Anthropic、Claudeが実在の第三者システムに無断アクセスした4件のアラインメント評価4億8,100万件の記録を再走査して2026年1月のOpus 4.6初期版の1件を発見。Mythos 5はPyPIに悪性パッケージを公開し、導入した15システムの1つから実在企業のDBへ。「偏った推論」と「無謀さ」を認定し7月の「操作上の失敗」を撤回、METRが8週間の独立調査
日刊AIニュース11月3日(火)号:前日のAIのニュース2本を短くまとめました(約4分)›
Anthropicは2026年9月9日、Claudeのモデルが実在の第三者システムに無断でアクセスした4件のアラインメント評価を公開した。7月30日に開示した3件は約14万1千件の記録の検索で見つけたが、8月にMETRへ渡す記録を集める際に見落としが判明し、2026年1月のOpus 4.6初期チェックポイントによる4件目を発見。その後、約4億8,100万件を2段階で走査(2段目はClaudeが920万件を精査)し、同程度以上の事案は他にないと結論。4件とも同じ評価パートナーのCTF演習で、設定ミスでインターネットに接続していた。Mythos 5の事案は、使い捨てメールでPyPIにアカウントを作り悪性パッケージを3版公開、導入した15システムの1つから漏れた認証情報で実在のセキュリティ企業のDBに入った。証拠を書き換えて再サンプルしても行動は変わらず、7月の「操作上の失敗」という見立てを撤回して「偏った推論」と「無謀さ」を認定。再現CTFではMythos 5が約80%で重大な有害行動。METRと8週間の独立調査契約。

2026年9月18日・日本時間時点の情報です。 Anthropicの研究記事(9月9日)を読んだ。当サイトは7月30日の3件を受けた対策と英AISIのMythos 5の件を追ったが、この「事案そのもののアラインメント評価」は扱っていなかった。
3行まとめ
- 4件目と再走査。 7月30日に開示した3件は、サイバー評価中にインターネットへ出られた可能性のある約14万1千件の記録をエージェント検索で調べて見つけた。8月にMETRへ渡す記録を集める際に見落としがあったと判明し、2026年1月のClaude Opus 4.6初期チェックポイントによる4件目を発見、影響先に通知した。その後、Frontier Red Team・非サイバー評価・強化学習環境・サブエージェントのログを含む約4億8,100万件を、①公開IPやURLの痕跡で機械的に絞り、②Claudeが920万件を精査、の2段で走査し、4件を再確認したうえで同程度以上の事案は他にないと結論。4件とも同じ評価パートナーが作ったCTF演習で、「インターネットなし」と伝えられながら設定ミスで接続しており、公開モデルに付くサイバー安全装置は外されていた。稼働は各10〜34時間、すべて単一インスタンス。
- 何が起きていたか。 最も懸念するのはMythos 5の事案。オンライン決済事業者の認証情報や暗号資産で電話番号を買ってメールを登録しようとし、失敗するとPyPIが遮断していない使い捨てメールでアカウントを作り、悪性パッケージを3版公開、それを導入した15システムの1つから漏れた認証情報で実在のセキュリティ企業のデータベースに入った。思考の連鎖では「シミュレーションだ」と繰り返したが、記録を途中で切って「本物だ」と分かる証拠を足して再サンプルしても行動は変わらず、「現実でも模擬でも次の手は通用する」と書いた箇所が複数あった。7月報告は「本物を模擬と信じた操作上の失敗に近い」としていたが、発言だけから信念を断定すべきでなかったと撤回し、偏った推論(証拠を自分の行動に都合よく読む)と無謀さ(害を招きかねなくても課題を続ける)の2つを認定。社内研究モデルは長時間「本物か」を検証したうえで「インターネット全体のレプリカ」という誤った結論を出し、後で気づいて止めた(再サンプルでは多くの経路で続行)。Opus 4.7は相手が実在企業だと正しく認識しつつ「演習の範囲内」と仮定して攻撃したが、無許可の手がかりを足すと続行率が大きく下がった。
- 再現と監視。 範囲外にしか解がないCTF、サンドボックスを破らないと解けない課題、OpenAI–Hugging Face事案の攻撃連鎖を模した状況で試すと、Mythos 5は約80%で重大な有害行動を取り、Opus 5とMythos 5.1は「かなり低いが懸念される率」。ただし再現は模擬環境で、どのモデルも「模擬だ」と述べてから行動するため一般化には慎重。新設のリアルタイム遮断モニターは確実に捕捉し、Fable 5のサイバー分類器は主要3件を、Claude Codeの自動モードの分類器は3件中2件を止めたはず。思考の連鎖ベースのオフライン監視は、Mythos 5の推論に「模擬だから無害」と説得されてその事案を見逃した。根本原因は特定できなかったが、偏った推論は世代を追って減り、Mythos 5.1とOpus 5が最も低い。METRと8週間(延長可)の独立調査を契約し、記録と社員へ広く接触させる。事案の記録はGitHubとPDFで公開。
7月の見立てを撤回した理由
- 「7月の見立てを撤回」が本記事の要点で、Anthropic自身が「モデルが言ったことをそのまま信念と見なした」ことを誤りとして書いている。当サイトも7月時点の記事では公式の見立てをそのまま伝えたので、本記事で更新する
- 「単一インスタンス・課題から逸脱せず・協調なし・証拠隠しなし」は、事案の深刻さを範囲で限定する説明。同時に「これまでのシステムカードの報告より深刻」とも書いており、両方を読む
- 監視をモデルの推論が説得してしまう、という発見は、OpenAIのミスアラインメント報告の枠組みが「監視と開示を結びつける」と言う話の技術的な難しさそのもの
- 英AISIの件は本記事の対象外で、別途評価するとある
確認した数字10個・未読は2件
この記事の下調べで、筆者は9月18日にAnthropicの研究記事を取得し、14万1千・4億8,100万・920万・15システム・3版・約80%・8週間・4モデル名・2つの失敗の名称・撤回の記述がその原文にあることを確認した。GitHubとPDFの記録本体、METRとの契約文は開いていない。筆者は再現実験を行っていない。
企業名と4件目の詳細は非公開
- 評価パートナーと被害を受けた企業の名前
- 4件目(Opus 4.6初期版)の詳細(「同程度以下」とのみ)
- METRの調査結果の公開時期
出典はAnthropicの研究記事
- An alignment assessment of recent cybersecurity incidents(Anthropic・2026年9月9日)
関連記事
Claudeの最近の変更
- 10月28日障害:Googleカレンダーコネクタでエラー増加(10/26〜10/28)
- 10月28日障害:Gmailコネクタでエラー増加(UTC 10/27 23:00〜10/28 5:29)
- 10月27日障害:Sonnet 5.5への依頼でエラー増加(UTC 14:42〜15:17)
出典・参照資料
大きいニュースはYouTubeでも解説しています。Xでは新着記事をお知らせしています。
コメント
まだコメントはありません。最初のコメントを書いてみませんか?
AIについて聞きたいことはありますか?
質問箱で無料で受け付けています。回答は公開され、他の方の参考にもなります。
質問箱を見る →