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Anthropic、Claude Opus 4.8を公開 ― エージェント性能とコスト効率を強化

Anthropicが2026年5月28日にClaude Opus 4.8を公開。Claude Codeの数百サブエージェント並列実行、努力レベル制御、3倍安い高速モードを投入。価格は前世代Opusと同水準に据え置いた。

Anthropic、Claude Opus 4.8を公開 ― エージェント性能とコスト効率を強化
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目次

3行まとめ

  1. Anthropicが2026年5月28日にClaude Opus 4.8を公開、前世代Opus 4.7から41日での投入
  2. 数百サブエージェント並列のdynamic workflows、努力レベル制御、3倍安い高速モードが目玉
  3. 価格は前世代Opusと同水準に据え置き、dynamic workflowsはリサーチプレビュー段階

Opus 4.8で発表された3つの新機能

Anthropicは2026年5月28日、フロンティアモデル「Claude Opus 4.8」を公開した。同社の発表によれば、API名は claude-opus-4-8 で、当日から各環境で利用可能となっている。TechCrunchは、前世代のOpus 4.7から41日での投入だと伝えている。

今回の目玉は3つの新機能だ。Claude Codeに追加された「dynamic workflows」(リサーチプレビュー)は、1つのセッションで数百のサブエージェントを並列実行できる仕組みで、Anthropicは「数十万行規模のコードベース移行を、着手からマージまで」こなせると説明する。claude.aiおよびCoworkでは「effort control(努力レベル制御)」が導入され、ユーザーが応答にかける労力の度合いを選べるようになった。さらに高速モード(fast mode)は、発表によれば従来モデル比で3倍安く、2.5倍の速度で動作する。

価格について、AnthropicおよびTechCrunchはいずれも前世代Opusと同水準への据え置きとしている。発表ページ上の数値では、通常利用が入力100万トークンあたり5ドル・出力25ドル、高速モードが入力10ドル・出力50ドルと記載されている。

ベンチマークについて、Anthropicは前世代や他モデルと比較した表を掲載している。本記事の企画段階で挙がっていたエージェント型コーディング64.3%→69.2%、ツール利用の多分野推論54.7%→57.9%といった個別スコアは、今回確認した発表ページ本文・TechCrunch記事のテキストからは数値として直接確認できなかった(詳細はSystem Cardに記載とされる)。確認できた範囲では、Online-Mind2Webで84%、Legal Agent Benchmarkで「all-pass基準で初めて10%を突破した最初のモデル」と説明されている。

自己点検能力の向上が持つ意味

注目点は性能スコアそのものより、品質と運用面の変化にある。Anthropicは、Opus 4.8が自ら書いたコードの欠陥を見過ごす確率が「前世代の約4分の1」に下がったとし、不確実性を自分から示し、根拠のない主張をしにくくなったと述べる。TechCrunchは、Bridgewater Associatesが「分析の入力と出力の問題を能動的に指摘する傾向」を評価したと伝えている。エージェントに長時間の自律作業を任せるほど、こうした自己点検の挙動が実用上の信頼性を左右する。

額面通りに受け取れない点

「数百のサブエージェント並列」「3倍安い高速モード」は強い訴求だが、dynamic workflowsはリサーチプレビュー段階であり、効果は実際のワークロードで検証する必要がある。なお、上位の「Mythos」クラスのモデルは安全策の整備待ちで提供が保留されており、Anthropicは「数週間のうちに提供できる見込み」としている。個別ベンチマークの細かい数値を引用する場合は、System Cardの一次情報で裏取りすることを薦めたい。

System Cardの表で「64.3%→69.2%」はSWE-bench Proだった

本記事の初出時点で確認できていなかった個別スコアについて、Anthropicが公開する「Claude Opus 4.8 System Card」(PDF、全246ページ)の第8章「Capabilities」を確認した(確認日:2026年8月14日)。

同System CardのTable 8.1.A「Capability evaluation summary」によると、企画段階で挙がっていた2つの数値はいずれも実在し、対応するベンチマークは次のものだった。

  • 64.3%→69.2%は SWE-bench Pro(Claude Opus 4.7が64.3、Claude Opus 4.8が69.2)
  • 54.7%→57.9%は Humanity's Last Exam(ツール利用あり)(Opus 4.7が54.7、Opus 4.8が57.9)

「エージェント型コーディング」と呼んでいたものはSWE-bench Pro、「ツール利用の多分野推論」はHumanity's Last Examのツール利用条件を指していた。

