端末が使っているDNSサーバーを見る。 場所は上の表のとおりです。手動で入れたアドレスがあれば、上のAppleの文章のとおり入力の間違いも疑います(自動に戻す手順は前の節)。Microsoftのサポートは、IPアドレスが169.254.x.xのような値なら、WindowsがルーターからIPアドレスを取得できなかったことを意味する、と書きます。
- DNSサーバーにpingが届くか調べる。(pingは、相手に届くかを確かめるコマンド。)Microsoft Learn(Windows Server向け)は、DNSサーバーがpingに応答しない場合、原因が端末とDNSサーバーの間のネットワーク接続である可能性が高いと書き、pingにはファイアウォール経由でICMPを許可する必要があるとも注記しています。
nslookupで名前が引けるか調べる。(名前に対応するアドレスを問い合わせるコマンド。)同じページは「nslookup ではクライアントの DNS キャッシュが使用されないため、名前解決ではクライアントの構成済み DNS サーバーが使用されます。」と書きます。- キャッシュを消す。 Windowsは、Microsoft Learnの
ipconfigのページによるとipconfig /flushdnsで、「DNS のトラブルシューティング中に、この手順を使用して、キャッシュから負のキャッシュ エントリと、動的に追加されたその他のエントリを破棄できます」。Macは、Appleのアーカイブ済みの記事「OS X で DNS キャッシュをリセットする」(更新は終了)が、Macを再起動すればキャッシュされた情報を更新できると書き、OS X v10.10.4以降向けのターミナルのコマンドも載せています。今のmacOS(Tahoe 26・macOS 27)を名指しした手順は、本記事が確認した範囲のAppleのページにはありませんでした。 - モデムとルーターを再起動する。 Microsoftのサポートは、ルーターとモデムの電源ケーブルを外し、最低30秒待ってから、モデム、ルーターの順に戻す手順を書いています。
- ルーターのDNSの通知を確かめる。 バッファローのFAQは、WSR-1800AX4など4機種に限り、「このページに到達できません」と出る場合に設定画面の「DNSサーバーの通知」へプロバイダーのDNSアドレスを入れる方法を載せ、「アドレスがご不明の場合は、プロバイダーにご確認ください」と書いています。ほかの機種は各メーカーの案内を見てください。
Microsoftのサポートは、DNSサーバーにpingできない場合に、DNSサーバーを別のアドレスに変えて試す方法も書いています。
DNSを悪用した攻撃の注意喚起。公的機関の原文と、自分の設定を確かめる方法
攻撃の手順は書きません。JPRSの用語辞典は、「DNSキャッシュポイズニング」を「偽のDNS応答をフルサービスリゾルバー(キャッシュDNSサーバー)にキャッシュさせることで、利用者のアクセスを攻撃者が用意したサーバーに誘導し、フィッシングや送信された電子メールの窃盗などを図る攻撃手法です。」と説明します。
家庭の機器については、総務省のウェブサイトにある資料「NOTICEの活動について」(令和6年5月10日・事務局・資料7-2)が、次の被害例を載せています(時期や場所は書かれていません)。
「X氏は、知らないうちに 数万円が銀行口座から不正送金されていた。原因は家庭用ルータのDNS設定が改変されていたこと。DNS設定を変更することでサイバー犯罪者は、X氏の通信をすべて傍受し、銀行口座の認証情報を含むさまざまな情報を入手していたとみられる。」
JPCERT/CCは2012年3月6日(初版)の「DNS 設定を書き換えるマルウエア (DNS Changer) 感染に関する注意喚起」で、「FBI の情報によると、DNS Changer の亜種がルータの DNS 設定を変更するケースが確認されているとのことです。」と書き、ipconfig /all の「DNS Servers」または「DNS サーバー」で始まる行を確認する手順を載せています(不正なサーバーの一覧は2012年の事案のものです)。
警察庁(令和5年3月28日)は、家庭用ルーターについて「見覚えのない設定変更がなされていないか定期的に確認する」ことを求め、次の対応を書いています。
「見覚えのない設定があった場合、ルーターの初期化を行い、ファームウェアを最新に更新した上、機器のパスワードを複雑なものに変更する。」
