2026年9月4日 金曜日
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Zedから使えるOpenCode Zen/Goにモデルが増え、「Free」は丸ごと消えた──1本のPRから見る model カタログの裏側

コードエディタZedのAgent Panelは、OpenCode(別会社が運営する独立のコーディングエージェント)が提供するモデルカタログ「OpenCode Zen」(従量課金の厳選ゲートウェイ)と「OpenCode Go」(月10ドルの低価格サブスク)を、外部プロバイダーとして呼び出せる。v1.16.1では両カタログに新モデルが追加された一方、無料枠だった「OpenCode Free」はDiscordでの運営コメントによれば「悪用されすぎた」ため丸ごと廃止された。

Zedから使えるOpenCode Zen/Goにモデルが増え、「Free」は丸ごと消えた──1本のPRから見る model カタログの裏側
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目次

3行まとめ

  • Zed v1.16.1は、外部プロバイダーとして統合しているOpenCode Zen(従量課金)・OpenCode Go(月10ドル定額)にモデルを追加する一方、無料枠「OpenCode Free」を丸ごと廃止した。
  • PR本文によれば、廃止の理由はOpenCodeのDiscordでAnomaly社員が説明した「無料モデルの悪用」で、投稿者自身の検証でもFreeモデルは既にレート制限で応答不能になっていたという。
  • OpenCode Zenの公式価格表を直接取得すると、新規追加のClaude Opus 5は入力$5.00・出力$25.00(100万トークンあたり)など、モデルごとに一次資料の価格を確認できた。OpenCode Goは月10ドルで「その6倍相当の利用量」を目安とし、モデルごとに5時間・週・月単位のリクエスト上限が決まっている。

コードエディタZedのAgent Panelには、Anthropic・OpenAI・Googleといった通常のAPIプロバイダーに混じって、「OpenCode Zen」「OpenCode Go」という2つの選択肢がある。これは別のオープンソースコーディングエージェント「OpenCode」(opencode.ai)が独自に運営するモデルカタログで、Zedはこれをそのまま外部プロバイダーとして統合している。v1.16.1(2026年8月19日公開)では、この2つのカタログにモデルが追加されると同時に、これまであった無料枠「OpenCode Free」が丸ごと廃止された。

Zenは「厳選された従量課金ゲートウェイ」、Goは「月10ドルの定額」

まず前提として、OpenCode Zenの公式ドキュメントはこう説明している。

"OpenCode Zen is a list of tested and verified models provided by the OpenCode team." "We tested a select group of models and talked to their teams about how to best run them. We then worked with a few providers to make sure these were being served correctly. Finally, we benchmarked the combination of the model/provider and came up with a list that we feel good recommending."

(OpenCode Zenは、OpenCodeチームがテスト・検証済みのモデルの一覧だ。厳選したモデル群をテストし、それぞれのチームと最適な運用方法について話し合った。さらに数社のプロバイダーと協力し、それらのモデルが正しく提供されていることを確認した。最後に、モデルとプロバイダーの組み合わせをベンチマークし、自信を持って推奨できるリストを作った)

一方、OpenCode Goは公式ドキュメントによれば別の位置づけだ。

"OpenCode Go is a low cost $10/month subscription that gives you reliable access to popular open coding models." "It is designed primarily for international users and provides stable global access."

(OpenCode Goは、月額10ドルの低価格サブスクリプションで、人気のオープンコーディングモデルへの安定したアクセスを提供する。主に国際ユーザー向けに設計されており、安定したグローバルアクセスを提供する)

つまりZenは「従量課金だが厳選済み」、Goは「月額定額でオープンモデルへのアクセスを保証」という、異なる課金モデルの2本立てになっている。

v1.16.1で追加されたモデル

Zedの公式リリースノートによると、v1.16.1では両カタログにモデルが追加された。

"Added Gemini 3.6 Flash to the Google AI models." "Added Claude Opus 5, Gemini 3.5 Flash Lite, Gemini 3.6 Flash, Gemini 3.7 Flash, Kimi K3, Grok 4.6, and Muse Spark 1.2 to OpenCode Zen." "Added Kimi K3, Grok 4.5, Hy3, GPT 5.6 Luna, Qwen 3.8 Max, and GLM 5.3 to OpenCode Go."

