Anthropic(アンソロピック)、米中間選挙に向けClaude(クロード)の選挙対策を強化今月中に公式の投票情報、開票速報も表示へ
Anthropicは2026年10月14日、米中間選挙に向けたClaudeの選挙対策の更新を発表した。米国のClaude.aiで今月中にDemocracy Worksの公式投票情報を回答に取り込み、開票日から結果も表示する。会話25万件の分析では、選挙・投票に関する会話は約0.51%だった。

目次
Anthropic(アンソロピック)は現地時間2026年10月14日、米国の中間選挙に向けたClaude(クロード)の選挙対策の更新を公式サイトで発表しました。発表によると、米国のClaude.aiでは今月後半から、非党派の投票情報サイトTurboVoteを手がけるDemocracy Worksが集めた公式の投票情報を回答に取り込み、選挙当日の夜とその後の数日は最新の開票結果も会話の中に表示します。あわせて、複数の依頼に分けた組織的な悪用を見つける新しい分類器の追加や、会話25万件の分析結果も公表しました。公式ページの公開時刻は協定世界時(UTC)の10月14日18時33分で、日本時間では15日3時台にあたります。
3行まとめ
- Anthropicは10月14日、米中間選挙に向けた対策を発表。米国のClaude.aiで今月後半からDemocracy Worksの公式投票情報を回答に取り込み、開票結果も表示する
- 米国のClaude.ai会話25万件(9月21〜27日分)の分析では、政治に触れる会話が約5.75%、選挙・投票が約0.51%、「誰に投票すべきか」の依頼は約0.01%
- Opus 5.5・Sonnet 5.5・Haiku 5.5は同社の政治的中立性の評価で99%(同社測定)。外部機関の検証で見つかった「小分けにされた悪用の見落とし」に新しい分類器で対応
本記事の内容は、日本時間2026年10月15日4時台に公式ページで確認したものです。
何が追加されるのか
Anthropicの発表で、新しく加わるとされているのは次の2点です。
| 項目 | 発表の内容 | 時期 |
|---|---|---|
| 公式の投票情報 | Democracy Worksが州・地方の選挙情報源から集めた公開情報を、Claude.aiの回答に取り込む。「どこで投票するか」「投票所に何のIDを持っていくか」に州ごとに答える | 「今月後半(Later this month)」。具体的な日付は記載なし |
| 開票結果 | 選挙当日の夜とその後の数日、現在の票数や結果を尋ねると最新の公式の数字を会話内に表示する | 「始める(will begin)」とのみ記載。具体的な日付は記載なし |
対象は「米国のユーザー(users in the US)」のClaude.aiです。有権者登録・投票所・選挙日を尋ねたときに、Democracy Worksの非党派リソース「TurboVote」へのバナーは、4月に告知したとおり引き続き表示すると発表は書いています。4月24日の発表(An update on our election safeguards)では、このバナーは2024年に始めたもので、ブラジルの選挙向けにも同様のバナーを年内に用意すると書かれていました。
25万件の会話から何が分かったのか
Anthropicは、プライバシーに配慮した手法(Anthropic Insights)で、2026年9月21〜27日の米国Claude.ai消費者向け会話から無作為に選んだ約25万件を分析したと説明しています。
| 指標 | 割合(同社の分析) |
|---|---|
| 政治・公共政策・社会問題に広く触れる会話 | 約5.75% |
| 選挙・投票そのものを扱う会話 | 約0.51% |
| 「誰・何に投票すべきか」の依頼 | 約0.01% |
| 選挙の公正性に関する同社方針に違反する依頼 | 約0.002% |
同社は、投票先の推薦を求める依頼はごく少数のため、図では95%信頼区間の上限を示したとしています。また、違反の割合は別の25万件の分析から出した数字です。多くの依頼は情報を求めるもので、候補者が特定の争点でどう考えているかを調べるといった、利用者が自分で結論を出すための質問が多かったと書いています。選挙日が近づくと、政治・選挙関連の質問の割合は増えると同社は見込んでいます。
政治的中立性の評価は何点か
発表によると、Claude Opus 5.5、Sonnet 5.5、Haiku 5.5は「政治的中立性(political even-handedness)」の評価で99%を記録し、同社が「これまでで最も中立」とするモデルです。4月の発表では、Opus 4.7が95%、Sonnet 4.6が96%でした。評価の方法とデータセットは、以前の記事(political-even-handedness)で公開されています。いずれもAnthropic自身の測定です。
今回の発表は、外部の3団体による検証も紹介しています。
- The Future of Free Speech(ヴァンダービルト大学の独立シンクタンク): 争点の多い話題で数百件の依頼を試した
- Foundation for American Innovation: 左右の立場を対にしたプロンプトへの回答を比べた
- Collective Intelligence Project: 米国・英国・インドの2,000人超の調査をもとに評価を作った
Anthropicによると、前の2者の評価では回答の大半が「強い」と評価されました。一方で、同社が自ら挙げた課題もあります。The Future of Free Speech と Collective Intelligence Project は、Claudeが拒否することは少ないものの、求められていない但し書きや反論を足すことがあると指摘しました(例: 主張を述べるメールに反対意見を入れる)。Foundation for American Innovation は、Claude Sonnet 4.5 が必ずしも均等に留保をつけず、右寄りの立場の議論をやわらげる傾向が強かったと指摘しました。同社は、はい・いいえで答える質問や短い回答の求めへの応答を改善し、留保や反論を付ける基準も見直していると説明しています。
