AI生成素材はどこで売れて、どこで売れないのか──ストックサイトの受け入れ規約を原文で並べる
2026年8月27日に各社の公式ページを開いて確認した範囲では、PIXTAは2026年4月20日に新規審査申請の受け入れを終了し、5月22日にAI生成素材の販売を停止した。Shutterstock・Depositphotos・Alamy・Unsplashも受け入れない。国内ではSnapmartが規約でAI素材への表示を義務づけている。PIXTAガイドラインの「不可/可/判断のポイント」を物差しに、同じ軸で横断比較する。

目次
2026年8月27日に各社の公式ページを開いて確認した範囲では、「AIで作った画像をストックサイトで売る」という選択肢は、この1年で相当狭くなっている。国内最大手のPIXTAは2026年4月14日にAI生成コンテンツの取扱い停止を告知し、4月20日に新規審査申請の受け入れを終了、5月22日に販売中のAI生成素材を一律で販売停止した。海外でもShutterstock・Depositphotos・Alamy・Unsplashが、公式ヘルプや規約で「クリエイターからのAI生成コンテンツは受け付けない」と明記している。国内ではSnapmartが規約でAI素材の表示義務を定めている。この記事は、PIXTAが公開した「不可となる範囲/可能な範囲/判断のポイント」という3つの区分を物差しにして、各社の原文を同じ軸に並べる。網羅的な業界調査ではなく、当日に本文を取得できたサイトだけを扱う。
- PIXTAは2026年4月14日に告知、4月20日に新規審査申請の受け入れを終了、5月22日に「AIチェックボックス」にチェックの入った素材を一律で販売停止。公式Q&Aは「以前、審査を通過した作品も取り下げの対象」「マイページ上での閲覧もできなくなります」と明記している
- 「受け付けない」は5サイトで共通(PIXTA/Shutterstock/Depositphotos/Alamy/Unsplash)だが、理由の書き方は違う。Shutterstockは「IP所有を個人に帰属させられない」、Depositphotosは「データセットとツールの検証が困難」と説明する
- 受け入れる側もある。国内のSnapmartは利用規約第10条9項でAI素材への表示を義務づけ、AI学習用素材としては販売しないと定める
PIXTAは何を、いつ止めたのか
PIXTAガイドに2026年4月14日付で並ぶ2本の記事が一次資料になる。1本目「AI生成画像・動画素材の取扱い停止に関するお知らせ」が決定と日程、2本目「販売可能なAI加工に関するガイドライン」が線引きの詳細だ。
| 日付 | 何が起きたか(PIXTA公式の記載) |
|---|---|
| 2026年4月14日 | AI生成コンテンツのアップロード受入れ・販売停止を告知。同日付でガイドラインを公開 |
| 2026年4月20日(月) | AI生成コンテンツの新規審査申請の受入終了 |
| 2026年5月22日(金) | 販売中のAI生成コンテンツの販売停止。「AIチェックボックス」にチェックし「AI生成素材」と表示されている作品はすべて対象 |
| 2026年7月8日 | よくある質問に「2026年5月22日をもちまして、AI生成素材の販売を終了いたしました」と掲載 |
告知本文が挙げる理由は3点だ。①画像・動画の生成AIの普及で「多くの方々が短期間に大量のAI生成コンテンツをアップロードする一方で」購入者ニーズとのマッチングが困難な状況が続いた、②現状は「生成AIによらない、クリエイター会員の皆様が自ら撮影・制作したコンテンツが従前以上に購入者様に求められている」と分析した、③AI生成コンテンツのコスト増加により「このままAI生成コンテンツを維持するなら各コンテンツの販売価格を上昇させなければならなくなる」。同時に「当社としてAIによる創作活動を否定する意図は一切ございません」とも書いている。
つまりPIXTAの説明は、権利論というより需要とコストの話として書かれている。ここは他社と理由の立て方が違うので、後で並べて見る。
PIXTAの線はどこに引かれているか
ガイドラインは手法単位で不可・可を列挙している。原文の区分をそのまま表にする。
| 区分 | 画像(写真・イラスト) | 動画 |
|---|---|---|
| 販売・投稿が不可 | フル生成(プロンプト等でゼロから生成)/画像変換(i2i、実写からアニメ調への変換等)/構成要素の合成(被写体・背景・パーツにAI生成物を使用)/領域の拡張・置換(アウトペインティング、インペインティング) | フル生成(Text to Video)/動画変換(v2v、画風や被写体の外見を大幅に改変)/構成要素の合成/特定部位の生成置換(顔の差し替え、口の動きの生成・変更)/AI生成音声の利用(ナレーション・BGM・効果音のいずれか) |