(Google AIモデルにGemini 3.6 Flashを追加。OpenCode Zenに、Claude Opus 5・Gemini 3.5 Flash Lite・Gemini 3.6 Flash・Gemini 3.7 Flash・Kimi K3・Grok 4.6・Muse Spark 1.2を追加。OpenCode Goに、Kimi K3・Grok 4.5・Hy3・GPT 5.6 Luna・Qwen 3.8 Max・GLM 5.3を追加)

同じリリースノートには「Removed the deprecated Claude Opus 4.1 model from OpenCode Zen.」(OpenCode Zenから非推奨のClaude Opus 4.1モデルを削除)という記載もある。

OpenCode Zenの公式ドキュメント(opencode.ai/docs/zen/)には、モデルごとの価格表がそのまま掲載されている。今回のPRでZenに追加された7モデルの価格(100万トークンあたり、2026年8月30日更新時点)を抜き出すと次のようになる。

モデル 入力 出力 キャッシュ読込
Claude Opus 5 $5.00 $25.00 $0.50
Kimi K3 $3.00 $15.00 $0.30
Gemini 3.6 Flash $1.50 $7.50 $0.15
Gemini 3.7 Flash $1.50 $7.50 $0.15
Muse Spark 1.2 $1.25 $4.25 $0.15
Grok 4.6(≤200Kトークン) $2.00 $6.00 $0.50
Gemini 3.5 Flash Lite $0.30 $2.50 $0.03

出典: opencode.ai/docs/zen/ 価格表(Last updated: Aug 30, 2026)

興味深いのは、同じ価格表に「Muse Spark 1.2 Contributor Free」という無料枠の別バリエーションが並んで載っていることだ。つまりOpenCode Freeという枠組み自体は廃止されても、個別モデルの無料版(Contributor向けなど)は別の形でZen内に残っている。

OpenCode Goの側は、月10ドルの定額に対し、公式ドキュメントが「その6倍相当($60分)の利用量を目安にしている」と明記しており、モデルごとに5時間・週・月単位のリクエスト数上限が設定されている。PRで追加されたモデルのうち、Kimi K3は5時間あたり110回・週250回・月490回、GPT 5.6 Lunaは5時間あたり2,050回・週5,100回・月10,250回と、モデルによって上限が大きく異なることも価格表から確認できた。上限に達しても、無料モデルには引き続きアクセスできる仕組みになっている。

PR本文を読むと分かる「Free廃止」の理由

これらのモデル追加を実装したPR #61199(2026年8月19日マージ)の本文には、リリースノートだけでは分からない背景が書かれている。まず、モデルごとに参照元となるコミット・PRへのリンクが逐一貼られており、モデルの追加根拠が個別に裏取りされていることが分かる。

もっとも目を引くのは「OpenCode Free」の完全廃止だ。PR本文はこう説明する。

"OpenCode Free: removed all the models and the whole concept of "OpenCode Free" from Zed. As confirmed by an Anomaly employee on the OpenCode Discord, free models are now OpenCode-only since they got abused waaaaay too much by people."

(OpenCode Free:Zedから、すべてのモデルと「OpenCode Free」という概念そのものを削除した。OpenCodeのDiscordでAnomaly社の従業員が確認した内容によれば、無料モデルは今後OpenCode本体でのみ提供される——ユーザーによって「あまりにも」悪用されすぎたためだ)

(原文の"waaaaay"は投稿者の強調表現をそのまま残した表記)

さらに、この判断の実務的な裏付けとして、PR本文には投稿者自身の検証結果も書かれている。

"with an active OpenCode Go subscription configured, I can't use Free models in Zed — both Big Pickle and DeepSeek V4 Flash Free failed to reply to a "hello" message and instead returned a rate-limit error."

