2026年8月28日 金曜日
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クラウドソーシングで生成AIを使っていいのか──クラウドワークスとランサーズの規約を原文で読む

クラウドワークス利用規約(2026年7月14日改定・禁止事項46項目)とランサーズ利用規約(同日施行・禁止事項39項目)を原文で確認したところ、どちらにも「生成AI」「人工知能」「機械学習」の語は見つからなかった。生成AIを名指しした公式ページはランサーズのFAQ2本のみで、しかも発注者向けと受注者向けが対になっている。

クラウドソーシングで生成AIを使っていいのか──クラウドワークスとランサーズの規約を原文で読む
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目次

「クラウドソーシングで生成AIを使うと規約違反になるのか」という問いに、2026年8月27日時点の原文から答えると、クラウドワークスとランサーズのどちらも、利用規約と依頼ガイドラインの本文に「生成AI」「人工知能」「機械学習」という語を置いていない。つまり、プラットフォームの規約レベルでAI利用を一律に禁止する条項も、一律に許可する条項も存在しない。生成AIを名指しで扱った公式ページは、確認できた範囲ではランサーズのFAQ2本だけで、それも発注者向けと受注者向けが対になった構成になっている。この記事では、実際に何が書かれていて、何が書かれていないのかを、条番号と改訂日付きで並べる。

3行まとめ

  1. クラウドワークス利用規約(2026年7月14日改定・禁止事項は第23条の46項目)とランサーズ利用規約(令和8年7月14日変更・施行・禁止事項は第31条第1項の39項目)を原文で確認したが、「生成AI」「人工知能」「機械学習」の語は見つからなかった
  2. 生成AIを名指しした公式ページはランサーズFAQの2本のみ。「生成AIの使用を許可する時の注意点(クライアント向け)」と「生成AIを使用時の注意点(ランサー向け)」が対になっており、どちらも文化庁の資料を参照している
  3. 規約は発注側を縛る条項も持つ。無報酬のテストライティング、成果報酬のみの依頼、相場から著しく乖離した報酬は両社とも禁止されている

クラウドワークスとランサーズの規約に「生成AI」は出てくるのか

結論から言うと、出てこない。2026年8月27日にそれぞれの公式ページを取得し、HTMLの生テキストに対して「生成AI」「人工知能」「機械学習」「AI」で検索した結果は次のとおりだった。

確認項目 クラウドワークス ランサーズ
利用規約の最終改定 2026年7月14日 令和8年7月14日 変更・施行(2026年7月14日)
依頼側ガイドラインの最終改訂 令和7年3月14日(2025年3月14日) 令和5年5月8日(2023年5月8日)
規約本文の禁止事項 第23条・46項目 第31条第1項・39項目
規約・ガイドライン内の「生成AI」等の語 見つからなかった 見つからなかった
生成AIを名指しした公式ページ ヘルプセンター日本語記事778本を走査した範囲では見つからなかった FAQ 2本(発注者向け・受注者向け)

偶然だが、両社の利用規約の最新版はどちらも2026年7月14日に施行されている。同じ日に改定されてなお、どちらもAIに触れていないという点は押さえておきたい(両社の改定に関連があるかどうかは確認できていない)。

クラウドワークス側については、公式ヘルプセンターの日本語記事を一覧APIで全件取得し、本文に対して同じ語で検索した。778本のうち「生成AI」「人工知能」「ChatGPT」「機械学習」を含む記事は0本だった。

ランサーズのFAQ2本は「発注者にも宿題を出している」

ランサーズだけが持つ生成AI名指しのページは、次の2本である。

注目したいのはクライアント向けのタイトルだ。「使用を許可する時の」と書かれている。つまり、生成AIを使ってよいかどうかは案件ごとにクライアントが決める事項であり、プラットフォームが一律に決めるものではない、という前提でページが作られている。

内容は3点構成で、両ページともほぼ同じ論点を扱う。(1) AIで生成したものは著作権侵害になるのか、(2) 指定されたファイル形式に対応できるのか、(3) 手直しはできるのか。(1)については、生成・利用段階は「通常の著作権侵害と同様、類似性や依拠性が認められるかによって判断される」とし、根拠として文化庁 令和5年度著作権セミナー「AIと著作権」の資料ページを明示している。(2)は「ロゴの依頼で納品データ形式を .ai に指定したが、生成AIは .png しか出力できず納品できない可能性がある」という具体例まで書かれている。

クライアント向けページは、気になる場合は「AIツールと学習データを指定した上で依頼することをお勧めします」と締めている。これは受注者に丸投げする書き方ではなく、発注者側に条件明示の負担を割り当てる書き方だ。文化庁側の一次資料はAIと著作権についてにまとまっており、「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日取りまとめ)と「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(令和6年7月31日)が置かれている。生成AIツール側の規約がどう書かれているかは生成AI 利用規約 比較で別途整理している。

規約が実際に縛っているのは「AI」ではなく「成果物の権利」と「依頼の出し方」

AIという語がなくても、生成AIを使った仕事に確実に効いてくる条項は両社にある。

成果物の権利の所在。クラウドワークス利用規約 第18条第1項は、納品された成果物の知的財産権は「本取引によって譲渡がなされない限り、作成した会員自身に帰属する」と定める。ランサーズ利用規約 第16条も同じ立て付けで、譲渡されない限り作成した会員に帰属する。ランサーズFAQ「成果物の著作権は譲渡されますか?」は、依頼方式を問わず支払い確定と同時に利用権がクライアントへ移り、成果物に著作権が発生する場合は著作権も譲渡される、逆に著作権が発生しない場合は著作権は譲渡されない、と説明している。AI生成物に著作権が認められるかどうかで結論が変わる構造がここに現れている。日本法側の議論はAI画像生成と著作権にまとめている。