この文書が確認する設定として挙げるのは「VPN機能設定」「DDNS機能設定」などで、DNSの設定そのものではありません。IPAの2025年10月31日の家庭用ルータの注意喚起も、DNSには触れていません。本記事が確認した範囲(JPCERT/CCの2024〜2026年の注意喚起の一覧、IPAの2024〜2026年度の「重要なセキュリティ情報」の一覧、NOTICEのサイトの乗っ取り事例のページ)では、家庭のDNS設定の書き換えに直接触れた公的な資料で一番新しいのは、上の総務省の2024年5月の資料でした。
端末のDNSサーバーのアドレスは、値を見ただけでは正規かどうか分かりません。契約しているプロバイダーやルーターのメーカーの案内と照らすのが確かめ方です(筆者の提案)。見覚えのない設定や被害があれば、警察庁の「サイバー事案に関する相談窓口」(都道府県警察への通報・相談・情報提供の全国統一のオンライン受付窓口がある)や、IPAの「情報セキュリティ安心相談窓口」があります。偽サイトに入力してしまった時の連絡先は、フィッシング詐欺の記事にまとめています。
筆者がこのMacで確かめたこと。DNSサーバーの受け取り方と、example.com の引き方
2026年10月13日の2時39分から2時40分に、読み取り専用のコマンドだけを実行しました。このMacのDNSサーバーのアドレスは、記事にも手元の記録にも残さず、範囲の分類だけを記録しています。
2時39分
networksetup -getdnsservers。 ネットワークサービス4つのすべてで「There aren't any DNS Servers set on …」と出ました。手動で入れたDNSサーバーは無い、と筆者は読みます。2時40分
scutil --dns。resolver #1のnameserverは2つで、どちらもプライベートの範囲ではないグローバルなIPv4アドレスでした(値は伏せます)。上のバッファローの例(ルーターのLAN側アドレスがそのまま出る形)とは違います。2時40分
ipconfig getpacket。 有線LAN(en7)とWi-Fi(en0)のどちらでも、DHCPの応答に「domain_name_server」が2つあり、scutil --dnsと同じ組でした。RFC 2132のドメインネームサーバー・オプションに当たる項目を受け取っている、と筆者は読みます。2時40分
dig example.com。 IPv4のアドレス2つが返り、SERVERの行はこのMacのDNSサーバー(グローバルなアドレス)、Query timeは3 msecでした。2時40分
dig +trace example.com。 この Mac のdigのmanページによると、+traceはルートサーバーからの参照をたどり、解決に使った各サーバーの答えを表示します。出力は次の順でした。- このMacのDNSサーバーから、ルートの
NS一覧(a.root-servers.netからm.root-servers.netまでの13個)を受け取った(3 ms)。 i.root-servers.netが、comのDNSサーバー(a.gtld-servers.netからm.gtld-servers.net)を返した(3 ms)。d.gtld-servers.netが、example.com のNS(hera.ns.cloudflare.comとelliott.ns.cloudflare.com)を返した(87 ms)。hera.ns.cloudflare.comが、example.com のAレコード(TTL 300)を返した(6 ms)。
JPRSのコラムの順(ルートサーバー、jp、example.jp)と同じで、jpの位置にcomが入っています。
- このMacのDNSサーバーから、ルートの
2時40分 TTLの減り方。
dig +noall +answer example.com Aを4秒おきに3回実行すると、TTLは277、273、269と4ずつ減りました。
example.com は、IANAが文書の例として、事前の調整なしに使ってよいとしているドメイン名です(IANAの「Example Domains」、最終更新2026-09-27)。2時42分には、JPRS・Apple・JPNICの公式ページをヘッドレスのChromiumで1280×800と390×844の大きさで撮影し、JPRSの「ネームサーバー(DNSサーバー)」の2つの意味の説明、Appleの「Macの『DNS』設定を変更する」のバージョン選択「macOS Tahoe 26」と「DNSサーバ」の行、JPNICの「DNSとは」の「2013年4月1日」の日付を確かめました。