(OpenCode Goのサブスクリプションを有効にした状態でも、Zed内ではFreeモデルが使えない——Big PickleとDeepSeek V4 Flash Freeの両方が、「hello」というメッセージへの応答に失敗し、代わりにレート制限エラーを返した)

つまり、Free枠は名目上まだ存在していても、実際にはレート制限で機能しなくなっていた状態であり、それならばいっそZed側の実装からも完全に取り除いた方が良い、という判断だったと読める。既存のshow_free_models設定や、Freeサブスクリプションを指定したカスタムモデル設定を使っていたユーザーには、エラーではなく通知(notice)が表示される形にとどめている。

開発者自身の検証記録が面白い

このPRのテストセクションには、開発者本人が各モデルを実際に動かして確認した記録が残っている。

"Grok 4.5 on OpenCode Go - bravely resisted the continuous and relentless waves of disgust and confirmed Grok 4.5 works by running a simple "rename this variable for me. add a function. delete the function" test. I was a bit surprised this worked as I was located in an EU country while testing this."

(OpenCode Go上のGrok 4.5——絶え間なく押し寄せる嫌悪感の波に果敢に耐えながら、「変数名を変更、関数を追加、関数を削除」という簡単なテストでGrok 4.5が動作することを確認した。EU圏内でテストしていたので、これが動いたことには少し驚いた)

(原文の皮肉めいた言い回しをそのまま訳出した)

一方でOpenCode Zen側の新モデル(Claude Opus 5・Gemini 3.5 Flash Lite等)については、こう明記されている。

"I did not test the new OpenCode Zen models (Claude Opus 5, Gemini 3.5 Flash Lite, Gemini 3.6 Flash, Kimi K3, Grok 4.6, Gemini 3.7 Flash, and Muse Spark 1.2) as I don't have a Zen subscription and I am stubbornly refusing to get one."

(新しいOpenCode Zenのモデル群はテストしていない。Zenのサブスクリプションを持っておらず、頑固にそれを取得することを拒否しているためだ)

オープンソースプロジェクトのPRらしい、率直で個人的なテスト記録がそのまま残っている点は、この種の変更がボランティアの開発者個人の検証範囲に依存していることを示している。

OpenCodeという別会社の存在を、このPRで初めて意識した

筆者は今回、ZedがOpenCode ZenやOpenCode Goという「別会社が運営するモデルゲートウェイ」を外部プロバイダーとして統合している、という構成自体を、このPRを読むまで正確に把握していなかった。ZedのAI関連機能というと、GoogleやAnthropicなど主要プロバイダーとの直接連携をまず想像しがちだが、実際にはOpenCodeという別のOSSコーディングエージェント(opencode.ai)が運営する課金体系を、Zedの中からそのまま使えるようになっている。エディタとエージェントツールのエコシステムが、単純な「1社1製品」の関係ではなく、相互に乗り入れる形になっていることが、この1本のPRから見えてくる。

価格表は「今の」数字、PRマージ時点と一致する保証はない

OpenCode Zen・Goの価格表とリクエスト上限は、2026年8月31日に公式ドキュメントを直接取得して転記したものだ。ZenのページはLast updatedが「Aug 30, 2026」となっており、PRがマージされた8月19日から11日後に更新されている。実際、Go側のモデル一覧を見るとPR本文が挙げていた「Grok 4.5」という表記は見当たらず、代わりに「Grok 4.6」のリクエスト上限だけが載っていた。PRの時点でGrok 4.5だったものが、その後Grok 4.6に置き換わった可能性があるが、この記事の範囲では変更履歴までは追えておらず、断定はできない。また、Anomaly社(OpenCodeの運営元)がDiscordで説明したという「悪用」の具体的な内容(どのような形で無料モデルが乱用されていたか)は、PR本文からの言及以上の一次情報には今回到達できなかった。

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