Anthropic(アンスロピック)、AI for Scienceを財団・研究機関に拡大米NSF、Sanger研究所、EMBLなどにClaude(クロード)の無料クレジットを提供
日刊AIニュース10月29日(木)号:前日のAIのニュース54本を短くまとめました(約22分)›
Anthropicは2026年10月28日(現地)、研究者に無料のClaudeクレジットを渡すAI for Scienceプログラムを、財団・研究機関・研究プロジェクトに広げたと発表した。米国立科学財団(NSF)、Sloan財団、Wellcome Sanger研究所、EMBLなど、公式ページに名前が並ぶのは18組織で、クレジットの額は記載がない。

Anthropic(アンスロピック)は2026年10月28日(現地)、研究者に無料のClaude(クロード)クレジットを渡す「AI for Science」プログラムを、科学の財団・研究機関・研究プロジェクトに広げたと発表した。発表ページに名前が並ぶのは、米国立科学財団(NSF)、Sloan財団、Wellcome Sanger研究所、EMBLなど18組織。クレジットの額や期間は、今回確認した公式ページには書かれていない。
3行まとめ
- Anthropicが2026年10月28日(現地)、AI for Scienceを財団・研究機関・研究プロジェクトに拡大。ページに列挙されたのは資金提供団体6・研究機関6・研究プロジェクト6の計18組織(冒頭文は「20」)
- 財団・学会は受け取ったClaudeクレジットを研究者に配分し、研究機関は組織内で使う。NSF、Sloan財団、Simons財団、Sanger研究所、Crick研究所、EMBLなどが入った
- クレジットの額・期間・日本での扱いは確認した公式ページに記載なし。別ページでは、学術・非営利の研究者向けTeamプランが月0ドル/15ドル(12か月の販促価格)
本記事の内容は、日本時間10月29日9時台に公式ページで確認したものです。
何が発表されたのか
Anthropicの発表(Announcementsカテゴリ)によると、「AI for Science」は、高い影響が見込まれる科学プロジェクトに取り組む研究者へ無料のClaudeクレジットを渡すプログラムだ。同社は2025年5月に始めたと書いている。当時の発表ページは、無料のAPIクレジットを研究者に提供する新しい取り組みとして、生物学・生命科学を特に重視すると説明していた。
今回の拡大について、Anthropicは「個人の科学者の支援から始まり、機関や財団と組むことで、さまざまな分野のより多くの研究者に届けられるようになった」という趣旨を述べている。同社の説明では、これまでに生物学・医学・物理学・化学・気候科学・数学の数百のプロジェクトを支援してきた。
パートナーは3つの区分で紹介されている。
| 区分 | クレジットの使われ方(Anthropicの説明) | 名前が挙がった組織 |
|---|---|---|
| 科学の資金提供団体・学会 | 受け取ったクレジットを、AIを科学研究に使おうとする研究者に配分する | Alfred P. Sloan Foundation、Simons Foundation、Schmidt Sciences、Open Source for Science Fund(Renaissance Philanthropy)、米国立科学財団(NSF)、CAS(米国化学会の一部門) |
| 研究機関 | 組織内でクレジットを使って科学的発見を進める | 宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)、Wellcome Sanger Institute、Francis Crick Institute、Imperial College London生命科学科、EMBL、Gladstone Institutes |
| 研究プロジェクト・イニシアチブ | クレジットを個別のプロジェクトに直接提供する | FlyWire(プリンストン大)、LEAP(コロンビア大)、AstroPath(ジョンズ・ホプキンス大)、gnomAD(Broad研究所)、Tau Ceti、Centre for Population Genomics |
研究プロジェクトの説明には、具体的な内容も添えられている。たとえばFlyWireは成虫のショウジョウバエの脳の配線図を初めて完成させたプロジェクト、gnomADは80万人超のDNAデータを集めた遺伝的変異の公開リファレンス、Tau CetiはLean(証明をコンピューターで検査できる言語)で数学のライブラリを自動形式化する公開プロジェクトだと、Anthropicは紹介している。