DNSの設定と確認で、本記事が確かめていない点
- Windows・iPhone・Androidの実機の操作と、ルーターの管理画面。 手順は各社の文章に基づきます。Macも設定画面は開かず、コマンドの結果だけを確かめました。
- 公開DNSの性能・安全性・ログの扱い、DNSの暗号化(DNS over HTTPSなど)とDNSSECの動作。
- このMacのDNSサーバーの運営者と、DHCPの応答を返した機器(ルーターか、その先か)。 値を伏せたまま分類しただけです。
- 名前解決の流れの一般性。 出力で確かめたのは、example.com の1回の
dig +traceだけです。
DNSの定義と手順を引いた公式ページ(2026年10月13日取得)
引いた公式ページは、2026年10月13日の2時台と3時台に取得し、名前とURLを出典欄に載せています。文面は変わることがあるので、設定を変える時は各社の最新の案内を見てください。関連して、テザリングの記事とファイアウォールの記事があります。DNSをAIエージェントの探索に使うIETFのドラフトの記事(「agentdns://」、MCPサーバーのDNSのTXTレコード)は、家庭の端末が使うDNSとは主題が別です。
この記事でよく聞かれること
- DNSサーバーとは何ですか
- DNSのサービスを提供するサーバーのことです。JPRSの用語辞典によると、ドメイン名の情報を持つ権威DNSサーバーと、代わりに調べて返すキャッシュDNSサーバー(フルサービスリゾルバー)の両方を含む呼び方で、端末に「DNSサーバーのIPアドレスはxxx.xxx.xxx.xxxです」と設定する場合は、一般的にキャッシュDNSサーバーを指します。
- 名前解決とは何ですか
- JPRSの用語辞典は、クライアントからの問い合わせに応じてネームサーバーから情報を取り出すことと説明し、例としてドメイン名に対応するIPアドレスの検索を挙げています。JPNICは、ルートサーバーから順にたどってドメイン名の情報を得ることを、DNSでは名前解決と呼ぶと書いています。
- 自分のパソコンやスマホのDNSサーバーはどこで確認できますか
- Windowsでは、コマンドプロンプトで ipconfig /all を実行し、DNS サーバーの行を見ます(MicrosoftとJPCERT/CCの手順)。Macでは、Appleによると「システム設定」の「ネットワーク」でネットワークサービスを選び、「詳細」の「DNS」で見られます。Androidは、Googleのヘルプによると「ネットワークとインターネット」の「プライベート DNS」で設定を変えられます。
- DNS設定は自分で変えても大丈夫ですか
- 変えるかどうかは使う人の判断で、手順はApple・Microsoft・Googleが公開しています。Googleは変更前に現在のアドレスを書き留めるよう書き、変更はOSの設定に習熟した人に勧めると書きます。Appleは、使うアドレスをISPまたはネットワーク管理者に確かめるよう書いています(macOS Monterey 12までの版のガイド)。変えるとドメイン名の問い合わせが届く先が変わります。速さや安全性は本記事では測っておらず、特定のDNSサービスを勧めるものでもありません。
- 変えたDNS設定を元に戻すにはどうしますか
- Windowsは、Microsoftのサポートによると「IP 設定の編集」で「自動 (DHCP)」を選ぶと、ルーターなどがDNSサーバーのアドレスを自動で設定します。バッファローのFAQは「DNSサーバーのアドレスを自動取得する」にチェックする手順を載せています。Macは、Appleによると「DNS」のリストでサーバーを選んで削除します。
- DNSサーバーが応答しない時はどうしますか
- Microsoftのヘルプやドキュメントは、ipconfig /all でDNSサーバーの値を確認し、そのアドレスにpingが届くか、nslookupで名前が引けるかを調べ、ipconfig /flushdns でキャッシュを消す手順を載せています。モデムとルーターの再起動の手順もあります。直らなければ、プロバイダーかルーターのメーカーに問い合わせてください。
