2026年9月11日 金曜日
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2026年のVC投資、AIブームで記録更新 ― 5月もAIが資金の約8割を占める

Crunchbase Newsの集計によると、2026年第1四半期の世界ベンチャー投資は約3,000億ドルと過去最高を更新し、うちAIが約80%を占めた。5月も月間920億ドル(AI約79%)と高水準が続き、資金が一部のAI大手に著しく集中している。

2026年のVC投資、AIブームで記録更新 ― 5月もAIが資金の約8割を占める
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目次

3行まとめ

  1. 2026年Q1の世界VC投資は約3,000億ドルで過去最高、約80%をAIが占めた
  2. 5月も920億ドル(AI約79%)と高水準で、Anthropicの500億ドル調達が突出
  3. 資金は米国・レイトステージのAI大手に集中、数字はCrunchbase集計に基づく

Crunchbaseが報じたQ1の投資規模

ベンチャー投資データを集計するCrunchbase Newsによると、2026年第1四半期(1〜3月)の世界ベンチャー投資額は約3,000億ドルに達し、四半期として過去最高を更新した。出資先は世界で約6,000社にのぼる。前四半期比・前年同期比ともに150%超の伸びで、この1四半期だけで2025年通年のVC投資額の約7割に相当する規模だという。

牽引したのはAIだ。Crunchbaseによると、第1四半期はAI企業向けが2,420億ドル(全体の約80%)を占めた。前年の最高だった2025年第1四半期のAI比率が55%だったのと比べ、集中が一段と進んだ形だ。同社の集計では、史上最大級のベンチャーラウンド上位5件のうち4件がこの四半期に発生しており、OpenAI(1,220億ドル)、Anthropic(300億ドル)、xAI(200億ドル)、Waymo(160億ドル)の4社だけで1,880億ドル(世界全体の約65%)を集めたとされる。

勢いは5月も続いた。Crunchbaseによれば5月の月間調達額は920億ドルで、月次として過去2番目の高水準。うちAIが720億ドル(約79%)を占めた。前年同月の240億ドルから284%増という。Anthropicの500億ドル調達が突出し、ほかにAnduril(50億ドル)、Cognition(10億ドル)、Sierra(9億5,000万ドル)などのラウンドが報じられている。なお同社の集計では、Anthropicの評価額は2月の3,800億ドルから5月には9,650億ドルへと上昇したと伝えられている。

資金集中と出口市場の動き

資金がAI、それも一部の大型企業へ著しく偏っている点が読み取れる。Crunchbaseの数字では、第1四半期は米国企業が2,500億ドル(世界の約83%)を集め、レイトステージへの集中が顕著だ。一方で、長く停滞していたイグジット市場には動きが出ている。第1四半期には10億ドル超のVCバックドのイグジットが世界で21件あり、5月にはCerebras Systemsが上場した。出資側にとって、資金回収の出口が再び開きつつあるかが今後の焦点になる。

Q2は2,050億ドルに減速、それでも上半期だけで2025年通年を上回った

同じCrunchbase Newsの集計による続報(確認日2026年8月14日)。2026年第2四半期(4〜6月)の世界ベンチャー投資は2,050億ドルで、出資先は5,000社超だった。第1四半期の3,050億ドルからは減っている。AI向けは「第2四半期の世界のスタートアップ資金の70%超」とされ、前年同期の約50%からは上がった一方、第1四半期の約80%からは下がった。

上半期(1〜6月)の合計は5,100億ドルで、2025年通年の4,400億ドルを半年で上回っている。四半期ベースでは減速しつつ、年単位では記録を更新している、という状態だ。

期間 投資総額 AI向けの比率
2026年 Q1(1〜3月) 3,050億ドル 約80%
2026年 Q2(4〜6月) 2,050億ドル 70%超
(参考)5月 単月 920億ドル 約79%
(参考)7月 単月 650億ドル 約53%

第2四半期に10億ドル以上のラウンドを調達したのは16社、合計1,086億ドルで、四半期全体の53%を占めた。単独最大はAnthropicの650億ドルで、同社はその後6月1日にSECへ極秘でドラフトS-1を提出している(Anthropic、SECに極秘IPO申請 ― 評価額9,650億ドルでAI企業最大級の上場へ)。

第1四半期時点で焦点とされたイグジットは、第2四半期に動いた。10億ドル超の評価額で32社が上場し、SpaceXが750億ドルを調達して最大規模となった。買収も10億ドル以上が24件・合計1,130億ドルにのぼり、Crunchbaseは四半期として過去最高と記している。個別で最大は、SpaceXがAIコーディングツールCursorを開発するAnysphereを600億ドルで買収する意向を示した件だ。

第2四半期の後、7月単月は650億ドルで前年同月比100%増。うちAI向けが350億ドル(約53%)だった。10億ドル以上のラウンドは14件で、Crunchbaseは単月として最多としている。内訳の主なものはBlue Origin(100億ドル)、Safe Superintelligence(50億ドル、Nvidiaから)、Moonshot AI(35億ドル)、Kling AI(28億ドル)。

Crunchbase内でも数字が揺れている点

ここで示した金額やシェアはいずれもCrunchbase Newsの集計・報道に基づくもので、調査会社によって対象範囲や算出方法は異なる点に留意したい。少数の巨大ラウンドが平均値を大きく押し上げる構造のため、「VC投資全体が好調」と「一部AI大手に資金が集中」は同時に成立しうる。シード・アーリーステージの伸び(前年比でそれぞれ31%・41%増)はレイトステージほど急ではなく、ブームの恩恵が初期スタートアップにどこまで及んでいるかは、今後の四半期データで確かめる必要がある。

第2四半期の数字にも但し書きがある。第1四半期の総額は、Q1時点の記事では約3,000億ドル、Q2の記事では3,050億ドルと、同じCrunchbaseでも記述に幅がある。集計は後から更新されるため、四半期をまたいで比べるときは同一記事内の数字で揃えるのが安全だ。またQ2の早期ステージ(アーリー)投資額について、Crunchbaseの本文は「589 billion」と記載しているが、これは四半期総額の2,050億ドルを上回る値で、転記ミスとみられる。正しい値を確定できないため、この記事では採用していない(後期ステージ1,340億ドル、シード120億ドルは本文どおり)。

AI比率が第1四半期の約80%、第2四半期の70%超、7月単月の約53%と下がっている点も、現時点で傾向とは言い切れない。OpenAIの1,220億ドルやAnthropicの650億ドルのような単発の巨額ラウンドが入るかどうかで月次・四半期の比率は大きく振れるためで、数カ月の上下からAI投資の増減を読むには、さらに数四半期分のデータが要る。

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