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ベクトルとは・埋め込み(エンベディング)とはAIが文章や画像の意味を数百〜数千個の数字の並びに置き換えたもの。意味の近さを距離で測り、検索やRAGに使う。数学のベクトルとのつながり、OpenAI・Google・Anthropicの公式の説明、手元で動かした結果つき【2026年10月版】

執筆:約27分で読めます

AIの「埋め込み」(エンベディング、embedding)とは、文章や画像の意味を数字の長い並び(ベクトル)に置き換えたもので、OpenAIは「2つのベクトルの距離が関連の近さを測る」と公式ドキュメントに書いている。長さはOpenAIが1,536または3,072、Geminiが既定で3,072。筆者は2026年10月8日、公式の画面を開いたうえで、Googleの公開モデルEmbeddingGemma 2を手元のMacで動かし、768個の数字の中身と近さの点数を見た。

ベクトルとは・埋め込み(エンベディング)とは──AIが文章や画像の意味を数百〜数千個の数字の並びに置き換えたもの。意味の近さを距離で測り、検索やRAGに使う。数学のベクトルとのつながり、OpenAI・Google・Anthropicの公式の説明、手元で動かした結果つき【2026年10月版】
目次

2026年10月8日・日本時間時点の情報です。 AIの「埋め込み」(エンベディング、embedding)とは、文章や画像などの意味を数字の長い並び(ベクトル)に置き換えたもので、OpenAIは公式ドキュメントで「2つのベクトルの距離が関連の近さを測る」と説明しています。ふだんChatGPTやClaudeのチャット画面を使うだけなら、自分で作る必要はありません。作るのは、資料検索の機能などを自分で組む開発者で、OpenAIのAPIでは入力のトークン数に応じて料金がかかります(Gemini APIには無料枠もあります)。Googleが公開するEmbeddingGemma 2のように、手元のPCで動かせる無料のモデルもあります。

3行まとめ

  • 埋め込みは、文章や画像の意味を「数字の並び」にしたもの。OpenAIは1,536個または3,072個、Gemini APIは既定で3,072個、筆者が手元で動かしたEmbeddingGemma 2は768個の数字で表す。
  • 数学のベクトル(大きさと向きをもつ量)と同じ道具で、座標が3個ではなく数百〜数千個になっただけ。「近い」は距離や角度で測り、OpenAIは cosine similarity(コサイン類似度)を勧めている。
  • 筆者の手元の実験(短い日本語・1問)では、質問と言葉がほとんど重ならない「ログインできなくなったので、再設定したい」が、無関係な文より明らかに近く出た。一方で、言葉を共有するだけの別の話の文は上回れなかった。

埋め込み(ベクトル)とは何か。OpenAI・Microsoft・Google・AWSは何と書いているのか

結論から書くと、各社の説明は同じ形をしています。「意味を、数字の並び(ベクトル)にする」「その数字の距離で、意味の近さを測る」の2点です。筆者が取得した公式ページの原文を、順に並べます。

OpenAIの開発者向けドキュメント「Vector embeddings」は、冒頭でこう書きます。

OpenAI’s text embeddings measure the relatedness of text strings.

(訳:OpenAIの文章の埋め込みは、文字列どうしの関連の近さを測る。)

An embedding is a vector (list) of floating point numbers. The distance between two vectors measures their relatedness. Small distances suggest high relatedness and large distances suggest low relatedness.

(訳:埋め込みは、浮動小数点数(小数)のベクトル、つまり並びである。2つのベクトルの距離が、それらの関連の近さを測る。距離が小さければ関連が高く、大きければ関連が低いことを示す。)

Microsoft Learn(日本語版)は、同じことを次のように書いています。

各埋め込みは浮動小数点数のベクトルであり、ベクトル空間内の 2 つの埋め込み間の距離が、元の形式の 2 つの入力間のセマンティック類似性と相関します。

ここでの「セマンティック」は「意味の」という意味で、同じページは「2 つのテキストが似ている場合、それらのベクター表現も似ているはず」とも書いています。

Googleの機械学習集中講座(日本語版)は、短く定義しています。

エンベディングとは、データをエンベディング空間におけるベクトルで表現したものです。

AWSの日本語ページは、なぜ数字にするのかを書いています。

ニューラルネットワークの埋め込みを使用して、実世界の情報をベクトルと呼ばれる数値表現に変換します。ベクトルは、多次元スペースの情報を表す数値です。

Anthropicの「Claude Platform Docs」の埋め込みのページも、冒頭は同じ定義です。

Text embeddings are numerical representations of text that enable measuring semantic similarity.