同表の全体は次のとおり。単位は特記なき限り%で、GDPval-AAのみスコア値。

評価 Claude Opus 4.8 Claude Opus 4.7 GPT-5.5 Gemini 3.1 Pro
SWE-bench Verified 88.6 87.6 - 80.6
SWE-bench Pro 69.2 64.3 58.6 54.2
SWE-bench Multilingual 84.4 80.5 - -
SWE-bench Multimodal 38.4 34.5 - -
BrowseComp 84.3(単一エージェント)/88.5(マルチエージェント) 79.8 84.4 85.9
Terminal-Bench 2.1 74.6 66.1 78.2 70.3
Humanity's Last Exam(ツールなし) 49.8 46.9 41.4 44.4
Humanity's Last Exam(ツールあり) 57.9 54.7 52.2 51.4
ChartQAPro(ツールなし) 69.4 67.6 - -
ChartQAPro(ツールあり) 72.3 69.8 - -
OSWorld-Verified 83.4 82.8 78.7 76.2(3.5 Flashは78.4)
GPQA Diamond 93.6 94.2 - 94.3
ScreenSpot-Pro(ツールなし) 82.3 79.5 - -
ScreenSpot-Pro(ツールあり) 87.9 87.6 - -
Finance Agent v2 53.9 51.5 51.8 43.0(3.5 Flashは57.9)
GDPval-AA 1890 1753 1769 1314
MCP-Atlas 82.2 79.1 75.3 78.2(Gemini 3.5 Flashは83.6)
Automation Bench 15.5 9.9 12.9 9.6(3.5 Flashは14.5)
GraphWalks BFS 256K 85.9 76.9 73.7 -
GraphWalks Parents 256K 99.3 93.6 90.1 -

Anthropicは同表の注記で、Claude Opus 4.8の結果は特記なき限り「adaptive thinkingをmax effortで実行し、サンプリング設定はデフォルト、5試行の平均」という構成で測定したと記している。競合モデルの数値については「それぞれの開発元が公開したSystem Cardまたはベンチマークのリーダーボードから引用した」と明記されており、Anthropicが同一条件で走らせ直したものではない。

個別に条件が異なる項目もある。GPQA Diamondは198問のDiamondサブセットを25試行の平均、Terminal-Bench 2.1についてAnthropicは「Opus 4.8をhigh effortで実行するよう設定した」と書いており、表の標準構成であるmax effortとは異なる。同社は理由として、Terminal-Benchが推論のレイテンシに敏感で、固定の実時間タイムアウトのもとではデコードの遅いエンドポイントほど完了できるエピソード数が減る点を挙げている。

GPQA DiamondとTerminal-Benchでは首位ではない

同じ表からは、Claude Opus 4.8が全項目で最高値ではないことも読み取れる。

  • GPQA Diamond:Opus 4.8が93.6で、前世代のOpus 4.7(94.2)とGemini 3.1 Pro(94.3)を下回る。掲載された比較対象のなかで、前世代より数値が下がっている唯一の項目にあたる。
  • Terminal-Bench 2.1:Opus 4.8が74.6に対し、GPT-5.5が78.2。
  • BrowseComp:単一エージェント構成の84.3はGPT-5.5(84.4)とGemini 3.1 Pro(85.9)を下回る。マルチエージェント構成の88.5は、同じ行の比較対象のなかでは最も高い(表全体で見ればGPQA Diamond 93.6やGraphWalks 99.3など、これより高い数値の項目は他にある)。

また、前世代との比較にあたっては注記の扱いに注意が必要になる。System Cardの脚注27・28によると、Opus 4.7のBrowseCompスコアは「新しいブロックリスト、20万トークン地点でのコンテキスト圧縮、adaptive thinkingの使用」により、OSWorldスコアは「バッチ化されたアクションと組み合わせた際のズームツールのバグ修正と、1ターンあたりの最大トークン数を16Kから128Kへ引き上げたこと」により、それぞれ改められている。Opus 4.7側の基準値が測り直されているため、これらの行の「前世代比」は発表当時に公表されていた数値との差分とは一致しない。

モデル仕様とプラットフォーム対応はどうなっているか

Anthropicの公式モデルドキュメント(platform.claude.com)によると、Claude Opus 4.8の仕様は次のとおり(確認日:2026年8月14日)。

項目 内容
Claude API のモデルID claude-opus-4-8
Amazon Bedrock のID anthropic.claude-opus-4-8
Google Cloud のID claude-opus-4-8
コンテキストウィンドウ 100万トークン
最大出力 12.8万トークン(同期Messages API)
料金 入力100万トークンあたり5ドル/出力25ドル
Adaptive thinking 対応
Extended thinking(thinking.type: "enabled" 非対応
信頼できる知識のカットオフ 2026年1月
学習データのカットオフ 2026年1月

