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動画のPikaが音声4モデルを一挙公開──「ElevenLabsの9倍安い」という自己申告の中身

動画生成のPikaは2026年8月14〜18日、音声基盤モデル群「Pika Audio」(Soundtrack・Music・SFX・Speech)を発表した。Pika Speechは参照音声5秒から声を複製し、自社計測でElevenLabs v3比9倍のコスト効率を主張している。倍率がすべて自己申告である点を含め、公式ブログの記載を確認する。

動画のPikaが音声4モデルを一挙公開──「ElevenLabsの9倍安い」という自己申告の中身
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動画生成AIのPikaが、2026年8月に音声領域へ本格進出した。8月14日に音声基盤モデル群「Pika Audio」を発表し、8月18日には各モデルの個別記事を公開。「動画の会社が音声4モデルを出し、ElevenLabsより安いと名指しで比較した」という構図は、日本語圏ではまだあまり見かけない切り口だ。

3行まとめ

  1. Pikaは2026年8月14日、音声基盤モデル群「Pika Audio」(Soundtrack=動画→同期サウンドスケープ、Music、SFX、Speech)を発表し、8月18日に個別記事を公開した。
  2. Pika Speechは3Bのflow-matching transformerで48kHz出力、参照音声5秒から声を複製、自社ローカル計測でreal-time factor 0.02。Pikaは「Pika SpeechはElevenLabs v3の9倍、Cartesia/ElevenLabs Turboの4.5倍、Fish Audioの2倍のコスト効率(2026-08-14時点の価格比較)」「Pika SFXは最大20倍」と自社の主張として述べている。
  3. 8月5日には月$10で100以上のモデルに1本のAPIで繋ぐ「Pika API Club」を開始(他アグリゲータ比で最大88%安と主張)。

Pika Audioの4モデル

8月14日付のブログ「Pika Audio Models」によると、発表された音声基盤モデル群は4つある。

  • Soundtrack: 動画に同期したサウンドスケープを生成
  • Music: 音楽生成
  • SFX: 効果音生成
  • Speech: 音声合成・声のクローン

各モデルの個別記事は8月18日に公開された。それぞれの個別記事を実際に読むと、4モデルはアーキテクチャも評価方法もばらばらで、単純に「音声4モデル」とひとくくりにできる内容ではないことが分かる。

モデル アーキテクチャ 出力 比較対象(自社ベンチマーク) 自社主張の効率倍率
Soundtrack Transformerベースの潜在拡散モデル(動画・テキスト・音声トークンを結合) 動画に同期した音声トラック LTX-2.3 Foley V2A/HunyuanVideo-Foley/MMAudio v2 最大2倍(比較モデル比)
Music 4種の入力(プロンプト・歌詞・声条件・楽曲リファレンス)を単一モデルで処理 楽曲(90秒生成に平均6.21秒) 明記なし 「再生の約14.5倍速」(比較倍率ではなく生成速度の言い方)
SFX テキスト条件付き拡散Transformer(DiT)、圧縮音響潜在空間で生成 44.1kHz ステレオ、1〜20秒 ElevenLabs v2/Stable Audio 3 SFX 等 最大20倍
Speech 3Bパラメータのflow-matching transformer 48kHz、参照音声5秒で声を複製 ElevenLabs v3/Cartesia/ElevenLabs Turbo/Fish Audio 9倍・4.5倍・2倍

Pika Speechの技術仕様と価格主張

8月18日付の個別記事「Pika Speech」によると、技術的な仕様は以下の通り。

  • モデルサイズ: 3Bパラメータのflow-matching transformer
  • 出力: 48kHz
  • 声のクローン: 参照音声5秒から複製可能
  • 処理速度: 自社ローカル計測でreal-time factor 0.02(3分のリクエストで計測)

価格面での比較として、Pikaは自社の主張として次のように述べている。

Pika Speechは、ElevenLabs v3の9倍、Cartesia/ElevenLabs Turboの4.5倍、Fish Audioの2倍のコスト効率(2026年8月14日時点の価格で比較)

さらにPika SFXについては「最大20倍」のコスト効率とも主張している。

Soundtrack・Music・SFXの技術仕様

Pika Soundtrack(動画→同期音声)の個別記事によると、コアモデルは「Transformerベースの潜在拡散モデル」で、圧縮した動画・テキスト・音声のトークン列に対してアテンションを使い、映像イベントとプロンプトの意味を音声トークンに結び付けているという。評価はLTX-2.3 Foley V2A・HunyuanVideo-Foley・MMAudio v2の3モデルと比較し、「ImageBindスコア(映像と音声の意味的対応)」「DeSync(時間的なズレ、低いほど良い)」でPikaが最良、classifier-basedの音質・多様性指標「IS-PANNs」「IS-PASST」ではMMAudio v2が優位だったとPika自身が記載している。速度比較についても、Pikaは次のように条件の違いを自ら明記していた。

These measurements use different execution environments: hosted end-to-end APIs for Hunyuan and MMAudio, summed chunk inference for LTX, and warm self-hosted end-to-end timing for Pika. They are useful operational observations, not a controlled identical-hardware comparison.