(訳:文章の埋め込みは、文章の数値表現であり、意味の近さを測れるようにする。)

つまり「埋め込み」「エンベディング」「ベクトル(にする)」は、場面によってほぼ同じ意味で使われます。日本語では、AWSとMicrosoftが「埋め込み」、Googleが「エンベディング」と訳しています。英語の embedding は「(ある空間の中に)埋め込む」という意味の動詞から来た語で、数字の列そのものを指す場合も、数字の列を作る作業を指す場合もあります。

数学の「ベクトル」とAIの「ベクトル」はどうつながるのか

「ベクトルとは」と検索する人の多くは、学校で習ったベクトルを思い出しているはずです。コトバンクに載るデジタル大辞泉は、ベクトルの意味を3つ並べています。

  1. 大きさと向きをもつ量。有向線分で表す。
  2. ベクトル空間の要素である元(げん)。
  3. (1から転じて)方向性をもつ力。物事の向かう方向と勢い。

世界大百科事典(同じコトバンクの掲載)は、1の意味をこう説明します。「大きさと向きをもった量のことをベクトルという」。力や速度が例です。さらに、空間の座標を決めると、ベクトルは座標成分(α1,α2,α3)という3つの数の組で書ける、と書いています。

AIのベクトルは、この「数の組」の考え方を借りています。違うのは個数です。地図上の位置は2つの数(縦と横)、空間の位置は3つの数で決まりますが、AIの埋め込みは、OpenAIの場合は1,536個または3,072個の数の組で、1つの文章の「位置」を表します。目で見て図にできないだけで、距離や角度の考え方は、学校のベクトルと同じ道具です。

Googleの機械学習集中講座は、2次元の例を出しています。料理を2つの数で表し、アップルシュトルーデルを点(0.5, 0.3)、ホットドッグを点(0.2, −0.5)とします。点どうしが近ければ、似た料理という意味になります。同じ講座は、実際のエンベディング空間の次元は3よりはるかに大きい、と書いています。

「ベクトル」が別のものを指す場合

  • ベクター画像:MDN Web Docsは、SVGを「二次元ベースのベクターグラフィックを記述」するXMLベースの言語と説明し、JPEGやPNGのようなビットマップ画像と違って品質を損なわずに任意の大きさで描ける、と書きます。この「ベクター」も語源は同じ vector ですが、AIの埋め込みとは別の話です。
  • 日常語のベクトル:デジタル大辞泉の3つ目の意味で、「彼とはベクトルが合う」のように方向の一致を指します。

この記事は、AIの埋め込みとしてのベクトルだけを扱います。

数字は何個並ぶのか。公式の数字を並べると何が見えたか

埋め込みの「長さ」(次元数)は、モデルごとに決まっています。取得した公式ページの数字を並べます。

モデル(出どころ) 数字の個数(既定) 補足
OpenAI text-embedding-3-small 1,536 公式ドキュメントの表では、最大入力は8192トークン
OpenAI text-embedding-3-large 3,072 dimensions パラメータで減らせると書かれている
Google gemini-embedding-2 / gemini-embedding-001 3,072 128〜3,072に対応し、推奨は768・1,536・3,072(日本語版・英語版とも同じ)
Google EmbeddingGemma 2(公開モデル) 768 Hugging Faceのモデルカードによる。ライセンスはApache 2.0
Voyage AI voyage-4(Anthropicのページが例示) 1,024 256・512・2,048にも変えられる、とAnthropicのページに書かれている
Googleの機械学習集中講座が挙げる単語の埋め込み 256・512・1,024のいずれか 単語のエンベディングでは通常この範囲、と書かれている

OpenAIのドキュメントには、性能の指標も載っています。公式の表では、text-embedding-3-smallの「Performance on MTEB eval」は62.3%、text-embedding-3-largeは64.6%です。3,072個のlargeと1,536個のsmallの差は、数字上は2.3ポイントでした。ただし2つは長さだけでなくモデルそのものが別なので、この差を長さだけの違いとは読めません。MTEBは埋め込みモデルを比べる評価の1つです。