- DNSとIPアドレスは何が違いますか
- IPアドレスは機器につく番号で、DNSはドメイン名とその番号を対応づける仕組みです。JPNICは、通信はIPアドレスで行われ、数字の羅列は人が識別しにくいのでドメイン名を使い、その変換をするのがDNSだと説明しています。IPアドレスの確かめ方は、別の記事(IPアドレスとは)にあります。
- DNS設定が書き換えられて偽サイトに誘導されることはありますか
- 公的機関の資料に例があります。総務省の資料(令和6年5月10日)は、家庭用ルーターのDNS設定が改変され、銀行口座から不正送金された被害例を載せています。JPCERT/CCも2012年に、DNS設定を書き換えるマルウエアの注意喚起を出しました。警察庁は2023年3月の注意喚起で、ルーターに見覚えのない設定があった場合は初期化とファームウェアの更新をするよう求めています。
出典・参照資料
- 一次資料JPNIC:DNSとは(2013年4月1日付の解説。2026年10月13日2時32分取得・2時42分撮影) ↗
- 一次資料JPRS用語辞典:ネームサーバー(DNSサーバー)(2026年10月13日2時33分取得・2時42分撮影) ↗
- 一次資料JPRS用語辞典:DNS(2026年10月13日2時32分取得) ↗
- 一次資料JPRS用語辞典:名前解決(2026年10月13日2時32分取得) ↗
- 一次資料JPRS用語辞典:ゾーン(2026年10月13日2時56分取得) ↗
- 一次資料JPRS用語辞典:権威サーバー(権威DNSサーバー)(2026年10月13日2時33分取得) ↗
- 一次資料JPRS用語辞典:フルサービスリゾルバー(キャッシュDNSサーバー)(2026年10月13日2時32分取得) ↗
- 一次資料JPRS用語辞典:スタブリゾルバー(DNSクライアント)(2026年10月13日2時33分取得) ↗
- 一次資料JPRS用語辞典:キャッシュ(2026年10月13日2時32分取得) ↗
- 一次資料JPRS用語辞典:TTL(2026年10月13日2時42分取得) ↗
- 一次資料JPRS用語辞典:ネガティブキャッシュ(2026年10月13日2時42分取得) ↗
- 一次資料JPRS用語辞典:DNSフォワーダー(DNSプロキシー)(2026年10月13日2時33分取得) ↗
- 一次資料JPRS用語辞典:リソースレコード(RR)(2026年10月13日2時42分取得) ↗
- 一次資料JPRS用語辞典:DNSキャッシュポイズニング(2026年10月13日2時32分取得) ↗
- 一次資料JPRSトピックス&コラム No.10:DNSのしくみと動作原理(掲載内容は2014年12月。2026年10月13日2時32分取得) ↗
- 一次資料総務省 情報通信白書 for Kids:IPアドレス、ドメインネーム、URLって何?(2026年10月13日2時32分取得) ↗
- 一次資料IETF RFC 1034:Domain Names - Concepts and Facilities(1987年11月。2026年10月13日2時32分取得) ↗
- 一次資料IETF RFC 1035:Domain Names - Implementation and Specification(1987年11月。2026年10月13日2時32分取得) ↗
- 一次資料RFC Editor:RFC 1034 の情報ページ(STD 13・更新したRFCの一覧。2026年10月13日2時45分取得) ↗
- 一次資料IANA:Example Domains(最終更新2026-09-27。2026年10月13日2時32分取得) ↗
- 一次資料IETF RFC 2131:Dynamic Host Configuration Protocol(1997年3月。2026年10月13日2時35分取得) ↗
- 一次資料IETF RFC 2132:DHCP Options and BOOTP Vendor Extensions(1997年3月。2026年10月13日2時35分取得) ↗
- 一次資料Microsoft サポート:Windows での重要なネットワーク設定とタスク(2026年10月13日2時35分取得) ↗
- 一次資料Microsoft サポート:Windows で Wi-Fi 接続の問題を修正する(2026年10月13日2時37分取得) ↗