発表の「20」と、ページに載っている数
発表の冒頭文と説明文は「20の財団・機関・研究グループ」と書いている。一方、本文に並ぶ名前を数えると、資金提供団体6、研究機関6、研究プロジェクト6の合計18だった。同じ本文は冒頭の段落で、HHMI Janelia Research CampusとAllen Instituteにも触れている。ただし3つの区分の一覧には入っておらず、「この1年で進めてきた協力」の例として書かれている。この2組織を足すと20になるが、Anthropicがそう数えているのかはページに書かれておらず、今回確認した範囲では分からない。本記事では、ページに名前があるものだけを数えて18と書いている。
日本の読者に関わるところ
今回確認した4つの公式ページには、日本の機関の名前も、日本での提供や日本語での案内に関する記載も見つからなかった(「Japan」「Japanese」で検索して該当なし)。名前が挙がった組織は米国・英国・欧州・オーストラリアが中心だ。
個人の研究者向けには、別の枠組みがある。発表ページは、割引のTeamプランを「ここ数か月で開始した」と書いている。Claudeの公式ページ「Claude Team plan for scientists」は、世界の学術・非営利の研究機関の科学者が、割引価格でClaudeを始められると書いている。
| 項目 | 内容(公式ページの表示) |
|---|---|
| 対象 | 認定された大学・非営利研究機関のPI(研究責任者)またはそれに準ずる人。自然科学・数学・計算機科学・工学などが対象 |
| 営利企業・受託研究機関・産業R&D | 対象外。通常のTeam/Enterpriseプランを案内 |
| Standardシート | 月0ドル(通常は月20ドル) |
| Premiumシート | 月15ドル(通常は月100ドル)。使用量は5倍、長時間の分析向けに上限が高い |
| 期間 | 登録から12か月の販促価格。12か月後はその時点の価格に更新 |
| 規模 | 1グループ1〜25シート(それ以上は問い合わせ)。年額払いは0ドル/180ドル |
| 提供数 | 「10,000人」が無料で始められる、ただし提供数は限定で、最終価格は登録時の認証後に確定 |
| 認証 | 所属機関の確認と研究内容の説明。ほとんどは5〜7営業日で審査 |
同ページによると、AI for Scienceは、シート付きのプランでは足りない大型の研究向けの助成プログラムとして位置づけられ、プランを使うグループは追加利用分(extra usage)やAPIクレジットを申請できる。申請制で、内容に応じて審査される。価格は税別で、Anthropicの判断で変わりうると注記されている。90日間活動がないグループは通常のTeam価格に戻される場合があるとも書かれている。データの扱いについては、Claudeは会話・アップロードしたファイル・研究データを学習に使わないと、同ページは説明している。
前の発表と何が違うのか
2025年5月の発表では、対象は「研究機関に所属する研究者」で、申請フォームから個人が申し込む形だった。応募は同社のチーム(関連分野の専門家を含む)が審査する、とされていた。
今回の拡大は、受け手が変わった点に特徴がある。資金提供団体・学会に渡したクレジットを団体側が研究者へ配る形と、研究機関が組織内で使う形が加わった。Anthropicは、これらのプロジェクトの多くが、公開データセット、オープンソースソフトウェア、公開規格、共有ライブラリといった、科学界全体の役に立つ「公共財」も生み出すと説明している。
発表はまた、この1年で科学機関と進めてきた共同研究の例として、HHMI Janelia Research Campusと共同で作った「Model Hardware Standard(MHS)」を挙げている。MHSは、AIエージェントが顕微鏡や液体ハンドラー、ロボットアームなどの実験機器を安全に操作するための共通仕様で、現在はリサーチプレビューだ。2026年8月27日付の別の発表では、研究ラボや先端製造業の最初のグループにプレビューを開き、将来はオープンソースにする意向だと書かれている。Allen Instituteでは、脳・細胞・免疫の大規模な公開データを、AIエージェントのチームで解析し、数か月かかっていた手作業の分析を数時間にしているとも、Anthropicは書いている。
公式ページを見て気づいたこと