Googleの日本語版ドキュメントには、長さを短くできる理由も書かれています。Gemini Embeddingのモデルは「マトリョーシカ表現学習(MRL)」という方法で訓練されていて、先頭のほうの数字だけを使っても「品質の低下はわずか」と書いています。先頭の768個だけを使えば、保管に必要な容量が4分の1になります(3,072÷768)。この削り方は、どのモデルでもできるわけではなく、そのように訓練されたモデルだけの話です。

また、Googleの集中講座は、個々の数字に意味があるわけではない点を明記しています。

個々の次元が、「デザートらしさ」や「液体らしさ」のようにわかりやすい意味を持つことは稀です。

数字の並びの「全体」で意味を表していて、特定の1つの数字を見ても人間には読み取りにくい、ということです。後述の筆者の実験でも、先頭の数字を見て意味は読み取れませんでした。

「意味が近い」はどうやって測るのか

2つの文章の埋め込みができたら、近さを数字で出します。主な方法は2つです。

  • 距離:2つの点がどれだけ離れているか。OpenAIの原文は「Small distances suggest high relatedness」(小さい距離は関連が高いことを示す)です。
  • コサイン類似度:2つのベクトルの向きがどれだけ揃っているか。角度の余弦(cos)で測るので、1に近いほど向きが揃っています。

OpenAIのFAQには、どちらを使うかの記述があります。

We recommend cosine similarity. The choice of distance function typically doesn’t matter much.

(訳:コサイン類似度を勧める。距離の関数の選び方は、たいてい大きな違いを生まない。)

同じFAQは、OpenAIの埋め込みは長さ1に揃えてあるので、コサイン類似度と(ふつうの距離である)ユークリッド距離は「identical rankings」(同じ順位)になる、とも書いています。

ここでいう「コサイン」は、学校で習うベクトルの内積とつながっています。世界大百科事典(コトバンク掲載)は、内積を「|a||b|cos(∠QPR)」と定義しています。これは筆者の読み解きですが、2つのベクトルの長さで割った内積がコサイン類似度、つまり「2つの矢印のあいだの角度」のcosです。Googleの日本語版ドキュメントも、gemini-embedding-2が短くしたベクトルも自動で長さを揃える理由を、「意味的類似性がベクトルの大きさではなく方向で計算されるため」と書いています。

筆者が手元のMacで、短い日本語を埋め込みにかけた結果

筆者は2026年10月8日の朝、Googleが公開しているEmbeddingGemma 2(Hugging Faceのモデルカードでは、768次元・Apache 2.0)を、手元のMacで動かしました。API鍵は使っていません。モデルは、先に別の記事の取材でこのMacに置いたものです(EmbeddingGemma 2の記事)。用意したのは、質問1つと文4つだけです。

質問は「パスワードを忘れてしまった」。比べた4つの文と、結果は次のとおりです。点数はコサイン類似度で、1に近いほど近いことを表します。「共通の2文字」は、質問と文のあいだで同じ2文字の並びが何種類あるかの数で、言葉の重なりの目安です。

比べた文 点数 共通の2文字
ログインできなくなったので、再設定したい 0.819 1
パスワードは8文字以上にしてください 0.825 4
明日の東京は晴れのち曇りです 0.670 0
おいしいカレーの作り方を教えてください 0.617 0

見えたことは3つです。

  1. 言葉をほとんど共有しない文でも、同じ話題なら近く出た。 「ログインできなくなったので、再設定したい」は、質問と同じ言葉をほとんど含みませんが、0.819で、天気(0.670)やカレー(0.617)より大きく上でした。キーワードの一致だけで探す検索では、この文は見つけにくい例です。
  2. ただし「質問の答えになる文」を上に出したわけではない。 パスワードの文字数の注意書き(0.825)のほうが、わずかに(約0.006)上でした。再設定したいという望みに近いのはログインの文のほうですが、埋め込みは「同じ話題のまとまり」を拾っていて、どれが答えかまでは分けていません。筆者が試した1問では、そう見えました。
  3. 最初の8個の数字は、読んでも意味が分からなかった。 質問を埋め込みにすると、768個の数字が返りました。先頭の8個は「−0.0103、−0.0129、0.0364、−0.0435、−0.0170、0.0491、0.0454、0.0442」でした。ベクトル全体の長さは0.998で、ほぼ1に揃っています。8個の数字を眺めても、筆者には何を表すのか読み取れませんでした。Googleの集中講座が「個々の次元が(中略)わかりやすい意味を持つことは稀です」と書くのと、食い違わない見え方です。