- 一次資料Microsoft Learn:DNS クライアントのトラブルシューティング(Windows Server 向け。2026年10月13日2時37分取得) ↗
- 一次資料Microsoft Learn:ipconfig(2026年10月13日2時37分取得) ↗
- 一次資料Apple サポート:Macの「DNS」設定を変更する(macOS Tahoe 26版。macOS 27版も同じ手順。2026年10月13日2時35分取得・2時42分撮影) ↗
- 一次資料Apple サポート:MacでDNSと検索ドメインの設定を入力する(macOS Tahoe 26版。2026年10月13日2時45分取得) ↗
- 一次資料Apple サポート:MacでDNSサーバを指定する(macOS Monterey 12版。このページはTahoe 26とmacOS 27の版のガイドには無い。2026年10月13日3時6分取得) ↗
- 一次資料Apple サポート:OS X で DNS キャッシュをリセットする(アーカイブ済み・更新終了。公開日2023年10月19日。2026年10月13日3時6分取得) ↗
- 一次資料Apple サポート:iPhoneのWi-Fi設定を管理する(2026年10月13日2時37分取得) ↗
- 一次資料Android ヘルプ:Android スマートフォンでネットワークの詳細設定を管理する(プライベート DNS。2026年10月13日2時37分取得) ↗
- 一次資料Google Public DNS:Get Started(英語版。ネットワーク設定の手順。2026年10月13日2時36分取得) ↗
- 一次資料Google Public DNS:Your Privacy(英語版。最終更新2024-09-03 UTC。2026年10月13日2時38分取得) ↗
- 一次資料Cloudflare 1.1.1.1 docs:IP addresses(最終更新Apr 30, 2026。2026年10月13日2時36分取得) ↗
- 一次資料Cloudflare 1.1.1.1 docs:1.1.1.1 Public DNS Resolver(プライバシー。2026年10月13日2時38分取得) ↗
- 一次資料バッファロー:PCのIPアドレス・デフォルトゲートウェイ・DNSサーバーアドレスの確認方法(更新2026/01/23。2026年10月13日2時38分取得) ↗
- 一次資料バッファロー:パソコンのIPアドレスを自動取得に設定する方法(更新2026/07/03。2026年10月13日2時38分取得) ↗
- 一次資料バッファロー:インターネットに接続できなくなります(WSR-1800AX4ほか。更新2026/01/07。2026年10月13日2時38分取得) ↗
- 一次資料バッファロー:特定サイトの閲覧ができません(更新2013/09/04。2026年10月13日2時38分取得) ↗
- 一次資料総務省:NOTICEの活動について(令和6年5月10日・事務局・資料7-2。2026年10月13日2時34分取得) ↗
- 一次資料JPCERT/CC:DNS 設定を書き換えるマルウエア (DNS Changer) 感染に関する注意喚起(2012-03-06初版・03-07更新。2026年10月13日2時34分取得) ↗
- 一次資料警察庁:家庭用ルーターの不正利用に関する注意喚起について(令和5年3月28日。2026年10月13日2時34分取得) ↗
- 一次資料警察庁:サイバー事案に関する相談窓口(2026年10月13日2時41分取得) ↗
- 一次資料IPA:家庭用ルータ・IoTルータ等、ネットワーク境界のORB化のおそれについて(公開日2025年10月31日。2026年10月13日2時41分取得) ↗
- 一次資料IPA:情報セキュリティ安心相談窓口(最終更新日2024年11月19日。2026年10月13日2時41分取得) ↗
- 一次資料JPCERT/CC:注意喚起の一覧(2026年。2024年・2025年の一覧も確認。2026年10月13日3時4分取得) ↗
- 一次資料IPA:重要なセキュリティ情報の一覧(2025年度。2024年度・2026年度も確認。2026年10月13日3時4分取得) ↗
- 一次資料NOTICE:ルーター / ネットワークカメラの乗っ取り事例(2026年10月13日3時5分取得) ↗
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