(この計測は実行環境が異なる。HunyuanとMMAudioはホスト型のエンドツーエンドAPI、LTXはチャンク推論の合計時間、Pikaはウォーム状態の自社ホスト環境での計測。運用上の目安にはなるが、同一ハードウェアでの厳密な比較ではない)

「最大2倍のコスト効率」という主張の直後に、この条件差をPika自身が注記している点は、他モデルの倍率主張を読む上でも参考になる。

Pika Music(楽曲生成)は、テキストプロンプト・歌詞・声のリファレンス・楽曲リファレンスの4種類の入力を組み合わせて1つのモデルで処理する設計だという。自社ローカル計測では「90秒の楽曲を平均6.21秒で生成、再生時間の約14.5倍速」としている。声や楽曲をリファレンスとして入力する場合は「その音源を使用する権利を持っていることの確認をユーザーに求める」とも明記されていた。

Pika SFX(効果音生成)は44.1kHzステレオ出力で、テキスト条件付き拡散Transformer(DiT)が圧縮された音響潜在空間上で生成する。学習は「flow-matching」「教師-生徒蒸留」「人間フィードバックによるポストトレーニング」の3段階。評価は50件のプロンプト・合計454秒の音声で行い、Pika SFXの自社ホスト環境でのエンドツーエンド生成は平均0.847秒、比較対象のホスト型APIはElevenLabs v2が平均2.47秒だったとしている。品質面は「CLAPScore(プロンプトとの類似度)」「AQAScore(指定イベントの有無)」に加え、Meta社のAudiobox Aestheticsという第三者指標の軸(Content usefulness/Production quality)でもPika SFXが最高スコアだったと主張している。提供形態はPika API Club経由で、1〜20秒のMP3をダウンロードできるとされる。

「9倍」「20倍」はすべてPikaの自己申告

ここで強調しておくべきなのは、これらの倍率がすべてPika自身による自社比較の主張だという点だ。比較対象(ElevenLabs、Cartesia、Fish Audio)の価格をPikaがどのように取得・計算したかの詳細な算出根拠は、本記事で確認したブログ本文の範囲では明示されていない。独立した第三者による検証結果ではないことを踏まえて読む必要がある。

自サイトの既存記事「AI音声合成・読み上げツール比較──VOICEVOX/ElevenLabs/Azure」(2026-06-19公開)は、今回のPika Audioの発表を含んでいない。音声合成ツールを検討する際の選択肢として、この自己申告の倍率をどう位置づけるかは、実際の利用者側での検証が必要になる。

Pika API Club:100以上のモデルに単一APIで接続

8月5日付のブログ「Pika API Club」によると、月額$10で100以上のモデルに1本のAPIで接続できるサービスを開始した。他のAPIアグリゲータサービスと比較して最大88%安いとPikaは主張している。動画生成モデルを開発してきたPikaが、音声モデルだけでなく他社モデルへのアクセスを束ねるアグリゲータ的な立ち位置にも進出した形だ。

倍率の数字はすべてPika自身の主張、第三者検証はない

  • 「9倍」「4.5倍」「2倍」「20倍」「最大88%安い」という数字は、すべてPika自身が自社ブログで主張しているものであり、独立した第三者による価格比較・性能比較の検証結果ではない。本記事はこの点を明示した上で紹介している。
  • Soundtrackの速度比較についてはPika自身が「実行環境が異なり、同一ハードウェアでの厳密な比較ではない」と本文中で注記していた。この注記が他モデル(Speech・SFX・Music)の倍率主張にも同様に当てはまるかどうかは、各記事に同種の免責がない限り本記事では確認できていない。
  • SFXの品質評価に使われた「Meta Audiobox Aesthetics」は第三者(Meta社)が開発した指標だが、この指標を使った評価・採点自体はPika自身が実施したものであり、独立機関による再計測ではない。
  • Pika Speechの声クローン機能・Pika Musicの楽曲生成・Pika SFXの効果音、いずれも実際の音質・自然さについては、本記事では独自に試用・検証していない。
  • Pika API Clubで実際に接続できる「100以上のモデル」の具体的な内訳(どのモデルが含まれるか)については、ブログ本文の記載を超える詳細は本記事では確認していない。
  • 比較対象とされたElevenLabs・Cartesia・Fish Audio・MMAudio・Hunyuan・LTX側からの反論・見解については、本記事の作成過程では確認していない。

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