同ドキュメントの注記によると、表中の最大出力は同期Messages APIに適用される値で、Message Batches APIではoutput-300k-2026-03-24ベータヘッダーを使うことで最大30万出力トークンまで対応する。なお同社は「信頼できる知識のカットオフ」を、そのモデルの知識が最も広くかつ信頼できる日付、「学習データのカットオフ」を学習に用いたデータのより広い範囲の日付、と区別して定義している。

effort controlは5段階、fast modeはClaude API限定

Anthropicのeffortパラメータのドキュメントによると、effortはoutput_config.effortとして指定し、ベータヘッダーは不要。設定値はlowmediumhighxhighmaxの5段階で、Claude Opus 4.8はこの5つすべてに対応する。既定値はhighで、同社は「effort"high"に設定することは、effortパラメータを完全に省略した場合とまったく同じ挙動になる」と記している。モデル一覧ページの注記では、Claude Opus 4.8についてeffortが「Claude API、Claude Code、claude.aiを含むすべての面でhighにデフォルト設定される」とされている。

Anthropicが示す使い分けは、Opus 4.8ではコーディングとエージェント用途でxhighから始め、それ以外の知能を要する用途ではhighmediumlowへの引き下げは自分の評価データで品質が保てることを測ってから、というもの。xhighmaxで動かす場合は「サブエージェントやツール呼び出しをまたいで思考し行動する余地を持たせるため」max_tokensを大きく取ることが推奨され、6.4万トークンから調整する形が妥当な初期値として挙げられている。effort control自体の解説はClaude Opus 4.8登場、回答の「がんばり度」を選べるEffort Controlを追加にまとめている。

fast modeについては、同社のfast modeドキュメント(リサーチプレビュー)に条件が整理されている。

  • 対応モデル:Claude Opus 5とClaude Opus 4.8のみ。Claude Opus 4.7でspeed: "fast"を指定するとエラーになり、標準速度へのフォールバックは起きない
  • 対応プラットフォーム:Claude API(Claude Managed Agentsを含む)のみ。Amazon Bedrock、Google Cloud、Microsoft Foundryでは利用できず、Claude Platform on AWSでも現時点では提供されていない
  • 指定方法fast-mode-2026-02-01ベータヘッダーとともにspeed: "fast"を指定
  • 料金:入力100万トークンあたり10ドル/出力50ドル(本文冒頭で触れた発表ページ記載の数値と一致する)
  • 制限:Batch APIおよびPriority Tierのコミットメントとは併用不可。fast mode専用のレート制限が標準Opusとは別に設けられている
  • 性質:「同じモデルをより高速な推論構成で動かすもの」で、知能や能力に変更はない。速度向上は毎秒あたりの出力トークン数(OTPS)に集中し、最初のトークンまでの時間(TTFT)は対象外

また同ドキュメントは、fast modeと標準速度を切り替えるとプロンプトキャッシュが無効になる(異なる速度のリクエストはキャッシュされたプレフィックスを共有しない)ことも注記している。

安全性評価はどう結論づけられたか

System Cardの冒頭「Executive summary」によると、責任あるスケーリングポリシー(RSP)に基づく評価の総括は、「Opus 4.8は当社の最も高性能なモデル(Claude Mythos Preview)を超えて能力のフロンティアを前進させるものではなく、現在の緩和策のもとで本モデルの展開による壊滅的リスクは低いままである」というもの。

ASL(AI Safety Level)については、本System Card中にOpus 4.8を特定のASLティアに新たに判定したという記述は見当たらない。化学・生物兵器に関するCB-1の項では、リスク緩和策が「歴史的なASL-3の保護と同等かそれ以上であり、このカテゴリにおける壊滅的リスクを非常に低く(ただし無視できるほどではなく)するのに十分である」と表現されている。自律性の脅威モデル2(自動化されたR&Dによるリスク)については「Claude Opus 4.8には該当しない」と結論づけられ、その根拠として同モデルの能力がOpus 4.7とMythos Previewの間に位置し、能力のフロンティアを前進させないことが挙げられている。