おまけで2つ確かめました。先頭の128個だけを使って点数を出し直すと、パスワードの文字数の注意書きが0.895、ログインの文が0.856で、上位2つの順番は変わりませんでした。一方、無関係な2文の順番は変わりました(768個では天気0.670が上、128個ではカレー0.774が上)。EmbeddingGemma 2のモデルカードは、品質への影響が小さいのは256個まで(「minimal quality impact down to 256d」)と書き、128個は文章だけの用途向けとしています。その128個まで削ると、順位が入れ替わる場所があった、ということです。また、単語2つの組では、犬と猫が0.933、犬と自動車が0.873、東京と大阪が0.903、東京とバナナが0.811でした。順位は直感どおりですが、一番遠いはずの組でも0.8を超えています。点数の大きさそのものより、同じ質問に対する点数の並び順を見るもの、というのが筆者の受け取り方です。

この実験は、質問1つ・文4つ・モデル1つだけです。モデルの性能を測ったものではなく、「数字の並びが実際にどう見えるか」を確かめる目的のものです。

埋め込みは検索やRAGでどう使われるのか

埋め込みの主な使い道は、意味による検索です。流れは次の4段です。

  1. 手元の文章を1つずつ埋め込みにして、保管しておく。
  2. 質問が来たら、質問も同じモデルで埋め込みにする。
  3. 質問のベクトルに近い順に、保管した文章を取り出す。
  4. (RAGなら)取り出した文章を材料にして、生成AIが答える。

Gemini APIの日本語版ドキュメントは、生成した埋め込みは「セマンティック検索、分類、クラスタリングなどのタスクに使用できます」と書き、「これにより、キーワード ベースのアプローチよりも正確でコンテキストを認識した結果が得られます」と続けます。同じページは、RAGについて「エンベディングは、事実の正確性、一貫性、コンテキストの豊富さを向上させ」ると書いています。

Microsoft Learnの「Azure AI 検索でのベクトル検索」は、使い方の例を並べています。テキストを埋め込みにして、同じく埋め込みにした質問で近い文書を取り出す「類似性検索」、テキストと画像を同じ空間に置く「マルチモーダル検索」、複数の言語で学習した埋め込みモデルによる「多言語検索」です。

数が増えたときに速く探す仕組みについて、OpenAIのFAQは「For searching over many vectors quickly, we recommend using a vector database.」(多数のベクトルから速く探すには、ベクトルデータベースを勧める)と書いています。ベクトルデータベースの違いと選び方は、ベクトルデータベースの比較記事に書きました。RAG全体の流れ、限界、ファインチューニングとの違いは、RAGの解説記事にあります。この記事では繰り返しません。

検索以外の使い道

OpenAIのドキュメントは、埋め込みの用途を6つ挙げています。

用途 OpenAIの原文の説明(訳)
検索 結果を、質問の文字列への関連度で順位づけする
クラスタリング 文字列を、似たものどうしでグループにする
おすすめ 関連する文字列をもつ項目を勧める
異常検知 関連のほとんどない外れ値を見つける
多様性の測定 類似度の分布を分析する
分類 文字列を、いちばん近いラベルで分類する

埋め込みを使うには、何が要るのか

ここからは、公式の記述をもとにした筆者の整理です。

チャット画面だけを使う人:ChatGPTやClaudeのチャット画面を使うだけなら、自分で埋め込みを作る手順はありません。本記事が確認した範囲では、公式の使い方の説明に「ユーザーが埋め込みを作る」手順は出てきませんでした。ただし、サービスの内部で埋め込みが使われているかどうかは、各社の公式ページから確かめられていません。

