YouTube「Ask YouTube」発表、動画を会話型AI検索で探す新機能とShortsのGemini Omniリミックス
YouTubeがGoogle I/O 2026で会話型AI検索「Ask YouTube」を発表。長尺とShortsを横断して構造化回答を返す。米国の18歳以上Premium会員に先行提供。あわせてShortsへGemini Omniリミックスと肖像検出ツール拡大も。

目次
3行まとめ
- YouTubeがGoogle I/O 2026で会話型AI検索「Ask YouTube」を発表
- 長尺とShortsを横断し構造化回答、米国の18歳以上Premium会員に先行提供
- ShortsにGemini Omniリミックス統合、肖像検出ツールは18歳以上の全クリエイターへ拡大
Ask YouTubeという新機能の概要
YouTubeは2026年5月19日(Google I/O 2026)に、会話型のAI検索機能「Ask YouTube」を発表した。YouTube公式ブログによると、ユーザーは「子どもに自転車の乗り方を教えるコツ」「寝る前に遊べる癒し系ゲームのクリエイターレビュー」といった、従来のキーワード検索では表現しにくい複雑な質問を投げかけられる。さらにフォローアップの質問を重ねて、探している内容を絞り込んでいくこともできる。
YouTubeブログによれば、Ask YouTubeは長尺動画とShortsを含むYouTubeの全カタログから結果を集約し、「インタラクティブで構造化された回答」として返す。提供範囲は当初、米国の18歳以上のPremium会員に限定され、youtube.com/new 経由で利用できる。TechCrunchはこれを米国のPremium会員向けのテスト的な提供と位置づけており、今後より広いユーザーへ展開する計画があるとされる。同じI/O 2026では、Google Cloud上で24時間稼働する自律型パーソナルAIエージェント「Gemini Spark」も発表されている。
同時発表:ShortsのGemini Omniと肖像検出
YouTubeは合わせて、Googleの新しいAI動画モデル「Gemini Omni」をShorts RemixとYouTube Createアプリに統合すると発表した。公式ブログによると、プロンプトや画像を加えて「シーンを90年代風に変える」「好きなクリエイターの隣に自分を挿入する」といった改変ができ、元動画の文脈は保持される。リミックスされたShortsには電子透かしや識別用メタデータが付与され、元動画へのリンクも残る。
また、AIによる無断改変への対策として、肖像検出ツールを18歳以上の全クリエイターへ拡大する。クリエイターは自分の肖像が使われた動画を検出・管理できる。
肖像検出はどう申し込み、検出後に何ができるのか
発表当日のブログは「18歳以上の全クリエイターへ拡大」までしか書いていないが、申し込み手順と検出後の措置はYouTubeヘルプの「Likeness detection on YouTube」に明文がある(2026年8月14日確認)。同ヘルプはこの機能を「クリエイターが、自分の顔がAIによって改変または生成されたように見えるコンテンツをYouTube上で見つけるのを助ける」ものと定義している。
設定の条件と所要日数は次の通り。
| 項目 | YouTubeヘルプの記載 |
|---|---|
| 年齢 | 18歳を超えていること |
| 権限 | チャンネルの所有者(Owner)またはマネージャー(Manager)であること |
| 本人確認 | 政府発行の身分証と、自分の顔を写した短い動画(セルフィー動画)の提出 |
| 所要日数 | 身分証とセルフィー動画の提出後、確認完了まで最大5日 |
年齢条件の書き方は出典によって微妙に異なる。公式ブログは肖像検出の対象拡大を「18 and older(18歳以上)」と書いており、ヘルプは「Must be over 18 years old(18歳を超えていること)」としている。18歳ちょうどが対象に含まれるかどうかは、この2つの出典の文言だけでは判断できない。
申し込み経路は、YouTube Studioの左メニューから「Content detection」→「Likeness」→「Start now」。そこから生体認証技術の利用への同意、Googleの本人確認、身分証とセルフィー動画の提出と進む。ヘルプは「カメラに映り、登録を希望する人ごとに上記の手順を繰り返す」としており、複数人が出演するチャンネルでは出演者ごとに登録が要る。
検出された動画に対して選べる措置は3つ。
| 選択肢 | 内容 |
|---|---|
| 肖像削除リクエスト | プライバシーポリシー違反として動画の削除を申し立てる |
| 著作権削除リクエスト | 自分の著作物が許可なく使われている場合に申し立てる |
| アーカイブへ移動 | レビュー用の一覧から外す。動画はYouTube上で公開されたまま残る |