同じExecutive summaryには、能力向上と並ぶ形で次の指摘も置かれている。

  • サイバー:セーフガードなしで動作させた場合、ほとんどのサイバー評価で前世代のOpus 4.7よりやや高性能。セーフガードありでは同等の性能で、Mythos Previewには大きく及ばない
  • エージェント安全性:一部の領域(悪意あるリクエストの拒否など)では改善が見られる一方、「複数のエージェント的な文脈(プロンプトインジェクション攻撃への脆弱性など)でOpus 4.7よりやや堅牢性が低い」。ただしセーフガードを適用すると実運用上その差は埋まる、とされている
  • セーフガードと無害性:有害なリクエスト、メンタルヘルス、児童安全、バイアスと公正性の各領域でOpus 4.7と同等かそれ以上。政治的な議論で対立する視点に言及する傾向がOpus 4.7より大幅に強い一方、「過剰に手の込んだ拒否への傾向」という質的パターンも挙げられている

ここで基準として言及される「Mythos Preview」級のサイバー能力について、日本のSakana AIは2026年7月、CyberGymでMythos Previewの83.1を上回る86.9を記録したとするサイバーセキュリティ特化のオーケストレーションモデル「Fugu-Cyber」を発表している(詳細はSakana AIの「Fugu-Cyber」発表記事を参照)。

本文「なぜ重要か」で触れた自己点検の挙動と、このプロンプトインジェクション耐性の評価は別の軸の話になる。長時間の自律作業を任せる場合、前者が改善していても後者は前世代より弱まっている可能性がある、というのがSystem Cardの記述から読み取れる範囲になる。

「10%突破」と公式データは別の測定条件

  • Legal Agent Benchmarkの「10%突破」とSystem Cardの数値は別の測定。発表ページの「all-pass基準で初めて10%を突破した最初のモデル」という記述は、Harvey AIのNiko Grupen氏(Head of Applied Research)のコメントとして掲載されたもので、Anthropic自身の測定値ではない。一方System Card 8.13.3節によると、Anthropicが1,235問(1,251問のうちデータ不備の16問を除外、除外はテスト前に確定)で実施した結果はall-pass率9.62%、平均基準通過率89.01%(adaptive thinking/max effort、5試行平均)。さらに同節は、この測定が「LABのタスク内容、評価基準、all-pass採点、既定の判定モデル(Sonnet 4.6)を維持しつつツールセットを削減した社内での再実装」であり、公開ハーネスがbash・read・write・edit・glob・grepを提供するのに対して自社ではbashとPythonツールのみを提供したと明記している。ハーネスが異なるため、2つの数値は同じ条件の測定として並べられない
  • Online-Mind2Webの84%もAnthropicの測定として示されたものではない。発表ページでこの数値を挙げているのはMiguel Gonzalez氏(Tech Lead)のコメントで、System CardのTable 8.1.Aや本文にOnline-Mind2Webの項目は見当たらなかった
  • 競合モデルの数値はAnthropicが走らせたものではない。前述のとおり各社の公開System Cardまたはリーダーボードからの引用であり、ハーネスや試行回数、効果設定が揃っている保証はない
  • Opus 4.7の一部スコアは測り直されている。BrowseCompとOSWorldは脚注のとおり測定条件が変更されており、前世代比の差分をそのまま「性能向上幅」として扱うことはできない
  • ベンチマーク上の差が実務での差に対応するかは、この記事の範囲では検証していない。数値はいずれもAnthropicまたは各社の公表値であり、本サイトで再現テストを行ったものではない
  • 仕様表は確認日時点の公式ドキュメントの記載。Claude Opus 5の公開に伴い、確認日(2026年8月14日)時点の公式モデル一覧ではClaude Opus 4.8は「Legacy models」の欄に移されている。料金や提供状況は今後変更される可能性がある

本文修正の記録

  • 2026-08-14: fast mode料金の丸カッコ内にあった「本文冒頭で触れた発表ページ記載の数値の出典はこのドキュメントにあたる」という記述を「発表ページ記載の数値と一致する」に修正。発表ページ自体が$10/$50を明記しており、fast modeドキュメントから引いたという来歴の主張は出典に無かった
  • 2026-08-14: SWE-bench Pro/Humanity's Last Examの対応関係を説明した段落末尾の「数値そのものは誤りではなく…というのが結論になる」の一文を削除。同じ段落内で3度目の同内容反復だった
  • 2026-08-14: effort control節末尾の「効果は用途によって変わるため、この配分がそのまま当てはまるとは限らない」の一文を削除。具体性の無い一般論のヘッジだった
  • 2026-08-14: 「マルチエージェント構成の88.5は表中で最も高い」を「同じ行の比較対象のなかでは最も高い」に修正。表全体で見ればGPQA Diamond(93.6)やGraphWalks(99.3)などこれより高い数値があり、字義どおりだと矛盾していた
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