| 販売・投稿が可能 | 画質補正(ノイズ除去、シャープネス調整、元の被写体の造形を改変しない範囲の高解像度化)/不用物の除去/非AI素材の合成(AI生成物を一切含まない自作素材同士の合成) | 上記に加え、動作の最適化(フレーム補完によるスローモーション化等) |
判断基準として明記されているのは1行だけだ。「AIが新しい画素(ピクセル)・動き・音を『創造または置換』しているかどうか」。元素材の品質を整える利用(補正・除去)は許可、AIが新たな表現を生み出している場合は不可、という書き分けになっている。判断に迷う場合は「無理に投稿せず事前にお問い合わせいただくことを推奨」とある。
Q&Aで踏み込んでいる論点も具体的だ。自作のラフスケッチや自作写真をi2iで仕上げた作品は「元となる素材が自作であっても販売することはできません」。背景の一部にAI生成テクスチャを合成した場合も「画像の一部であっても、AIによって生成された具体的なオブジェクト(人物、風景、特定のパーツ等)が含まれる場合は販売不可」。3DCGモデルの表面にAI生成テクスチャを貼った場合も不可で、「テクスチャ、背景、一部のパーツを含め、すべてAI不使用の素材で構成していただく必要がございます」と書かれている。判別方法については「高度な検知ツールと専門スタッフによる目視審査を併用いたします」とあるのみで、ツール名や精度の記載はない。
なお、AI利用そのものの開示ルールは投稿先ごとに別物で、動画・SNSの側の規約はAI生成の表示義務はどこまでで原文を確認している。ストックサイトの規約は、開示より前に「そもそも受け付けるか」を決めている点が違う。
同じ軸で他社を並べると
PIXTAの区分を物差しにして、当日に本文を取得できた各社を並べる。空欄は「そのサイトの公開ページに該当する記述を見つけられなかった」という意味で、許可・禁止のどちらでもない。
| サイト | AI生成物の投稿 | 申告・ラベルの要否 | 補完的AI利用(補正・除去等) |
|---|---|---|---|
| PIXTA | 不可(2026年5月22日で販売終了) | ─(受け付けないため) | 可(画質補正・不用物除去・フレーム補完を明示) |
| Shutterstock | 不可 | ─ | 記述を確認できず |
| Depositphotos | 不可 | ─ | 記述を確認できず |
| Alamy | 不可 | ─ | 記述を確認できず |
| Unsplash | 不可(写真・イラストとも) | ─ | 記述を確認できず |
| Snapmart | 可(規約上) | 必須(AI生成物である旨の表示) | 記述を確認できず |
「不可」と書く各社の理由は同じではない
Shutterstockのヘルプ記事は見出しから「Shutterstock does not accept AI-generated content from our contributors」と書き、理由を2つ挙げる。1つは、Contributor Terms of Service(同記事はSections 13d・13fを参照)に基づき投稿物のIP所有を証明できることを求めているが、生成モデルは多数のアーティストのIPを利用するため「AI-generated content ownership cannot be assigned to an individual」であること。もう1つは、市場に多様な生成モデルがあるなかで「we are unable to verify the model source for most AI-generated content」であり、関与したアーティストへの補償を保証できないことだ。
同社の別FAQには、自社のAI Image Generatorで生成された画像は顧客がダウンロードできるだけでなく「added to Shutterstock's vast collection of content to be licensed by other users」と書かれている。自社生成物はライブラリに入れ、クリエイター投稿のAI生成物は入れない、という非対称な設計になっている。なお2023年8月に導入した購入者向けのAI編集機能については、編集結果は「will not be made part of our content library」で、ロイヤリティは元画像のクリエイターに支払うと説明されている。