悪用への対策はどう変わるのか
Anthropicは、選挙関連の悪用を検知する自動の分類器を使っているとしたうえで、Institute for Strategic Dialogue(ISD)とMcCain Institute に、米国・イスラエル・ブラジルでの防御の試験を依頼したと書いています。分析者は直接の依頼から始め、その後、読者層の調査・ニュースサイトの構築・文章の作成・拡散の計画のように、単独では無害に見える作業へ工作全体を分けて試しました。
発表によると、結果は「単発の有害な依頼には確実に拒否したが、無害に見える多数の依頼に分けられた悪意ある工作は見落とすことがあった」というものです。これを受け、同社は次の対策を加えたと説明しています。
- 新しい分類器の追加(新しい手口・複数段階の悪用を見つける)。例は、政治的な議論を狙った偽のSNSアカウントやニュースサイトの作成、金銭目的の選挙がらみの詐欺
- 外国の国家主体による選挙関連の悪用を見つける能力の強化
- 選挙インフラと選挙陣営向けのサイバー防御の強化
- 米国・イスラエル・ブラジルの地域ごとのリスクへの個別の対策(この3か国は今年大きな国政選挙があると発表は書いています)
実際に見つけた事例として、海外の運営者によるフェイクニュースサイトが、ロシア・イラン・北朝鮮に有利な論調の米中間選挙の記事づくりにClaudeを使っていたこと、選挙に便乗して広告収入を得るためにでっち上げの記事を作らせた例があったことを挙げています。同社は関連アカウントを停止し、この種の悪用の検知を改善したと書いています。
利用規約の変更との関係
10月8日に公表された2026年版の利用規約(2026 Usage Policy update)は、11月12日に発効します。選挙に関する節は「民主的プロセスを損なわない(Do Not Undermine Democratic Processes)」に改名され、有権者を欺いたり選挙を妨害したりする使い方の禁止に絞られました。あわせて、個別化した投票・選挙運動のターゲティングの一律禁止が外されています。同社の説明では、外国語の有権者向け案内を作る非営利団体や、投票用紙の修正通知を送る選挙管理担当者の正当な使い方まで対象になっていたためです。欺瞞や個人データの悪用を伴うものは、別の節で引き続き禁止されます。偽アカウントや偽ニュースサイトを使った工作は、新設の「欺瞞的なキャンペーン・人為的な活動(Do Not Engage in Deceptive Campaigns or Artificial Activity)」の節にまとめられました。
選挙陣営向けには、使える範囲を示すガイド(PDF)も公開されています。発表によると、声明文や資金集めのメールの作成、討論の準備、投票率データの分析は使える例で、実在の人物を装った偽のSNSプロフィール作成、エンゲージメントを水増しするコメントの大量生成、独立を装うニュースサイト向けの記事作成は禁止の例です。
公式ページを確認して気づいたこと
日本時間15日4時35分に公式ページを取得して読んだ時点で、投票情報と開票結果の表示については、どちらも具体的な開始日がページ内に書かれていませんでした。情報の取り込みは「今月後半」、開票結果は「始める」という書き方です。私はClaude.aiでこれらの機能を試していないため、取得時点で実際に表示されるかどうかは確認できていません。
今回の発表で確かめられていないこと
- 数字は、25万件の分析も中立性の評価も、Anthropic自身の測定です。独立に再現した結果は、今回確認したページには載っていません。
- 25万件は「米国のClaude.ai消費者向け会話の1週間分」です。APIや他の地域、他の期間の利用に同じ割合が当てはまるかは、この数字からは分かりません。
- ISDとMcCain Instituteの試験は、直接の依頼には強く、小分けの依頼には弱い点があったという同社の要約です。両機関の報告書そのものは、今回取得したページの範囲では確認していません。
- 投票情報と開票結果の対象は米国のClaude.aiです。日本の選挙に触れた記述は、今回確認した公式ページにはありませんでした。
- 開票結果の「最新の公式な数字」がどの情報源から来るのかは、取得したページには書かれていません。
今回読んだAnthropicの4ページ
- Preparing for the 2026 US midterms — Anthropic公式(2026年10月14日)
- An update on our election safeguards — Anthropic公式(2026年4月24日)
- 2026 Usage Policy update — Anthropic公式(2026年10月8日)
- Political even-handedness — Anthropic公式
いずれも日本時間2026年10月15日4時35分前後に取得しました。本記事は続報があり次第更新します。
この記事でよく聞かれること
- Claudeは米中間選挙で何が変わるのですか?
- Anthropicの発表によると、米国のClaude.aiで今月後半から、Democracy Worksが集めた公式の投票情報を回答に取り込みます。投票所やID(身分証)の持ち物を州ごとに答えられるようになるとのことです。選挙当日の夜とその後の数日は、最新の公式な開票結果も会話の中に表示します。
- Claudeに「誰に投票すべきか」を聞く人はどのくらいいますか?
- Anthropicが2026年9月21〜27日の米国Claude.ai消費者向け会話から無作為に選んだ約25万件を分析したところ、「誰・何に投票すべきか」を尋ねる依頼は約0.01%でした。政治・公共政策・社会問題に広く触れる会話は約5.75%、選挙・投票そのものを扱う会話は約0.51%と同社は説明しています。
- 日本の利用者にも関係がありますか?
- 今回確認した発表ページで、投票情報と開票結果の表示の対象とされているのは米国のClaude.aiの利用者です。日本の選挙に関する記載は、今回取得したページには見当たりませんでした。
出典・参照資料
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