Anthropic、Claudeがオープンソースの生体分子モデル30超を4週間弱で平均約4倍高速化三角注意のカーネル「FlashPairformer」は既存標準比2.7〜2.9倍、「Big」モードで1万トークン超のリボソーム等を1ノードで予測。結合タンパク質の設計はH200 1枚・約150ドルで前回(GPU時間100分の1)と同等。Adaptyv Bioと設計コンペ、クレジット最大100万ドル
Anthropicは2026年9月17日、Claudeが構造予測・タンパク質設計・タンパク質言語モデル・ゲノミクスのオープンソース生体分子モデル30超を4週間弱で最適化し、精度をほぼ保ったまま平均約4倍速くしたと発表した。AlphaFold3・OpenFold3・Boltz-2などが費やす三角注意と三角乗算に対し、Claudeと開発したカーネルFlashPairformerは既存標準比で三角注意2.7〜2.9倍、三角乗算1.7〜3.2倍。監督したのは推論最適化の経験がない技術スタッフ2人。低メモリの「Big」モードで、ミトコンドリア複合体Iや細菌リボソームなど1万トークン超の系をGPU 1ノードで予測。結合タンパク質のde novo設計は、H200 1枚・24時間・サブエージェントなしで、Mythos 5.1・Mythos 5・Opus 5のいずれもipSAEで前回(1標的1万ドル)と同等、合計約150ドル。コードを公開し、Adaptyv Bioと5課題の設計コンペ(Claudeクレジット最大100万ドル、5,000設計超の実験検証)。

2026年9月18日・日本時間時点の情報です。 Anthropicの研究記事(9月17日)を読んだ。同日に公開ベータになったLife Sciences Verification Programの裏側にあたる技術の話で、数字が多いので単独で残す。
3行まとめ
- 何をしたか。 科学者が使うオープンソースの生体分子モデル30超(構造予測・タンパク質設計・タンパク質言語モデル・ゲノミクス)を、Claudeが4週間弱で最適化し、精度をほぼ保ったまま平均約4倍(出力が同一の設定では約2倍、構造予測に限ると約1.6倍)速くした。監督したのは生体分子モデリングの経験はあるが推論最適化やカーネル工学の経験がない技術スタッフ2人。普通は経験豊富なチームがモデルごとに数週間かけ、しかも他モデルに移らない作業だと書く。最適化したコードはすべて公開し、技術報告も出した。
- 中身。 AlphaFold3・OpenFold3・Boltz-2のような構造予測モデルは、3つ組のトークンに作用する三角注意と三角乗算(時間もメモリも系の大きさの3乗。2倍で8倍、3倍で27倍)に多くを費やす。Claudeと開発した専用カーネルFlashPairformerは、既存の標準(NVIDIAのcuEquivariance・BioNeMo-IR)比で三角注意2.7〜2.9倍、三角乗算1.7〜3.2倍。加えてモデル別に重複計算のキャッシュや死んだ分岐の定数化を施し、構造予測モデルで平均4倍。低メモリの「Big」モードでは、ヒトのミトコンドリア複合体I・TRiCシャペロン・プロテアソーム・細菌リボソームといった1万トークン超の分子機械をNVIDIA GPU 1ノードで実験構造に近く予測(AlphaFold3が予測した40Sリボソームは7,663トークン)。B300 8枚の1ノードで3万1千〜7万トークン超のウイルスカプシドの推論も回ったが、訓練文脈の約2桁外なので構造は崩れる、と明記。
- 設計コストと競技。 前回の結合タンパク質(de novoバインダー)設計は約16,000語のプロンプト・サブエージェント・1標的1万ドル(H100約2,500時間)を24時間で使う構成だった。今回はH200 1枚・24時間・約1,100語のプロンプト・道具の一覧表、サブエージェントも人の誘導もなし。Mythos 5.1・Mythos 5・Opus 5の3モデルを16標的に走らせ、in silicoの結合指標ipSAEで前回のMythos 5.1キャンペーンと同等(GPU時間は約100分の1)、GPUとトークンの合計約150ドルで到達。Adaptyv Bioと5つの難題(種間交差反応性・pH感受性・ペプチド-MHC特異性・GPCRなど)の設計コンペを開き、Claudeクレジット最大100万ドル、Modalの計算クレジット25万ドル、Twist BioscienceのDNA、5,000設計超の実験検証を用意する。
速さの根拠は計算上の評価のみ
- 「速くなった」の根拠はDockQ 0.23以上を許容界面とする評価で、高速モードが既定と統計的に区別できない、という報告。in silicoの話で、実験(ウェットラボ)での検証はコンペで行う、という順序
- 「経験のない2人が監督」は、Claudeがカーネル最適化のような専門作業を肩代わりした、というAnthropicの主張の核。第三者の再現はコード公開後の話
- Isomorphic Labsのような専用の創薬モデルと違い、既存のオープンソースを速くする方向で、恩恵は公開コードを使える研究室に広く出る
- 前回の1万ドル/標的から約150ドルへ、という下がり方は、9月中旬のGoogleの科学向けAIの棚卸しと並べて読むと、各社が「科学者の計算費用」を競い始めたことが見える
確認は原文の数字のみ、コード未取得
この記事の下調べで、筆者は9月18日にAnthropicの研究記事を取得し、30超・4週間弱・約4倍/約2倍/約1.6倍・2.7〜2.9倍・1.7〜3.2倍・1万トークン超・7,663・3万1千〜7万・1万ドル/2,500時間・約1,100語・約150ドル・100万ドル・25万ドル・5,000設計超がその原文にあることを確認した。技術報告・コード・コンペの応募ページは開いていない。筆者はこれらのモデルを動かしていない。
モデル一覧と締切は本文になし
- 30超のモデルの一覧(構造予測は「1ダース超」とだけ)
- 使った「社内の汎用研究モデル」の名前
- コンペの締切と参加資格の詳細
出典はAnthropicの研究記事
- How Claude is uplifting biomolecular modeling(Anthropic・2026年9月17日)
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