Depositphotosは短い。「No, DepositPhotos does not accept AI-generated files for upload to our stock platform from our contributors」とし、別記事で理由を「Originality verification(AI生成画像が完全にオリジナルで著作権を侵害していないと確認するのは複雑)」「Copyright compliance(クリエイターが使ったデータセットとツールの検証が困難)」の2点に整理している。そのうえで、Bria.aiと組んだ自社AIツールなら「we maintain full control over the content's quality, originality, and compliance」と続ける。Shutterstockと同じ構図だ。
Alamyはコントリビューター向けページで「As champions of authentic content, we don't accept any AI-generated images on our platform」と書き、ページ内で改めて「Please note we do not accept AI-generated images on Alamy」と繰り返している。Unsplashの投稿ガイドライン(2025年10月2日付)は、イラストについて「We do not accept content generated by AI, or where AI was involved in it's creation」、写真について「We do not accept screenshots, in-game captures, composite art or content created by AI generative models」と、種別ごとに分けて書いている。イラスト側の文言は「AIが制作に関与した場合」まで広い。
理由の立て方を並べると、Shutterstockとdepositphotosは権利・検証可能性、Alamyとunsplashは「本物であること」というプラットフォームの立て付け、PIXTAは需要とコストになる。結論は同じでも、根拠が変われば将来の見直し方も変わる可能性がある。AI生成物の著作権そのものの現在地はAI画像生成と著作権──日本の法律はどうなっている?にまとめている。
受け入れる側は何を条件にしているか
Shutterstock・Depositphotos・Alamy・Unsplashが軒並み拒否するなか、国内のSnapmart(株式会社CREAVE運営)は利用規約でAI生成物の投稿自体は認めている。ただし無条件ではなく、第10条9項がこう定めている。「出品者において、生成AIによって生成したコンテンツ(以下「AI素材」といいます。)を本サービスにアップロードする場合、当社所定の方法に従って当該コンテンツがAI生成物である旨の表示を付すものとします。AI素材は、生成AIの学習用素材として利用される用途(本規約第7条第1項第4号、エクストラライセンス)の対象として販売されることはありません」。加えて第11条1項は、AI素材について「制作の過程で用いた生成AIサービス(中略)の利用規約等一切のルール、規則、合意、契約等に違反せずに生成されたものであること」の保証を出品者に求め、同2項はタイトル・タグ・「AI素材該当性の表示」の正確性まで保証範囲に入れている。規約の版表記は2024年6月3日改定である。
AI学習に使わせるかどうかで報酬が変わるサイトもある
投稿の可否とは別に、「自分の素材をAI学習用途に使わせるか」で報酬が変わる設計を規約に書いているサイトもある。写真AC(ACワークス株式会社)の利用規約「クリエイターダウンロードポイントについて」がその例だ。
| 条件 | 人物写真(モデルリリース提出済・顔が認識できるもの) | それ以外の写真 |
|---|---|---|
| AI学習用素材としての利用を許可した場合 | 1ダウンロードあたり11ポイント | 3.25ポイント |
| 許可しなかった場合 | 5.5ポイント | 3ポイント |
同規約では、デザインACのデザインツール経由で使われるVIP素材についても、許可した場合4.0/1.5ポイント、許可しなかった場合2.5/1.3ポイントと別建てで定めている。いずれも同一ダウンロード会員の1日101点目以降は加算されないという条件付きだ。人物写真では許可の有無で単価が2倍差になる計算になる。AI関連の副業を検討する場合の収益設計はAIで副業 月5万円は現実的か?の観点とあわせて見ておきたい。
この記事が確認できなかったこと
正直に書いておく。この記事は2026年8月27日に、公式ドメインのページをその場で取得できたサイトだけを扱っている。以下は確認できなかったため、内容を書いていない。
- Adobe Stock:コントリビューター向けの生成AIコンテンツのガイドラインはhelpx.adobe.comにあるが、当日この環境からは本文を取得できなかった(接続が確立しない状態)。同社が受け入れているかどうかを含め、本記事では扱わない