APIで組む開発者:埋め込み用のAPIを呼びます。OpenAIは、埋め込みの請求は入力のトークン数に基づく、と書いています。トークン(文章を区切った単位)の数え方はトークンの解説記事、APIそのものの説明はAPIの解説記事にあります。

料金ページ(2026年10月8日5時13分に取得)の数字は次のとおりです。OpenAIは100万トークンあたり、text-embedding-3-smallが0.02ドル、text-embedding-3-largeが0.13ドル。Gemini APIは、gemini-embedding-2の文章の入力が、無料枠(Free Tier)では「Free of charge」(無料)、有料枠では100万トークンあたり0.20ドルです。無料枠の欄は、送った内容を製品の改善に使うか(Used to improve our products)が「Yes」になっています。Gemini APIのドキュメントは、すぐに結果が要らない場合はBatch APIを使うと「デフォルトのエンベディング料金の50%」になると書き、料金ページでもBatchの文章の入力は0.10ドルでした。

Claudeを使っている人:Claude Platform Docsの埋め込みのページには、次のように書かれています(2026年10月8日5時7分に画面でも確認)。

Anthropic does not offer its own embedding model. One embeddings provider with a wide variety of models and capabilities is Voyage AI by MongoDB.

(訳:Anthropicは独自の埋め込みモデルを提供していない。幅広いモデルと機能をもつ埋め込みの提供元の1つが、MongoDBのVoyage AIである。)

同じページは「you should assess a variety of embeddings vendors」(さまざまな提供元を評価すべき)とも書いており、Voyage AIが唯一の選択肢という書き方ではありません。

手元のPCで動かしたい人:Googleが公開するEmbeddingGemma 2のように、ライセンスがApache 2.0で、重みをダウンロードして動かせるモデルがあります。Hugging Faceのモデルカードは、モバイル機器やノートPCのような一般向けの機器(consumer hardware)で動くよう設計したモデル、と説明しています。筆者のMacでの動かし方と結果は、前述の別の記事に書きました。

よく取り違えるものは何か

  • トークンとは別のもの。 トークンは、文章をモデルが読むために区切った単位です。埋め込みは、その文章全体(または一部)の意味を表す数字の並びです。OpenAIの料金がトークン数で決まるのは、入力として渡す文章の長さを数えているからです。
  • モデルの「パラメーター」とは別のもの。 EmbeddingGemma 2のモデルカードは、出力を768次元、モデルの大きさを740M(7.4億)パラメーターと書いています。768個は文章1つに対して返ってくる数字、7.4億個はモデルが学習で身につけた数値(重み)の数です。パラメーターの意味はパラメーターの解説記事にあります。
  • 文章を生成するAIの答えとは別のもの。 埋め込みの出力は、文章ではなく数字の並びです。そこから答えの文章を作るのは、RAGなどで組み合わせる別のモデルの役目です。
  • 「単語ごとに1つの数字列」という作り方は、いま主流とは限らない。 Googleの集中講座は、word2vecのように「単語ごとに単一のグローバル エンベディング」をもつものを「静的エンベディング」と呼び、「例としては古く、大部分が他のモデルに置き換えられている」と書きます。word2vecの論文(Mikolovら、2013年1月16日にarXivへ投稿)の要旨は、単語の連続したベクトル表現(continuous vector representations of words)を大きなデータから計算する方法で、16億語のデータから高品質な単語ベクトルを1日足らずで学習できた(less than a day)と書いています。同じ集中講座の「エンベディングの取得」のページは、静的エンベディングでは「オレンジ」が色の意味でも果物の意味でも1つの点で表される限界を挙げ、その対応として、文ごとに違うエンベディングをもつ「コンテキスト エンベディング」が開発された、と書いています。