権利侵害をしていないことの保証。クラウドワークス 第18条第2項は、第三者の知的財産権を成果物に使う場合、ワーカーが事前許可を得て、権利侵害をしていないことをクライアントに保証すると定める。ランサーズ 第16条も同様だ。ここまでは受注者側の義務に見える。

ただし、同じ条文が発注者側にも義務を課している。ランサーズ利用規約 第16条は、クライアントが資料や素材を提供する場合、その素材について「自らが適法に利用する権利を有していること、及び第三者の知的財産権、肖像権、プライバシー権その他権利を侵害していないこと」をクライアントが保証し、素材に起因する紛争はクライアントが自らの責任と費用で解決すると定めている。参考画像を渡してAIで似せさせる依頼が来た場合、その画像の権利は渡した側の責任だ、という構造になっている。

クラウドワークスの仕事依頼ガイドラインも同じ方向を向いている。禁止例として「著作権者の許可なく著作物を複製・改変する依頼」「第三者の記事の一部(語尾や単語、言い回しなど)に変更を加える依頼」が明記されている。AIでリライトさせる依頼のうち、元記事の権利処理をしていないものは、AIかどうかに関係なくガイドライン違反になり得る。

受注者を守る側に効いている条項

「規約は運営とクライアントのためのもの」と受け取られがちだが、原文には受注者側に有利な条項も入っている。確認できたものを挙げる。

  • 無報酬のテスト作業の禁止:クラウドワークスの仕事依頼ガイドラインは「無報酬でのテストライティングやサンプル作成を示唆する依頼」を禁止し、ヘルプセンターは「テスト用の報酬金額で契約し、仮払い後にテスト業務に着手してください」と運用まで書いている。ランサーズの仕事依頼ガイドライン細則も、提案時に無料でサンプル提出を求める依頼を禁止している
  • 成果報酬のみの依頼の禁止:ランサーズ利用規約 第31条第1項は「無報酬の依頼、報酬をあらかじめ明確に設定できない依頼、成果報酬を得ることを目的とする依頼(アフィリエイト、メルマガ登録等)」を禁止行為に挙げる。細則も成果報酬が主となる仕事は不可としている
  • 著しく低い報酬の禁止:クラウドワークス利用規約 第23条第16号は「ワーカーの承諾の有無にかかわらず、委託業務の内容に照らして報酬額が著しく低いと弊社が判断する金額で業務を依頼する行為」を禁止する。ランサーズ 第31条第1項にも「通常支払われる報酬から著しく乖離したものと当社が判断できる報酬金額で取引する行為」がある。どちらも「受注者が納得していても違反」という書き方になっている点が特徴だ
  • 代行の禁止:両社とも学校の課題・レポート・卒論の代行依頼を禁止している。生成AIで量産しやすい領域だが、依頼自体が禁止対象になっている

生成AIによって単価競争が起きている領域では、この「著しく低い報酬」の条項が受注者側の実質的な防波堤になる。市場側の数字についてはAIで副業 月5万円は現実的かを参照してほしい。

確認したのは規約の文面だけ、実際の運用は見ていない

  • 実際の運用:本記事が確認したのは公開されている規約・ガイドライン・FAQの文面だけである。事務局が個別案件でどう判断しているか、AI利用を理由にアカウント制限が行われた事例があるかは確認していない
  • クラウドワークス側のAI方針の不在の解釈:778本のヘルプ記事と規約・ガイドラインで見つからなかったというだけで、社内基準や個別の案内が存在しない証明にはならない。ログイン後の画面や依頼作成フォームの表示は未確認である
  • 依頼文の実態:「AI生成物の納品禁止」と依頼文に書くクライアントがどの程度いるかは、本記事では数えていない。規約が沈黙している以上、実務の中心は案件ごとの取り決めにあるが、その分布は測れていない
  • 法的判断:AI生成物に著作権が発生するかどうか、依拠性がどう認定されるかは、文化庁の考え方が整理されている段階であり、個別案件の結論を本記事が保証することはできない。契約や紛争の判断は弁護士等の専門家に確認してほしい
  • 改定の追随:両社の利用規約は同日(2026年7月14日)に施行されたばかりで、今後AI関連の条項が追加される可能性がある。規約は改定される前提で、取引の都度、最新版を確認するのが安全だ

なお、プラットフォーム自身は生成AIを機能として組み込んでいる。ランサーズはパッケージの「AI自動作成」機能を提供し、FAQ『AI自動作成とはなんですか?』で「生成された内容は必ずすべて確認し、ご自身で編集を行ってください」「誤った内容のまま出品するとトラブルになる可能性があります」と注意している。規約でAIに触れていないことと、AIを使っていないことは別の話だ。各プラットフォームがAI生成物の表示をどう扱うかは、AI生成の表示義務はどこまでで別に整理している。

クラウドワークス・ランサーズ両社の規約原文とFAQ

本記事の記述は、2026年8月27日に以下の公式ページを取得して原文を確認したものに基づく。

条番号・項目数・改訂日は取得時点の表示に基づく。規約は予告なく改定されるため、実際の取引にあたっては必ず最新版を各社サイトで確認してほしい。本記事は法的助言ではない。

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