同じヘルプは制約も明記している。「Likeness detection is currently an experimental feature and isn't available in some countries」(実験的機能であり、一部の国では利用できない)とあるが、対象国の一覧は示されていない。検出対象は顔だけで、「現時点では、登録したクリエイターの顔の一致を検出する用途にのみ使われる」。音声は対象外で、拡張はFAQで2026年中を目指すと書かれている段階だ。さらに「この実験段階では、改変やAI生成ではない、登録クリエイター本人の実際の顔が写った動画が表示されることがある」ともあり、検出された動画を無断改変だと断定はできないと読める。
なぜ重要か/受け止め方
検索の入口が「キーワード」から「会話」へ移る動きは、動画プラットフォームの導線とクリエイターの発見性に影響しうる。一方で発表時点のAsk YouTubeの提供は米国・18歳以上・Premiumと限定的だった(提供条件の現状は次節を参照)。Gemini Omniのリミックスは創作の幅を広げる反面、肖像の無断利用リスクと表裏一体であり、透かしや肖像検出といった保護策がどこまで実効性を持つかは、今後の運用を見て判断する段階だ。本記事の事実関係はYouTube公式ブログ、TechCrunchの報道、YouTubeヘルプ2本(肖像検出・Ask YouTube)に基づく。AI生成の検索回答が誤った内容を含んだ場合に責任がどこに生じるかは、ドイツ地裁がGoogleのAI Overviewsに直接責任を認めた判決が一つの手がかりになる。
Ask YouTubeは8月14日時点でも米国・英語での実験提供にとどまる
発表から約3か月後の2026年8月14日、YouTubeヘルプ「Search with Ask YouTube」を確認した。提供範囲は「この実験は現在、米国で英語で検索している、パソコン・モバイル・テレビデバイスの限られた数のユーザーが利用できる」とあり、「利用可能な範囲は段階的により多くのユーザーへ拡大している」と続く。日本での提供時期は、この一次ソースにも書かれていない。
5月の発表からの差分は2点ある。1つは入口で、発表時に案内された youtube.com/new はヘルプに出てこず、代わりに「デスクトップでYouTubeを開き、検索バーをクリックし、Ask YouTubeをクリックする」という手順が示されている。もう1つは条件の書き方で、ブログが挙げた「Premium会員」「18歳以上」という条件が、ヘルプの提供範囲を述べる一文には含まれていない。
ヘルプで新たに読めるようになった仕様は次の通り。
- 回答は「長尺動画、Shorts、テキストを組み合わせる」。動画内の該当クリップが、動画タイトルとチャンネル情報とともに含まれることもある
- 「プレイリストとPremium限定コンテンツは、現時点ではAsk YouTubeの検索回答に表示される対象ではない」
- 保護者による管理下の子どもアカウントでは利用できず、YouTube Kidsアプリでも利用できない
- 「AIが生成した回答の品質と正確性は一定ではない場合がある」「医療、法律、金融、その他の専門的な助言について、生成された回答に頼らないこと」
確認できなかったこと
- Ask YouTubeのPremium会員・18歳以上という条件が外れたのかどうか。5月19日のブログ本文は現在もPremium会員・18歳以上と書いており、8月14日時点のヘルプはその条件に触れていない。どちらが現行の運用かは、この2つの一次ソースだけでは判断できない
- 肖像検出の年齢条件は出典で表現が割れている(公式ブログ「18 and older」、ヘルプ「over 18 years old」)。18歳ちょうどが対象に含まれるかどうかは確認できない
- 肖像検出が使えない「一部の国」の一覧。日本が含まれるかはヘルプに記載がない
- 本記事は米国限定の機能を実際に操作していない。回答の精度、肖像検出の的中率と誤検出率はいずれも未検証
AI改変への対処と、AIを使った動画の収益化可否は別々の制度で動いている。収益化側の条文はAIで作った動画はYouTubeで収益化できるのか──公式ポリシー原文で確認した4つの線引きで原文にあたっている。
加筆にともなう記述の整理
- 2026-08-14: 「チャンネル単位で一括登録される仕組みではない」という重複説明を削除
- 2026-08-14: 「本記事の事実関係はYouTube公式ブログとTechCrunchの報道に基づく」という記述を、加筆で追加したYouTubeヘルプ2本を含む形に修正
- 2026-08-14: 「日本での提供時期や精度は両出典では言及されていない」を削除(sources が4本に増え「両出典」が指示対象不明になっていたため。同趣旨は後段で個別に記載済み)
- 2026-08-14: 肖像検出の年齢条件が公式ブログ「18歳以上」とヘルプ「18歳を超えていること」で表現が割れている点を本文と「確認できなかったこと」に追記
- 2026-08-14: 「検出された動画をそのまま無断改変と決めつけることはできない」を、記事側の解釈だと分かる書き方(「〜と読める」)に修正
出典・参照資料
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