日本時間10月29日9時48分から49分にかけて4つのページを取得して読み比べると、発表の記事は約8,500文字と短く、パートナーごとにクレジットをいくら受け取るのかという数字が見当たらなかった。ページ中のドル表記はNSFの紹介文にある「90億ドル規模の連邦機関」の1か所だけで、クレジットに関する金額ではない。一方で、Team plan for scientistsのページには、月0ドル・15ドル・12か月・1〜25シートと具体的な数字が多く並んでいた。価格の話は割引プランの側にあり、AI for Scienceの拡大の側にはない、という書き分けがされている。
確認できていないこと
- クレジットの額・期間・配分方法: 発表ページには書かれていない(ページ中のドル表記はNSFの予算規模のみ)。団体ごとにどう配るのか、応募資格や締切も、今回確認した範囲では見つからなかった。
- 「20組織」の数え方: 3つの区分の一覧に載るのは18組織。冒頭で触れたHHMI JaneliaとAllen Instituteを含めた数なのかは、ページに書かれていない。
- 日本での提供: 日本の機関や日本語の案内についての記載は、確認した4ページにはない。
- 成果: 協力の多くは初期段階だとAnthropic自身が書いており、成果は今後共有するとしている。現時点で数値化された成果は、今回の発表にはない。
- Anthropic以外の確認: 本記事は同社の公式ページだけに基づく。各組織側がどう発表しているかは確認していない。また、筆者はClaudeやこの制度を実際に試していない。
出典と確認時刻
- AI for Science expands to foundations and research institutions(Anthropic、2026年10月28日)
- Introducing Anthropic's AI for Science Program(Anthropic、2025年5月5日)
- Claude Team plan for scientists(Claude公式)
- Previewing the Model Hardware Standard(Anthropic、2026年8月27日)
確認した時刻は、日本時間2026年10月29日9時48分〜49分です。本記事は続報があり次第更新します。
同じ週のAnthropicの発表は、創薬の初期成果を6社分公開した件でも扱っています。
この記事でよく聞かれること
- AI for Scienceプログラムとは何ですか?
- Anthropicによると、高い影響が見込まれる科学プロジェクトに取り組む研究者へ、Claudeの無料クレジットを提供するプログラムです。2025年5月に始まり、当初は生物学・生命科学を重視する無料のAPIクレジット提供として発表されました。2026年10月28日(現地)の発表では、個人の研究者に加えて財団・研究機関・研究プロジェクトにも対象を広げたとしています。
- 今回、どんな組織がパートナーに入りましたか?
- Anthropicの発表ページには、科学の資金提供団体・学会として米国立科学財団(NSF)、Alfred P. Sloan財団、Simons財団、Schmidt Sciences、Open Source for Science Fund、CAS。研究機関として宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)、Wellcome Sanger研究所、Francis Crick研究所、ロンドン大学インペリアル・カレッジの生命科学科、EMBL、Gladstone研究所。研究プロジェクトとしてFlyWire、LEAP、AstroPath、gnomAD、Tau Ceti、Centre for Population Genomicsが挙がっています。
- 個人の研究者でも使える割引はありますか?
- Claudeの公式ページ(Team plan for scientists)によると、学術機関・非営利研究機関の研究者向けに割引のTeamプランがあります。確認した時点の表示では、認証済みのPIはStandardシートを月0ドル(通常20ドル)、Premiumシートを月15ドル(通常100ドル)で、販促価格は12か月間、提供数は限定で最終価格は登録時の認証後に確定するとあります。
- 日本の研究者や機関は対象ですか?
- 今回確認した公式ページ4件には、日本に関する記載は見つかりませんでした。Team plan for scientistsのページは世界の学術・非営利研究機関の研究者を対象とする趣旨ですが、日本での提供条件や日本語の案内は確認できていません。申請の可否は各公式ページの最新の案内で確認してください。
出典・参照資料
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