筆者が当たれなかった資料と、試せなかった実験

  • 筆者の実験は、質問1つ・文4つ・モデル1つ(EmbeddingGemma 2)だけです。OpenAI・Gemini・Voyageの埋め込みAPIは、鍵が要るため呼んでいません。他のモデルで同じ並びになるかは、確かめていません。
  • Gemini APIの日本語版は、ページ上に「Google は AI 技術を使用して…翻訳しています」と表示されるAI翻訳です。本文で引いた日本語の文はこの翻訳の文面で、数字(既定3,072・128〜3,072・推奨768/1,536/3,072・Batch APIの50%)は英語版(10月8日5時13分取得)と同じでした。
  • 料金は、OpenAIとGemini APIの料金ページの標準の価格だけを見ています。地域ごとの上乗せや、無料枠の回数の上限は確かめていません。
  • OpenAI・Google・Anthropic・Microsoft・AWSの各ページは、2026年10月8日5時台に取得した版です。モデル名や既定の長さは、更新で変わりえます。
  • ChatGPTやClaudeなどの製品の内部で、埋め込みが使われているかどうかは、公式ページで確かめていません。
  • 「ベクトル」の数学としての説明は、辞書と百科事典の記述の範囲です。線形代数としての正確な定義は、数学の教科書に当たってください。

本文で名指しした出典

本文で名指しした14のページは、frontmatterの sources に入れています。OpenAI・Gemini・Anthropicの3ページは、2026年10月8日5時7分にヘッドレスのブラウザで開き、PCサイズの画面を目で確かめました。OpenAIのページは、取得時に platform.openai.com から developers.openai.com へ移動し、Anthropicのページは docs.claude.com から platform.claude.com へ移動しました。

この記事でよく聞かれること

AIの埋め込み(エンベディング)とは何ですか?
埋め込みとは、文章や画像などの意味を数字の長い並び(ベクトル)に置き換えたものです。OpenAIの公式ドキュメントは「An embedding is a vector (list) of floating point numbers.」(埋め込みは浮動小数点数のベクトル、つまりリストである)と書き、2つのベクトルの距離が関連の近さを測ると説明しています(2026年10月8日に取得した版)。
AIで言うベクトルと、数学のベクトルは同じものですか?
同じ数学の道具を使っています。世界大百科事典(コトバンク掲載)は、大きさと向きをもった量をベクトルと呼び、空間では3つの座標成分で表すと書きます。AIの埋め込みは、その座標を3個ではなく数百〜数千個並べたものです。Googleの機械学習集中講座は、埋め込みを「データをエンベディング空間におけるベクトルで表現したもの」と説明しています。
埋め込みの数字の並びは、何個くらいありますか?
モデルによって違います。OpenAIのドキュメントは、text-embedding-3-smallは1536個、text-embedding-3-largeは3072個が既定と書いています。Gemini APIのドキュメント(日本語版・英語版とも)は、既定は3,072次元で、768・1536・3072を推奨と書いています。筆者が手元で動かしたEmbeddingGemma 2は768個でした。
埋め込みは検索やRAGとどう関係しますか?
文章を埋め込みにして保管しておき、質問も埋め込みにして、近いものから順に取り出すのが、意味で探す検索とRAGの土台です。Gemini APIのドキュメントは、キーワードだけのやり方よりも文脈を認識した結果が得られると書いています。OpenAIのFAQは、多数のベクトルから速く探すにはベクトルデータベースを勧めています。
ChatGPTやClaudeを使うだけなら、埋め込みを自分で作る必要がありますか?
チャット画面を使うだけなら、自分で埋め込みを作る場面は本記事が確認した範囲ではありません。作るのは、資料検索の機能などをAPIや公開モデルで組む開発者です。Claude Platform Docsは、Anthropicは独自の埋め込みモデルを提供していないと書き、Voyage AIを例に挙げています。
埋め込みを作るのは無料ですか?
サービスによって違います。OpenAIは入力のトークン数で請求し、料金ページでは100万トークンあたりtext-embedding-3-smallが0.02ドルです。Gemini APIの料金ページは、gemini-embedding-2の文章の入力を無料枠では「Free of charge」(ただし送った内容は製品の改善に使われる扱い)、有料枠では0.20ドルとしています(2026年10月8日取得)。GoogleのEmbeddingGemma 2のようにApache 2.0で公開され、手元のPCで動かせるモデルもあります。その場合、電気代やPCの負荷は自分で持つことになります。
ベクトルという言葉には、ほかの意味もありますか?
あります。デジタル大辞泉は、大きさと向きをもつ量のほかに、物事の向かう方向と勢いという意味も載せています。また、拡大しても荒れない画像を指す「ベクター画像」(MDN Web DocsのSVGの説明)の語源も同じvectorですが、AIの埋め込みとは別の話です。
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出典・参照資料

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