- Getty Images/iStock:コントリビューター向けの記事はログインが必要で、公開ページからは本文を取得できなかった。自社の生成AIサービスの条件についても含め、本記事では扱わない
- Vecteezy:コントリビューター向けヘルプページ(eezycontributors.zendesk.com)はCloudflareの認証画面が表示され、本文を取得できなかった。条件付きで受け入れているという情報を見聞きするが、原文で確認できていないため本記事では扱わない
- Freepik、Dreamstime、Pixabay、123RF、Pond5、Creative Fabrica:いずれもアクセスが拒否される、またはページがJavaScript前提で本文を取得できなかった
- 写真AC・イラストACのAI生成物の投稿可否:写真ACの検索には「AI生成ツール使用素材を除く」という絞り込みが存在するが、それがクリエイター投稿によるものか同社が提供するAI素材を指すのかを、規約・ヘルプの文面からは切り分けられなかった
- PIXTAで販売停止になった素材の点数:公式ページに記載がなく、規模は分からない
また、この種の規約は改定される。PIXTA自身、ガイドライン内で「AI技術の急速な進展を考慮し、PIXTAでは引き続きこれらの技術に関する調査と検討を進め、適宜、ガイドラインの見直し等を検討してまいります」と明記している。投稿の前には、各社の最新のガイドラインを自分で開いて確認してほしい。本記事の内容は、投稿の可否や審査結果を保証するものではない。
出典:本文中で引用した各社の公式ページ(PIXTAガイド、Shutterstock Contributor Help、Depositphotos FAQ、Alamy Contributor、Unsplash Help Center、Snapmart利用規約、写真AC利用規約)。すべて2026年8月27日に取得。引用は各社原文からの抜粋で、日本語サイトは原文の表記のまま、英語サイトは原文を併記した。
但し書き:記載は各社の公開ページの記述をそのまま整理したものであり、法的助言ではない。個別の案件については各社への問い合わせ、または専門家への相談を検討してほしい。
出典・参照資料
- 二次資料AI生成画像・動画素材の取扱い停止に関するお知らせ — PIXTAガイド(2026年4月14日) ↗
- 二次資料販売可能なAI加工に関するガイドライン — PIXTAガイド(2026年4月14日) ↗
- 二次資料AI生成素材は販売していますか? — PIXTAガイド よくある質問 ↗
- 二次資料Content Policy Updates: AI-generated Content — Shutterstock Contributor ↗
- 二次資料AI-generated Content on Shutterstock: Contributor FAQ — Shutterstock Contributor ↗
- 二次資料Can I upload AI-generated files to DepositPhotos? — Depositphotos FAQ ↗
- 二次資料Why don't you accept AI-generated images from contributors? — Depositphotos FAQ ↗
- 二次資料Sell images and videos — Alamy Contributor ↗
- 二次資料Unsplash Submission Guidelines — Unsplash Help Center(2025年10月2日) ↗
- 二次資料利用規約 — Snapmart(株式会社CREAVE・2024年6月3日改定) ↗
- 二次資料利用規約 — 写真AC(ACワークス株式会社) ↗
AIニュースの解説を動画でも
YouTubeでは注目ニュースの背景を解説し、Xでは新着記事をお知らせしています。
コメント
まだコメントはありません。最初のコメントを書いてみませんか?
AIについて聞きたいことはありますか?
質問箱で無料で受け付けています。回答は公開され、他の方の参考にもなります。
質問箱を見る →新しい記事をメールで受け取る
AIの新しい発表を、出典付きで整理して届けます。
関連記事
DALL-E 3 使い方・料金・Midjourneyとの違い【2026年版ガイド】
声のクローンは日本の法律で止められるのか──津田健次郎さんの提訴を一次資料で確認した
クラウドソーシングで生成AIを使っていいのか──クラウドワークスとランサーズの規約を原文で読む
AIチャットが動画配信を抜いた日──「zeta」200万人現象を一次資料で確認する
Mythos 5が重要インフラ限定で再展開──Fable 5の一般復旧はまだ
